やはり俺の幼馴染と後輩がいる日常は退屈しない。   作:あべかわもち

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第3話 どうやら俺の幼馴染は敵同士らしい

 

「姦しい・・・」

 

 

急ぎながらも学校まで一緒に行くことにしたらしい三浦と一色と小町は、横に並んで歩きながらお喋りに花を咲かせている。

 

まるで歩く女子会といった感じだ。女子会に参加したことが無いからよくわからないが、まぁきっとこんな感じだろう。

 

会話の中心は一色と小町で、三浦がそれを聞きながら時々会話に加わる。あいつ、いい姉になれそうだ。いやおかんか。口が裂けても言えないな。

 

それにしても、こいつらにはこの言葉がとてもしっくりくる。

 

どれくらいしっくりくるかと言うと、新しいシャーペンを買ったものの書きづらかったので、結局以前のシャーペンを使ってみて「やっぱお前だ!」というくらいにはしっくりきている。

 

シャーペンが変わると勉強の効率も変わるんだよな。八幡調べで3割くらいは変わるからかなり重要なアイテムだ。

 

ちなみに小町に話したら、シャーペンに違いがあるの?って驚かれたがな。あいつ本当にノートとか取っているのだろうか。我が妹ながら心配になってきた。今年はあいつも受験生だから、今度それとなく探ってみるか。べ、別に小町のことが心配なだけなんだからね!あっこれ八幡的にポイント高い!

 

 

閑話休題

 

 

俺は自転車をカラカラ押しながら3人の後を歩いているので会話には入らない。入れてもらえないのではなくて、入らない。ここ大事。

 

 

「小町ちゃん。今日の放課後って暇?」

 

「はい。夕飯の買い物をお兄ちゃんに任せれば、今日は特に用事ないですよ」

 

 

おい、それ用事あるってことじゃないのか?いや買い物くらい小町の頼みならむしろ喜んで行くけどよ。だいたい俺にだって用事がn(以下略)

 

 

「じゃあ駅前の商店街に新しくできたカフェに一緒に行こうよ!」

 

「もちろんですよ!わー楽しみだなぁ」

 

「そこは東京でも有名なお店で、ケーキセットが美味しくてすっごくお得なんだって。あっ、もちろん三浦先輩も行きますよね?」

 

「行く行く。あーしもそこは気になってたし。・・・それに下見として行くのも悪くないかもだし」

 

「あっ!やっぱり三浦先輩はいいです」

 

「ちょ、なんだし!一度誘ったのに断るとかやめろし!」

 

「だって敵に塩を送るつもりは無いですもん」

 

「へー、あーしとやる気?いろはも言うようになったじゃん?」

 

「うぅ、だって、いろはは一年遅れてるじゃないですか?だから今までより強気で行かないと負けちゃうかもって」

 

「いろは・・・」

 

「三浦先輩、私負けないですからね!」

 

「あーしがいろはに負けるわけないし」

 

 

三浦と一色は立ち止り、俺の眼前で握手をしていた。顔は穏やかなのに、目がマジで怖えーよ。女の友情って戦いなんだな(遠い目)

 

話はよくわからないが、どうやら一色が高校生になったから二人は敵同士(ライバル?)になったようだ。学力考査で勝負でもする気なのだろうか。それなら俺もライバルとして負けるわけにはいかない。国語で学年3位を誇るこの俺を舐めるなよ。

 

こんなことを考えていると(最終的に全国模試で俺が11位になるところまで妄想した。なんで妄想なのに中途半端な順位なんだよ!)、小町があきれ顔で後ろを振り返ってきた。

 

「そんなことで二人が勝負するわけないでしょ?全くこれだからゴミいちゃんは・・・でもでも、小町はそんなゴミいちゃんの味方だからね!あっ、これ小町的にポイント高い!」

 

「ねぇ?エスパーなの?なんで俺の心を読めるんだよ・・・」

 

「先輩、女の子には秘密がいっぱいなんです。詮索するとモテませんよ?あっ、ごめんなさい」

 

「おい。その謝罪の意味はなんだ」

 

「だって、その、えへへ」

 

「・・・あざとい」

 

「ちょ、ひどくないですか!?」

 

「いろは、仕方ないっしょ?八幡に気遣いを期待する方が無駄だって」

 

「そうですよ。なんたってゴミいちゃんですから!」

 

「もう、なんとでもいえよ・・・」

 

 

それから小町と別れた後、学校に着くまでの間、幼馴染改めスイーツ(笑)共によるダメだしを食らい続けた俺の精神的ダメージは限界を突破したので、俺は学校に着くと同時に見事なUターンを決めてマイホームへ帰ろうとした。

 

が、突如現れた白衣を着た独身教師に捕まり、教室までお姫様だっこで強制連行されてしまった。

 

俺の黒歴史にまた一つ新たな1ページが加わった瞬間だった。

 


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