やはり俺の幼馴染と後輩がいる日常は退屈しない。 作:あべかわもち
雪ノ下、三浦、由比ヶ浜(ついさっき名前を聞いたが同じクラスで三浦の友達らしい。そう言えば三浦の近くにいたような気もする)の女子の3人と一緒に下校。
なんだこれは。ハーレムではないかこの野郎と揶揄されても仕方ないかもしれない。
が、実際そんなことはない。
会話に花を咲かせる女子達の後をついていく高校生男子の姿は、あまり褒められる光景ではないだろう。
その証拠に、近所の奥様方の冷たい視線を度々背中に感じたし。
あの、ケータイ片手にどこ電話してるんですか!?
「え?あれ?もしかして・・・お兄ちゃん?」
やっと家に着いたと思って安心したのもつかの間、天使が降臨した。もとい、小町だった。
「なんでそこに疑問を持つんだ・・・」
「あら。すごく将来が楽しみな妹さんね」
雪ノ下さん、なぜあなたはそんなに嬉しそうなんですか。小町は俺に毒を吐くことなんて・・・ないよな?
「だって、三浦先輩といろは先輩以外の女の子を2人も連れて帰ったら、誰だって驚くよ。それが実の妹なら、なおさらだよ!」
「くっ否定できない・・・」
「あら?もしかして比企谷くんの妹さん?」
「すいません!ご挨拶がまだでしたね。はじめまして!比企谷小町です。兄がいつもお世話になってます」
「なんてしっかりした子なのかしら。比企谷君の妹だなんて信じられないわ・・・どこから誘拐してきたの?」
「ねーよ」
「・・・こんなに可愛くてしっかりしている妹さんがいるなんて思えないよね」
「あれ?」
「な、なにかな?」
「うーん・・・」
小町がアホの子をまじまじと見つめている。
え、まさかのマリみて的な展開ですか。
違いますかそうですよね。
え?そうじゃないの?
いかん!俺の頭がショート寸前だ。
とバカな脳内妄想を繰り広げている俺を尻目に、三浦が小町に近寄って耳打ちをしている。
「小町、ちょっと・・・」
「三浦先輩・・・へ?・・・はい・・・はい・・・あぁなるほど、そういうことですか」
「わかったでしょ。結局、この子もヘタれなわけ」
「ねぇ優美子、そのヘタれって、もしかしなくても私のこと?」
「そうっしょ?」
「うーたしかにそうなんだけど・・・もうちょっとオブラートに包むとか!」
「結衣、あんたオブラートなんて言葉知ってたんだ。ちょっと意外」
「さすがに酷くない!?」
「冗談だって」
「ほんとう?」
「さぁ?」
「もう!優美子のイジワル!」
「へぇお二人は仲がいいんですね」
いやおれも驚いたぞ。
いや結構マジで。
それにしても、この3人の間には妙な空気があるような?
悪い感じではなくむしろ近いというか。
てか、小町もなんでそんなにニコニコしてるんだよ!
俺にもその笑顔を分けてくれないかな。
「なぁいつまで玄関先で話してるんだよ。近所迷惑だろ」
「あら、あなたが、近所迷惑を考えることが出来るなんて知らなかったわ。人でなくても短期間に成長できるものなのね」
「あの、せめて人として扱ってくれませんかね」
「まぁまぁ、兄のことは置いといて「おい!」そろそろ中に入りませんか?皆さん、家に用事があって来たんですよね?」
「お言葉に甘えていいかしら?」
「もちろんですよ!さぁどうぞ!ささ、遠慮せず。あ、おにいちゃんは最後ね。鍵も閉めてからリビングに来てね」
「ウン」
無情にも俺の前を過ぎていく女子3名+小町。
なんだか俺の扱いが日に日に悪くなっているような気がするのだが。
小町さん、僕の気のせいでしょうか。
「そんで、依頼ってなんなんだ?」
リビングに集まって、そもそも家に来た理由を尋ねる。さすがにこれくらいは教えてもらわないとな。勝手に家を使って小町に迷惑がかかったら困るし。あっ今の八幡的にポイント高い!
「あら?言ってなかったかしら。由比ヶ浜さん」
「う、うん。じつはね、ある人に感謝の意味を込めて、プレゼントしたいなってずっと考えてて。あたし料理苦手だけど、クッキーならなんとか作れるかなって思ったんだ。どうかな?」
「いやなんで俺が聞かれるんだよ。別にいいんじゃねえか」
「そ、そう?ヒッキ―もクッキーもらえたら嬉しいの?」
「あ?そりゃ女の子から何かもらって嬉しくない男はいないだろ」
「そっか!よーし頑張って美味しいクッキー作るぞ!」
「「・・・」」
「なんでコイツはいきなりテンションあがってるんだ?」
「はぁ・・・これだからお兄ちゃんは」
テンションの高い由比ヶ浜と対照的な小町が気になったが、もう夕方なので、さっそく調理を始めることになった。
読んで頂いてありがとうございます。
またもや気付いたら時間が経ってしまいました。
すでに梅雨入りして家で過ごすことが増えそうですし、
地道に更新していきたいと思います。
今後ともよろしくお願い致します。