今年は平日ですが、2年生編は2013年なんで土曜日です。だから問題なし!
5月10日金曜日。
母の日だったり、語呂合わせで後藤の日とかあるけど、この日は特にそれらとは関係のない日だ。母の日は関係あるかもしれないけど、あいにく母さんは雀荘巡りで昨日から留守。いつも通りだ。
今日はとある計画のため、まず昼休みに図書館へ移動する。
「……。ああ、いたいた。村上」
「あ、火野さん。こんにちは」
本日の協力者、というかその計画の提案者・村上文緒。
「すみません、わざわざ来てもらって」
「気にすんな。それで、あいつの誕生日パーティー、だっけ?」
「はい。望月さんのお誕生日に、何かお祝いしようと思って。それで、手伝っていただけたらと」
なるほどね。そういえば去年は、そんなことしなかったな。というか誕生日知ったのがその日の1ヶ月後とかだったし。
「まぁ、どうせすることもないし、手伝うよ。色々と世話にもなってるし」
「ありがとうございます」
「ま、頑張ろうな」
「はい」
今日はひとまずここまで。というのも、望月の奴が急に現れてきた所為で中断せざるを得なくなったからだ。場所や飾り付け、その他諸々はまた別の日に決めるしかなさそうだな。
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今日は珍しく、火野くんが図書館で文緒ちゃんと何か話してた。そもそも火野くんは図書館に足を運ぶことが少ないから、これは何かあるんじゃないかと思って近付いてみる。やっほー、文緒ちゃ~ん。
「望月さん。こんにちは」
「……お前、また村上を撮りに来たのか?」
「それじゃあまるで、私が文緒ちゃんばっかり撮ってるみたいじゃない。そんなことより、2人で何を話してたの?」
「何って、本を探してもらってたんだよ。普段なら朝田に頼むけど、あいつ今日いないし」
そういえば、朝田くんも図書委員なんだっけ。でも、火野くんが本を借りるなんて珍しくないかしら?何か怪しいわぁ。
「ふぅん、ちなみにどんな本?」
「豆大福の簡単レシピ。さすがに豆大福は無かったけど」
「本当?文緒ちゃん」
「は、はい。私も驚きましたが。火野さんが料理上手なのは知ってましたけど、お菓子の方も作れるんですね」
そうなのよね。火野くんってば、料理スキル高いのよねぇ、正直自信なくすくらいに。
うーん……2人とも嘘をついているようには思えないし、なんでもないのかしら?それなら別にいいんだけどね、2人とは比較的仲がいいつもりだし。はぁ~あ……それにしても、やっぱり文緒ちゃんは可愛いわぁ~。あの困った顔が特に!もうたまらないわ~!!
そして、あれから2週間ほど過ぎた土曜日。
結局この2週間、火野くんと文緒ちゃんは何か企んでみたいで、2人とも私に対してちょっとよそよそしかった。私、もしかして嫌われるようなことしちゃったかしら……?そう思ったけど、火野くんからの電話でそうじゃないと判明したわ。
「もしもし、火野くん?」
『ああ、望月。今大丈夫か?』
「大丈夫だけど、何かしら?」
この2週間での態度が態度だったから、ちょっと拗ねた風に対応してみる。火野くんなら、どう反応するかで色々解るからね。
『あー、その、さ……今日、何も予定入ってないよな?』
「入れてないわよ。どこかの部長さんが部活休みにしたからね」
『……………なぁ、怒ってる?』
「怒ってないわよぉ、失礼ね」
うーん、とりあえず嫌われてはないみたいね。むしろ火野くんから罪悪感が出てるようだわ。
「それで、なにかしら?デートのお誘い?」
『デートじゃない。でも、今から喫茶コスモスに来てほしいんだ』
「コスモス?いいけど、どうして?」
『それは後で話すから。とにかく来てくれ』
「あ、火野くん?もしもーし。………切れちゃった」
何の説明もなしなんて、どうしたのかしら?とりあえず、コスモスに行けばいいみたいだけど。
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「これでよしっと」
飾り付けも終り、望月さんに電話をしてくれた火野さんも戻ってきました。
「火野さん、どうでした?」
「大丈夫、来てくれるって」
「そうですか。良かった」
本当に良かったです。もしかしたら、怒って来てくれないのかと思ってましたから。サプライズでのパーティーとはいえ、望月さんを避けるのは、やっぱり辛いものでした。
「火野君、これはどこに並べたらいい?」
「それはケーキ出した時に使うから、まだ並べなくていいぞ」
「解ったわー」
それにしても、火野さんは先ほどからテキパキとすごいです。もしかしたら、一番張り切ってるのかもしれませんね。そう思ったら、とても微笑ましいです。
でも、望月さんをお祝いしたい気持ちは私も負けてません。最後まで私もお手伝いします。望月さん、喜んでくれるでしょうか。
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「久しぶりねぇ~、ここに来るの」
火野くんも知ってたのは意外だったけど。さて、それじゃあ入りましょうか。
「お邪魔しまーす」
パンッ、パパンッ
「ひゃっ、な、なに!?」
入ったら、急な音と紙テープにびっくりする。な、何事なの?
「「「「望月(さん)、誕生日おめでとう!」」」」
「へ……?」
お店をよく見渡したら、パーティーの為に飾り付けられた店内で、火野くんに文緒ちゃん、野々花ちゃんに真衣ちゃんも一緒に、クラッカーを持ってた。あ、さっきのはそれだったのね。それにしても、これって………。
「そっか、今日は私の誕生日だっけ」
「そうですよ……けほっ」
「忘れるなよ…。まぁ、サプライズでやるにはよかったけど」
「良かったわね、火野君。村上さん」
もしかして、2人が今までしてたのって、これの為だったの?
「はい。準備の多くは、火野さんがしてくれました」
「元々誕生日を祝いたいって言い出したのは村上だけどな。俺達はそれの手伝いをしただけだ」
「そうだったの……。文緒ちゃん、それにみんなも、ありがとう」
こんな風にお祝いしてくれるなんて、嬉しいわ……。文緒ちゃーん!!
「きゃあ!?も、望月さん……!」
「嬉しいわ文緒ちゃん!もうほんと大好き、愛してるわぁ!」
「望月さ……苦しいです………!」
「望月さん、その辺で……火野さんの作ったお料理も冷めちゃいますし」
「これ、ほとんど火野君が作ったからね」
そうね。名残惜しいけど、仕方ないか。
私のために誕生日パーティーを計画してくれて、こうやってお祝いまでしてくれて、今日は今までで一番嬉しい日になったわ。こんなにしてくれたんだから、次は私がしてあげる番ね。
はい、以上がBの計画/望月エレナ編でした。クロウズです。Bはもちろん、BirthdayのBです。まぁ、解りますよね……。
今回はキャラの視点を何度か変更しました。本編が霞黒視点ばかりですし、たまにはこういうのもいいですよね?
それでは、今日も1日、張り切っていきましょう