入学式が済んで、授業や部活勧誘が始まってから一週間経った。一週間あれば購買や食堂、図書室なんかの大まかな位置も把握出来るし高等部になってからの生活も慣れてきた。ただ、部活動説明会はサボってたから知らなかったけど、その放課後のここの部活勧誘は色々とすごい。約1000人の高等部の内、2年と3年の先輩達が約660人辺りで、部活は強制参加ではないもののその過半数が何かしらの部活をやってるから、新入部員獲得の為のパフォーマンスに気合いが入ってた。
それでも帰宅部を選んだ俺は、登校中にたまたま会った同じく帰宅部を選んだクラスメイトの南と一緒に登校することにした。南は家が遠いらしく自転車に乗ってるけど、わざわざ俺に合わせる為に押して歩いてる。
「もう一週間経つけどさ、やっぱり佐藤先生って綺麗な人だよな」
「……まあ、否定はしないけどさ。いきなりなんだ?」
「いきなりじゃない。一週間前から思ってはいた」キリッ
だからどうしたんだと言いたくなるけど、朝食代わりのがんばるんバーを食べながら聞き流すことにする。どうせ何も言わなくても勝手に喋っていくだろうし。
「まずこの学園では例に漏れない端正な顔立ちだろ。それにスタイルもいいし、授業中はビシッとしてるけど授業が終った後のあの気安さ。ほんと綺麗で可愛いよなぁ」
「……」
「しかもあの明るさがあるから、他の先生とか生徒とも仲良いらしいし、男子だけじゃなくて女子にも人気なんだぜ」
「……まだ続きそうなら先に行っていいか?」
正直これ以上はダルいし、時間も時間だから早めに教室にいたい。
「え、お、確かにちょっとまずいかもな。じゃあ俺先に行くな!」
「は?おい、南!」
自転車にまたがって、俺を置いてさっさと行ってしまう。あの野郎……って今ここで怒ってても無駄だから少しばかり歩く速さを上げる。南には後で何か奢らせてやる。
「おーっす」
「あ、火野くんおはよう」
「おはよ、火野君……」
教室に入ってやる気のない挨拶をいれると、出入り口に一番近い2人から挨拶が返ってくる。1人元気がなかったからそっちを見ると、小野寺が目に酷いクマを作ってた。
「小野寺、大丈夫か?」
「あはは、結構しんどいかなー。締切が危なくてここ数日徹夜してね……」
「どう考えても、保健室に行くべきだな。朝田」
「あ、うん。ほら、行くよ」
今にも寝落ちしそうな小野寺を、朝田に保健室まで連行してもらう。多分、正岡もいるだろうし。
俺は一仕事終えた気分で席に着いて息を吐く。窓側から少し離れてるとはいえ空は見易いからと、ぼーっと窓の外を見てると、今日は望月の姿がなかった。アレで成績優秀らしいし、遅刻とかはしないと思うけど。
「火野くんおはよー」
「ん……?あぁ、おはよう望月。今日は意外と遅かったな」
「んー、ちょっとねぇ~」
噂をすればなんとやら。いつものようにカメラを持った望月が前の席の奴の椅子に座る。男子にはそれほど興味がないって少し前に言ってたけど、今の俺みたいに挨拶や日常会話なんかは普通にするみたいだ。
「で、今日遅かった理由は?」
「それがねぇ~聞いてよ。登校中に部長に捕まっちゃて、部員数が少し心もとないから探すのを手伝ってくれって言われちゃったのよぉ………」
「写真部、だっけ?一週間しか経ってないのに部員数で嘆くのはどうなんだ?」
まあ確かに2年生や3年生は新しく入ってこないかもしれないけどさ。それでも1年生ならまだ選んでる途中っていう生徒が多いんじゃないか?俺がそう言うと望月もうんうんとうなずくけど、そうなんだけど、とつぶやきながら机に突っ伏す。
「1年生は私だけだし、他が部長含めて3年生だけなのよ~…」
「あぁ、なるほど」
2年生がいないから来年になると望月だけになるのか。いい部長さんだな。
「それで、どうするんだ?」
「そのことなんだけどね。今日の放課後、火野くんに来てもらいたいの」
「あぁ、なるほ――――――え?」
なんだろう、今放課後写真部に来てほしいと言われた気がした。
「だから、今日の放課後、部室に来てくれない?」
聞き間違いじゃなかった。色々問い詰めたかったけど予鈴が鳴って望月は自席に戻ってしまう。席に着いた望月は手を合わせてこちらに謝りながらお願いね、と口パクで言われた。正直勘弁願いたいけど、行くだけ行って、勧誘されたら断ればいいかな。
これがフラグか……?どうも、クロウズです。
昨日100円で2~5本手に入る棒付きアメ自販機をやったところ、3本手に入りストックは5本。これでスムーズに書けるはず。
次回は写真部にお邪魔してもらうつもりですが、部長さん達に名前を付けるべきか否か。考えがまとまるまでは狩りと麻雀とデュエルの逃避三昧かもです←
明日は別番組のため特撮が観れないという絶望を突き付けられたので逃避三昧をしつつじっくり考えておきます。じゃまた!