カメラと棒付きアメと   作:クロウズ

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Ⅶ話目

「わー、いい景色ねぇー」

 

 

 部屋に荷物を置いたエレナは窓の外を見てそう言う。俺達は今、三連休を利用して温泉宿に来ている。どうしてかというと、それは先週の土曜日のことだった。

 

 

 

――――――

 

 

「はあ、わざわざ商店街の方にまで買い物に行かされるとは……」

 

 

 バイトは休みで、特にすることもなく家でゴロゴロしていたら母さんから買い出し命令だ。それ自体は問題ないんだけど、どうしてかいつものスーパーではなく、商店街の方だった。こっちは家からの距離が遠いからあまり利用することがなかった。たまに散歩で来るくらいだ。

 

 

「ま、この距離と量的に、母さんじゃきついか。……っと?」

 

 

 なんだろ、あの人だかり。来た時はなかったような。とりあえず近付いてみると、

 

 

「残念、ハズレだねぇ」

「Oh,Shit!」

 

 

 そこにあったのは、どうやら福引のようだ。そういえば、買い物した時福引券2枚もらったっけ。2等は、米10㎏か。今の状況じゃ当てたくないな。で、1等は、温泉旅行か。まあ、当たらないだろうし、やってみよう。で、回してみた結果、

 

 

「大ー当たりー!温泉宿ペア宿泊券です!!」

 

 

 赤玉が出てまさかの1等ゲット。4等のプリン2週間分が欲しかった。とりあえずもらいはして、母さんにでも渡そうかな。

 

 

――――――

 

 

 

 父さんと行けばいいのに結局母さんは受け取らず、父さんもエレナと行けと口をそろえて言ってきた。その時父さんがそろそろ一線越えろとか言ってきたから、とりあえず顔面を殴っておいた。これだからおっさんは……。

 俺も荷物を置くと、備え付けの急須にお湯を注いで2人分のお茶を淹れ、一緒にある茶菓子を食べる。エレナにもお茶を渡してやると、まだ熱く湯気の出てるそれをおそるおそる飲む。火傷するなよー。

 そうして少しの間部屋で休んだ後、旅館周辺をぶらぶらする。この辺は温泉街らしく、道行く人は浴衣姿なのが多い。中には外国人もちらほらいて、声をかけられるも答えれずあたふたしてる人も見かける。俺もああなりそう……。

 色々見て回ってると、足湯やら温泉卵専門店、饅頭屋なんかをよく見かける。鈴ちゃんとこと春ちゃんとこにはこの辺で買おうかな。家は適当なのでいいや。

 

 

「何かいいのあった?」

「鈴ちゃん達に買うものはな」

「そっかぁ。あ、私も文緒ちゃんに買ってあげなきゃ」

「俺はどうすっかなぁ……」

 

 

 正直、家族以外はほんと鈴ちゃんとこと春ちゃんとこしか思い浮かばない。あいつらなら別に買わなくてもいいだろうし。

 だいぶ散歩した後、部屋に戻った頃にはいい時間だった。

 

 

「もうすぐご飯ねぇ」

「そうだなぁ」

「失礼します。お食事をお持ちし―――って、火野くん達か」

「あー?ああ、朝田か」

「あらぁ、朝田くんじゃない」

 

 

 料理を運んできてくれた仲居さんは、クラスメイトの朝田だった。何してるんだこいつ、バイトか?気になって聞いてみると

 

 

「ここ、伯父さんが経営してるから。たまに手伝ってるんだ」

「なるほどね」

「そういう2人は?デートするにはちょっと高いよここ」

「霞黒くんが宿泊券を当ててくれたのよぉ」

「まあ、そういうわけだ」

「くじ運強いなぁ君は」

 

 

 話もそこそこに切り上げ、朝田は料理を運び終えると次の仕事に向かった。少し忙しそうだったから、そんなに話し込まない方がよかったかな。

 それはさておき、天ぷらに小さな鍋、刺身に温泉卵など、運ばれてきたものはそこそこ豪華だった。しかし結構量が多いな、食べきれるだろうか。

 

 

「休憩をはさみながらなら、大丈夫じゃない?それじゃあ、いただきまーす」

「それもそうだな、いただきます」

 

 

 鍋の蓋を取ってみると、中身はすき焼き風だった。嫌いじゃない、むしろ好きなんだけど、鍋は2人で1つで良かったと思う。エレナにそう言うと、苦笑気味に頷いた。まあ、そんなこと言っても仕方ないし、食べるか。

 

 

 

 

 

「ふぃ~、いい湯だった……」

 

 

 食事の後は軽く卓球をしてから(なんであそこまで卓球を推したんだろ)温泉を満喫した。効能とかは気にしたことないけど、色んな湯に浸かるのも悪くない。入ってる間は何も考えたくなかったけどエレナが何か粗相してないかだけ心配だった。多分大丈夫だろうけど。それと、俺が入ってた20時ごろは露天風呂の方は混浴になるらしく、その事を知らずに入ってみたら、盛ってるカップルがいたからすぐに出ることになった。部屋でやれよ畜生どもめ。

 

 

「あ~、いいお湯だったわぁ。あ、霞黒く~ん」

「おう、今上がったのか」

「えぇ」

 

 

 エレナにコーヒー牛乳を渡して、部屋に戻ると、既に布団が敷かれていた。まあ、時間も時間だしな。

 

 

「あ、そうだった。ねぇ霞黒くん、ちょっと見てほしいものが」

「?別にいいけど」

「良かった、じゃあ」

 

 

 そう言ってエレナは荷物を漁り、

 

 

「お父さんから渡された、これなんだけど」

「んー?………っ!」

 

 

 取り出したのは、0.03と書かれた箱。なんつーもんを娘に渡してんだ親父さん。

 

 

「で、開けて確認してみたんだけど、これって、あれよね?」

「……………おう」

「ねぇ、霞黒くん」

「………な、なんだ?」

 

 

 エレナが寄ってきたかと思うと、布団の上に押し倒される。そして馬乗りになり、

 

 

「………しよっか?」

 

 

 そう、言ってきた。




 \(`д´)ゝデュエッ!クロウズです。
 今回は(♪)のイベが温泉だったので便乗してやりました。ネタの為ならなんだってやる勢いですよ自分は。ちなみに(♪)のミラクル勧誘11連を3回回して限定SRエレナ2枚確保したので、あとはラブクリスタルで最終まで運ぼうかと。
 次回もまだ温泉回ですが、今回のラストからして、ついに一線越えるんでしょうねこれ。付き合って1年と数ヶ月でこれは早いのでしょうか?そういった経験ゼロなので解んにゃい。



 それではこの辺で。俺達の満足はこれからだっ!

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