カメラと棒付きアメと   作:クロウズ

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Ⅳ話目

『第〜、何回だっけ?まあいいや。聖櫻学園清涼祭〜!』

 

 

 

「ぐふふ、ついにこの日が来たわぁ〜!」

「ああ、来やがったか……また」

 

 

 この、9月初頭に行われる清涼祭。夏が過ぎたとはいえまだ暑い日々を乗り切るために学年・クラス問わず、ただただ水を掛け合うイベントだ。他にルールなんてないから、そうとしか言えない。強いて言うなら制服の下に水着着用と着替えを用意しておくことくらいだし。

 このイベントでは合法的に濡れ透けが見れるからと、男子とエレナにとても人気だ。写真部としてはイベントには参加せざるを得ないし俺も男として嬉しいんだけど、目のやり場に困りすぎて辛い。あと風紀的にどうなんだろう。

 

 

「霞黒くん、ちゃんと防水仕様の持ってきた?」

「ん?ああ、持ってきてるよ」

「良かったぁ。あ、でもぉ、あんまり他の子に目移りしちゃ駄目よ?」

「解ってる解ってる」

 

 

 まったくこいつは……。目移りしまくりなのは自分だろうに。女子にだけど。

 それからすぐに開始の合図が鳴り、俺はエレナと別れて適当にぶらつく。水の掛け合いに参加するより、そうしてる生徒達を撮るのがメインだしな。いい被写体になってくれそうなのは―――っと。

 

 

「いいかお前ら。こういう時に限って女子ばっか狙う奴らが出てくるんだ」

「去年のお前みたいにな」

「してねぇよそんなこと」

「それより先輩、今日はどうしますか?」

 

 

 誰かと思ったらボランティア委員会の奴らか。1年が2人追加されてる、ずるい。写真部には全然来てないのに。まあ、良さそうなの撮れそうだし見ておこう。

 

 

「さっきも言ったように女子ばっか狙う奴らが出てくるし、そういった奴らから女子を守ろうと思う」

「おぉなるほど!」

「俺たちらしいっすね!」

「よし、じゃあさっそく―――冷たっ!」

 

 

 委員会の1人――確か竹谷だっけ――に水風船が直撃した。素肌のとこだから痛いだろうな。その瞬間を撮ってみたらちょうど割れた瞬間だったようで、結構綺麗な水の玉が撮れた。

 投げた本人は、どうやら校舎から歩いてきた木林と東雲ペアのどっちかだろう。ただ、2人とも既にびしょ濡れなのは一戦やり合ったのか2人でやり合ったのか。木林は髪までぐっしょりだし、東雲は黒い水着が透けて見えるし。

 

 

「くっそ、不意打ちとか卑怯だぞ!」

「ルール無用のこれに卑怯も何もないよ。ほらほらっ」

「ぶわっ!くそ、やりやがったな!行くぞお前ら!」

 

 

 なんか5人対2人の水の掛け合いが始まった。あ、木林のやつ盾にされてる。とりあえず撮っておこう。木林の濡れ具合が酷い理由はこれだな。

 ある程度撮って、次の被写体を探しにグラウンドの方へ行ってみると、男女入り混じった大人数が掛け合っていた。どこから引っ張ってきたのか、ホース使ってる奴とか両手にバケツ持ってる奴までいるし。

 

 

「飛び散る水飛沫、美少女たちの笑顔、透ける服とそこから覗く水着!いいわいいわぁ〜!!」

「も、望月さん……そんなに撮らないでください………!」

「あぁん、恥ずかしがってる顔もいいわ文緒ちゃ~ん!!」

 

 

 エレナまでいたよ……。しかも危ない発言しながら。あいつには後で注意なりしておくか。そして、それに気を取られていた俺は、

 

 

「隙ありだ!」

「え――冷たっ!?」

 

 

 バケツをひっくり返したような勢いの水に背中から襲われた。振り返ってみると柄杓を持った笑顔の鈴ちゃんと春ちゃんがいた。

 

 

「油断大敵だぞ黒兄」

「ですよ~」

「2人とも……不意打ちなんてどこで覚えたんだよ」

「ふふん。そらっ」

「え~い」

 

 

 2人は柄杓で水をすくってかけてきても、俺には何もないから逃げるしかない。

 

 

「待てー」

「逃がさないぞ黒兄!」

「ちょっ、俺何も持ってないのに……冷たい!!」

 

 

 2対1では分が悪く、結局俺は清涼祭終了まで2人に水を掛けられまくった。

 

 

   ▲ ▼ ▲ ▼ ▲ ▼ ▲

 

 

「ぐふふ、いいわいいわぁ〜」

 

 

 部室で今日撮った写真を確認して、思わず涎が出ちゃうわ。

 それにしても、今年の清涼祭も大収穫だわ〜。文緒ちゃんに心美ちゃんのような有名所からこういうのに率先して参加するつぐみちゃんにエミちゃんに乙女ちゃん、そして苗ちゃんや桃子ちゃんみたいに入学したばかりの可愛い1年生も。これは眼福よぉ〜!

 そして何より、

 

 

「やっぱり、あの2人と一緒だと霞黒くんも可愛いわねぇ」

 

 

 こんな時でも、女の子より霞黒くんに意識がいくなんて、前までは考えられなかったわよね。ちなみにその霞黒くんは今、掛けられすぎてくしゃみが止まらなかったから先に帰ることに。明日風邪を引いたりしないといいけど……。

 

 

「帰りに様子でも見に行きましょうかぁ」

 

 

 データをパソコンにコピーして、戸締りもしっかりして部室を後にする。新聞部へ提供する写真は霞黒くんの方のデータも見て一緒に決めなきゃだし、霞黒くんがいないんじゃ部活も出来ないものね。さて、帰ったらこの写真をまたアルバムにして………ぐふふ~。




 \(`д´)ゝデュエッ!クロウズです。生きてます。花札衛作ったけどまだ回してません。
 今回書きましたが、実際清涼祭って楽しいんでしょうか、最近朝夜はともかく昼間は暑いですしやってみたいです。翌日に風邪引きそうですが。



 それではこの辺で。俺達の満足はこれからだっ!

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