転生者の打算的日常   作:名無しの読み専

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#55 激震

 九十九に向けてメルティがライフルを撃つ数分前、一夏は第四アリーナに向かう途中の廊下で黛薫子に呼び止められた。

「あ、いたいた。おーい、織斑くーん!」

「どうしたんですか?俺、ISスーツに着替えに第四アリーナまで行かなきゃいけないんですけど」

 一夏のいる第一アリーナから第四アリーナに向かうには、大きく遠回りをする必要があるためかなり遠い。

(試合前から中距離ランニングとか、舞台割を決めた人は鬼か悪魔か?)

 等と一夏が考えていると、薫子が手にした紙を見せてくる。

「なんですか?これ」

「見て分かんない?オッズ表だよ」

 薫子がそう言うので、改めて紙を見てみる一夏。それによると、圧倒的な人気を誇っているのが箒&楯無ペア。学園唯一の『国家代表』であり、候補生とは一線を画す実力が評価されているのだろう。

「ちなみに俺は……げ、最下位……」

「まあ、更識さんのデータも未知数だからでしょうけどね」

 なお二番人気がダリル&フォルテペア。次にシャルロット&ラウラペア、その下にセシリア&鈴ペア。更にその下が九十九だ。

「九十九が一人で戦うとして五組か……。専用機持ちって現在11人なんですね」

「そうよ。内、一年生が8人。今年は異常よ異常。3年なんて1人、2年だってたっちゃんと合わせて2人しかいないのに。しかも、最新型の第三世代機が何機いると思ってるの?」

「なんかすごいですねぇ」

「何呑気なこと言ってんの。君と村雲くんのせいでしょうが!」

 薫子に顔を指さされ、そう言えばそうだった。と思う一夏。自分と九十九がISを動かせると分かって以来、IS学園には転入願がひっきりなしに届いているらしい。理由は当然、自分か九十九と接触するためだ。

 もっとも、学園側が「学園規則により、転入生受け入れは3名までである」としてこれ以上の受け入れを拒否しているため、現時点で新たな転入生は現れていないしこれからも現れないだろう。とは、九十九の弁だ。

「しかも篠ノ之さんの紅椿に至っては第四世代相当なわけだし……」

「みたいですね」

「って!そんな話はいいのよ!」

 自分から始めた話のクセに……とは思ったが口には出せないので、一夏は勢いに押される形で沈黙を選んだ。

「ともかくね、試合前にコメントちょうだい!今から全員分行かないといけないから、私忙しいのよ!はい、チーズ!」

 言うなり、カシャッ!とシャッターを切る。黛薫子、相変わらず行動力の塊のような女であった。

「写真オーケー!それじゃあコメント!」

「え、えっと……精一杯頑張ります!」

「目指すは優勝!くらい言ってよ!」

 ありきたりなコメントに不満らしい薫子がそう言うが、一夏は「いや、それは……」と言葉を濁す。

 なにせ一回戦から大本命との一戦。『学園最強』更識楯無と『世界唯一の第四世代機保有者』篠ノ之箒を相手に勝てるビジョンが欠片も浮かばないのだから、たとえ大口でも『優勝する』とは言えなかった。

「うーん。あ、そうだ」

 何かを考えるような素振りを見せた薫子が、顎に手をやってキリリッとキメ顔を作る。そして−−

「『俺に負けたら恋のハーレム奴隷だぜ(キリッ)』……てのはどう?」

 全く持って意味不明の決め台詞を吐いた。これに驚いたのは一夏だ。

「なんですか、それ!?」

「いや、姉さんがそんな事を言ってたから」

 薫子の言う『姉さん』とは、雑誌『インフィニット・ストライプス』副編集長、黛渚子(まゆずみ なぎさこ)の事だ。

 およそ1週間前に箒共々インタビューと写真撮影を受ける事になったのだが、その中でそんな台詞を吐いた覚えは全くない。

一体どこをどう編集すればそんな内容になるのか。と、一夏は頭を抱えるのだった。

「あはは。織斑くんって本当にからかうと面白いわね~。たっちゃんの言った通りだわ」

「やめてくださいよ、本当に……」

「まあまあ、そう言わずに−−」

 そう言って薫子がひらひらと手を振った、その時だった。

 

ズドォオオンッ!

 

「「!?」」

 突然、爆音と共に地震が起きたかのような揺れが一夏と薫子を襲った。

「きゃあっ……!?」

「危ない!」

 連続する振動に、薫子が姿勢を崩す。壁に体をぶつけそうになる薫子を、咄嗟に一夏が腕を引いて抱き寄せた。

「大丈夫ですか?」

「う、うん。それより、何が起きてるの……?」

 

バシャンッ!

 

 派手な音を立てて廊下の蛍光灯が全て赤へと変わり、彼方此方に浮かんだディスプレイが『非常事態警報発令』を告げる。

『非常事態警報発令!非常事態警報発令!全生徒は直ちに地下シェルターへ避難!繰り返す!全生徒は−−きゃあああっ!?』

 緊急放送をしていた教師の声が突然途切れた直後、またしても大きな衝撃が周囲を揺らした。

「な、何が起きてるんだ……!?」

 突然の事態にどうすべきか分からず、一夏は薫子を抱きかかえたまま暫し茫然とするのだった。

 

 

 メルティの放った弾丸は、私の頬を掠めただけだった。頬の傷から僅かに流れる血を手の甲で拭うと、メルティはいやらしい笑みを浮かべて言った。

「あら?大袈裟に避けるかと思っていたのに。意外に肝が座っているのね、男のクセに」

「お褒めに預かり光栄だ。だが、当たらないと分かっているのに大きく躱す意味が何処にある?」

 彼女がライフルを私に向けた時、その視線は私の右頬の数㎜横を見ていた。

 銃口もそちらに向いていたため、最初の一発は威嚇……というより自分の射撃技術の誇示が目的だと分かっていた。そのため大きく躱す必要性は無いと判断し、一切動かなかった。……断じてビビって動けなかったわけではないぞ。

「ふん、少し位怖がってくれればまだ可愛げもあったのに……。いいわ。次は外さない。死にたくなければISを展開しなさい」

 一度下ろしたライフルをもう一度私に向けるメルティ。その銃口は私の眉間を正確に狙っている。

 メルティの目は本気だった。ここで『フェンリル』を展開しないという選択肢を取る事は、『自分の死』という最大のデメリットを生むだろう。それは避けねばならない。

「……始めるぞ、『フェンリル』」

 呟いてドッグタグを右手人差し指で弾く。瞬間、私の体を量子の光が包み、『フェンリル』がその姿を現す。

 それに満足したのか、メルティはライフルを格納し、代わりに片手半剣(バスタード・ソード)を展開する。

「もう一度言うわ、村雲九十九。あなたは私が殺す」

 片手半剣を構え、殺意の篭った目でこちらを睨むメルティ。

「忠告だ。あまり強い言葉を使うな、メルティ・ラ・ロシェル。弱く見えるぞ」

 メルティの武器に合わせて《レーヴァテイン》を展開し、構えを取りながらメルティを睨み返す私。

 

ガギイインッ!

 

 瞬間、メルティの片手半剣と私の《レーヴァテイン》が甲高い音を立てて激突した。

「くっ……予想より重い!?」

 『アルテラ』の一撃を《レーヴァテイン》で受け止めた私だったが、思いの外攻撃にパワーがあった。

『アルテラ』はスピードを売りにした機体のはずだが、今の一撃の重さは鈴の『甲龍』のそれに匹敵する。一体どうなっている!?

「はああああっ!」

 気合いの籠った叫びと共に、メルティがブースターを吹かして更にこちらを押し込みにかかる。私もブースターを吹かして対抗するが、徐々にこちらが押されだす。

 本当にどうなっている!?一体何なんだ、このパワーは!?どんな調整をすれば第三世代機、それも第二進化形態機が第二世代機にパワー負けするんだ!?

「ちっ!」

 押し合いは不利と判断し、スラスターを自身後方に吹かして離脱を図る。それを見たメルティが追撃をかけるべく追い縋ってきた。

「逃がさない!」

「近づかせんよ!」

 こちらに向かってまっすぐ飛んでくるメルティに対して、私は二丁の《狼牙》を呼び出して一斉射撃を仕掛ける。

「その程度!」

 迫りくる弾丸を、メルティは一切速度を緩めずバレルロールで回避。すれ違いざま、片手半剣で私の肩を斬りつけていく。

「ぐうっ!」

 咄嗟に身を捻ったものの、その一撃を躱しきれずに肩アーマーの一部を落とされた。

「あなた、私を舐めてるの?出しなさいよ、『アレ』を!」

 イライラしているような口調でそう叫ぶメルティ。別に舐めている訳ではないのだが、彼女にはそう映ったらしい。

「……いいんだな?」

「そう言ってるじゃない。『アレ』を使うあなたを殺してこそ、ケティ様も溜飲を下げるというものだわ」

「分かった。では行くぞ」

 そう言って、私は『アレ』を呼び出すため、両手を大きく広げた。……来い!

 

 

 この時、実は両者の間には認識の齟齬が有った。

 メルティの言っている『アレ』とは、自らの上司にして恋人であるケティ・ド・ラ・ロッタを女として完膚なきまでに終わらせたという推進器付大戦槌(ブーストハンマー)《ミョルニル》の事である。

 それを使う九十九を殺して初めて自分の復讐は成ると考えていたし、実際九十九は《ミョルニル》を取り出すだろうと思っていた。

 一方、九十九が思う『アレ』とは、自分と『フェンリル』が繰り出せる最大戦力の事である。

 「いいんだな?」とメルティに訊いたのも彼女が『全力を出して来い』と言っていると思ったからこそ出た言葉だ。そしてそれにメルティは「いい」と言った。ならば応えてやろう。と考えるのは、九十九にとっては当然だった。

 この両者の認識の違いがメルティにとって最大の誤算であった。要するに−−

「久し振りだな。『コレ』を全て出し尽くすのも」

 九十九が出したのは《ミョルニル》ではなく《ヘカトンケイル》だったのだ。

「え……あれ?」

「どうした?貴方が所望したのではないか。『コレ』を出せと」

 そう言う九十九の周りに浮かぶのは、手に手に得物を持った百本の腕の群れ。

「いや、そっちじゃなくて……」

「さあ、行くぞ。メルティ・ラ・ロシェル、シールドエネルギーの貯蔵は十分か?」

 聞こえていないのか聞いていないのか、メルティの言葉を無視して九十九が右手を指揮者のように挙げる。すると、銃を持った腕達が一斉にメルティに照準を合わせる。その光景に顔を青くして、メルティは内心で叫んだ。

(どうしてこうなったの!?)

 直後、第二アリーナ外縁に無数の銃声が轟いた。

 

 

 一方、各アリーナのピットでは専用機持ちのペア達がそれぞれ無人機と戦っていた。その流れは一部を除いて概ね原作通りなので、ダイジェストでお送りさせてもらう。

 鈴とセシリアのペアは、無人機の攻撃力と防御力、機動力に翻弄されながらも、最後はセシリアの『偏向射撃(フレキシブル)』が無人機の急所を貫いた事で薄氷の勝利を得た。

 ダリルとフォルテのペアは、無人機の攻撃を鉄壁の防御コンビネーション『イージス』によって完璧に遮断。業を煮やした無人機がブレードを展開して突進して来たのを躱しざま、左右同時のハイキックで攻撃。胸部アーマーとブースターを完全に破壊して行動不能にした。なお、彼女達のシールドエネルギーは、全く消耗していなかった事を添えておく。

 そして、シャルロットとラウラだが……。

 

「なんだこいつは!」

 天井をぶち抜いて現れた無人機『ゴーレムⅢ』は、その勢いを更に加速させてラウラに襲いかかる。

 『ゴーレムⅠ』の意匠を残した無骨で巨大な左腕がラウラの頭を掴むと、『ゴーレムⅢ』はその指に次第に力を込めていく。

 ハイパーセンサーがメキメキと悲鳴を上げる。ラウラの眼前には真っ赤な警告表示が大量に浮かび、ビープ音が五月蝿いくらいに脳に響く。

 ラウラは状況が掴めないなりにも、とにかく拘束から逃れるべく左腕のプラズマ手刀を展開。『ゴーレムⅢ』に斬りかかろうとして−−

「待ってラウラ!もう少しそのまま!」

 パートナーであるシャルロットからのまさかの『ちょっと待った』に、思わずその手を止めてしまう。

「シャルロット!?お前、どういう−−」

 どういうつもりだ。と言おうとしてシャルロットの方に視線を向けたラウラは、シャルロットの姿を見て言葉を失った。

 シャルロットの新しい機体『ラファール・カレイドスコープ』は、本来ならシャルロットのパーソナルカラーであるオレンジの筈だが、今は違う。

 鈍く輝く青黒い装甲。装甲全体に蛇の鱗のような模様がビッシリとあしらわれていて、一種異様な雰囲気を漂わせている。

 背中、両肩、両腕、両腿、両脛にマウントされているのは合計9基の九連装マイクロミサイルポッド。

 これぞ『ラファール・カレイドスコープ』の遠距離火力支援型パッケージ。冠された名は−−《九頭毒蛇(ハイドラ)》。

「おい待てシャルロット。まさかとは思うが……」

 シャルロットが身に纏うそれを見たラウラの脳裏に最悪の未来が浮かんだ。それを知ってか知らずか、シャルロットは言葉を紡ぐ。

「前に九十九に訊いてみた事があるんだ。もし味方が敵に捕まえられて身動きが取れなくなってたらどうするって。九十九はこう言ったよ」

 そう言いながらシャルロットが両手をこちらに向けると、量子の光とともにミサイルポッドに合計81発のマイクロミサイルが装填された。

「『逆に考えるんだ。味方が敵に捕まったのではなく、敵を味方が捕まえているとな。なら、やる事は一つだ』って」

 ラウラはシャルロットの言葉を聞いて、自分の想像が現実になる事を理解した。つまり−−

「ありがとう、ラウラ。敵を足止めしてくれて」

「ま、待て、やめろシャルロッ……」

「行って!みんな!」

 ラウラの静止も虚しく、シャルロットの《ハイドラ》から81発のマイクロミサイルが一斉に飛び出した。

 それに気づいた『ゴーレムⅢ』がラウラの頭から手を離してミサイル迎撃態勢に入る。

「うわああっ……あ?」

 『ゴーレムⅢ』が手を離した事で自由になったラウラだったが、迫りくるミサイルの迫力に咄嗟に動きを取れなかった。

 せめてもの抵抗にと防御姿勢を取ったラウラは、そのミサイルが『ゴーレムⅢ』に向かって進路変更した事に呆けてしまう。

 『ゴーレムⅢ』を追いかけて行ったミサイル群は、まず最初の数発がピットの入口を吹き飛ばしてアリーナへの道を作り、次いで数発が防御される事を前提に『ゴーレムⅢ』へ特攻。『ゴーレムⅢ』をアリーナに押し出す。

 広い所に出る事になった『ゴーレムⅢ』は我が意を得たりとばかりにミサイルの迎撃を開始。左手のビーム砲からビームを発射する。しかし、ミサイル群はまるで一つ一つが意思を持っているかのようにそのビームを避け、ブレードを躱し、『ゴーレムⅢ』に次々に迫る。

「あ、あの動きは……?」

「ふふっ、驚いた?《ハイドラ》にはマルチ・ロックオン・システムが搭載されてるんだよ」

 なんでもないように言うシャルロットに、ラウラは驚きを隠せない。何故なら、マルチ・ロックオン・システムはミサイル一つ一つに指令を与える関係上、ミサイルの数が増えれば増える程、その煩雑度は上がるからだ。

 『打鉄弐式』の《山嵐》ですら48発を各個制御するのが精一杯(しかもシステム自体は未完成)だというのに、その1.7倍近い数のミサイルを完璧に制御してみせるマルチ・ロックオン・システムとは一体どれ程の物なのか、ラウラには想像もできなかった。

 ラウラがそう考えている間にも、『ゴーレムⅢ』はシャルロットの放ったミサイルによって徐々に逃げ場を奪われていた。

 前から迫るミサイルを撃ち落とそうとビームを放とうとした瞬間、背後から来たミサイルが当たり、『ゴーレムⅢ』の体勢を崩す。

 撃ち落としのタイミングを逃した『ゴーレムⅢ』に、前から迫っていたミサイルが命中。爆風に吹き飛ばされた『ゴーレムⅢ』の左右から更にミサイルが接近。それを辛うじてシールドで防御した『ゴーレムⅢ』。その防御の隙間を見逃さず、更に上下からミサイルが接近。

『当機に最早逃げ場無し』

 そう判断した『ゴーレムⅢ』が、全ミサイルの攻撃を耐えて反撃に転ずるべく、防御に全力を回そうと対ショック姿勢を取る。だがそれはシャルロットに言わせれば。

「それは悪手だよ。無人機」

 ニコリと笑みを浮かべたシャルロットがもう一度両手を『ゴーレムⅢ』に向ける。

 まさかと思ったラウラがシャルロットの機体を見ると、9基のミサイルポッドにマイクロミサイルがもう一度搭載されていた。

「君の唯一の、そして最大のミスは『全弾発射は一度きり』だと思っていた事だよ。それじゃあ……au revoir(さようなら)

 そして再度放たれる81発のマイクロミサイル。『ゴーレムⅢ』が防御姿勢を崩され、シールドエネルギーを削りきられ、装甲を吹き飛ばされた挙句に爆発四散したのは、第二波発射から1分後の事。

 奇しくもそれは、楯無がゼロ距離《ミストルティンの槍》を発動したのと同じタイミングだった。

 

 

 二方向から同時に、毛色の違う轟音が響く。

 一方は第三アリーナから聞こえた連続爆発からの大爆発。シャルが《ハイドラ》のマイクロミサイルを使ったのだろう。

 もう一方は第四アリーナからの巨大な爆発音。これは楯無さんのIS『ミステリアス・レイディ』の最大攻撃《ミストルティンの槍》によるものだろう。

 原作通りに戦闘が推移していれば、一夏をはじめとした専用機持ち達は怪我こそすれ死にはしない筈だ。心配ではあるが、今すぐそちらに行く訳にはいかない。何故なら−−

「まさか一斉射撃を耐え切るとはな……。本当にどういう調整をしているんだ?その機体」

「はぁ……はぁ……答えると思う?」

 なんとメルティは《ヘカトンケイル》による一斉射撃を致命的ダメージを受けないように防ぎ、躱し、受け流したのだ。

 装甲はあちこち削れ、シールドエネルギーも相当持って行かれただろうが、それでもスラスターは生きている。一番潰しておきたかった場所が無事な事に、私は内心で歯噛みした。

(今の一斉射撃で落ちてくれれば楽だったが、そう上手くはいかんか……)

 闘志の衰えない目でこちらを睨むメルティ。その姿が一瞬ぶれる。

瞬時加速(イグニッション・ブースト)か!)

「はあああ!」

 瞬時加速で一気に間合いを詰めてきたメルティが片手半剣を振るう。それを《レーヴァテイン》で受け、弾き、切り返す。

 一旦距離を取り、互いに銃を撃ち合う。弾速は向こうが上だが、それをレヴェッカさん直伝の弾撃ちで落とし、軌道を逸らす。埒が明かないと見たのか、メルティは再び片手半剣を構えてこちらに突撃を仕掛けてきた。

「私は負けられない!あなたを殺すまで!」

「殺されてはやれん!私にはまだやらねばならない事が有る!」

 

ガギイインッ!

 

 《レーヴァテイン》と片手半剣がぶつかり合い、鍔迫り合いの体勢になる。

「このまま押し切る!」

 スラスターを吹かし、こちらを押し込もうとするメルティ。だがそれは、私から見ればこの一言に尽きる行為だ。

「それは悪手だ、メルティ・ラ・ロシェル」

「どういう意味かしら!?」

「忘れていないか?ここには私達の他に『あと50人いる』事を」

「……っ!まさか!?」

 はっとして、メルティが周囲を見渡す。だがもう遅い。既に私達の周囲は、銃を持った《ヘカトンケイル》が囲んでいる。

「もう逃げ場は無いぞ。貴方にも、私にも」

 神妙な言い方でメルティの腕を掴む。何が始まるのかを悟ったのか、メルティの顔から一気に血の気が引いた。

「あなた正気!?こんなやり方!」

「勿論正気だ。出来れば使いたくなかったが、思いの外貴女が強かったのでね。勝つにはこれしか思いつかなかった」

 そう言って、パチンと指を鳴らす。次の瞬間、《ヘカトンケイル》が一斉射撃を開始する。

 これぞ《ヘカトンケイル》戦術最大の禁じ手。自分諸共、相手を弾丸の嵐に巻き込む捨て身の大技。その名を−−

「銀狼交響曲裏1番『相合傘』。悪いな、メルティ。一緒に濡れて貰うぞ……鉛の雨に!」

「きっ……きゃあああっ!」

 メルティの叫び声は、無数の銃声にかき消された。

 

「ぐ、ごほっ。流石に痛いな。もう二度とやらんぞ、こんな戦い方」

 『相合傘』は相手を捕まえている状態で発動する関係上、《スヴェル》を呼び出せば相手も弾丸の雨から守る事になってしまう。

 そのため、自分も防御を捨てなければならないまさに捨て身技だ。お蔭で『フェンリル』はしばらく展開を控えなければいけないだろう程のダメージを受けた。

 体中を苛む痛みに耐えながら地面を見る。そこには装甲が穴だらけになり、シールドエネルギーが尽きた『アルテラ』と、時折痙攣を繰り返すメルティがいた。

「なんとか勝てたか……。しかし、どうやら亡国機業(ファントム・タスク)にはかなり優秀な技術者がいるようだな」

 第二世代機を第三世代機と性能で張れるようにする事ができる技術者などそうはいない。一体誰があの亡霊達に与したんだ?

「……いや、今は考えても仕方ないか。まずは彼女を捕えて情報を……」

 

ビシュンッ!

 

「!?」

 メルティを捕らえようと地上に降りて近づこうとしたその瞬間、見知った色のレーザービームが足下に落ちてくる。

 見上げると、『サイレント・ゼフィルス』を纏った織斑マドカが冷たい視線をこちらに向けていた。

「またお迎え係かい?ご苦労な事だな、織斑マドカ嬢」

 皮肉を込めた挑発に、しかしマドカは全く意にしていないかのようにメルティの隣に立つ。その手に握られたレーザーライフルは、私の心臓の真上にその銃口を向けている。

 抵抗しようにも、二度の一斉射撃で弾丸はほぼ空。《ヘカトンケイル》はエネルギー切れ寸前。《ヨルムンガンド》に溜め込んだエネルギーは使い切ってしまっているから自力でのエネルギー補給は不可能。……八方塞がりか。

「…………」

 降参の意を表明するため、両手を上げる。それを見たマドカは一瞬訝しげな顔をするが、交戦の意思はないと理解したのかライフルを私に向けたまま、メルティを担いでその場を離脱した。そのままマドカの姿が見えなくなった所で、大きく息をつく。

「ふう。キツかった。さて、あとは……」

 

ズドオオオンッ!

 

 第四アリーナから一際大きな爆発音が響き、それきり戦闘の気配は消えた。

「……どうやらケリがついたようだな。原作の流れに絡めなかったが、それはまあいい」

 『フェンリル』を収納して地面に立つと、ISの搭乗者保護機能によって抑えられていた痛みが全身を一気に襲う。

「うぐっ……まずは保健室だな」

 痛みでよろけそうになる身体を叱咤しつつ、私は保健室へと向かった。

 

 こうして、無人機『ゴーレムⅢ』による専用機持ち限定タッグトーナメント襲撃事件は一応の収束を見た。

 私は今回の一件で、もはや原作知識が殆どと言っていい程役に立たない事を思い知るのだった。

 

 

「ぐおお……腕痛い、脚痛い、小○が……○錦が〜……」

「大丈夫〜?つくもん。いまシップ貼ったげるね〜。えい!」

「痛い!ほ、本音、もう少し優しく……」

「そうだよ本音。九十九は怪我人なんだ……よ!」

「ぐわっ!?そう言う君も貼り方強いぞ、シャル!」

 襲撃事件終了後の自室で、私はシャルと本音から手荒い治療を受けていた。曰く『無茶して現在進行形で心配させてる罰』らしい。

 保険医の先生の診察では、全身25ヶ所の打撲と頭部擦過傷が3ヶ所。その他、程度の軽い怪我がいくつもあるとの事。

 また、『フェンリル』のダメージレベルはC+判定。これは、メーカーに修理に出す事を推奨される程の大ダメージである。

 戦闘終了後、私の前にどこからともなく絵地村博士が現れて「じゃあ、修理が終わったら持って来ますんで!」と言ってさっさと『フェンリル』を持って行ってしまった。……どこにいたの?あの人。

「はい、おしまい!」

「っ〜〜!……あ、ありがとう」

 最後の一枚をバシリと貼り付けながら言うシャル。叩かれた背中から全身に痛みが走り、声にならない叫びを上げそうになりつつもなんとか堪えて礼を言う私の顔を本音が覗き込んでくる。

「あんまり無茶しちゃダメだよ〜、つくもん」

「ああ、分かってる。……だから、打ち身になってる所をつんつんしないでください!お願いします!」

「わかってないからこうしてるんだよ。えい、ウリウリー」

「ぐああ……っ!シャル、やめてくれ。痣をウリウリするなぁ……!」

 私が動けないのをいい事に、痛い場所を手当り次第に突いてくる二人。

「あ、なんか楽しくなってきた〜。えい!」

「僕も。こことかどうかな?それ!」

「ちょ、やめ、やめて……ええい!いい加減に−−」

 流石に腹に据えかねて起き上がろうとしたその途端、ベッドに手をついた事で走った衝撃が体中を襲う。

「〜〜っ!……うぐぅ……」

 本来耐えられるはずの痛みでも、一斉に来ればこうもなる。悶絶する私を見て流石に悪いと思ったのか、二人が頭を下げた。

「ご、ごめんね?九十九。ちょっと調子に乗り過ぎたよ」

「ごめんね〜つくもん。あ、そうだ!なにか食べる?」

「例えば?」

「ん〜、例えば〜……たい焼きとか!」

「「何でたい焼き!?」」

「あれ?なんでだろ〜?」

 本音がたい焼きをチョイスした理由は、どうやら本人にも分からないらしかった。

 

「身体は痛くても腹は減る。という訳で、頂きます」

「「いただきます」」

 自室で身体を休めた後、空腹を訴える腹を黙らせるべく食堂へ。しばし静かに食事を取り、人心地ついた所で気になっていた事を本音に訊いてみた。

「そう言えば、あの賭け……もとい、応援投票はどうなったんだ?」

「あ、うん。えっとね~」

 本音が言うには、今回の襲撃事件で専用機持ち限定タッグトーナメントは中止。それに伴って賭け……もとい応援投票はお流れとなった。集まった食券は誰がどの組に何枚投票したのか分からないため、全生徒に等分するという事になったそうだ。

 ちなみに、集まった食券は全部で約1500枚。等分すると一人当たり4枚程になる。

「まあ、妥当といえば妥当だが……」

「たくさん賭け……じゃなくて投票した人が損をするよね、それ」

「だよね~」

 ちらりと横に目をやると、余程沢山賭け……いや、投票したのだろう女子達が、本音の話とほぼ同じ事を発表する放送部の放送を聞いて愕然としている。

 中には口からエクトプラズム的な何かを吐き出している子までいて、周りの子達がそれを必死に口に押し戻そうとしている。

「あの子、誰に何枚賭けたんだろ〜?」

「さあ?でもああなるって事は……」

大穴(一夏・簪嬢組)手持ちの食券(有り金)を全部注ぎ込んだ。といった所か」

 ちなみに、IS学園食堂の食券は一枚で定食一食分。それが毎月、その月の授業日数分配布される。ただし、使い切っても再配布はされない為、もし無くなった場合は自腹を切るしかなくなる。

 今日から次の配布日まであと二週間程。女子高生の小遣いでは、正直痛すぎる出費だろう。

「まあ、取り敢えず……」

「うん、とりあえず……」

「とりあえず〜……」

 エクトプラズム的な何かを吐き出している女子達に向かって手を合わせ、声を揃えてこう言った。

「「「ご愁傷様」」」

 どこからか、仏壇に置いてある小さな鐘((りん))の『チーン』という音が聞こえた気がした。

 

 

「うう、寝返り打つ度に何処かが痛んで満足に眠れなかった……」

 襲撃事件から一夜明け、私は自室でシャワーを浴びていた。剥がした湿布の成分で体がベタついていたからだ。

「ふう……。少しだけ目が冴えたな」

 シャワールームから出てタオルで体を拭く。打ち身になっている所は特に慎重に、痛みが走らないよう注意して拭いた。

(まあ、今日は特に用事も無い。ゆっくり体を休めるとしよう)

 取り敢えず今日はこれからシャルと本音が湿布の貼り替えにやって来る。その後は部屋でのんびりDVDでも見る事になっている。何を見るかな?本音が「おすすめを持ってくる」と言っていたし、まずはそれを……。

 

コンコン

 

「ん?来たか」

 ドアをノックする音が聞こえたので、私は返事をしながらシャワールームから出る。

「鍵なら開いている。入ってくれ」

『あ、はい!失礼しますねー』

「え?」

 聞こえてきた声と口調に違和感を感じ、ドアの方を向いた私の目の前にいたのは。

「村雲くん。取り調べで……す?」

「や、山田先生……」

 暫しの沈黙。ちなみに、現在私の恰好は上半身裸でタオルを肩にかけただけの状態。そんな男が突然目の前に現れた時、女性がどう反応するか。私が思うのは以下の四つ。

 

 ①叫び声と共に平手打ちをかます。

 ②叫び声を上げた後、脱兎の如くに走り去る。

 ③気まずそうな顔をしながら「失礼しましたー……」と言って静かに扉を閉める。

 ④「はうっ……」と小さく悲鳴を上げて気絶。

 

 山田先生と私の位置関係から①は不可能。②なら、暫くして冷静になった山田先生が自分から戻ってくるだろうから問題無し。③の場合、お互いに気まずい空気が漂うが山田先生の話自体はすぐに聞けるため、最もいい反応と言える。

 一番拙いのは④だ。気絶した山田先生の介抱に時間が掛かるし、その間にシャルと本音が来たらどう説明していいのか迷うからだ。さあ、どれだ!?

「きっ……きゃあああっ!」

 山田先生は顔を真っ赤にし、手に持っていたバインダーを投げつけてきた。

 

スコーン!

 

 投げられたバインダーはくるくると回転しながら飛来。私の眉間に突き刺さった。

「ぐあっ!?」

 まさか①'叫び声と共に手に持っている物を投げつける。だったとは。

「ああっ!?ご、ごめんなさい!」

 はっとなった山田先生がコメツキバッタよろしくペコペコと頭を下げる。

「い、いえ。こちらこそすみません。シャルと本音が来たものと思い……。取り敢えず上を着て来るんで、外で少々お待ちを」

「あ、は、はい!」

 慌てて部屋から出て行く山田先生。さて、待たせるのも悪いのでさっさと着替えよう。

 

「取り調べです!」

 先程の衝撃が抜けていないのか、まだほんの少し赤い顔で山田先生は勢い良くこう言った。

「あの、せめて『事情聴取』と言ってくれませんか?私、何も悪い事をした覚えないんですけど」

「あ、そうですね。すみません。それでですね、今から20分後に始めるので、生徒指導室まで来てくださいね」

「了解です。一夏にこの話は?」

「いえ、これからです」

「事情聴取に掛かる時間と、もしボイコットした場合の対応は?」

「予定では2時間です。それから、ボイコットしたら身柄を拘束されます」

「誰に?」

「政府のIS特務機関です」

「それは怖い」

 政府機関を敵に回すとか、冗談ではないよ。

「あと、織斑先生に個人指導を受けることになると思いますよ?」

「そ……それは怖い……!」

 千冬さんの個人指導とは、指導の名の下に行われる、生徒が気を失うまで続けられる体術組手の事だ。

 これまでに受けた生徒達曰く「指導というより死導」「多分地獄の方がマシ」「お婆ちゃんに会った気がする」「新しい世界の扉を開けた」等々……。いや、最後のおかしくないか?絶対開けちゃいけない類の扉開けてるよね?はっきり言って、政府機関を敵に回すより恐ろしいぞ。

「じゃあ、村雲くん。遅れずに来てくださいね」

「無論です。私も死にたがりではないですから」

 用件を終えた山田先生は、そのまま小走りで去って行った。

「あまり時間はないな。急いで準備をするか」

 クローゼットに向かおうとすると、再びコンコンとドアをノックする音がした。

「山田先生、何か報告漏れでも……」

「あ、九十九」

 ドアを開けると、そこに立っていたのはシャルだった。

「シャルか。どうした?」

「うん。取り調べ……もとい事情聴取、一緒に行こうと思って」

「ああ、いいよ。上着を取ってくるから待っていてくれ」

「うん」

 シャルにそう言ってクローゼットに向かう。お気に入りの上着をハンガーから外して袖を通し、改めてシャルの元へ。

「じゃあ、行こうか」

「うん。あ、腕組んでいいかな?」

「いや、今はやめてほしい。まだ体中に鈍い痛みがあるんだ」

「そう。分かった、じゃあやめとく。その代わり……はい」

 と、私に手を差し出すシャル。断る理由はないので、その手を繋いで歩く。生徒指導室まで行く道すがら、ふと気になったのかシャルが訊いてきた。

「そう言えばさ、九十九のトコには来なかったの?無人機」

「ああ。来なかった。聞いた話を総合すると、仕掛けてきたのは全部で5機だったようだ」

「どうしてだと思う?」

「そうだな……」

 私は、顎に手を当てて思案した後、自論をシャルに語った。

 今回の仕掛人が無人機を私に仕掛けなかった理由として考えられるのは以下の三つ。

 ①メルティの襲来を聞きつけた仕掛人が「村雲九十九はその女に任せよう」と考え、敢えて無人機を仕掛けなかった。

 ②ダリル・フォルテ組の実力を低く見積り、私ごと1機で始末できると考えた。

「そして三つ目。これは単純だ」

「なに?」

「資金・資材・時間。その内のいずれか、あるいはいずれもが足りず……」

「5機しか作れなかった……。もしそれが理由だと、ちょっと面白いね」

「まあ、少々情けない理由だがな」

 そう言って私達は二人で笑い合った。何処かで傍迷惑な天災兎が「へっくち!」とクシャミをしたような気がした。

 

 

 翌日。第一体育館に生徒全員が集められた。突然の招集に皆ざわついている。

 一昨日の襲撃事件について改めて箝口令でも敷くのかと思ったが、先生方の表情を見るにそれは無いだろう。何故か?

「先生方……特に織斑先生の顔が、いかにも『面倒事になった』って感じの顔だからだよ、本音」

「何があったんだろ〜?」

「さあ……?」

 一体何があったのか分からないという風に首を傾げるシャルと本音。壇上に千冬さんが立ち、重々しく口を開いた。

『今日は諸君に知らせる事がある』

 千冬さんがそう言った瞬間、私は妙な胸騒ぎを覚えた。嫌な予感がする。世界がとんでもない選択をした。そんな予感だ。

「では、お願いします」

 千冬さんが舞台袖に向かって声をかける。するとそこから、一人の男性が現れる。

 ダークブラウンのダブルスーツを着た、恰幅の良い体格。金髪にハシバミ色の瞳の中年男性。私はその顔に見覚えがあった。

「嘘だろう……?何故あの人がここに……!?」

「おい、九十九。あの人誰だよ?」

「コイツァー・タマランゼ。国際IS委員会議長だ」

 タマランゼ氏は、千冬さんに促されて壇上のマイクの前に立つ。

『ハジメマシテ、ミナ=サン。タマランゼデス』

 両手を合わせてペコリとお辞儀をするタマランゼ氏。日本文化に対して間違った認識持ってないか、あの人。

『今日は皆さん、そして世界中の人に対し、極めて重要かつ重大な決定をお知らせに参りました』

 タマランゼ氏の発言に、体育館の空気が変わる。

『国際IS委員会は、各国政府に対し連名で、男性IS操縦者特別措置法案の即時可決成立を求めました』

 生徒達が一斉に私と一夏の方に振り向く。突き刺さる視線が痛い。

『男性IS操縦者特別措置法案の骨子は以下の通り。一つ、自由国籍権の無条件授与。二つ、国際IS委員会加盟国内への渡航の自由。そして三つ……』

 ゴクリ……。と誰かが唾を飲む音が聞こえた。タマランゼ氏は、十分に溜めた後でこう口にした。

『最大五名までの重婚の許可です。なお、各国政府は既にこの法案の可決成立に同意しています』

 数瞬の沈黙。やがて、タマランゼ氏の言葉の意味を理解した女子達は−−

「「「えええええええええええええっ!?」」」

 爆発した。

 嫌な予感は当たった……か。だが、完全に予想外だぞこれは。ここまでの原作乖離が起きるとは思っていなかった私は、周りの大騒ぎも耳に入らない程呆然としてしまった。だから、気が付かなかった。

「「…………」」

 私をじっと見つめる、二つの熱視線に。




次回予告

少年は決意する。二人に共に来てほしいと。
少女達は覚悟する。貴方と共に行くと。
あとは、それを周りに告げるだけだ。互いの親には特に。

次回「転生者の打算的日常」
#56 挨拶

かつてないほど緊張してきた……。

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