転生者の打算的日常   作:名無しの読み専

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#43 学園祭(灰被姫)

 IS学園正面ゲート前。そこが今回の待ち合わせ場所だ。辺りを見回すと、見知った赤髪の男がそこにいた。

「あ、いたいた。おーい、弾!」

 男の名は五反田弾。私と一夏の共通の友人だ。今回、一夏から招待を受けてここにやって来た。

「おー……」

 だが、こちらに振り返ったその表情は半死人のような有様で、一夏は一瞬ビクッとした。

「ど、どうした?」

「どうもしない……俺にはセンスが無い……」

「「なんだ、そんなことか」」

「そんなことって、お前らなあっ!」

「暴れるな。追い出されたいか?」

「くっ……ここはおとなしくしていよう」

 なんとかショックから立ち直ったらしい弾。その弾に私が気になった事を訊いた。私が招待した相手がどこにもいないのだ。

「ところで弾、母さんを知らないか?ここで待ち合わせたんだが……」

「ああ、八雲さんか?なんか「待ち切れないから」って言ってその辺の生徒さん捕まえて、お前のクラスの場所訊いて、そのまま行っちまったぞ?」

「あの人は……分かった。弾、せいぜい楽しめ。一夏、私は母さんを追う。あの人を放ってはおけん」

「「おう」」

 そう言って、来た道を急いで戻る。すれ違わなかったという事は別ルートで行ったか。タイミング的にはもう着いていていい頃だ。

「あ、村雲くんだ!やっほー」

「あとでお店行くからね!」

「執事姿の村雲くんを激写!イエス!」

「あ、さっき村雲くんにそっくりの女の人見たよ?ひょっとしてお姉さん?」

 行く先々で声をかけられる私。その中に母さんの目撃情報があった。慌てて立ち止まり、その女子に訊く。

「なにっ!?それはいつ、どこでかね?」

「えっと、10分くらい前に一年一組の前で……」

「分かった。ありがとう」

「ど、どういたしまして」

 礼を言って一組の教室へ向かう。今から10分前ならまだ並んでいるだろう。と言うかそう思いたい。

 もし、母さんが今のメイド姿のシャルと本音を見たらどうなるかは、容易に想像できてしまうからな。急がねば。

 

 

「きゃーっ!シャルロットちゃんも本音ちゃんもかーわいいー!!」

「お、遅かったか……」

 戻って来た一年一組『ご奉仕喫茶』店内。そこで私が目にしたのは、シャルと本音に抱きつく母さんの姿だった。

「あうう〜……」

「八雲さん、く、苦し……」

 しかも抱きつく力が強いのか、シャルと本音の顔は苦しそうだ。しかしそれに気づかない母さんの暴走は止まらない。

「もう、可愛すぎるわ!そうだ、このままお持ち帰りしていいかしら!?」

「いいわけ無いだろう。いいから落ち着け」

 

スパーンッ!

 

 『フェンリル』の拡張領域(バススロット)に収納してある特製のハリセンを取り出し、母さんの頭を後ろから叩く。母さんは一瞬前につんのめった後、涙目でこっちを見た。

「いったーい!もう!何するの、九十九!」

「何をする、と言うか何をしてるはこっちの台詞だ。正面ゲートで待っていてくれと言わなかったか?私は」

「え〜、だって待ちきれなかったんだもの。仕方ないじゃない?」

「『じゃない?』じゃない。年を考えてくれ、御年……「17歳です♪(ニッコリ)」アッ、ハイ。スミマセン」

 母さんのいつもの台詞と笑顔に思わず頭を下げてしまう。もはや条件反射の域だな、これは。

 一方、私に意識が行った事で母さんの拘束が緩んだ隙を突いて、シャルと本音がその腕から脱出。ほっと一息ついていた。

「は~、苦しかった〜」

「助かったよ、九十九」

「礼はいい。あ~……お客様方、騒がしくして申し訳ない。村雲九十九、これより現場に復帰する」

 そう宣言すると、あちこちから声がかかる。

「村雲くん、私と勝負だよ!」

「こっちご褒美セットだから、早く来てー!」

「少々お待ちを、順に処理させていただく。だがその前に……」

 ちらりと母さんに目を向けて、私はこう言った。

「客なら席についてくれ。違うと言うなら一旦外に出てくれ、母さん」

 

ピシリ……

 

 そんな音がして、クラスの喧騒が掻き消えた。……なんだ?どうした?

「「「ええええっ!?お母さん!?」」」

 爆発する店内。女子達の驚きの声は廊下まで響き、騒ぎに気づいた列整理のスタッフがすわ何事かと教室になだれ込む。

「うっそ、若!村雲くんのお母さん、若!」

「どう見ても20代でしょ!え、ほんとに!?」

「お姉さんとかじゃなくて!?」

「下手したら私のほうが年上に見られるんじゃ……why japanese people!?」

「東洋人の顔の若さはチートよ、チート!」

 店内はもはや大混乱。収拾がつきそうになかった。……仕方ない。

 

スパーンッ!

 

「「「っ!?」」」

 近くにあったテーブルにハリセンを叩きつけ、その音で全員をこちらに注目させる。

「お客様方、ここは喫茶店。お静かに願います。どうしても聞き入れられないと言うのであれば……」

 ハリセンで左掌をパシパシと叩きながら女子達に『魔法の言葉』をかける。

「少し……頭冷やそうか?」

「「「どうもすみませんでした!」」」

 一斉に頭を下げる女子生徒一同。やれやれ、これで静かになったな。私はハリセンを拡張領域に戻し、改めて仕事に戻った。

 

ーーええ、そうなんです。彼が「少し……頭冷やそうか?」と言った瞬間、背後にやたらメカメカしい杖をこちらに構えるサイドテールの同年代女子の姿を幻視したんです。……あれは一体、何だったんでしょうか……?ーー九月某日『IS学園新聞学園祭特別号』インタビュー記事より抜粋

 

 

 母さんはシャルと本音を相手に『メイドにご褒美セット』を堪能し、「また家に遊びに来てね、二人とも」と言い残してホクホク顔で帰っていった。

 それからしばらくすると、「村雲くんはいるけど、織斑くんはどこ行ったの?」というクレームが山のように殺到しだした。

 楯無さんは「生徒会の準備があるの。ごめんね」と言って去って行った。他にやる事があるとはいえ、なんと無責任な……。

 とは言え、このままでは暴動に発展しかねない程に客の不満は募っている。急ぎ一夏を呼び戻すため、あいつに連絡する事に。折角だし、ラヴァーズに掛けさせよう。

「箒、セシリア、ラウラ。君達の中で、今現在携帯を持っているのは?」

 三人に訊いてみたが皆一様に首を横に振る。持っておけよ、こういう時でも。仕方ない。私が掛けよう。

 一夏に電話を掛けて3コール。電話が繋がった。

『はい、もしもし』

「一夏、今どこに居る?お前はどこだとクレームが殺到しているから、すぐに戻ってきてくれ。ASAP(可及的速やかに)だ」

『わりぃ、すぐ戻る。隣の教室だから数秒で着く』

「頼むぞ」

 通話を終え、一夏が戻って来たのはそれから10秒もしないうちだった。

「わりぃ、今戻った」

「ああ。早速だが3番テーブルでゲームの相手をしろ。ついでにこっちのオーダーを4番だ」

 戻って来た一夏にトレーと指令を言い渡す。

「お、おう。ていうか、楯無さんは?」

「生徒会の準備があると言って出て行った」

「なんと無責任な……」

「言っても仕方ない。何故なら、彼女は『更識楯無』だからだ。ほら、店が大変なんだ。とにかく急げ、動け!」

「りょ、了解!」

 一夏が戻ってきた事で、私にかかっていた負担が軽減された。一夏の人気はやはり凄く、あっちこっちに引っ張りだこだ。

 他のメンバーも結構な人気で、特にラウラは大人気だ。どうやらとっつきにくそうな彼女がメイドの格好をしている事が受けたようで、そこここに呼ばれてはゲームで対戦している。

 その次に人気なのがシャルと箒。いっそあざといほどによく似合っているシャルと、普段からは絶対に想像のつかない格好の箒。注目の的になるのはまあ当然だろう。

 その次に人気なのが本音。人懐っこい笑顔とのほほんとした雰囲気に多くの人が癒やされていた。

 一方でセシリアの人気はいまひとつと言えた。元々かしずかれる側にいるためか、メイド服を着ていても高貴な雰囲気が滲み出ていてなんとも近寄りがたい空気を纏っている。もっとも「だが、それが良い」と彼女を指名する者はそれなりにいたが。

 

 一夏が戻ってきてから1時間ほど経ち、あいつが引っ張りだこ状態から開放されると、クラスのしっかり者代表、鷹月静寐(たかつき しずね)さんが近づいてきた。

「二人とも、お疲れ様」

「あ、鷹月さん、おつかれ」

「そちらこそ、おつかれ」

「ねえ二人とも、しばらく休憩してきたら?お店も一回態勢整えるのに時間かかっちゃうし」

「いいのかね?」

「1時間くらいなら平気かな。折角だし、女の子と学園祭見てきたら?」

「それなら……お言葉に甘えさせて貰おうかな」

 一夏がそう言った途端、セシリアが「わたくしと参りましょう!」と、一夏の腕を引っ張って連れ出そうとする。そしてそれを黙って見過ごすほど、他の二人は甘くない。

「待て!そういう事なら私も行くぞ!」

 一夏とセシリアの間にずずいっと割り込む箒。何やら目が怖い。

「行くぞ、一夏」

 一夏の腕を掴み、すでに行く気満々のラウラ。

 これだけの人数で動くのは大変そうだ。とでも思ったかは知らないが、一夏は三人に「一人15分くらいの持ち時間で順番に行こうぜ」と提案。瞬時に行われた順番決めジャンケンの結果、一番手をとったのは……。

「私の勝ちだ」

 ラウラだった。出した手であるグーを、そのまま天に掲げてガッツポーズ。その顔は心なしか勝ち誇っているようであった。

「で、僕たちはどうする?」

「折角だ。好意に甘えよう。行先は君達に任せるよ」

「おっけ〜。じゃあ、れっつご〜」

 二人を伴って教室を出て、まず最初に向かったのは……。

 

 

「調理部?」

「うん。日本の伝統料理を作ってるんだって。せっかくだから、作れるようになりたいなぁって」

「君の料理は美味いからな」

 実際何度も弁当を作って貰っているが、彼女の料理は食材の持ち味を最大限生かす薄めの味付け。それでいて物足りなさを一切感じさせない、実に私好みの味付けだ。そのレパートリーに日本料理が加わるなら、願ったり叶ったりだ。

「そう?じゃあ、また作ってあげるね」

「ああ、ありがとう」

 そんな会話をしつつ、私達は調理部の使っている調理室へと入った。

「これは……」

「うわ~、美味しそ~!」

「うん、すごく美味しそうだね」

 調理部の出し物は、一言で言ってしまえば惣菜屋だ。しかし、並んでいる惣菜の品数が半端ではない。

 調理室の端から端までずらりと並んだ大皿には、肉じゃがにおでん、各種和え物、焼き物に煮物と豊富に取り揃えてある。

 しかもそのどれもが一級品のオーラを放っていて、私は思わず唾を飲み込んだ。

「あ、肉じゃがだ。九十九、好物って言ってたよね」

「ああ、それも……」

「『特に』がつくんでしょ~?」

「その通りだ。そう言えば、昔は肉じゃがは女性の必須スキルだったそうだぞ」

「そ~なの〜?なんで?」

 ふと母さんが言っていたことを思い出して口に出すと、本音が首を傾げて訊いてきた。

「肉じゃがの美味い女性と結婚しろという風習的な何かがあったそうだ。よくわからない理屈だがな」

「結婚……!?そ、そうなんだ……」

「じゃあ、わたしも肉じゃがが美味しく作れるようになったら、つくもんと……」

 私の話を聞いて肉じゃがと私の顔を交互に見る二人。……何を期待されているかは大まかには分かるが……。

「……すまない、答えはもう少しだけ待ってくれ」

「「うん」」

 今の私に言えるのはこれだけだった。……なに、ヘタレ?慎重と言え、慎重と。

 

 そんなやりとりをしていると、調理部部長らしき人が私達の前にやってきた。

「おおっ、噂の正三角関係トリオだ!いらっしゃい!」

「あ、どうも。と言うか、上級生の方にも流れてたんですね、その噂」

「ど、どうも」

「どうも~」

「どうしたのー?三人でデート?執事とメイドの秘密の逢引?って言ってもミンチじゃないわよ?」

合挽(あいびき)だけに。と言いたいんでしょう?」

「おおう、噂通りのサトリっぷりだねぇ。見事に先を越されたよ」

 言って快活に笑う部長さん。この明るさとシャレのセンス、一夏と相性良さそうだな。

「さあさあ、食べて行ってよ。特別にタダでいいわよ?その代わり、写真撮らせて〜。あとうちに投票して!」

 のっけからの不正勧誘。この人意外と腹黒いぞ。

「い、いえ、ちゃんとお支払いします」

 そう言って申し出を断るシャル。さすが、清く正しい女の子だな。

「じゃあ、えっと、肉じゃがいただけますか?」

「あ、わたしも~」

「では、私も同じ物を」

「はーい、どうぞー」

 保温装置を使い、出来たての温度を維持している大皿から肉じゃがを紙椀に盛りつけ、私達に手渡す部長さん。渡されたそれを早速食べてみる。

「ふむ、これは……」

「お〜いし〜!」

「美味しいね、九十九」

「ああ、これは美味い」

 しっかりとした味付けだが、けしてくどくはない。よく言う『良い煮付け』という奴だ。なんだか白米が欲しくなってきた。

「しかし、本当に美味いですね、これ」

「これねー、圧力鍋使って作ってるのよ。時短になるし、味も決まるからさぁ」

 私と同じく美味そうに肉じゃがを食べていたシャルが、部長の言葉に耳を立てる。

「圧力鍋……ほ、他にコツとかあるんですか?」

「フッフッフー。これ以上は秘密よ。知りたければうちに入部してね!」

「調理部かぁ……。九十九、僕の料理が美味しいと嬉しい?」

「無論だ。美味いものを食べられるというのは、大事な事だぞ」

 食事ってのは、なんていうか救われなくちゃいけないんだ。−−とはさて、誰の台詞だったか?

「そうなんだ。そっかぁ……ふふ」

 私の答えに満足したのか、シャルはニコニコしながら肉じゃがの残りを嬉しそうに頬張る。

 それを横目に見ながら、私も残りの肉じゃがを腹に収めた。

 

 

 続いて訪れたのは茶道部室。本音のリクエストでここに来たのだが、私は本音がここを指定した理由がよく分からなかった。

「本当にここでよかったのか?本音」

「うん。ここで出されるお菓子がね~、ちょ〜ちょ〜おいしいんだって〜」

「あはは、本音らしいね」

 何とも本音らしい理由に妙に納得しつつ扉を開けると、抹茶特有の薫りが鼻をくすぐった。

「はーい、いらっしゃーい。……おお!織斑くんに続いて村雲くんが来た!写真撮っていい?」

 何故皆私の行く先々で写真を撮ろうとするのか?一夏の方が写真映えするだろうに。私を撮ってもつまらんぞ、きっと。

「茶道部は抹茶の体験教室をやってるのよ。こっちの茶室へどうぞ」

 部長さんに促されて茶室の戸を開けると、そこにあったのは畳敷きの本格的な茶室だった。

 先程の調理室もそうだが、どの部屋も設備面が非常に充実している。さすがは世界中から入学希望者が殺到するIS学園という事なのだろうな。

「じゃあ、こちらに正座でどうぞ」

 部長さんに言われるまま、靴を脱いで畳に上がる。

「しかしまあ、執事とメイドが畳で抹茶というのも、すごい絵面だな」

「そう言われるとそうだね」

「普通はお着物だよね〜」

「まあ、普通はね。でもうちはそこまで作法にうるさくないから、気軽に飲んでね」

 茶釜の前に座る着物姿の部長さんはにっこり微笑むと、私達に茶菓子を出してきた。それを受け取り、じっと見る。こ、これは……。

「あ、美味しい」

「うん。おいしいね~、つくもん。……あれ?ど~したの〜?」

「あ、いや、なんだか食べづらいというか、なんというか……」

「「?」」

 首を傾げるシャルと本音。まるで意味が分からない。と言う顔をしている。

 白あんで作られた、何かの動物をモチーフにしただろうその茶菓子。その『何かの動物』が私にとって問題なのだ。

 耳の中から先端がピンク色の房が出ていて、その房の白とピンクの境目には黄色いリング状の飾りが付いている。赤い瞳は何かを映しているようでいてその実何も映していないように見え、その口元から感情を読み取る事は難しい。

 ふとその菓子と目が合うと、その菓子はこう訴えてくる。曰く「僕と契約して、魔法少女になってよ!」

 ……いや、ならんし。と言うか、そもそも『少女』じゃないし。それ以前に何故これをモチーフにした!?作ったの誰だ!?

 とは言え、これを食べないと抹茶がいただけないので、意を決して一口で食べる。白あんが舌の上でサラリと溶け、上品な甘さが口中に広がる。見た目同様正体不明の味でなくてよかった。

「ああ。そういえば、村雲くんに出したお茶菓子なんだけど。どこかの中学生かしら、さっき来たお下げに眼鏡の女の子が楊枝を何度も突き刺して満足気な顔をしてたんだけど、何だったのかしら?」

 「声が更識会長に似てたのよね」と言う部長さんに「さあ、何だったんでしょうね」と曖昧に返事を返す。……まさかな。

「さ、どうぞ」

 そう言っている間に、私達の前に抹茶が出される。

「お点前、いただきます」

 一礼をして茶碗を取り、二度回してから口をつける。

 抹茶独特の深みのある苦味が口に広がり、甘い茶菓子の味わいをスッキリと流していく。すっとした喉越しは実に心地良く、三人揃って飲んでから、ほぅ……と一息ついた。

「結構なお点前で」

 決まり文句で締めて、私達は再度一礼をする。本来なら茶碗を拝見したりするのだが、そこまで本格的ではなく、あくまで『抹茶をいただく』事に重点を置いた茶道教室だった。

 

「よかったらまた来てねー」

 部長さんに見送られ、私達は茶室を出た。

「結構良かったな」

「うん、お菓子美味しかったし〜」

「やっぱりそこなんだ……。でも、うん。良かった。やっぱり日本文化っていいよね」

「日本文化と言えば、シャル。和服に興味は?」

「うーん……。あるけど、着たことはないなぁ」

「わたしはあるよ~」

 ふとシャルと本音の和服姿を想像する。

 輝かんばかりの金髪を結い上げた着物姿のシャルと、薄紅色の髪を後ろに流した着物姿の本音。……うん、どちらもよく似合うな。

「つくもん、見てみたい〜?」

「そうだな。叶うなら、一度くらいは拝みたいな」

「そっか〜。じゃあ、機会があったら見せたげるね~」

「僕も機会があったら見せてあげるね」

「ああ、楽しみにしている」

 いつか見られる二人の着物姿に思いを馳せつつ、茶道部を後にした。

 

 

 最後に中庭の屋台街に行ったのだが、外に出た途端あちらこちらから写真撮影希望者が集まってきたり、オープンキャンパスに招待された中学生達から握手を求められたり、男性招待客にサインを求められたりと、やたらとドタバタしたものになってしまった。

「表に出ない方が良かったか……?」

「つくもん、もみくちゃにされてたもんね〜」

「あ、髪乱れてる。ちょっとじっとしてて。整えてあげる」

 這う這うの体で戻って来た一組の教室で、シャルに髪を整えられつつ後悔の言葉を口に出す。

「村雲くんもイケメンだからね。織斑くんほどじゃないけど人気者だよ?織斑くんほどじゃないけど」

「大事な事なので二回言ったのかね?相川さん」

「あ、私は村雲くん派だよ。一応」

「ありがとうと言っておくよ。一応」

 声をかけてきた相川さんと話している間にシャルが私の髪を整え終えた。それと同時に一夏が箒を伴って戻ってくる。

「お、戻ってたのか」

「たった今な。さて、態勢は整ったようだし、また忙しくなるぞ」

「おう」

 入り口の前に立てられていた『準備中』の看板が反転し『営業中』になると同時、お客がなだれ込んで来てあっと言う間に元の盛況ぶりを取り戻す。私と一夏はまたしても引っ張りだこだ。

 

 そんな状況がしばらく続き、ほんの僅かに時間的余裕ができだした頃、突然無駄に格好つけた名乗りが教室に響いた。

「颯爽登場!生徒会長美少女!更識楯無!」

「「…………」」

 

 職場放棄女が現れた!どうする?

 

 ツッコむ

 無視する

→逃げる

 

 ツクモたちはにげだした!しかしまわりこまれてしまった!

 

「知ってる?生徒会長(大魔王)からは逃げられないって」

「だあっ!進路妨害しないでくださいよ!」

「威力業務妨害で虚さんに訴えます」

「まあまあ一夏くん、そう言わずに。あと九十九くん、それはやめてほんとやめて」

 ちょっとした脅しに慌てて頭を下げる楯無さん。生徒会長の威厳が台無しだ。……あれ?そもそも威厳あったっけ?

「それで?ご用件は?」

「こほん。一夏くん、九十九くん、君たちの教室を手伝ってあげたんだから、生徒会の出し物に協力しなさい」

「疑問系じゃない!?」

「うん。決定だもの」

「私達の意思は……」

「勝手に決定してもいいじゃない。生徒会長だもの」

 み○おっぽく言う楯無さん。取り敢えずかの偉大な書家に謝りたくなった。

「横暴過ぎる!?そんなの絶対おかしいよ!」

「一夏、キャラが崩壊しかけてるぞ。落ち着け。……で、何をすれば?」

「あら、九十九くんは随分物分りがいいね」

「ここ最近の付き合いで、貴方には抵抗しても無駄だと痛感したので」

「あら、おねーさんのことわかったつもり?まだまだダメよ、一年生くん」

 鼻先に伸ばされる楯無さんの指をぺしんとはたいて落とす。この人は人をからかう事しかしないな。

「むう、九十九くんってからかいがいがないなー」

「褒め言葉です。それで、出し物は?」

「演劇よ」

「演劇……?」

 予想に反して普通だな。という顔をする一夏。が、その次の楯無さんの言葉に凍りつく事になる。

「観客参加型演劇」

「は!?」

 ああ、やはりそう来るのか……。そしてやはり巻き込まれるんだな。

「とにかく、おねーさんと一緒に来なさい。はい、決定」

 扇子を私達に向けて威風堂々と宣言する楯無さん。が、そうは問屋が卸さないもので。

「あのー、先輩?九十九と一夏を連れて行かれると、ちょっと困るんですけど……」

 遠慮がちに、しかしはっきりと言うシャル。その時、楯無さんの目が光った。こう『キュピーン』って感じに。

「シャルロットちゃん、あなたも来なさい」

「ふえ!?」

「おねーさんがきれーなドレス着せてあげるわよ〜?」

「ド、ドレス……」

 楯無さんの誘惑に心が揺れるシャル。一夏が「がんばれ!」という顔をしているが……。

「じゃ、じゃあ、あの……ちょっとだけ」

 シャル、陥落。……うん、分かってた。こうなるって私分かってた。

「本音、君も何か……って、君は生徒会側だったな」

「うん。ごめんね~、つくもん。わたしもドレス着たいんだ〜」

 本音、参加表明。この時点で、私側に楯無さんを止めようとする者はいなくなった。

「シャルロットちゃんは素直で可愛いわね!じゃあ、箒ちゃんとセシリアちゃんとラウラちゃんもゴーね」

「「「はっ!?」」」

 聞き耳をたてて様子を窺っていた一夏ラヴァーズ三人が、同時に驚きの声を上げる。

「全員、ドレス着せてあげるから」

「そ、それなら……」

「まあ、付き合っても……」

「ふ、ふん。仕方がないな……」

 楯無さんの対女性専用宝具『ドレス着せてあげる』により、三人纏めて瞬時に陥落。凄い威力だ。ランクはEXといった所か。

 こうして、一年一組『ご奉仕喫茶』接客係全員を巻き込んだ生徒会の出し物が開催の運びとなった。

「訊き忘れていました。演目は?」

「ふふん」

 ばっと扇子を広げる楯無さん。そこには墨痕逞しい『迫撃』の二文字。……なんでその文字!?

「シンデレラよ」

 

 

「二人とも、ちゃんと着たー?」

「「…………」」

「開けるわよ」

「開けてから言わないでくださいよ!」

「ノックくらいして下さい」

「なんだ、ちゃんと着てるじゃない。おねーさんがっかり」

「……なんでですか」

「何を期待してたんですか、何を……」

 第四アリーナ更衣室。普段はISスーツに着替える為に使われるそこに、私と一夏はいた。服装は……なんというか、王子だ。

「はい、王冠」

「はぁ……」

 王冠を渡された一夏は、心底嫌そうな溜息をついた。

「ふむ、その反応……もしやお前、シンデレラ役の方がよかったのか!?」

「な訳ねえだろ!もっと嫌だよ!」

「それ、私のセリフじゃない?……まあいいけど。さて、そろそろ始まるわよ」

 一度覗いてみたのだが、第四アリーナいっぱいに作られた舞台装置はかなり豪勢だった。観客席はもちろん満席で、時折聞こえる歓声は更衣室まで届いている。

「あのー、脚本とか台本とか、一度も見てないんですけど」

「私達はどうすれば?」

「大丈夫、基本的にこちらからアナウンスするから、その通りにお話を進めてくれればいいわ。あ、もちろん台詞はアドリブでお願いね」

 ここまでは概ね原作通り。違いは私と本音が参加している事とシャルが私側だという事。これがどう影響するのだろうか?そして舞台は大丈夫か?どうにも拭えぬ不安を胸に、私と一夏は舞台袖に待機する。

「さあ、幕開けよ!」

 ブザーがなり、照明が落ちる。セットにかけられていた幕が静かに上がっていき、アリーナのライトが点灯する。

『昔々ある所に、シンデレラという少女がいました』

「よかった。普通の出だしだ。そういえば、シンデレラ役って誰だ?」

「一人とは限らん。ついでに、出だしが普通だからといって全てが普通とは限らん」

「九十九?それってどういう……」

『否、それはもはや名前ではない。幾多の舞踏会をくぐり抜け、群がる敵兵をなぎ倒し、灰燼を纏うことさえいとわぬ地上最強の兵士達彼女らを呼ぶにふさわしい称号……それが『灰被り姫(シンデレラ)』!』

「……え?」

「だから言ったろう。全てが普通とは限らんと」

 ぽかんとする一夏を他所に、アナウンスはなおも続く。

『今宵もまた、血に飢えたシンデレラ達の夜がはじまる。王子達の冠に隠された隣国の軍事機密を狙い、舞踏会という名の死地に少女達が舞い踊る!』

「は、はあっ!?」

「来るぞ!一夏!」

「もらったぁぁぁっ!」

 叫び声と共に現れたのは、白地に銀糸の刺繍が美しいシンデレラドレスを纏った鈴。その拳の狙いは一夏……の頭にある冠。

「のわっ!?」

「よこしなさいよ!」

 反射的に躱した一夏を睨みつけ、すぐさま中国式手裏剣である飛刀を投げてくる。あれ、本物だよな?

「あ、あ、アホか!?死んだらどうすんだよ!?」

「死なない程度に殺すわよ!」

「殺している時点で被害者は死んでいると思うんだが……?」

 私の呟きは一夏と鈴には聞こえなかったようだった。一夏がテーブル上のティーセットをひっくり返してトレーで飛刀を凌げば、そのトレーを鈴が飛び蹴り上げで吹き飛ばし、そのまま踵落としを見舞う。その足には(強化)ガラスの靴。

 そんな物で踵落としを食らったら、良くても額が割れる。最悪の場合、頭蓋骨陥没骨折と脳挫傷で死にかねない。

 必死の形相でその踵落としを躱し、そのまま鈴と格闘戦を繰り広げる一夏。それを眺めていると、ふと視界の端で赤い光線が泳いでいるのに気づく。……あれは!

「一夏!スナイプだ!」

「え?のわあっ!?」

 私が一夏に注意を促した次の瞬間、一夏の顔の真隣が吹き飛んだ。やったのはおそらくセシリア。発砲音もマズルフラッシュもない事から消音器を装備したスナイパーライフルを使っているのだろう。しかも連射性に優れた銃を使っているらしく、一夏の王冠を狙って立て続けに撃ち込んでいる。のはいいが……。

「死ぬ!死んでしまう!」

「なんでこっちに来るんだ一夏!」

 慌てて身を低くし、私の近くの遮蔽物へと身を隠そうとする一夏。すると今度は「邪魔ですわ!」と言わんばかりに、私にセシリアの火線が集中。

「ちいっ、ここは引くしかないか。弟よ、お前を守ってやれない兄を許せ!」

「誰が弟だ!?ってか、なんなんだよ、この演劇!?」

 

 セシリアの狙撃にせっつかれて舞台後方へ下がると、そこにいたのはシャルと本音。二人ともシンデレラドレスを身に纏い、手に何かを持っている。

「つくもん、だいじょうぶ〜?」

「ケガはない?」

「ああ、問題ない。ないが……君達は何を持たされてるんだ?」

「えっとね~、たっちゃんが~……」

「『九十九くん側は今回そういう縛りみたいだから』って言って、これを渡してきたんだけど……」

 そう言う二人の手には、果たしてそれは武器と言っていいのか?と問いたくなる物が握られていた。

 本音は柄が赤く、先端に中に星が入り、六枚の白い羽をあしらった輪の付いた魔法の杖と、何か意味有りげな絵の書かれたタロットサイズのカードという、なんとなく『フェイト』で『カレイド』で『プリズマ』なスタイルだ。

 シャルは背中に「一体どんなケーキにデコレーションする気だ」と言いたくなるほど巨大な絞り袋を背負い、シャルの身長より大きな手持ち式の漉し器(ストレーナー)を持った、どことなく『マジカル』で『パティシエ』なスタイルだ。

 二人ともヤケにしっくり来ている気がするが、楯無さんの言う『そういう縛り』とはなんの事なのか、私には見当もつかなかった。

「それで、二人ともこの王冠に用事かな?」

「うん、王冠を置いて行ってくれると嬉しいな」

「構わないが……何か仕掛けがあるよな?これ」

「うん、あのね~……」

「だあっ!こんなもんがあるから狙われるんじゃねえか!だったらここに置いていってやる!」

 狙われ続ける事に嫌気のさした一夏がそう叫んで王冠に手をかけると、そこに楯無さんのアナウンスが響く。

『王子にとって国とは全て。その重要機密が隠された王冠を失うと、自責の念によって電流が流れます』

「「はい?」」

 一瞬ぽかんとする私と一夏。しかし、一夏の腕は無意識に動き、王冠を外してしまう。するとなんと!

「ぎゃああああっ!?」

 

バリバリバリ!

 

 高圧電線に直接触れたようなのっぴきならない音を立て、一夏の全身に電流が流れた。

「なんとまあ……」

 電流が流れ終わると、そこには服の所々が焼き切れて煙を上げる一夏の姿が。

「な、なんじゃこりゃあっ!?」

『ああ!なんという事でしょう!王子達の国を思う心はそうまでも重いのか!しかし、私達には見守る事しかできません!なんという事でしょう!』

「「二回言わなくていいですよ!」」

 再び電流を流されてたまるものかと、一夏は急いで王冠をかぶり直し、再度逃走を図る。

 そこに日本刀装備の箒とタクティカルナイフ二刀流のラウラが現れ、一夏に斬撃を加える。間一髪躱した一夏を横目に、互いに互いを邪魔者認定した二人は勝手にバトルを開始。

 さらに、ライフルからハンドガンに持ち替えたセシリアが舞台上に登場。鈴と銃対飛刀の飛び道具バトルを展開。舞台上は相当のカオスと化していた。

 

「どうする?私が自分で取れば一夏の二の舞だぞ」

「そうだね~……」

「じゃあ僕たちが……なに?この音」

 私達が舞台の端に座り込んで今後を協議していると、不意に地響きがした。なにか嫌な感じがして舞台周辺を見ると、そこには数十人のシンデレラが。しかも時間を追うごとに増えている。……ああ、やはりこうなるのか。

『さあ!ただ今から飛び入り組の参加です!皆さん、王子様達の王冠目指して頑張ってください!』

「織斑くん、おとなしくしなさい!」

「私と幸せになりましょう、王子様!」

「その王冠、私に渡して、村雲くん!」

 私と一夏に向かってくる無数のシンデレラ達。恐怖以外の何者でもないぞ!だがこれなら!

「すまん二人とも、怖いから私は逃げる!」

「あっ!まって〜!」

「ちょ、九十九!?」

 二人の静止の声を振り切って、私に襲い来るシンデレラガールズから逃走を図る。しばらくすると、追ってきたシンデレラの先頭走者がある事に気付いてくれた。

「あれ!?村雲くんの頭に王冠がない!?」

「えっ!?ウソ!?なんで!?」

「まさか、さっき村雲くんがいた所に!?」

「ちょ、止まって!止まってってば!」

「急に言われても無理だって!」

 気づいた先頭走者は足を止めようとするが、後ろからやってくる他のシンデレラ達に押されて止まる事ができない。

 これが私の策。参加人数が多くなったタイミングを見計らい、逃げる素振りを見せて追ってこさせる。

 先頭が王冠がない事に気づいても、すぐに止まる事ができないくらいに速度を加減して走れば、私が元いた場所に残るのは追跡行に加わり損ねるだろうシャルと本音。そして……。

 

「行っちゃった……あれ?」

「どうしたの~?しゃるるん」

 九十九の予測通り、追跡行に加わり損ねたシャルロットと本音。呆然と九十九の行った先を見つめた後ふと視線を落とすと、そこには九十九の頭に載っていた王冠が転がっていた。

「まさか……人が増えれば楯無さんのチェックもゆるむと考えて……」

「あの一瞬の間に作戦を考えて実行したってことか〜。つくもんはすごいな〜」

「それじゃあ、本音」

「うん、せーの!」

「「えい!」」

 二人同時に王冠に手を伸ばして持ち上げる。すると、そこでようやく楯無が九十九の王冠がシャルロットと本音の手の中にある事に気づいた。

『なんと!いつの間に!?九十九王子の王冠は、シャルロットちゃんと本音ちゃんの手によって奪われていたー!……ちっ、電流流しそこねた』

「「「な、なんだってーーっ!?」」」

 九十九の王冠を狙っていたシンデレラ達の絶叫がこだまする。

 シャルロット・デュノア&布仏本音。村雲九十九の王冠ゲット。

 

 

「どうやら楯無さんも気づいたようだな。……最後の呟きは聞かなかった事にしよう。さて、一夏はどこだ?」

 私の王冠が奪われていたという事実に気づいた私を追っていた者達は、ならばと一夏を追う者ともう用はないとばかりに舞台から去っていく者に分かれた。一夏を追う者達はあっちへドタバタこっちへゾロゾロと動き回っている。

 ふと首を右へ巡らせると、一夏がこちらに走って来た。

「九十九!」

「おお一夏、そこに……」

「そこにいたか!一夏!」

 暴走武士娘があらわれた!

 ちなみにその向こうには箒の日本刀によってナイフを叩き斬られて「これがサムライブレード……」と歓喜とも恐怖ともつかない表情を浮かべて跪くラウラがいる。

「その王冠をよこせ!そうすれば、……そうすれば……」

「な、なんだよ」

「この王冠にお前に……いや、参加者全員にとって嬉しい何かがあるのか?」

 多分原作通りの特典が付いているのだろうが、あえて知らんぷりをして箒に訊いてみる。

「そ、それは……ええい!とにかくよこせ!断れば九十九もろとも斬る!」

「何それ怖い!」

「と言うか、私は関係ないだろうが!」

 顔を真っ赤にして刀を最上段に構える箒。現在位置はセット最後方。逃げ場らしい逃げ場は無い。このままでは……。

「こちらへ」

「へっ?うわっ!?」

「なっ!?一……うおっ!?」

 私と一夏は突然下から足を引っ張られて、セットの上から転げ落ちた。

 

「着きましたよ」

「はぁ、はぁ……。ど、どうも……」

「ひとまず助かったと言っておきます、巻紙さん」

 誘導されるまま、セットの下をくぐり抜けて更衣室へやって来た。私達を連れてきたのは、今日名刺を渡してきた女性である、自称巻紙礼子さんだった。相変わらず貼り付けたような笑顔を浮かべている。

「それで、何故あなたがここにいるんです?」

 私の質問に巻紙さんは貼り付けた笑顔のままで、私が待っていた一言を口にする。

「はい。この機会に『白式』と『フェンリル』をいただきたいと思いまして」

「……は?」

 

 

 ついに牙を向いた自称巻紙礼子。

 私はついにこの時が来たか。と内心で笑っていた。さあ、ここからが本当の『物語の始まり』だ。




次回予告

蜘蛛は笑う。獲物が巣にかかったと。
狼はほくそ笑む。それは読んでいたと。
霧纏う淑女は艶然と微笑む。全ては我が掌の上だと。

次回「転生者の打算的日常」
#44 霧纏淑女

私はこの学園の生徒たち、その長。ゆえにそのように振る舞うのよ

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