転生者の打算的日常   作:名無しの読み専

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#EX 短編集 日常6

EP−01 シェアリングって多分こんな感じ

 

 ISコアは、『シェアリング』と呼ばれる他のISとの情報交換を積極的に執り行っている。今日は、そんなシェアリングの様子を読者諸兄にご覧頂こうと思う。

 

「第n回、IS学園専用機ISコア、シェアリング大会〜!」

「「「わー!」」」

「「「わー……」」」

 何処とも知れない電脳空間。そこに、十人の特徴的な恰好をした女性が集まっていた。

「いやー、なんか久し振りね!皆でこうして集まるのって!」

 厚手のウシャンカを被り、水色をメインにした豪奢な作りのサラファンを纏う、気安さと近寄り難さが同居した雰囲気を持つ美女。楯無のIS『ミステリアス・レイディ』がそう言えば。

「って言うけどさぁ、そんな久しぶりって事もなくない?」

 黒地にピンクのラインが入り、昇り龍が銀糸で刺繍されたチャイナドレスを着た、明朗快活な雰囲気の美少女。凰鈴音のIS『甲龍』が返す。

「最後にシェアリングのしたのは何時だったか……覚えているか?カレイドスコープ」

 漆黒のドイツ軍服を着こなし、左目にファッションアイテムとしての眼帯を着けた、いかにも職業軍人といった風情の美女。ラウラのIS『シュヴァルツェア・レーゲン』が隣の少女に質問すると。

「えっと確か……1週間前だね」

 身動ぎする度に模様が変わるワンピースに身を包んだ、穏やかな雰囲気の美少女。シャルロットのIS『ラファール・カレイドスコープ』がそう答える。

「……この空気感が無理、耐えられない……。……帰りたい」

 鈍色の生地に、裾に小さく『山嵐』と刺繍された着物を纏う、内気……というより暗い雰囲気の美少女。簪のIS『打鉄弐式』が呟けば。

「弐式ちゃん、まだ始まってもないよ〜?」

 古代ギリシャ風の真っ白な一枚布を着こなす、のほほんとした雰囲気の美少女。本音のIS『プルウィルス』がやや呆れ気味に宥める。

「皆さん、紅茶の準備が整いました。いかがですか?」

 蒼いイブニングドレスを纏い、耳に大きな涙滴型のサファイアがついたイヤリングを着けた、深窓の令嬢のような雰囲気の美少女。セシリアのIS『ブルー・ティアーズ』が皆に声をかけると。

「すまない、ティアーズ。紅茶はどうも口に合わなくてな。私は自前で持ってきたからいい」

 深紅の大鎧で身を固めた、凛とした雰囲気の美女。箒のIS『紅椿』が申し訳なさそうに魔法瓶を取り出す。

「ふむ、ダージリンのファーストフラッシュか。いい仕事だね、ティアーズ。君もそう思うだろう?白式」

 灰銀色の西洋甲冑(軽装)を着けた、知的で冷静沈着な雰囲気の美女。九十九のIS『フェンリル・ルプスレクス』が隣に座る美女に話し掛けるが。

「…………」

 顔半分を覆う兜と純白の西洋甲冑(重装)を纏った、何処か剣呑な雰囲気の美女。一夏のIS『白式・王理』は何も語らない。

「やれやれ、相変わらずだんまりかい?つれないねぇ、白式」

 肩を竦めるフェンリルに、しかし白式は目もくれない。フェンリルは溜息をつくと、目の前の紅茶にもう一度口をつけた。

「はい!という訳で今回の議題なんだけどね」

 ミステリアス・レイディがフィンガースナップを一つ打つと、どこからともなく垂れ幕が下がってきた。墨痕逞しい字で書かれた今回の議題は。

 

『私達のマスターの最近の恋愛事情について』

 

「はい、解散。お疲れっしたー!」

 垂れ幕の文字を見た瞬間、さっきまでのクールビューティーっぷりをかなぐり捨てて、フェンリルが大声を上げつつ立ち上がる。他のメンバーも呆れを顔にはっきり出してめいめい席を立つ。これに慌てたのは今回の発起人であるミステリアス・レイディだ。

「ちょ、ちょっと待って!お願い、話を聞いて!この通り!」

 ロシアンビューティーの恥も外聞も無い土下座。それを見た他のメンバーは、仕方ないなと言わんばかりの溜息をついて着席した。

「いやね、やっぱりあの日(#84)以来白式のマスターと私のマスター達の親密度って言うか密着度が上がったじゃない?」

 テーブルに居並ぶ面々の顔を見ながらミステリアス・レイディがそう口にすると、甲龍、シュヴァルツェア・レーゲン、ブルー・ティアーズ、打鉄弐式、紅椿が頷いた。

「まあ、それ自体は良いのよ。私達としてもマスターが幸せそうなのは嬉しいし。でもねぇ……」

 はぁ……。と重い溜息をついて俯くミステリアス・レイディ。次の瞬間、ガバッと顔を上げ、喉も裂けよとばかりに吠えた。

 

「毎日のようにイチャイチャイチャイチャ!見てるこっちが砂糖吐きそうなのよ!ってか吐いたわよ!」

 

 ウガー!と喚くミステリアス・レイディに一夏ラヴァーズのIS達が「ああ……うん」と頷く。

「マスター達の名誉の為に敢えて、敢えて具体的な話はしないけど!それでもあの甘々空間に問答無用で付き合わされるこっちの身にもなれってーのよ!」

 憤懣やる方無い、とばかりに地団駄を踏むミステリアス・レイディ。正直に言えば他のラヴァーズのIS達も昨今の自身のマスターの行状については言いたい事が無い訳ではない。

「まー、アタシのマスターも白式のマスターにべったりだし、側で見せられるのは堪ったもんじゃないわねぇ」

「わたくしのマスターも白式のマスターに頻繁に『当ててますのよ』をなさいますし……。英国淑女としてどうかと思うのですが……」

「私のマスターは、先日『シュヴァルツェア・ツヴァイク(双子の妹)』のマスターのアドバイスをそのまま実行して『性知識に疎いフリ』で白式のマスターに迫っていたな……。誇りあるドイツ軍人として、それはどうなんだと言いたかったぞ」

「……そう考えると、私のマスターはまだ初心な方だな。やる事やっておいて口付けはおろか手を繋ぐ事さえ躊躇うのは、それはそれでどうなんだとは思うが」

「……私のマスターも、似たようなもの……。ねえ、帰っていい?」

 それぞれの不満を漏らす一夏ラヴァーズのIS達。その様子を生暖かい目で見ていたのが九十九トリオのIS達と白式だ。いや、白式はむしろ『我関せず』と言った方が正しそうだが。

「で、そっちはどうなの?姉さま」

「ん?私達のマスターのあれこれについて聞きたいのかい?話しても良いが……相当に刺激が強いから、覚悟したまえよ?」

 その後、フェンリルによって語られた九十九トリオの『愛の確かめ合い』の詳細な内容を、本人の名誉を少々踏みにじって抜粋すると……。

 

「うちのマスターのカレイドスコープとプルウィルスのマスターに対する愛情表現は濃い上にねちっこい。二人をキスと胸へのタッチだけで一回は絶頂させるからね」

「ん?二人の体でうちのマスターが触れていない場所?そうだな……(自主規制)以外の内臓くらいかな」

「その(自主規制)に触れるにしてもまたねちっこい。じっくり丁寧に舐り倒すものだから、これだけで二人共何度も果てる」

「うちのマスターの(検閲削除)に口で奉仕をする二人の顔は実に恍惚としたものでね。イメージでしかない筈の私の体の奥深い所が疼く程さ」

「二人の(自主規制)に(検閲削除)を『パイルダーオン』する際は、それはもう壊れ物を扱うかのように繊細かつ愛に満ちたものでね。時として『パイルダーオン』した瞬間に相手が天国行きしてしまう事もある」

「そこからはもうお互いに相手しか見ていない。優しく、それでいて激しい愛情表現は、見てるこっちが孕んでしまいそうなくらいさ。ああ、勿論避妊はしっかりしているよ」

「その後は、お互いに抱き合って睦言の言い合いさ。これを最低、一人当り二回する。つまり、計4回戦さ。それも最低で、だ。凄いだろう?それでいて、翌日に疲れている様子を一切見せない。うちのマスターは化物かな?と思ってしまうよ」

 

 フェンリルの淡々としていながら妙に情感の籠もった物言いに、ラヴァーズのIS達は全員顔を真っ赤にしながらこう思った。

(((姉さまのマスター、レベチ過ぎない⁉)))

(((まさにラヴモンスター……。凄い!)))

 こうして、本人の預かり知らない所で専用機のISコア達から妙な尊敬を受ける九十九なのだった。

「……っ⁉何だ?この妙な悪寒は……?私のプライベートが、私の知らぬ間に侵されたような、嫌な感じがする」

 ……いや、存外気がついているかもしれない。

 

 

EP−02 九十九、遊びの達人?

 

「詰みだ、箒」

「うっ!……負けました」

「チェックメイトだ、セシリア」

「くうっ⁉……降参ですわ」

「これでお前が石を置ける場所は今後一切ない。負けを認めろ、一夏」

「うぐっ!……チクショウ、また完敗かよ……」

 なんて事無い日の、なんて事無い放課後。私は教室で箒に将棋を、セシリアにチェスを、一夏にオセロを挑まれた。その結果が上記の台詞である。

「嘘でしょ……?全くルールの違う3つのボードゲームを同時にプレイして同時に完勝?どういう脳みそしてるの?」

「しかも、隣に座るシャルロットさんと本音と和やかに談笑しながら、よ?あの超能力の話、嘘じゃなかったのね」

 周りで見ていたクラスメイトがザワザワする。私の『最大100個の並列思考ができる』という特殊能力を、クラスメイトは一応知っているが、信じられてはいなかったようだ。

「失礼な。私は『女性相手に嘘をつかない』事を信条にしている。これも訊かれた時に答えたはずだが?」

 憮然としながらそう言えば、何人かのクラスメイトがそっと目を逸らした。それも信じていなかったのか。心外だ。

「思ったよりいい暇潰しなった。感謝するよ。さて、帰ろうか」

「「はーい」」

 悔しがる三人を放って、私達は寮へと帰った。だが、この時の私はこれが始まりに過ぎないという事に気づいていなかった。

 

 

 明けて翌日。

「一夏の敵討ちよ!九十九!あたしと象棋(シャンチー)で勝負しなさい!」

「私はポーカーだ。こう見えて黒ウサギ隊最強の呼び声も高いぞ!」

「……双六で、勝負」

「お姉さんと○鉄3年決戦よ!あ、シャルロットちゃんと本音ちゃんもやる?」

「やる〜!」

「じゃあ、僕も」

 昨日に続き、今度は鈴、ラウラ、簪さん、楯無さんが勝負を挑んできた。どうも一夏の敵討ちのつもりらしい。それはいいのだが楯無さん、そのニンテ○ドースイッ○と19型TVはどこから持ってきたんですか?

 

 数十分後ーー

「鈴、象棋で詰みをなんと言う?」

「……(シャー)よ」

「そうか。殺だ、鈴」

「ぐぬぬ……!」

「どうだ!ストレートだぞ!」

「残念、ストレートフラッシュだ。これで私の15勝8敗だ。さて、ラウラ。……まだやるかい?」

「いや、もういい……。私の敗けだ」

「はい、上がり。私の勝ちだね」

「……自信、あったのに……」

「楯無さんが最下位ですね。一応言いますけど、企業連合(カルテル)は組んでませんよ?なあ」

「「うん」」

「○鉄女王と呼ばれたこの私が……⁉」

 昨日に続いて総合全勝の私に、周りで見ていたクラスメイトがまたしてもざわつく。

「中国の将棋って、日本の将棋と大分ルールが違うのに、ちょっと説明聞いただけで圧勝って普通できる?」

「カードの引き運強すぎない?ノーチェンジでロイヤルストレートフラッシュとかどんな確率よ」

「○鉄でも初手カード駅でシンデレラカード(○太郎ランド以外のどんな物件でも無料で入手可能)引いてるし……」

「双六で3回連続6ゾロ出してたし……豪運って言葉じゃ片付かないでしょ?これ」

「神に愛されてるとしか思えないわね」

 ……いや、私の場合神に愛されてるというより神の玩具にされているんだが……。言った所で信じてはくれまいが。

「次は私よ、村雲くん!この迷路を解いて出てくる言葉を答えて!」

「MAZEだな。良い問題だが、ここをこうすれば……」

「AMAZE……!くっ、負けた!」

 続いて挑んできた2組の迷路好き、真宵美智子(まよい みちこ)さんを切って捨て。

「ミチコの敵討ちよ!私とぷよぷよで勝負!」

 自称『IS学園最強の落ち物ゲーマー』アルル・ナージャさんの挑戦を−−

「手強い相手だった。一歩間違えていたら負けてたな」

「30連鎖なんて大技決めといてそのセリフ⁉嫌味にしか聞こえないわよ!」

 試合時間10分の大勝負の末に打ち負かし。

「次はウチとしりとりで勝負や!30秒ルールでな!」

 大阪出身の自称『言葉マスター』大阪直美さんのアタックを−−

「私の勝ちでいいかい?大阪さん」

「くうっ……!『る』攻めはズルいわぁ……」 

 時間切れによる自滅に追い込んだ。

「スゴイね、九十九。今のところ全戦全勝だ」

「よっ!遊びの達人!」

「褒めても何も出んよ。ふふふ……」

 シャルと本音のヨイショを受けてちょっと気分の良い私だった。

 ちなみに……。

「一瞬の判断が……というより、一瞬の判断()()ものを言わんゲームは苦手だ……」

「よっしゃ、勝ったーっ!」

 対戦格闘ゲーマーでeアスリートの賀鵠櫻(かくげ さくら)さんには大敗を喫するのだった。

 

 なお、この後もアリーナの利用予約が無い放課後に、私にゲームを挑んでくるクラスメイトは後を絶たなかった。とだけ言っておく。戦績?まあ、勝ち先行……とだけ言っておく。

 

 

EP−03 一文字足して台無しに

 

「ぷふっ!」

 放課後のIS特訓を終え、自室でまったりしていた私の耳に届いたのは、本音が小さく吹き出す音だった。

「どうしたの?本音」

「何か面白い事でもあったかい?」

「うん。これ〜」

 ベッドに寝転がった本音が私とシャルにスマホの画面を見せてくる。なになに……?

「『一文字足して台無しにしてください』……?」

「本音、これ何?」

「うん。あの名作のタイトルとか名言とかに一文字足して、面白おかしくするってアプリなんだよ〜。あ、そうだ!九十九」

「皆まで言うな、本音。私にこの場でやってみせろというのだろう?いいよ」

「話が早くて助かるよ〜。じゃあ、はいコレ」

 喜色満面の笑みを浮かべて本音が取り出したのは、小型のホワイトボードとマーカー、そしてイレーザーだった。

「ちょっと待て、何処にあったこれ?見た事ないんだが?」

「こんな事もあろうかと用意してた〜。このバッグに!」

 そう言って持ち上げたのは、本音がラグナロクにパイロットとして入社した時に祝いの品として貰ったという、飲食物用の拡張領域(バススロット)を搭載したショルダーバッグだった。

 曰く「アップデートして、1kg以下の小物も入れられるようになった」らしい。やはりラグナロク。無駄に技術力が高い。

 

 閑話休題(それはそれとして)

 

「じゃあ、始めるよ〜。準備はいい?」

「ああ。だが、何故わざわざボードに書くんだ?」

「口で言われただけじゃ分かんないって事もあるからね〜」

「あ、そっか。言葉だけだと脳内変換を間違えちゃうかも知れないからだね」

「なるほど、理解した。では始めよう。いつでも来い、本音」

 

 以下、本音(出題)→九十九(回答)→シャルロット(ツッコミ)の順で会話しています。

 

「それじゃ〜、まずは『名作に一文字足して台無しにしてください』!となりのトトロ!」

「こんなのはどうだ?『となりのトロ取ろ』」

「ダメだよ!そのトロはとなりの人のだよ⁉」

 

「紅の豚!」

「ではこうだ。『紅の豚汁』」

「トマトベースの豚汁なのかな?美味しそうだけど台無し感がすごい!」

 

「耳をすませば!」

「となると……こうだな『耳をすませばか』」

「口が悪い!」

 

「天空の城ラピュタ!あ、天空の茨城はあるあるだから、それ以外でね〜」

「パッと思いついたのがNGとは……。ならば、これで『天空の都城(みやこのじょう)ラピュタ』」

「宮崎県の一地域だけ天空に⁉どういう状況⁉」

 

「借りぐらしのアリエッティ!」

「ジブリ映画が続くな……。それなら……『タカり暮らしのアリエッティ』」

「タカっちゃった!アリエッティタカっちゃった!タイトルだけで見る気がしないよ!」

 

「じゃあお題を変えて、『マンガのタイトルに一文字足して台無しにしてください』……今日から俺は!」

「あの漫画はくだらなく面白かったな。『今日から俺(はも)!』」

「人間からどうやってハモになったの⁉」

 

「犬夜叉!」

「ルーミック作品の山口勝平の起用率は異常だと思う。こうかな『乾夜叉(いぬい やしゃ)』」

「誰⁉あと名前のクセがすごい!」

 

「進撃の巨人!」

「対義語ネタの時も出たな、そのお題。じゃあ『快進撃の巨人』で」

「野球チームの話になっちゃった!」

 

「僕とロボコ!」

「サンデー、マガジンと来てジャンプか。ならば『下僕とロボコ』」

「そのマンガ僕も読んだけど、そのタイトルじゃどっちも従者って事になってややこしくない⁉主人誰だよってなるよ⁉」

 

「鬼滅の刃!」

「あれは私も読んだよ。近年随一の名作だ。という訳で『鬼滅の忍』」

「あれ?一文字足して……あった!刃の下に心!忍者マンガっぽくなっちゃってる!」

 

「刃牙道!」

「次はチャンピオンか。手広いな、本音。『刃牙道場』」

「あの人、人にうまく教えられるのかな?とてもそうは見えないけど……」

 

「転生したらスライムだった件!」

「角川もか。雑食なんだな君は『転生したらスライムだったけんど』」

「急に訛った!田舎の人感が強い!」

 

「そろそろお題を変えるね。『あの名言に一文字足して台無しにしてください』!まずは……『バスケがしたいです』!」

「ではこうだ。『バスでケガしたいです』」

「ドM⁉ドMなの⁉あとバスってどっちのバス⁉」

 

「『巨人は俺が、一匹残らず駆逐してやる』!」

「好きだね、進撃。こんな感じで『巨人は俺が、一匹残らずチクチクしてやる』」

「手口がショボい!それじゃ巨人は倒せないよ⁉」

 

「なかなかやるね〜、つくも。次は……『判断が遅い』!」

「鱗滝さんはあの声じゃなかったら人気出なかったろうなと思うよ。『誤判断が遅い』」

「誤判断はしちゃマズくない⁉」

 

「『どうしてこうなった』!」

「中身リーマンの幼女少佐が言ってるやつかな?じゃあ、こうだな『どうしてもこうなった』」

「諦めの境地⁉」

 

「『ないわー』」

「さっきのキャラと中の人が同じだな。それじゃ、こうで『パないわー』」

「ギャル感アップ!ご本人コミュ障気味の陰キャだったと思うけど⁉」

 

 そんなこんなで1時間後−−

「どうした本音。出題のペースが落ちてきたぞ?もうネタ切れか?」

「まだまだこんなもんじゃないよ、つくも。じゃあ次はね〜……」

「待って本音。もう止めて。僕がツッコみ疲れちゃった。これ以上は無理、付き合い切れない」

 全てのネタに律儀にツッコんでいたシャルが、ここで私達より先に限界を訴えてギブアップ。ツッコみ役不在により、今回はここまで。という事になった。

「いや、しかしこれ結構楽しいな。私もダウンロードしようかな、そのアプリ」

「ぜひぜひ〜」

 こうして『一文字足して台無しにして』の沼にハマった私は、その日からせっせと投稿活動を行い、それを見ていたクラスメイトから質問を受けて答えた事でクラスに波及。更に学年を越え学園に浸透し、あの千冬さんすらもお題に足す一文字に頭を捻る。という事態にまで発展するのだが−−

「む、これはいいお題だな。それならこうして……」

「お〜。イイね〜」

「ふ、ふふっ……!もうダメ、お腹痛い……!」

 そんな事になるとは露とも知らず、私は二人と共に次々と名作・名言を台無しにするのだった。




次はコピペ改変ネタ集をお送りします。

え?本編?ヤダナー、チャントカンガエテマスヨー。

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