「さあ山を降りようか」
「ちっ、面倒くさいぜ」
「まあしょうがないじゃないの、どこかで紫が出てきて、スキマを置いてってくれるかもしれないわよ?」
「そう…だな」
そういうことを妖怪の山の頂上で話していた。風が吹き皆の髪が靡く。山を降りる準備だ。
霊夢と魔理沙を先頭に皆歩いて行く。行きは少し文できたせいで、行きより苦労している。行くときにみた、畑。森、森、森。山と言うものはなんて複雑な物なのだろう。こんなものを作り出せる自然は凄いものだ。こうも話していると、妖怪の樹林に辿り着いている。こうして妖怪の山を降りれたわけなのだが…前に変な妖怪がいるのだ。霊夢と妹紅によると、流岢に似たような…
「何よあんた?」
「答える必要はない」
「…流岢に似てるわね」
「確かに言えてるわ」
「で、そこを退いて頂ける?」
「嫌だね、お前らを倒すまではな!」
「倒したら、私達が渡れないじゃないの!霊符‼︎「夢想妙珠」‼︎」
「ふん、甘いな…この剣でもくらいな!石剣‼︎「ロックブレイド」‼︎」
「危ない霊夢さんッ!」カキンッ!
そう、その妖怪は剣を持っていたのだ。何で作られたかは知らないが、妖夢が見るには、相当珍しい剣だとのこと。剣は近距離型の武器だが、近距離なだけあって、近づくのが難しい。だから自分の剣でガードしながら行くしかない。
「くっ…強い…」
「よ、妖夢さんッ、援護します!呪符「悪霊の呪いの力」‼︎」
この流岢の使った技は悪霊を封印した分、力が上がるという技だ。
「楼石「ギャストリブロック」‼︎」
「ふっ、そんな技で私を倒せてたらねぇ、5年前に幻想郷はなくなってるから」
「ちっ、こいつイラつく野郎だぜ」
「こんな弱いやつらを倒したってつまらないし、また後で会おう。せいぜい強くなってな」
というと、その妖怪は消えていった。でも何故流岢に似たような奴が襲ってきたのか、なぜ似ているのか、それが気になる。だが今は地霊殿に行き、お空の暴君を止めなくてはならない。
「よし、地底に行こうぜ」
「地底に行くには妖怪の山より、博麗神社の方が近いね」
「博麗神社かぁ」
「面倒くさいねぇ…」
「なによあんた達…」
何故ならお金を要求されるからだ。
1円くらい入れておけば良いが、あげている余裕などない。
「そうだ、博麗神社は通らないでいくとするか」
「皆さんごきげんよう、八雲紫よ」
「紫⁉︎大分出てくるの遅かったわね」
「貴方達も暇じゃないだろうし、地底に一番近い博麗神社に送ってあげようと思ってね」
「どうせなら地底につれてけよ」
「ごめんなさい、地底へのスキマは用意してないの」
「そうか…」
「じゃあ博麗神社にいくわよ」
「うん」
霊夢以外、全員金を要求されるのが面倒くさいから、博麗神社へ行くのは嫌だったのだが、スキマがあるならしょうがない。
「さあ皆、ここに来たら何をするかわかるかしら?」
「お前の顔をぶちのめす!」
「御柱を投げつけるじゃあないかねぇ」
「厄を放ってくのですか?」
「いやいや、違いますってー写真ですよ!写真!」
「全部違う!金よ!金!」
やはり金をせがまれるという結果となった。1円でも渡せばいいのだが、1円でも渡してる余裕などないに等しい。
「すまないけど金なんか渡せる余裕なんかないよ」
「にとり、そこに1円があるぜ?」
「あ、本当だ」
「ほら、この1円あげるよ」
「よろしい」
これで霊夢の気は済み、その近くにある大穴に入ることが出来るようになった。大穴の先は、間欠泉地下センターという、お空がセンター長を務めるとても暑いところである。
おもに行われるのは、間欠泉を操るといったところだろう。そこに魔理沙達は進んで行く。
「暑いなー」
「ですねー…」
「気にするな」
「そんなこと言われてもですね…」
周りは工場って感じで、メカメカしい雰囲気が漂っていた。床は網状になっており、下から熱さが感じられる。右からも左からも下からも暑さがきて、暑さの重力といったところか…
「なんか洞窟の入り口っぽいところがあるね」
「入ってみましょう」
そこは、地下センターと地底を繋ぐ穴であり、ここを通らなくては地底には行けないのだ。暗いので道中はずっと妹紅の炎を灯の代わりに使っていた。
所々に蜘蛛の巣とか蜘蛛がいて、妖夢が驚いていた。半分幽霊のくせに何故驚くのか、それがいいのだが。
そして奥の方までくると、何故か地底なのに光が見えてきた。
どうやら出口のようだ。
出口を出ると、雪が降っている白い高原が広がり、所々に鬼がいるのが見えた。
「なんで地底なのに雪がふってるんですか?」
「妖夢、それは気にしたら負けだ」
「はい…」
「…鬼か、萃香と勇儀が悪霊に…」
「霊夢さん、相手は鬼。後回しにした方がいいですって」
「早苗…そうね」
5分程歩いたら、そこには昔風な町、旧都があった。旧都には人は居らず、嫌われ者しか住んでいないと言う。
旧都は珍しい物がいっぱいあるそうな。
だが、そんな事を考える前に、旧都にも門番がいた。
「ちょっとそこ通して頂けるかしら」
「お嬢さん、申し訳ねぇが何の用事か聞かせてくれねぇかい?」
「えっと、そうねぇ…あれよ、八咫烏が暴れてるそうじゃない?」
「なるほど、その件で来たんだな?」
「ほら、ここに博麗の巫女がいるでしょ?」
「どうも博麗霊夢です。」
「おお、これは巫女の証明書…貴方は本物やな、異変解決ならどうぞお通りなさい」
「ありがとう」
こうして旧都に入ることに成功した。咲夜やレミリアは、「うちにもこんな門番が欲しい」的な事を言っていた。そういえばちゃんとやっているのだろうか、あの門番は…
そんなことを思っていると、お饅頭屋さんが近くにあった。
「へぇすごいわね、これが旧都かぁ」
「妹紅さん見てください、お饅頭がありますよ!」
「流岢さん、欲しいですか?」
「えっ、妖夢さん買ってくださるんですか?」
「えぇ、私もお饅頭は好きでして」
「じゃあお願いします」
すると妖夢はその饅頭屋さんに行き、饅頭を10個程買ってきた。どうやら10個で3000両だったらしかったので、1個300両だ。しかもおまけで鬼殺しという酒を3本もらった。10個もまとめ買いする者が今までいなかったからだそうだ。
「相変わらず酒場は酔っ払った鬼ばかりね」
「おいおい、鬼が酔っ払ってるようじゃ、鬼とは言えねぇぜw」
「どんなお酒なのか取材してきましょうか…」
「あの酒は神である私でさえも酔わせたすごい酒だったねぇ」
「まじかよw」
この魔法使い達は全員酒が好きなのだ。異変解決すると必ず宴会が起き、そこで必ず酒がでるのだ。
あまり見慣れない風景を見ながら歩いていると、城の様にでかい建物を見つけた。
…地霊殿だ。
第8章 巫女達の地獄旅行〜highway to hell〜 〈完〉
「第9章 旧灼熱地獄跡の魔焔〜purgatory melt」へと続く