東方憑霊導   作:Myaga

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第5章 神々に憑依した悪霊

「ふぅ、妖怪の山は歩いてくと遠いもんだな」

「そういえばそろそろ朝になるわね」

 

そう、永遠亭に居たとき、ずっと夜だったのだ。止めてくれそうな気配もないから、そのまま妖怪の山に行くことにしたようだ。

 

「って、あんた達…私やばいじゃない!」

「?」

「太陽の光よ!灰になっちゃうわよ!」

「あっ、私日焼け止めクリームというか、紫外線避けクリームもってるよ」

「妹紅…意外ね」

「き、気にしてないで早くつけなよ」

「うん、ありがと」

 

するとさっさとクリームをつけ終わったと思った瞬間に日が出た。あと少し遅かったら、死んでいただろう。

 

「妖怪の樹林ってこんなところだったか?」

「うん、ちょっとおかしいかも」

「厄…厄かもしれないわね」

「厄?あの雛っていう厄神か?」

「あれは麓にいるからね、怪しいわよ。あいつも乗り移られてるかもしれない」

「…厄が付いてしまったか」

 

そういえばパチュリーは、「妖怪の山の巫女と神」と言うから、てっきり諏訪子や神奈子、早苗かとおもっていた。

 

「そうとなれば探すわよ」

「それにしても厄いな」

「しょうがないわね…祈願!「厄除け祈願」‼︎」

「おお、厄が晴れたせいか、気分が良くなったぜ!」

「それで、あそこにいるのは…」

「やれやれねぇ…」

「雛⁉︎」

 

厄が晴れたと思えば突然、厄神の雛が現れたのだ。厄のせいで、周りは全くみえなかったが…

 

「雛?ああ、私のことね」

「お前何言ってんだ?」

「え?」

「自分の名前忘れてるような雰囲気が一瞬でたのだが…気のせいか?」

「そ、それはないわ」

 

やはり悪霊は人を誤魔化そうとするのか…悪霊は恐らくこの辺を自分の物にしようとしてるのではないかと思う。

 

「さては貴方…悪霊ね?」

「あ、悪霊⁉︎なんで私がそんなものに…」

「じゃあ、なんでこの辺が厄で包まれてたんだ?お前の役目は、厄を集めることだろ?」

「え、えっと〜…」

「きまりだ、こいつは悪霊だ!」

 

これは間違いなく悪霊だ。悪霊はその乗り移った人の個人情報は知らないなので、普段とこういう風におかしい奴は、悪霊と疑った方が吉だろう。

 

「オラァ!ミアズマスウィープ!」

「ゔぇあ!」

「時効!「月のいはかさの呪い」‼︎」

「霊符‼︎「夢想妙珠」‼︎」

「ひぃ〜…なんで私が悪霊だとわかった?」

「それはな、厄神が厄ばらまいてどうすんだよって話。それと、ぐるぐる回ってないよって言う話」

 

悪霊は乗り移った人の、個性を真似しなくてはすぐバレるだろう。

今までで、こいつが一番悪霊と分かりやすかった。

 

「くそ〜…ならしょうがない。お前らには死んでもらう」

「なら正体を現して死んできな」

「それは嫌だね、一旦この姿で戦わせてもらう」

「変な奴だ」

 

もしかして悪霊は、人々に取り付くのを楽しみながら、この世の中を征服しようとしてるのだろうか…悪霊の趣旨がなんなのか、今の所よくわからない。

 

「こいつの技!厄符‼︎「バッドフォーチュン」‼︎」

「うげっ、気持ち悪くなってきたぜ」

「しょうがないわね…祈願‼︎「厄除け祈願」‼︎」

「紅符‼︎「スカーレットシュート」‼︎

 

すると、悪霊の雛の顔はどんどん曇っていき、これが雛の顔か⁉︎と思えるほどの顔となった。

 

「ふぅ、ここまでおいつめられるならしょうがないな。」

「こいつ、正体を見せるようだぞ!おいレミリア!雛を支えてろ!」

「ああ、うん!支える!」

「この体、やはり扱い難いな」

「姿が…見えてくる…!」

 

その姿は羽が6枚、虫のように生えており、目と目の間の鼻の辺りに、金色にアームのようなものがついていた。今までの悪霊と違って、喋り方が柔な感じだったが、そのカラフルな羽の見た目からだろうか。

 

「さあ、きたまえ、私を封印してみろ!流岢よ!」

「貴方なんてすぐに封印できますよ!簡単すぎます!」

「ねぇ、実際は私達もいるのよ?」

「まあそうだが、分かる人が流岢しかいないものだからな」

「貴方、変な人ねw」

「人じゃない!悪霊だ!」

 

本当に変なリズムで話しているうちに、戦うことを忘れそうだった。

 

「まあとりあえず、戦う前に一つ名乗らせてもらおう、私は悪霊・ダーフクンだ」

「まあ早くやろうぜ、戦いをよ!」

「そうね」

「私は気付いたことがある!」

「なによ?」

「悪霊は全て光属性に弱いことを!」

 

するとすぐに星符「メテオニックシャワー」を放ち、ドヤ顔に近い笑った顔をした。しかし…

 

「どうした?おまえの力はそんなものか?」

「えっ⁉︎何故だ⁉︎」

「別に悪霊全員が光属性に弱いわけじゃないよ」

「そうかありがとう、いいことを聞いたよ。」

「お前は光属性が苦手じゃないってことをな!」

「はっ…!」

 

やはりこの悪霊、どこか抜けているような気がする。強いには強いだろうが、自分自身には弱いようだ。

だが魔理沙は唯一一つしかない耐性を聞き出しただけなのだが、ダーフクンの弱点は分かるのか…今の所魔理沙が使えるのは、光、土、毒、魔属性である。

 

「こいつに、勝てるのか?」

「魔理沙、まさか私を忘れてないわよね?」

「私もよ!」

「わ、私もです!」

「まったく、一人で突っ走ったってなんにもならないでしょ?」

 

魔理沙は忘れていた。仲間がいたことを。つまり、今の所使える属性は、霊夢で闇、光、神属性、妹紅で闇、炎、風属性、レミリアで闇、光属性、流岢で岩、炎属性、どれを使えばいいのか。

 

「あのさ、お前の嫌いなものはなんだ?」

「そんなことをきいて…なんだ?熱い物と南風だ」

「おい妹紅、滅罪寺院傷を放て」

「あっ…やってしまった…」

「うん!任せな!」

「藤原‼︎「滅罪寺院傷」‼︎」

 

すると、悪霊・ダーフクンは断末魔も上げずに倒れていった。それほどに炎が嫌いだったのかと思えるほどだった。その光景を見ると、可哀想に見えてきた。

 

「とりあえず倒したというわけだ!おい流岢!封印頼むぜ!」

「はい!」

「なんか、あっという間だったわね」

「…こうも簡単だと後が大変なんだろうと思えてくるわ」

「きにするな。ところで、雛はどうした?」

「あっ、今目覚めましたよ」

 

目覚めた時の、最初の一言は、「身体中が痛いわ」であった。これからも、こうやって何もしてない人に痛みを与えなくてはいけないと思うと、心が痛い

 

「大丈夫、厄神さん」

「あなたは…レミリア」

「雛、傷が痛むのなら、キノコを食べろ!良くなるぞ!」

「うん…」

 

すると、キノコを欲しかったかのように、むしゃぶりついた。まるでお腹が減っていたかのように。

 

「ありがとう助かったわ、傷も治ったし」

「あのさ、悪霊が幻想郷に大量出没してるって知ってるか?」

「あぁ、そうだったわ…その異変をなんとかしてみようと動こうと思ったら、意識がなくなってたのよ」

「じゃあ、私達と一緒にいかないか?」

「そうね、人は一人でも多い方がいい。私もいくわ。」

 

こうして、雛も仲間になった。だがまだ此処は、妖怪の山の麓の樹林である。妖怪の山も調査しなくてはならないのだ。パチュリーは巫女と神と言っていたから、恐らく早苗は確実であるだろう。その神が諏訪子か、神奈子かは、行ってみなくては、わからない。

こうして妖怪の山に登っていくのだった。

 

第5章 神々に憑依した悪霊 〈完〉

「第6章 妖怪の山の頂の悪霊」へと続く

 


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