「ここが、ハァ、白玉楼ですか?」
「えぇ、そうよ」
どうやら流岢は来るのが初めてだけあって、あの階段を上ることが試練だったようだ。妖夢達は呼吸が荒くなることがなかった。そこまで体力の差があるのに大丈夫なのだろうか、自分自身を心配するしかなかった。
「おまえ大丈夫か〜?」
「はい、ハァ、大丈夫ですよ」
どうみても大丈夫じゃないのに大丈夫ですという奴はよくいたものだとまた思い出すものだ。昔もこんな異変があった気がする、確かなんだったか、植物の影響で人や妖怪がおかしくなる異変、まるで瓜二つといってもいいかもしれない。もしかしたらこの妖怪にもマスタースパークに似た何かを教えることになるかもしれない…
と、ふと後ろをまた振り返ってみてみると、また変な人影を発見した。
さっきのは紅魔館に向かっていったが、同じ人物なのかきになるところだ。そしてその人物はまた北の方向へ逃げていった。だが、途中から逃げていっている姿が見えなくなるのがどうも怪しい。何かの能力者なのか?
「ねぇ魔理沙、大丈夫?そんな考えごとしてるような顔して…」
「あぁ、わたしは大丈夫だぜ」
「あっ、あのお屋敷ですか?」
お屋敷とはもちろん白玉楼。さっきも階段で白玉楼と言ったが、白玉楼とはそのお屋敷の事である。階段は簡単にいうと、「白玉楼へと続く階段」である
「そうよ、それより幽々子様、大丈夫かしら…」
「…‼︎その後ろにいるのは誰だ⁉︎」
その後ろにいたのは紅魔館の方に向かっていったやつとは違う。さっき会った人、いや、戦った人だ
「私よ」
「お、おいおまえ気絶してたんじゃ…」
確かにこの目で倒れてるのを目撃した魔理沙
「あぁ、あれは気絶してる”ふり”よ」
「なぜ”ふり”なんかしたんだぜ?」
魔理沙は少し顔を歪め、横に首を曲げて言う
「私はその時とても危険な状態だったの、だから攻撃されたら危険だし”ふり”をしてたのよ」
「あぁ、そうか…」
ともかく霊夢が無事であって良かった。心からそう思う魔理沙であった。
「あの、早く白玉楼に入りませんか?」
「そうだな幽々子が暴れまわって食卓が大変なことになってるかもな」
「あっ!そういうことも考えられますね」
「あのバキューム大食らいなら…ねぇ…」
「で、霊夢、おまえも付いてくるのか?」
もちろん付いていかない訳が無い
霊夢は「もちろんよ」といって頷いた。
…突然寒気がした。
霊の世界にいるせいかもしれない。
悪霊の気配のせいかもしれない。
もしかしたらただ純粋に寒いだけかもしれない。
なんだろうか、この背筋からくる震えは…
「あっ、あれは幽々子様では…」
「その…ようだな」
その幽々子の様子はまるで生きた掃除機だった、特に口が。目は赤いは服も破けてるは、妖夢はこんな幽々子様は見たことはないと、おもった事だろう。
「ンッ⁉︎なんだおまえらは…?」
「ゆっ、幽々子様!」
妖夢は幽々子に近づき、話をしようと思った。だが、
「そんなやつは知らん!」バシッ!
誰かが予想をしていたかもしれない。でも今の幽々子であるから予想ができるのだ、普通の幽々子はとても温厚な人、いや霊であった。
「幽々子!そんな事はやめろ!」
「魔理沙、気をつけるのよ…幽々子様の力は強いわ…」
「わかりきっていることだぜ!」
魔理沙はマスパではなく、スターダストレヴァリエをだした。その光景はまるで、星の海のようだった。
そして、攻撃をあてるとなんと!
正体を現したのだ…
悪霊・ゴートスが…
「おまえは…」
「悪霊、ですね」
「ナルホド、私ノ邪魔ヲスルキダナ?」
「…あぁ!邪魔しに来てやったぜ」
その見た目は、まるで象の様に大きく、牛、否、バイソンのような角、黒い姿に赤い目、よく神話などに出てきそうな化け物の姿である。
「貴様ラ二私ガ倒セルカナ?」
「倒さない以外、選択肢ないだろ?」
「それも、そうね」
「さっさと私に封印されなさい!」
「ッ…⁉︎貴様ハ白石流岢…⁉︎」
皆、驚愕したことだろう。悪霊と流岢が知り合いだったなんて…
後に分かったことだが、前に悪霊全員に会ったことがあるらしく、そのときに封印し損ねたそうだ。
「さあ、封印してあげるわ!
石符「クラグクラク」!」
「退魔符乱舞!」
流岢は、複数の数の石をぶつけた、
霊夢は、大量のお札を相手に叩きつけていた。
「グフッ…ガハッ…」
「やったのか⁉︎」
「やった、はずなんですけど…」
やけに弱いような気がした。
リピトスよりも。自分よりも。
「ふ、封印します!」
そういうとあっという間に流岢の体に悪霊・ゴートスが封印されていったのだった。
そういえば、幽々子はどうしたのだろう。
妖夢は探し回った、そしたら石の上に転がっていて、石が幽々子の口の中に入っていた。
それを見て、その石を抜き出すと、
口の中は、血だらけだった
第2章 霊力の世界の悪霊〈完〉
「第3章 東洋の館への人影」へ続く