バカと真剣とドラゴン―――完結―――   作:ダーク・シリウス

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木下秀吉とデート!?
デートその一問


~~~王様ゲームを終えて帰り道~~~

 

 

「ワ、ワシがハーデスと付き合うことになろうとは・・・・・」

 

「アハハ、ダイジョウブダヨヒデヨシ。イニチゲンテイナンダシ、

ヒデヨシハショウシンショウメイノオトコダヨ」

 

「・・・・・ヒデヨシ、オマエハオトコダカラモンダイダラケ」

 

お主らは何故片言でワシに声を掛けてくるんじゃ。

 

「ワシを男と認めてくれるんじゃな?ならば、二度とワシを美少女と認識せず一人の

男として接することもできるな?」

 

「「・・・・・」」

 

―――――サッ。

 

「そこで目を逸らすのじゃ!?」

 

「諦めろ秀吉。こいつらはそういうやつらだ」

 

「諦めん!そう言う雄二はワシを男と認識しておろうな!?」

 

―――――ポンッ。

 

「何言ってんだ、俺達友達だろう?」

 

「―――霧島翔花よ。ワシを女として雄二が見ておるぞ」

 

「雄二・・・・・・?」

 

「何バカなことを言うんだ秀吉!俺はお前を男としてしっかり見ているぞ!」

 

「うーん、でも、女の子になった優子の弟君って可愛かったねー♪」

 

「男なのに、どうしてアタシより魅力的な女の子になるのか色々と

納得いかないけどね・・・・・っ」

 

「・・・・・優子の弟、ハーデスと付き合う時は気をしっかり・・・・・」

 

「霧島よ、ワシは男じゃぞ。男同士が付き合えるわけがなかろうて」

 

「・・・・・蒼天は別」

 

「ここは日本じゃぞ。ワシはそう易々と心を許す程柔らかくはない」

 

「あら、ハーデスのことが好きじゃないって言うのね?」

 

「そう言う意味ではないのじゃ!」

 

「じゃあ、ハーデス君にあることをしてもらおっか」

 

「あることってなに?」

 

「優子の弟がハーデス君に惚れるか惚れないか!ハーデス君に本気で優子の弟君を

口説かせてもらおうよ」

 

面白そうに工藤がそんな事を言う。何をバカなことを、ハーデスがどんなことしても

ワシは男に恋をするわけがなかろうに。じゃがそれが―――の始まりだった。

 

 

―――☆☆☆―――

 

 

「おはようなのじゃ」

 

何時も通り登校し教室に入る。既に明久達はおって教室に入るワシに挨拶をしてくれた。

 

「ヒデヨシ、シッカリシテネ」

 

「・・・・・シンジテイル」

 

「お主らという奴は・・・・・」

 

まだワシがハーデスと期間限定の恋人同士の命令にロボット風で話しかけてくるのか。

 

「ハーデスに恋心を抱く訳がなかろうに」

 

「わからないぞ。学校外の中学生にまで告白されたお前だ。きっと知らない内にお前は

心が女みたい―――にって秀吉、携帯を取り出して何をしているんだ?」

 

「少し、姉上と再確認をな」

 

真っ赤な嘘。霧島(妹)に雄二が如何わしい本を数えきれないぐらい家に隠してあると

伝えて欲しいと頼んだ。

 

「これでよしと」

 

「終わったならお前の彼氏が後ろにいるぞ。相手にしてやれ」

 

「誰が彼氏なのじゃ。寧ろ、ワシが彼氏の立場であろう」

 

雄二の発言によればハーデスが後ろにいるとのこと。後ろに振り返って口を開いた。

 

「ハーデス、おは・・・・・」

 

『・・・・・おはよう、秀吉』

 

・・・・・。

 

ガシッ

 

「ちょっとこっちに来るのじゃ」

 

問答無用にハーデスを空き教室に連れていくとワシは

 

「なんでお主は死神の格好をしておらんのじゃ!?」

 

一部の者しか知らぬハーデスの素顔が堂々と教室に表していたことを追求した。

お主は正体を隠してまで学校に通っているのではなかったのか?

もう、そうする事を止めたのか?どうなのじゃ!

 

『・・・・・大丈夫だ。今の俺は皆から死神の格好をした俺と接している』

 

「・・・・・は?」

 

『・・・・・魔法の力でそう見せているんだ。幻、幻術でな』

 

魔法の力・・・・・じゃと?

 

「じゃが、どうしてワシはお主の顔が見れるのじゃ?」

 

『・・・・・お前だけを見せるようにしているからだ』

 

不敵な笑みを浮かべたハーデス。そんなことできるのであれば、

常にそうしていればいいのにと思うのは我がままかの。

 

「じゃあ、お主は本当に素の状態で学校にいる気なのじゃな?」

 

『・・・・・そう言うことだ』

 

何じゃが新鮮な感じがするの。素の状態のハーデスと接する事ができる日がやってこようとは。

 

「んむ?じゃあ、姉上達もお主の状態は見えるのかの?」

 

『・・・・・いや、お前だけしか見えない』

 

「何故じゃ?姉上達は喜ぶであろうに」

 

『・・・・・言ったはずだ。お前にしか見せないようにしている』

 

―――――ワシだけ・・・・・。―――はっ、いかんいかん!ワシはなに嬉しくなっておる!?

いや、嬉しいのは確かじゃがその嬉しい気持ちはそういう意味ではないのじゃ!

 

「お主、ワシを惚れさせようとしてそのようなことをしておるのじゃな?」

 

『・・・・・ああ、一日秀吉と恋人同士の関係のアレか』

 

・・・・・む?なんか予想していた反応ではないの。

 

『・・・・・愛子からお前を惚れさせてみてと言われているが、男相手にどうやって

惚れさせるのか俺は分からない』

 

「一生分からんでもよいと思うのじゃ」

 

『・・・・・取り敢えず、秀吉と心から接してみようとこうしてみただけだ』

 

心から接する・・・・・。ワシしか見えないハーデスの素の状態を心から接する

意味を表そうとしておるのか。

 

「なんじゃが・・・・・嬉しいの」

 

『・・・・・そうか?』

 

「うむ、姉上達には申し訳ないが役得をした気分じゃ。お主と学校でも素の状態で

接してみたいと想っていたのじゃからな。心からそう思っておった。

それがこのような形で叶った。じゃから本心から言える。―――嬉しい」

 

『・・・・・』

 

ハーデスがワシから顔を逸らして背を向けだしたのじゃ。その行動に小首を傾げる。

 

「ハーデス、どうしたのじゃ?」

 

『・・・・・なんでもない。教室に戻ろう』

 

「そうじゃな」

 

西村先生が来てもおかしくない。教室に入ってくる前に戻ろう。

 

 

 

 

「工藤」

 

「はい」

 

「久保」

 

「はい」

 

「近藤」

 

「はい」

 

「斎藤」

 

「はい」

 

西村先生の出席の取り始めに呼応するクラスメート達。この場で一騒ぎを起こせば

瞬く間に西村先生に折檻されるのは火を見るより明らかで誰もそのような愚行をする者はおらん。

返事もしっかりとし、

 

「坂本」

 

「ハーデスが秀吉と付き合い始めたぞ」

 

 

『殺せぇぇっ!』

 

 

雄二の一言で教室は殺気だった。

 

「雄二!いきなり何てことを言いだすのじゃ!?」

 

明らかに小声だったのにクラスの誰もが聞き逃さなかった様子。ワシのクラスメートは

本当にどこかおかしいとしか思えないのじゃ。

 

『どういうことだ!?死神が我がクラスのアイドルと付き合ってるだとっ!?』

 

『許せんっ!俺の木下姉妹のハーレム性活を崩壊してくれたな!』

 

『死神を滅ぼして木下を奪い取れ!』

 

『『『うぉおおおっ!やってやるぜぇっ!』』』

 

怒号が飛び交うFクラスの教室。ワシは女ではないと言うのに

この者達の神経はどうなっておるのじゃ。

 

「お前らっ!静かにしろ!」

 

―――シン

 

と、西村先生の一括でクラスに静寂が舞い戻ってくる。流石は西村先生じゃ。

 

「それでは出欠確認を続けるぞ」

 

出席簿を捲る音が教室に響く。

 

「手塚」

 

「死神コロス」

 

「藤堂」

 

「死神コロス」

 

「戸沢」

 

「死神コロス」

 

「皆落ち着くのじゃ!なぜ返事が『死神コロス』になっておるのじゃ!?」

 

「木下、静かにしろ」

 

「西村先生、ここで注意するべき相手はハーデスに殺意を抱いているクラスメート達じゃ!」

 

「新田」

 

「死神ブチ殺す」

 

「布田」

 

「死神滅殺」

 

「根岸」

 

「死神瞬殺」

 

き、聞いていないじゃと・・・・・。なんて扱いの悪い人なのじゃろう。

 

「・・・・・中央区の王様に今のやり取りを説明するしかないのかの・・・・・」

 

「教師を脅すつもりならもっとマシなことを言うべきだぞ」

 

そう言う西村先生じゃが、凄く睨んでくるのは何故じゃろうか・・・・・。

 

「よし。遅刻欠席はなしだな。今日も一日勉学を励むように」

 

『・・・・・中央区の王に言いつけてやる』

 

「・・・・・」

 

携帯を取り出すハーデス。その仕草に西村先生の腕がブレたかと思うと、

ハーデスの携帯が無くなっておった。

 

「これは没収だ」

 

い、何時の間に西村先生の手の中に携帯が握られておる・・・・・!

そして、何事もない風に教室からいなくなったあの先生を一拍して・・・・・。

 

『『『死神、覚悟ぉっ!』』』

 

『・・・・・お前ら、待て。良いものを見せてやるから』

 

―――ピタッ

 

『死神、良いものとはなんだ?』

 

『もしもつまらないものだったら・・・・・分かっているな?』

 

皆、ハーデスの意図を知ろうと動きを停めた。スッと包帯だらけの腕と手が雄二に差す。

 

『・・・・・坂本雄二を捉えたら見せよう。―――女体化だ』

 

『『『坂本を捕えろぉっ!』』』

 

「なっ、ハーデスてめぇっ!?」

 

攻撃の矛先があっという間に雄二に向けられ、雄二は捕らわれてしまい懐から

あの玩具の銃を取り出したハーデスが雄二へ突き付けた。

 

「いやだっ!いやだっ!やめろハーデス!俺が悪かった、だからそれだけは勘弁してくれぇっ!」

 

友の懇願にハーデスは・・・・・ワシしか見せない底意地の悪い笑みを浮かべておった。

 

『・・・・・い・や・だ』

 

玩具の銃の引き金を引き、銃口から怪しい光が飛び出し雄二に直撃した。

―――しばらくして、雄二は赤い短髪のクールビューティーな少女になった。

 

『・・・・・秀吉と付き合っている話はそいつのデマだ。そいつを好きにして良いぞ』

 

『『『そうだったかっ!それは俺達の早とちりだったな!

   すまない、そしてありがとういやっほうーい!』』』

 

「うぉおおおおっ!お前ら、俺に近づくな触れるな顔を近づけるなぁあああああっ!」

 

・・・・・雄二が猛獣から野獣・・・・・いや、牙を抜かれた獣に成り下がったと思う

雄二はクラスメートに群がられて瞬く間に姿が見えなくなった。

 

『・・・・・さてと』

 

自然とした立ち姿の状態でハーデスの手の近くの空間がポッカリと黒い穴が大きく開き、

その穴の中に手を突っ込むと二つのガドリングガンを取り出した。

なるほど、マントの中でああやって物を出しておったのか。ガドリングガンの銃身は

真っ直ぐクラスメートに向けられ、躊躇もなく引き金を引いた。

 

『・・・・・俺に敵意を向けた瞬間にお前らは俺の敵だ』

 

発砲音と悲鳴が阿鼻叫喚、地獄絵図を教室に作っていくのじゃった。

引き金を引くハーデスは無表情。何時もそのような表情をしていたのか・・・・・。

 

 

 

「ひ、酷い目に遭った・・・・・」

 

「ハーデスにあんなことを言うからだよ」

 

「・・・・・雄二は無謀」

 

「もっと言えば自業自得じゃぞ」

 

授業が終わり一時の休憩。未だに性別が女の雄二はぐったりとそう漏らしていたのを

ワシらはそう答えた。

 

『・・・・・次、変なこと言ってみろ。素っ裸にして発情している男共に放り投げるぞ』

 

「お前・・・・・悪魔だ・・・・・っ!」

 

涙目で肩を震わす雄二。うむ、流石にそれはやり過ぎと思うのじゃがハーデスは本気だと

その意思が伝わってくる。しかし・・・・・本当にハーデスを何時もの格好をして

おる時と同じ接し方をしておるな。

 

「のうハーデス。お主の仮面のデザインは誰がしたのじゃ?」

 

「そう言えばそうだね。赤い目のところは普通の骸骨の仮面と違うし」

 

明久が直ぐに便乗してきおった。素顔を見ておるワシ以外の者には魔法で何時もの

格好をしている風に見していると言ったが本当にそうなんじゃな。

なんだか不思議な気分じゃ。ワシだけが素でハーデスの顔を見ておるのにの。

 

『・・・・・自分でデザインした』

 

「・・・・・黒いマントもか?」

 

『・・・・・そうだ』

 

あの透明になるマントもきっと魔法によって造られたものに違いない。

 

「頼むハーデス。元の性別に戻してくれ。周りから凄く熱くて

ねちっこい視線を感じてしょうがない」

 

『・・・・・ダメ、昼休みまでそのまま』

 

「ううう・・・・・」

 

項垂れる雄二を誰も慰めない。まぁ、ずっとその性別でいるわけではないのじゃから

心配する必要もないじゃろう。

 

「にしても、性別を変えてしまうその玩具の銃・・・・・どうやって作ったんだ?」

 

『・・・・・企業秘密。だけど、これだけじゃないぞ』

 

「・・・・・まだ、何かあると言うのか」

 

身構える直江を余所に鞄を手にして何かを取り出すハーデスの手には二つの玩具の銃が

取り出された。

 

『・・・・・ビック・ガンにスモール・ガン。対象の相手を大きくしたり小さくしたり

できる特殊な銃だ』

 

「それって人に限らず生物、有機物とか無機物にも効果あるの?」

 

『・・・・・できるぞ。例えば、カップ麺を通常の五倍とか大きくすることもできる』

 

「凄い!それはいい玩具の銃じゃないか!それ、僕に貸して!」

 

「・・・・・俺はスモール・ガンが欲しい」

 

『却下』

 

お主らの考えておることが丸わかりじゃぞ。二人の欲望に呆れ果てていると

ハーデスは続けて書いていた。

 

『・・・・・付け加えて言うと女のバストも大きくすることが可能だ』

 

「女の子の胸も大きくできるの!?」

 

―――ガシッ!

 

「ねぇ、ハーデス。なーんか面白いことを聞いたわ」

 

「し、島田さん・・・・・?」

 

「それ、胸を大きくすることができるって本当かしら?」

 

島田が迫る勢いでハーデスの銃を睨んでおる。隠す必要もない風にコクリと頷いたハーデスじゃが、

 

『・・・・・体験、してみたいのか?』

 

「べ、別に?ただ、本当にできるのかどうか怪しいわねって思っただけよ」

 

『・・・・・男の胸でも大きくすることができるんだけどな』

 

その銃の効果にワシらまで身構えてしまう。もう勘弁してほしいのじゃ身体に異変が

起きてしまうのは!

 

「ほ、本当に大きくなるのか怪しいわね」

 

『・・・・・信用するかどうかは自己判断に任せる』

 

二つの銃を鞄の中に仕舞おうとしたその腕を島田は鋭く掴んだ。

何が島田をそうさせるのか言わぬが吉じゃろうな。

 

『・・・・・何をする』

 

「しょ、しょうがないから体験させてあげても良いわよ」

 

『・・・・・もう試したから別に』

 

「隣の空き教室でその銃の効果を知ってみたいわね!さぁ、ハーデス。

ウチと一緒に行きましょう!」

 

ズルズルとハーデスを教室から連れ出した島田・・・・・。

その光景に誰もが何とも言えない気持ちになったはずじゃ。

 

「おいワン子。お前も胸を大きくしてみれば?」

 

「うーん、アタシは自然に大きくしてみせるわ」

 

「しかし、制服の上からでも効果があるのだろうか?」

 

「意外と下着を外さないとダメかもしれないね」

 

『『『・・・・・(ガタッ)』』』

 

椎名の言葉にクラスメートが軍人みたいに揃った足並みで教室からいなくなった。

 

「え、えっと皆さん・・・・・どこに行ったのでしょうか?」

 

「多分、京の発言で空き教室に行ったんじゃないかな・・・・・」

 

「おい、何時の間にかムッツリーニがいなくなってるぞ」

 

―――ドガガガガガガガガッ!

 

「・・・・・どうやら、防衛システムが作動したようじゃな」

 

「俺様、行かなくて良かったかも」

 

「アレは痛そうだもんね」

 

島津の一言に師岡が苦笑いを浮かべたその時、ハーデスと島田が戻ってきた。

 

「・・・・・おお」

 

直江が思わず漏らしてしまった感嘆。島田のとある部分が急激に成長をしてみせた。

 

「ふふん、どう?」

 

『・・・・・胸を張るか?』

 

「うっさいわね。別にいいでしょうが。でも、制服が窮屈だわ・・・・・」

 

「~~~~~っ!?」

 

明久が島田を見て鼻血をムッツリーニの如く吹きだした。

身体のラインがハッキリと曲線を描いておった。

直線じゃった身体が曲線に・・・・・胸の部分が悲鳴を上げているのが一目瞭然。

 

『・・・・・ブラジャーもサイズがサイズだからノーブラだしな』

 

「ちょっ、なにアキの前でバラしてるのよこの変態骸骨!」

 

「へ、変態って・・・・・どういうこと?」

 

『・・・・・服越しじゃ、大きくすることができないから上半身を裸になってもらった』

 

「ううう・・・・・お嫁に行けれない身体になっちゃったわ・・・・・」

 

『・・・・・吉井明久に貰え』

 

嘆息をするハーデス。クラスメートの上半身裸を見たというのに表情が

変わらぬとは・・・・・。鋼の理性がそうさせておるのじゃろうか・・・・・。

 

『・・・・・なんなら、下着と制服も大きくしてやろうか?

それぐらいならそのままできるぞ』

 

「・・・・・お願いするわ」

 

島田の願いを叶えたハーデス。

 

「・・・・・アタシも、して貰おうかしら」

 

「おっ、ハーデス。希望者がここに一人いるぞ」

 

『・・・・・速さが乗った攻撃ができなくなると思うが。それでもいいなら』

 

「ちょっとだけ体験をしたいだけだわ」

 

『・・・・・なら、ウェルカム』

 

 

―――☆☆☆―――

 

 

―――昼休み―――

 

 

「で、島田さんと川神さんの胸を大きくさせたってわけね?」

 

「・・・・・びっくり」

 

「そんな面白そうな玩具の銃があるなんて教えてくれてもよかったのに」

 

『・・・・・でも、抱き心地が良さそうだったのになぁ・・・・・』

 

屋上で昼食会を始めるワシら。

 

「大丈夫だよハーデス君。抱きつきたいならボク達を抱きしめていいよ?」

 

『・・・・・今はこっちがいい』

 

そう言ってワシを背後から抱き締めるハーデス。ワシは今、胡坐を掻いておるハーデスの

足の上に乗って、抱きしめられているのじゃが、恥ずかしいのと心地好い温もりが

背中から感じてしょうがない。

 

「むぅ・・・・・優子の弟君に取られた気分だね」

 

「いやいや工藤よ。普通男同士がこのようなことをしていておかしいとは思わんかの?」

 

「何言ってるのさ秀吉。どこからどう見ても美少女な秀吉が男に抱き締められても変じゃないよ?」

 

・・・・・明久、それはワシに対する挑戦状と認識して良いんじゃな?

 

「ハーデス、明久を女にして欲しいのじゃ」

 

「ちょっ、秀吉ぃっ!?って、ハーデス止めて!

僕を女の子にしないでぇぇええええええええっ!」

 

性転換銃の効果により、明久はアキちゃんになったのじゃ。

 

「うむ、どこからどう見ても美少女な明久じゃ。いや、アキちゃん」

 

「酷いよ秀吉とハーデス!僕がなにをしたっていうのさ!?」

 

「よう、同士・・・・・」

 

「ううう・・・・・雄二・・・・・」

 

「俺達は悲惨な目に遭った仲間同士だな」

 

「うん・・・・・そうだね・・・・・」

 

少女になった雄二と明久が二人仲良く互いを慰め合いをするようになった。

うむ、スッキリとしたのじゃ。

 

「・・・・・木下君がブラックになったような・・・・・」

 

「ハーデスの次に怒らしてはいけない人物だなありゃ」

 

戦慄する面々。ワシは別に怖くないと思うんじゃがな。

 

『・・・・・秀吉』

 

「んむ?」

 

『・・・・・頬にご飯粒が付いているぞ』

 

そうなのかの?ついついハーデスの弁当が美味しくて何時の間にか付いてしまった―――

 

ペロッ

 

「・・・・・?」

 

『・・・・・ごちそうさま』

 

頬に生温かい感触が一瞬だけ感じた。なんじゃ、今の。

 

「お、男同士で・・・・・」

 

「顔が女の子みたいだから抵抗がないのかな・・・・・」

 

何故か、皆が頬を引き攣らせておるのを気になった。

 

「んむ?どうしたのじゃ皆の衆」

 

「・・・・・ハーデスに舐められた」

 

霧島にそう言われ、少しずつ理解していく。舐められた?

ワシが、ハーデスに?・・・・・。・・・・・。・・・・・んなぁっ!?

 

「お、お主!どうしてワシを舐めたのじゃ!?」

 

『・・・・・恋人同士だから当然だろう?』

 

キョトンとした表情をするハーデス。いやいや、普通は舌ではなく手でするもんであろう!?

 

『・・・・・男なのに優子とは違う魅力的があるな』

 

「う、嬉しくないのじゃ・・・・・男として見てくれておるのに」

 

『・・・・・本当に嬉しくない?』

 

ジッと金色の双眸を向けられる。そ、その顔をワシに向けてくるではないのじゃ・・・・・。

ううう・・・・・。

 

「・・・・・優子の弟、顔が真っ赤」

 

「わぉ・・・・・可愛いね」

 

「・・・・・まさか、本気で惚れたわけじゃないわよね・・・・・?(ドキドキ)」

 

さりげなくハーデスの視線から逃れると、頭を撫でられた。

 

「か、からかうではないのじゃ・・・・・」

 

『・・・・・からかってないけど』

 

ダ、ダメじゃ・・・・・ハーデスの目を見ても本気でからかっていないのが分かってしまう。

 

「ハーデス、ワシは男じゃ」

 

『・・・・知ってる。でも、今は俺の恋人の木下秀吉』

 

「こ、このような罰ゲームの形でお主の恋人になっても

ワシは嬉しくも何とも思っていないのじゃ」

 

『・・・・・ふーん?』

 

・・・・・ハーデス?なぜにニヤついておるのじゃ・・・・・?

 

『・・・・・その言い方、正式に恋人としてだったら嬉しいという言い方なんだけど?』

 

「なっ・・・・・!」

 

『・・・・・なら、秀吉のことを本当に恋人として接しようか。恋人のフリじゃなく、本当の恋人としてな』

 

な、何を言うんじゃハーデス!?本気で、本当にお主はワシと恋人同士になるつもりなのかの!?

それはあまりにも強引とではないか!?

 

『・・・・・秀吉、恋人を演じ切らないとホープの名が廃るがそれでもいいのか?』

 

それを、このタイミングで言うのはあまりにも卑怯というものじゃぞ・・・・・っ。

 

「演じ切る・・・・・一日だけワシはハーデスと付き合う関係に・・・・・」

 

演技をするワシ自身のプライドが、罰ゲームとは言えちゃんとハーデスと期間限定でも

付き合うことができなければ、それはワシの誇りである演技を疎かにしていると言う

道理・・・・・。

 

「・・・・・分かった、お主の恋人として見事演じきって見せようぞ」

 

『・・・・・ボロ出すなよ?』

 

「それはこちらの台詞じゃハーデス。ワシの演技力は学校一じゃからな」

 

互いに拳を突き合わせて(仮)正式にハーデスと付き合うことにした。

 

「え・・・・・本気でハーデスと付き合っちゃうの?」

 

「・・・・・許すまじ・・・・・(怒)」

 

「見てくれはともかく、違和感が一切感じないのはどうしてだ・・・・・」

 

「優子、本気で弟君が好きになっちゃったらどうするの?」

 

「元々愛子の提案でこうなったんでしょうが!?」

 

「・・・・・優子と同じ顔だから違和感が感じない」

 

周りが何やら言っておるが、ワシは本気でハーデスと付き合うわけじゃないからの?

これはそう、演技なのじゃ。じゃから心配などするではないのじゃ。


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