バカと真剣とドラゴン―――完結―――   作:ダーク・シリウス

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真約三問

まだ残暑が残っている青い空が広がり、太陽の日差しを女子制服を身に包み屋上で

代表と対面している木下優子と工藤愛子の三人を照らす。

 

「・・・・・優子・・・・・愛子・・・・・本当のことを言って」

 

「「・・・・・」」

 

「・・・・・死神のこと・・・・・好きなの・・・・・?」

 

どうしてこんなことになってしまったのかと二人は思わずにはいられなかった・・・・・。

 

 

 

HRが始まる前、アタシは職員室から退室して三階にある自分の教室へと足を運んだ。

 

「これ、重たいわね・・・・・」

 

一つの段ボールを胸に抱えて運び出している。これはこれから使う教材を

取りに来たんだけれど・・・・・。

 

「こういう状態になるなら観察処分者のシステムが少し羨ましく思っちゃいそうだわっ」

 

物理干渉ができる召喚獣を喚べれるから、アタシの代わりに召喚獣が持ってくれる。

そんなことできる吉井君とハーデスがとても・・・・・。

 

「・・・・・っ」

 

また、ハーデスと心の中で言ってしまった。今まで死神と呼んでいたのに何故かあの時

以来からハーデスと呼んでしまう。

重い荷物を抱えて階段に上る途中でアタシの口は無意識に動いた。

 

「ハーデス・・・・・」

 

一拍して・・・・・アタシはカッと顔が赤くなった。

ちょ、どうしてあいつの名前を呼ぶだけで顔が熱くなるのよ!?アタシは絶対に簡単な

女じゃないし、アタシの好みのタイプとは全然・・・・・って、アタシの好みのタイプの

異性って・・・・・いったいどんな感じなんだろう・・・・・?

 

 

グラッ

 

 

「っ!?」

 

 

しまった・・・・・っ。踊り廊下だったらともかく、まだ上がっている途中で体勢が

崩れた・・・・・!胸に抱えた重みも加えて華奢な体のアタシが態勢を

立て直すことなんて無理!周囲には誰もいなく後ろへ倒れそうになっている。

ダメ・・・・・!アタシは次に襲いかかるだろう痛みと衝撃に

硬く目を瞑って備えた時・・・・・冷たい感触とは真逆の温かい感触と強くぶつかった。

 

『・・・・・何時まで目を瞑っているんだ?』

 

「・・・・・?」

 

脳裏に話かけられた声・・・・・。恐る恐る目を開けると直ぐに色黒が飛びこんできた。

これって・・・・・。

 

『おはよう、優子』

 

アタシを見下ろす骸骨の仮面。死神・・・・・。

 

「アンタ、どうしてここに・・・・・?」

 

『公孫勝がゴロゴロしたいから学校に行きたくないと駄々をしたから何時も

行く時間に遅れた』

 

そ、そんな理由で・・・・・。死神の背後に目を配れば死神と一緒に来る

メンバーが揃っている。本当に遅れてきたんだ。

 

『それ何だ?』

 

「これはこれから授業で使う教材よ。これを職員室から取りに来たんだけど・・・・・

教室に戻ろうと体勢を崩しちゃって」

 

『なるほどな。なら、ものはついでだ。それを運んでやる』

 

アタシの腕からヒョイと段ボールを取った。

 

「いいわよ。それぐらいアタシが」

 

『さっき体勢を崩して階段から転げ落ちそうになった女子高生はどこの誰だ』

 

「うっ・・・・・」

 

『心配するだろうが』

 

ぶっきら棒に言って、アタシのクラスに向かおうとする死神。

その発言に何とも言えない気持ちが湧きあがる。

 

「(なによ・・・・・代表に言い寄られているクセに、

アタシのことなんてただの友達程度なんでしょ!)」

 

・・・・・どうしてアタシが嫉妬しなきゃならないのよ・・・・・。ああもう、本当に

死神と接すると調子が狂う!こんな気持ちになるのは全部死神のせいに決まっているわ!

 

『・・・・・俺のことを知っている数少ない心から接することができる。

そんな心の拠り所の一人の女に怪我でもしたら心配するんだよ』

 

「っ・・・・・!?」

 

死神が・・・・・そんなこと言うなんて、本当にアタシをそんな風に思っているの・・・・・?

心の拠り所って・・・・・。

 

『ほら、行こう』

 

片手で段ボールを持ってもう片方の手をアタシに差し伸べてくる。

仮面で表情が分からないけど、

あの垂直のスリット状の金色の瞳は優しげにアタシを見て微笑んでいるのかもしれない。

そう思うと、胸がドキドキしてしまう・・・・・。

 

「・・・・・うん」

 

その手を伸ばし死神と手を重ねた。いつか、彼が本当の姿でアタシや代表、

愛子・・・・・他の皆と接することができることを願っているわよ・・・・・ハーデス。

 

 

 

 

「好きだ工藤。俺と付き合ってくれ」

 

「・・・・・」

 

下駄箱にラブレターが入れられて、指定された人気のない場所に行けば送り主の

上級生と思しき男子生徒の告白された。この学校に来てから何度も告白を受けたけど

全部断わった。最初はそんな誰かと付き合うとか気持ちはなかったし、

誰かと一緒にいて楽しい学校生活を送りたいから。だけど、今はちょっとだけ違う。

 

「ごめんなさい」

 

申し訳なさそうに頭を下げて断わった。これはボクの心が望んだこと。

ボクの心はあの人と一緒にいたい気持ちで一杯なんだ。

 

「どうしてだ?好きな奴がいるのか?」

 

「・・・・・」

 

その問いに口ごもってしまう。あの人は誰とも付き合う気はないと代表の前で公言している。

だけど、ボクはこの気持ちを大切にしたい。

 

「うん、片思いだけど―――」

 

 

ドンッ

 

 

いきなりボクの動きを封じるように壁へ手を突いて上級生が迫って来た。

え・・・・・なに?

 

「俺は本気でお前のことが好きだ」

 

「それでも・・・・・ボクは大好きな人を想いたいんです」

 

「そいつにフラれてそいつを想い続けるだけの一人寂しい人生を送るぐらいなら

俺の傍で生きろ。俺の両親は凄腕の企業家の社長と秘書で俺はその企業を受け継ぐ。

だからお前を幸せにだってできる」

 

「ボクの人生はボクが決めます。誰かの指図には受けません」

 

 

キーンコーンカーンコーン

 

 

鐘が鳴った。結局、皆と食べる時間は過ぎちゃったなぁ。

 

「授業に遅れちゃいます」

 

「まだ話が終わっていない」

 

「ボクには好きな人がいるんです。あなたの告白を受けれません」

 

「・・・・・俺がここまでお前のことを想っているのにどうしてっ」

 

先輩がいきなり悲痛な顔をしたと思えばボクに顔を近づけてきた。

 

「ちょ、なにするんですか!?」

 

抵抗しようと腕を動かしたら逆に力強く掴まれて抵抗ができなくなった!

 

「放して!放してください!」

 

「うるさいっ!俺の気持ちを蔑ろにしたお前が悪いんだ!」

 

「蔑ろって・・・・・ボクは本当に好きな人がいるんです!

こんな無理強いにあなたの気持ちを押し付けられても迷惑ですっ!」

 

「なんだと・・・・!くっ・・・・・俺の気持ちを知らないで断わったお前みたいな

女には屈服させた方が手っ取り早い!」

 

片手でボクの両腕を抑えつけ、もう片方の手であろうことか制服に手を伸ばしてきた。

な、なにを・・・・・!?目を張っていると先輩が制服を強引に引っ張った際に

ボタンが外れた結果、ボクの上半身が曝された。

マズい、今日・・・・・ブラを付けていないっ・・・・・!

だから・・・・・!

 

「・・・・・は、はは・・・・・な、なんだ。俺に襲われて欲しくて

 そんな淫らな格好をしてきたのか」

 

「ち、違う・・・・・!」

 

「なら、今日ここで俺達は結ばれようじゃないか。

こんな時の為に俺、媚薬を用意してきたんだ」

 

なっ・・・・・媚薬って・・・・・!先輩のポケットから液体が入っている瓶が出てきた。

ほ、本当に媚薬・・・・・!?

 

「ムード的に最悪だが、終わりよければ全てが良しだ」

 

「や、やだっ!誰か、誰か助けて!」

 

「人気のないこの裏校舎に誰も来るわけがないだろう。助けを呼んだって無駄だ。

こんな展開になる事を考えてここを指定したんだからな」

 

先輩が瓶の蓋を開けて液体を半分だけ飲んだ。そして残りの半分が入った瓶を

ボクに・・・・・!

 

「さあ、飲むんだ俺の愛しい工藤。今日この日を持って俺達は結ばれるんだ」

 

「ヤダよッ!好きでもない人と結ばれたくない!」

 

「っ・・・・・こっちが優しくしているのにお前と言う奴は・・・・・!

いいから飲めよっ!ほらぁっ!」

 

瓶を押し付けられる。それでも首を左右に激しく振って抵抗したら、

ボクの手首を抑えつけていた手がボクの首に変えて身動きが取れないように摑まれた。

 

「うぐっ・・・・・!」

 

「さぁ・・・・・俺と一緒に甘美な快感を得ようじゃないか・・・・・お前を満足させ

られるのはこの俺だ」

 

先輩は狂ったような笑みを浮かべ、ボクに媚薬が入った瓶を口元に押し付けてくる。

助けて・・・・・助けて・・・・・!お願い・・・・・ボクの騎士・・・・・!

 

「ハァアアアアアアデェエエエエエエエスゥウウウウウウウッ!」

 

「あぁ?ハーデス?・・・・っておい、まさか・・・・・っ!?」

 

『・・・・・ああ、そのまさかだ』

 

 

―――ドッ!

 

 

先輩が僕の前から姿を消した。跪き、首を押さえて咳をしていると。

 

『遅くなってすまない愛子』

 

「・・・・・っ!」

 

『少し待ってくれ。害虫を駆除する』

 

離しかけてくる声にその声の主に目を向けた。黒いマントで全身を隠している人物。

それだけで誰なのかボクは分かった。ボクが助けを求め、ボクの片想いの人物だ。

その人物の傍に見慣れた幾何学的な魔方陣が出現して・・・・・。

 

「あぁ?ここどこだよ・・・・・ってなんでアンタがここにいるんだよっ!?」

 

あ・・・・・何時ぞやの焼き肉店で出会った不良の人が魔方陣から出てきた。

 

『呼び出して悪いな竜兵。お前に一仕事してもらいたい』

 

「仕事だぁ?かったりぃ、誰がンなモンするかって―――」

 

『あそこで倒れている奴を喰ってくれ。報酬はソレ込みだ』

 

「気が変わった。それは俺にとって嬉しい一仕事じゃねぇか」

 

うわぁ・・・・・この人、本当にソッチの人なんだ・・・・・。それを仕向けるあの人もあの人だけど・・・・・。

 

『今は授業中だから誰も邪魔されないはずだ。誰かが来るまで思う存分楽しんでくれ』

 

「へへ、了解。アンタを尊敬するぜ。俺の好みを理解してくれてよ」

 

『人の趣味をとやかく言わない主義なだけだ』

 

―――死神君はボクに近づく。そして・・・・・。

 

『大丈夫・・・・・とは言わない。遅れて本当に悪い』

 

何故かボクに謝罪してきた。

 

「どうして・・・・・謝るの?ボクを助けてくれたのに」

 

『優子と翔子からメールが来てな。授業が始まっても愛子は戻ってこないって

知ってからお前を探し始めたんだ。だから遅れた』

 

優子と代表が・・・・・。

 

『・・・・・力があるのに、守り切れないなやっぱり・・・・・』

 

死神君が悲しげに漏らした・・・・・。そんなこと、ないよ・・・・・。

キミはちゃんと守れたよ・・・・・?

 

「ボク・・・・・死神君が助けに来てくれて嬉しかったよ?」

 

ボクがこう言っても死神君は無言で見つめてくる。

 

「強姦されかけたけど、ちゃんと死神君は助けてくれた。あの時と同じように・・・・・」

 

包帯だらけの手を両手で包む感じでボクの胸に近づける。そのまま死神君を見上げる。

 

「死神君はやっぱり、ボクの格好良い騎士だよ。ありがとう・・・・・死神君」

 

『・・・・・愛子』

 

 

『オラオラァッ!』

 

『アオォッ!アオォッ!アオォッ!や、やめて!そ、それ以上はぁぁぁあああああああっ!』

 

『何言ってんだ!こっちはまだまだ元気があり余っているから

俺が満足するまでは止めねぇよぉっ!』

 

『だ、誰か、誰かぁあああああああああっ!助けふぉおおおおおおおおおおおっ!?』

 

 

・・・・・ムードが台無しだよもう・・・・・。

 

『・・・・・この場から離れよう』

 

「うん・・・・・そうだね」

 

目に毒な光景が目の前で繰り広げている。死神君の黒マントを借りて身体に羽織って

裏校舎から立ち去った。

 

それから色々と質問されたけど、大事には至らなかった。でも、あの先輩は

その後・・・・・自主退学をしたそうだ。発見された時は全裸で全身に白い液体が

こびり付いていて壊れたように笑っていたそうなのはボクにとって関係のない話だけどね。

 

 

―――翌日―――

 

 

「・・・・・優子・・・・・愛子・・・・・本当のことを言って」

 

「「・・・・・」」

 

「・・・・・死神のこと・・・・・好きなの・・・・・?」

 

そう言うわけで代表に屋上で問い詰められているアタシと愛子だった。

 

「えっと・・・・・代表・・・・・アタシ達は特に・・・・・ね?」

 

「うん・・・・・死神君と別に深い関係じゃないんだよ?」

 

「・・・・・でも、二人が死神を見る目が前と比べるとハッキリ違うのが一目瞭然」

 

だ、代表・・・・・そこまで観察していたのね・・・・・アタシ達まで・・・・・。

 

「・・・・・私は怒っているんじゃない。

 二人は死神のこと好きなのか・・・・・知りたいだけ。

 ・・・・・異性として」

 

純粋な眼差しが向けられてくる。代表が死神のことを好きなのは知っている。

だからこそ、愛子もそうだろうけどアタシは一定の距離を置いて死神と

接しているつもりだった。

 

「「・・・・・」」

 

愛子と不意に目が合い、代表の前だから気不味そうにどちらからでもなく視線を逸らした。

・・・・・愛子、あなた・・・・・死神のことどう思っているのか言葉にしなくても分かるわ。

 

「・・・・・ねぇ、代表」

 

「・・・・・なに?」

 

「女の子同士で好きな男の子が一緒って話はあるんだけどさ・・・・・代表にとって

そう言うのはどう思うの?」

 

「・・・・・わからない」

 

分からない・・・・・そうよね。そうなった瞬間を体験したことないはずよ代表は。

勿論、アタシと愛子もそうだけどさ。

 

「・・・・・だけど、負けられないと思う。仲の良い友達でも」

 

「じゃあ・・・・・ライバルとして認識するの?」

 

愛子の問いにションボリと代表が漏らした。

 

「・・・・・実際、死神は大勢の女の子に好意を抱かれている」

 

―――ええ、それだけはハッキリしているわね。

特に蒼天の王や(まだ見ぬ幹部)幹部がそう。

関係はアタシ達みたいな感じのようだけど・・・・・怪しいところだわ。

 

「・・・・・代表、正直に言うと」

 

「・・・・・うん」

 

「ボク、死神君のこと・・・・・大好きだよ」

 

ポツリと告白した愛子。明るく笑っていなく、淡い朱を染めて愛子は言い続けた。

 

「最初はね?代表との関係を応援していたんだ。けど、死神君の正体を知った後、

何度も助けられたりとか学校でも接しているうちに死神君のことが頭の中で浮かんじゃうんだ。

誰とも付き合えない理由も知っているのに死神君の傍にいたいって気持ちが日々強く増すばかり。

代表を裏切っちゃうって後ろめたい気持ちもあった。

でも、ボクの心はもう・・・・・死神君に奪われちゃっているみたいなんだ」

 

頭を掻いて苦笑いを浮かべた。けど、それでも顔を真っ直ぐ代表に向かって口を開いた。

真剣な眼差しを送ると共に。

 

「代表。ボク工藤愛子は死神・ハーデス君が世界で一番大好きだよ」

 

清々しい告白。そんなハッキリと言える愛子がとても羨ましいとアタシは思ってしまった。

 

「・・・・・優子は?」

 

「アタシは・・・・・」

 

口ごもる・・・・・。でも、いつかこうなることは分かっていた。ここではぐらかしたり、

逸らしたりしたら・・・・・アタシのプライドが許さないだろう。

いえ、プライド以前に一人の女として逃げちゃダメなんだきっと・・・・・!

 

「・・・・・最初は不気味で変であまり関わりたくないって思った。

でも、アタシ達って一騎討ちで破れた時から死神と交流を続けるようになったわね」

 

「うん、そうだね」

 

「・・・・・・あの日からもう数ヶ月が経っている」

 

時の流れは速いわね・・・・・。

 

「清涼祭でもアタシは死神に助けられ、Sクラスの奴らの無情な命令に身体を張って

アイツはアタシ達を助けてくれた。

それからSクラスに対する強化合宿での操作向上も死神と一緒に上達した。

そして、アタシ達AクラスとFクラスは力を合わせてSクラスを打破した」

 

人身売買されそうだった時も死神が駆けつけてくれてアタシ達を救ってくれた。

何時の間にか死神といることが当然のように思ってFクラスに行くことが多くなった。

そして、アタシの目は死神を追っている。

 

「代表の気持ちは愛子と一緒で知っていたのに、どうして同じ人を好きになってしまったのか。

今でも少し罪悪感を感じているわ」

 

「・・・・・優子も・・・・・死神のことを・・・・・」

 

代表の言葉を受け止めた後に深呼吸をしてからハッキリと言った。

 

「好きよ。もう、あいつの正体がどうあれ、理由がどうであれそんなもの一切関係ないわ。

アタシはアイツのことが心の底から大好き。

こんな告白大会をしてからには―――遠慮せず代表に譲ってやる気はもうしないわ」

 

「・・・・・そう、二人の気持ち・・・・・分かった」

 

顔色変えず、寧ろ表情を変えない代表がアタシと愛子を見据える。

 

「・・・・・二人が私のライバルで良かった・・・・・勉強でも恋でも負けない」

 

「代表・・・・・許してくれるの?死神君のこと好きになったボク達に裏切りだとかさ」

 

「・・・・・それはもう今更。さっきも言ったように

死神はライバルを多く作っているから負けないように私は頑張っている」

 

「これ以上、他の女子が死神に魅了されないようにガードしましょうか。アタシ達三人で」

 

握り拳を代表に向けて突き伸ばす。

 

「・・・・・優子?」

 

「アタシ達はライバル同士だけど味方同士でもあるでしょう?

死神の情報を共有して平等なスタートをしたいわ」

 

愛子と代表に目を配れば、アタシと同じように握り拳を突き出してくれる。

 

「死神君の素性はまだまだ謎が多い」

 

「・・・・・それは卒業するまでの課題としてより多く学び知っていく」

 

「死神の頑固な考えを軟らかくしてアタシ達の心を奪った責任を取らせましょう」

 

「「うんっ」」

 

一斉に空へ向けて腕を伸ばす。

 

「「「絶対に死神(君)を振り向かせるっ!」」」

 

 

 

 

 

『・・・・・クシュンッ!』

 

「ハーデス、風邪?」

 

『・・・・・いや、誰かに狙われているような寒気がした』

 

「ハーデスを狙うって・・・・・心当たりが多すぎて特定できないんじゃない?」

 

「むぅ・・・・・そうじゃの」

 

「秀吉、お前が難しい顔をしてもハーデスに助けなんて必要ないと思うぞ」

 

「・・・・・唯我独尊」

 

『・・・・・酷い、助けが欲しいときはある』

 

「ほう・・・・・例えばどんな時にだ?」

 

『・・・・・坂本雄二と霧島翔花の結婚式の準備とか』

 

「待てぃっ!それは断じて必要のないことだハーデス!

寧ろそんな企画を考えているなら俺の全てを掛けてでもブチ壊してやるからなっ!」

 

「「雄二、アウト(じゃ)」」

 

「雄二・・・・・私と結婚したくないの?」

 

「なぁっ!?翔花、何時の間に(バチチチチッ!)うぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぁっ!?」

 

「・・・・・雄二の結婚式会場の場所は天国か地獄」

 

『・・・・・それ、二人とも死んでいるぞ』


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