バカと真剣とドラゴン―――完結―――   作:ダーク・シリウス

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夏四問

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『うう・・・・・ハーデス・・・・・!』

 

『・・・・・』

 

ハーデスの黒マントの中で秀吉が泣き付いているのがよく分かる。マントの上から背中をさする感じでハーデスは

手を動かしているし、誰もが秀吉に同情してしまう。

 

「ありゃ・・・・・とんでもない心理攻撃だったな」

 

「うん・・・・・自作のポエムを抱きしめられたまま朗読されていたしね」

 

『お前は俺を照らす太陽だ』なんてフレーズが聞こえた瞬間に僕は意識を放棄してしまったくらいだ。

直接聞かされていた秀吉の恐怖は計り知れないものだろう。

 

「二度と聞きたくないポエムだった・・・・・」

 

「ア、アタシも・・・・・」

 

「男が書くようなものじゃないよ・・・・・」

 

他の皆も同意見だと頷く。

 

「そんじゃ、気を取り直して次のペアを送るとしようか」

 

「誰にするの?」

 

「そうだな。・・・・・よし、あいつらにしよう。ハーデス、頼みたいことがある」

 

 

 

《一子殿、このような子供騙しなど我らが恐れずに足りないものだな》

 

《そうだね英雄君》

 

 

雄二が誰を行かせたのか・・・・・それが九鬼君と一子のペアだった。あの二人どっちもハーデスと関わっているし、九鬼君に至っては何故かハーデスの言う事を聞く。

弱みを握られているような感じじゃないんだけどね。

 

 

《本物のお化けじゃないし恐くないわ。それに―――》

 

《む?》

 

《気を許した家族となら、どんなお化けでも一緒に進めば怖くないからね》

 

 

うわ、物凄く嬉しい発言を言うよ一子。九鬼君を家族と言うのは友達としての意味なんだろう。もしも裏で恋愛以上の関係だったら・・・・・九鬼君を相手でも暴動が起きそうだ。一子にそう言われた九鬼君は物凄く嬉しそうで顔が輝いていた。

 

 

《うむ!では、さっさと最終チェックポイントまで突き進もうではないか!一子殿、我が雄々しい姿を間近で見ていて欲しい!フハッ、フハハハハハハっ!》

 

《ちょっ、英雄君。そんな大声で笑ったら―――》

 

 

ブーッ!

 

 

「・・・・・失格」

 

「つ、使えねぇ・・・・・」

 

「くじで決まったペアだからこんなことになるのは時間の問題だったな」

 

九鬼君は恐いもの知らずだと思って期待したんだけど・・・・・テンションが高い人だったなんて。

 

「大和、時間の問題ってどういうこと?」

 

「ここだけの話し、英雄はワン子の事が好きなんだよ」

 

「ああ・・・・・だからあんなハイテンションなんだね」

 

「ワン子と一緒だという事実に英雄は歓喜極まりないはずだ。その上、あんな嬉しいことを言われたら片思いの男は嬉しくない訳ないだろう?特にテンションが高い奴はな」

 

納得だと僕は思ってしまった。その後、雄二は執拗にSクラスの人達を送りこむけど失格者が続出する。

 

 

《けっ、なーんでこんな面倒くせぇイベントに俺が参加しなきゃならねぇんだよ》

 

《文句を言わない。さっさと終わらせればいいだけだし》

 

《姐御は川神水を飲みながらだらけたいだけだろう》

 

《当然》

 

 

武蔵坊さんと与一君のペアか。あの二人なら大丈夫そうだ。

しばらくしてあの二人はあっさりと着物の先輩のところまで進んだ。

 

 

《ようこそいらっしゃいました》

 

《はっ、俺に色仕掛けなんて無駄な抵抗はよすんだな!俺にはンなもんは通用しねぇからよ》

 

《あら、そうですか》

 

《こいつが中二病である意味良かったかもねぇ・・・・・(グビグビ)》

 

《おい姐御・・・・・それで何杯目だ?》

 

《んん~?まだ四敗目だけど?》

 

《それ以上飲むなよ。義経から鬱陶しく言われたんだからな》

 

 

他愛のない雑談をして次のチェックポイントへ進んだ。

 

「新体操部のコスチュームを見ても、動じないなんて・・・・・あいつは化け物か?」

 

「・・・・・本当に男なのかと疑ってしまう」

 

「死神はあんな程度で動じるわけがない」

 

「あっ、もうチェックポイントだね」

 

Sクラスペアはチェックポイントで先輩負達と向かい合っている。

 

           

                 現代国語

                                         

  Aクラス 寿湊     289点  421点 那須与一  Sクラス

 

                  VS

 

  Aクラス 中曽根みさお 277点  451点 武蔵坊弁慶 Sクラス

 

 

 

来るべき受験に備えて難しい問題になっていたのか、それとも学年トップクラスは不在だったのか。

300点未満という三年生コンビ。召喚獣も雪女とハーピーといった一般的なものだった。結果は当然Sクラスのコンビが勝った。

 

 

《あーあー、やってらんねぇー》

 

《次で最後だから文句を言わない。それ以上言うと選択肢を選んでもらう》

 

《あ?選択肢だぁ?》

 

《一つ、私に殴られて最終チェックまで進む。二つ、私に物理的で黙らされるか。与一、どっちがいい?》

 

 

・・・・・何だろう。与一君と僕がどこか共通点があるように感じた。

 

 

《ど、どっちも殴られるのかよ!?じょ、冗談じゃねぇ!まだ旅人の選択肢の方が優しい―――!》

 

《旅人?与一、それはどういうこと?》

 

《っ・・・・・!》

 

《・・・・・まさかだとは思うけれど、旅人さんとどこかで秘密裏で会っていたなんてことはないだろうねぇ?》

 

《お、男と男の約束だ・・・・・!俺は何も言わねぇ!》

 

《・・・・・分かった。ちょっとあの那須与一ノ墓と書かれている所に行こうか》

 

 

―――ウギャアアアアアアアアア!?

 

 

「・・・・・失格」

 

「ダメだ、Sクラス使えねぇ・・・・・」

 

雄二が嘆く。こう言う催しには問題がないはずのSクラスのメンバーが尽く失格者を

続出するなんて・・・・・やるな先輩方・・・・・!

 

「仕方がねぇ。こうなったら最終兵器を使用する!」

 

「まさか・・・・・!」

 

「ああ、そのまさかだ。―――ハーデス、お前の出番だ!」

 

このタイミングで僕達の秘密兵器を使うというのか雄二よ・・・・・!

 

 

 

「・・・・・死神、一緒にできて嬉しい」

 

『・・・・・』

 

・・・・・恋人同士のように手を握って死神と歩く。彼は何も言わないけれどそれでもいい。

こうして傍で一緒に歩くことができれば今は満足。・・・・・暗い空間の中で死神と歩く時間はとても大切。

 

「・・・・・」

 

・・・・・死神と最終チェックポイントまで歩いた時、

 

「―――ようこそ、お二方」

 

・・・・・チェックポイントには着物を着た先輩ともう一人、男子生徒が佇んでいた。

 

『・・・・・小暮?他の奴かと思った』

 

「彼らと交代してもらいました。何せ死神君はお強いですので上級生として易々と

攻略されたら示しがつきませんので」

 

「・・・・・死神を警戒するのも当然」

 

「そうです。ですので、チェックポイントの教科も変えさせてもらいますわ」

 

・・・・・小暮先輩は視線を背後へ向ければ、その暗い場所からある人が現れた。

 

「西村先生、総合科目でお願いしますわ」

 

・・・・本来最終チェックポイントの科目は物理。なのに、総合点数で勝負できる

総合科目を変えてくるなんて予想外。

 

「ああ、彼のことを教えていませんでしたわね。彼は高城雅春。私と同じ三年A組所属しておりますの」

 

「よろしくお願いします。死神君」

 

『・・・・・』

 

・・・・・総合科目に変えられたフィールド。私と死神は否が応でも召喚獣を召喚

しないと

いけなくなった。・・・・・それでも頑張る。好きな人の隣で負けるわけにはいかない。

 

「では、始めましょうか」

 

・・・・・小暮先輩の促しに私達は召喚獣を、

 

「「「試獣召喚(サモン)っ」」」」

 

『・・・・・試獣召喚(サモン)

 

喚びだしたのだった。

 

               総合科目 

 

Aクラス 高城雅春 5391点    13000点 死神・ハーデス Fクラス

 

                VS

 

Aクラス 小暮葵  5199点    4978点 霧島翔子     Aクラス

 

 

 

・・・・・圧倒的な総合点数を表示する死神の召喚獣。小暮先輩達の二倍以上誇っている。

・・・・・私の召喚獣は上半身が私で下半身は蛇という妖怪であった。

上半身が全裸だから身体が見えてしまう。・・・・・だから死神の召喚獣の背後に隠した。私の身体は死神だけにしか見せない。同じ女の子だったらともかく、あっちには男子がいる。

 

「ふふっ。可愛らしい反応ですわ」

 

「これだけ大きい標的を狙うのは容易いですね」

 

「気を付けてください?彼は1点でも躊躇も無く敵を倒すのですから」

 

「分かっています。では―――勝負をしましょう」

 

・・・・・高城先輩が攻撃を仕掛けてきた。対する死神は口内から火炎放射を吐きだす。

 

「おっとと、ドラゴンらしい攻撃ですね」

 

・・・・・バックステップで火炎からかわす。その動作に死神は不思議そうにスケッチブックで意思表示する。

 

『・・・・・かわした?』

 

「おや、意外ですか?」

 

『・・・・・召喚獣の操作、慣れているな』

 

・・・・・ドラゴンがまた火炎を吐きだす。高城先輩は高く跳躍して真上から武器を

突きたてようと攻撃する。その行動に死神が見逃すわけ無く、拳で弾き追撃を試みたが

身体を捻ってドラゴンの前に着地した。

 

『・・・・・強いな』

 

「たったこれだけの動作で相手の実力を見抜くあなたも強いですよ」

 

・・・・・高城先輩は怒濤に武器を突き出してくる。

 

『・・・・・』

 

・・・・・その攻撃に対し、ドラゴンは翼を羽ばたかせて宙に浮き、

かわせば空から何度も火炎球を吐いた。

 

「当たりませんよ」

 

・・・・・右に左にと軽やかなステップで動き火炎球からかわし続け、

ドラゴンの真下に移動した。

 

「そこです」

 

・・・・・高城先輩が死神を狙―――わず、小暮先輩と戦っている私に攻撃の矛先を変えて飛び掛かった。

 

「・・・・・っ」

 

・・・・・二対一では分が悪い。それは誰でも分かっている。だからこそ私が逆に囮になることで死神にチャンスを与える。私は足手まといにだけはなりたくない・・・・・っ。

蛇のような長い尾を振るって小暮先輩の召喚獣を―――!

 

「やはり、そう来ましたわね」

 

・・・・・小暮先輩は不敵に言い、私の攻撃の隙を突いて蛇の尾を両腕で掴むと思いっきり

ドラゴンの方へ放り投げた。

いきなり向かってくる召喚獣に死神の召喚獣はぶつかってしまい、地に墜ちてしまった。

 

「・・・・・死神、ごめんなさい」

 

『・・・・・大丈夫だ』

 

・・・・・死神が起き上がったところで小暮先輩と高城雅先輩が攻撃を仕掛けてくる。

両翼で攻撃を防ぐ死神の点数がすり減っていく。その瞬間、死神のマントが弾け、血飛沫が飛び出す。

 

「・・・・・死神・・・・・!」

 

『・・・・・問題ない』

 

・・・・・腕を横薙ぎに払った後に攻撃を受け、別の召喚獣に攻撃をしてももう一人の

召喚獣から攻撃を受けてしまう。点数が減る度に、ダメージが与える度に死神の身体は傷付く。

 

「―――その翼、斬らせてもらいますよ」

 

「・・・・・させないっ」

 

「邪魔させませんわよ」

 

・・・・・死神を守ろうと高城先輩に向かったが、小暮先輩に阻まれて守ることができなくなった。

迫りくる敵に爪で引っ掻こうと振るった死神だった。・・・・・体勢を低くして交わした

高城雅春の召喚獣は地面スレスレで高速に動き、最初に無防備なドラゴンの胸元に一閃。

一拍遅れてドラゴンの胸から血飛沫が迸った。

 

「死神・・・・・っ!」

 

『・・・・・』

 

・・・・・次の瞬間。マントが勝手に破け、血が噴き出した。今まで以上の傷を負った。

また、また死神が傷付いた・・・・・!死神に傷付いて欲しくないのに・・・・・!

・・・・・私はハンカチを取り出して死神の血を止血しようと傷口に抑え込むけれど、ハンカチは赤く染まり続けて止血は意味も無くなっていく。

様子を窺わせる死神に高城先輩は顎に手をやって指摘したのだった。

 

「・・・・・やはり、先ほどからあなたが傷付く理由はフィードバックによる影響ですか」

 

「死神君・・・・・あなたはなぜ苦痛を上げないのですか?」

 

「・・・・・」

 

・・・・・この現象にこの場にいる皆が驚きの色を隠せないでいた。死神はスケッチブックでこう伝える。

 

『・・・・・理解したようだな。確かに俺の召喚獣は観察処分者と同じフィードバックを

設定している。その受けるダメージは100%。当然、召喚獣が受けた傷は俺にもダイレクトに

伝わりこうなる。だが、お前達が気にするようなことではない』

 

・・・・・血が出ているのに、大して気にしていないかのようにスケッチブックで伝えた。

 

『・・・・・それと、俺がなぜ苦痛を上げないのかというと・・・・・』

 

・・・・・ドラゴンが火炎を辺りに吐き続け辺り一面火の海と化となる。

先輩達はその炎の領域から遠ざかっていた。

 

『・・・・・俺は強いからな。それがそれなりのハンデとなるからだ』

 

「・・・・・そんなハンデ、必要ないっ」

 

・・・・・炎に包まれるドラゴンは光に包まれ、人型へと形を代わっていく。

 

『・・・・・俺自身の戒めでもある』

 

・・・・・すると、炎から赤い全身鎧を身につけた召喚獣が現れ、またたく間に相手の

二人の召喚獣を殴り、蹴り飛ばした。

 

「・・・・・どうしてそんな事をする必要があるの・・・・・?」

 

・・・・・ハンカチ程度じゃ止血できないなら私自身が止血しようと死神に抱きついた。

制服が血で汚れても構わない。これ以上死神の血を流したら大量出血で

死んでしまう・・・・・そんなの、そんなの絶対に嫌だ・・・・・!

 

『・・・・・そうする必要があると思ったからだ』

 

・・・・・小暮先輩と高城先輩は止血している私を余所に狙いを死神に絞って飛び掛かる。

攻撃し辛い状況でも負けることはできないのが現実。死神の召喚獣はそんな

二人の先輩の召喚獣に対して背中から生やした赤い翼の両翼で防御に徹している。

 

「・・・・・私が弱いから死神が・・・・・!」

 

『・・・・・それは違う。お前は何も悪くはない』

 

・・・・・死神と話しているその間に一瞬の閃光が迸った。死神の召喚獣、ドラゴンの

翼が貫かれ、顔まで届いた。・・・・・召喚獣の急所の一つに直撃し、

死神の点数が一気に100桁まで減ってしまった。

 

―――ピシッ!

 

『・・・・・っ!?』

 

・・・・・小高い音がハーデスの髑髏の仮面から聞こえた。仮面に罅が入った音だと

気付いた私は慌てて片手で仮面を抑えた。抑えていなければ完全に仮面が割れて顔を晒してしまうからだ。・・・・・でも、赤い目の部分だけが剥がれてしまい、金色で垂直のスリット状の目が見えちゃっている・・・・・。

 

「その目は・・・・・」

 

『・・・・・ちっ』

 

・・・・・片目を覗かれたことに舌打ちした死神は龍を模した赤い全身鎧の召喚獣を操作した。

相手の召喚獣を撹乱しつつ2対1の状態でギリギリ倒した死神。・・・・・死神は強い。

だけど、時々無茶する。召喚獣が暴走した時もそう。そして今回も・・・・・。

 

 

―――☆☆☆―――

 

 

―――保健室―――

 

 

 

「ハーデス。もうフィードバックの痛覚度を減らすのじゃ!」

 

「そうだよ!また、また死神君が傷付くところなんてボクは見たくないよ!」

 

「愛子の言う通りよ。いくらハンデだからって自分が傷ついて良い道理じゃないわよ」

 

「・・・・・何時か死んじゃう。そんなこと私は嫌・・・・・・」

 

学年対抗肝試しは第二学年の勝利と幕を閉じ、補習と夏季講習の最終日という開放感や

片付けは必要ないという学園長のお達しもあって、下校していく皆は晴れ晴れとした顔を

しておった中ワシらは傷付いたハーデスがいる保健室へ入り込み、叱咤する。無論、明久達も一緒じゃ。

 

『・・・・・フィードバックはこのままの設定だ』

 

「ハーデス、もしかしてキミ・・・・・ドM?」

 

 

ガチャッ。

 

 

「いえ、なんでもございません」

 

どこからともなく取り出し明久に突き出すガドリングガン。

それをベッドの脇に置いて立ち上がった。

 

「って、まだ立ち上がっちゃダメだよ!保険の先生は安静にしろって―――!」

 

『・・・・・問題ない』

 

「あれ、なんだかデジャブ」

 

明久、何を言っておるのじゃ?早くハーデスをベッドに押し戻さないといかんじゃろうに。

 

『・・・・・』

 

巻かれた包帯を解いたハーデス。包帯の下にあるはずの傷が・・・・・ない!?

 

「え・・・・・傷がない・・・・・?どうして・・・・・?」

 

『・・・・・俺の身体は瞬時で傷が治る体質だ。出血した分の血は戻らないが、

傷はこの通り治る。だから心配なんて必要ないんだよ』

 

「まるで、姉さんの瞬間回復みたいだな・・・・・」

 

「確かに、似ているわね」

 

直江と川神が心当たりがある発言をする。

 

「だから、あの暴走召喚獣の時も傷が無くなっていたのか・・・・・」

 

『・・・・・そう言うことだ。林冲達、帰るぞ』

 

「ちょっ、アンタ。本当に大丈夫なの!?」

 

『・・・・・心配掛けて悪いな。だが、大丈夫だ』

 

それだけ言い残しハーデスは極道達を引き連れて保健室からいなくなった。

 

「・・・・・あいつ、なんだか隠し事が多くね?」

 

「そうね・・・・・まだアタシ達のこと信用していないのかしら・・・・・」

 

「それに、あまり僕達に知られたくなさそうだしこれ以上僕達を踏みこさせないような感じだったね」

 

「俺達と線を引いているってことかよ?」

 

「・・・・・理解不能」

 

ハーデス・・・・・お主のことを知っているワシや姉上、霧島、工藤にまでどうして

そんな態度で接するのじゃ・・・・・?

ワシはお主にとってまだ信頼のない男じゃというのか・・・・・?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・いいんですか」

 

『・・・・・なにがだ?』

 

「リンが言いたいのは、あいつらにあんな冷たい態度をしてもいいのかってことだよ」

 

「そうだねー。もう少し優しく接しても良いんじゃないの?」

 

『・・・・・あまり、俺に依存されても困るからな』

 

「だが、心配しているのはお前のことを」

 

『・・・・・俺は架空の存在だ。死神・ハーデスなんてこの世には存在しない』

 

「ですが、あなたはちゃんと存在しています。偽名で名乗っていようがあなたは確かに・・・・・」

 

『・・・・・俺はこの世界のバグに等しい。いつか必ず消えないとダメだ』

 

「・・・・・っ」

 

『・・・・・お前らとも何時か別れないといけなくなる。

そう思うと俺は少し、寂しく思う。お前らもあまり俺を依存するなよ。辛くなるだけだ』


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