バカと真剣とドラゴン―――完結―――   作:ダーク・シリウス

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第二問!

放課後。俺達は一旦家に戻って必要な物を用意し、待ち合わせ場所に集合した。

メンバーは何時も通り、FクラスとAクラスの主力メンバー。今回は前回と違って

武の心得があるメンバーは武器を所持しての集まりだ。

皆が集まれば親不孝通りの奥、立ち入り禁止区域に足を運ぶ。

 

「今回は大丈夫ね!」

 

「うむ、武器を持った私達は強いからな!」

 

「油断はしないけどね」

 

「モモ先輩も一緒だし、どんな敵だって問題ないからね」

 

「ああ、暴れるなら喜んで相手になってやるよ」

 

前回の失敗を次に活かす。武神の川神百代こと姉さんにも同伴してもらいハーデスの

家へと赴く。

 

「しっかし、あの死神の家が親不孝通りの立ち入り禁止区域にあるなんてな」

 

「その上、ヤクザとマフィアも纏めているんだぜ」

 

「へぇ、それは凄いな。あいつにそんな才能もあるのか」

 

感嘆する姉さん。俺達は治安の悪い町中を歩き続けること数分。

銃弾と金属音が聞こえ始めた。

 

「これって・・・・・誰かが戦っているの?」

 

「みたいだね」

 

「よし、私が手っ取り早く鎮圧して来てやろう」

 

暴れられると活き活きしだす姉さん。いなくなって直ぐに大きな音が聞こえてきた。

俺達も姉さんの後を追って駆けだす。そして、姉さんを見つけたかと思えば。

 

「貴様、私達の勝負を邪魔するとはいい度胸だな!」

 

「私の家族に手を出してタダでは許さない!」

 

見知らぬ二人の少女と戦っている姉さん。その周りにはヤクザやマフィアの人達が

倒されていた。

 

「これ、どうなっているの?」

 

「さ、さあ・・・・・」

 

なんだか俺達が思っているような状況ではなさそうだ。呆然と見ていると、

二人の少女は姉さんと戦ってまだ負けないことに驚嘆する。二人の武器と突然現れる

氷に驚かされるが、運動神経も中々のようだ。

 

「ははっ!面白い、こんな場所でこんな強い美少女二人がいるなんて知らなかったぞ!

俄然、楽しくなってきた!」

 

姉さんが楽しそうに笑みを浮かべる。

だけど、対するあの二人は完全に姉さんを敵として認識している。

刀から銃弾を撃ち出すが、姉さんは軽やかに弾き返しても突然発生する氷の壁に銃弾は

防がれ、その氷の壁が散弾銃のように姉さんに向かって四散する。

その氷を拳で打ち砕き突貫する。

 

「川神流、無双正拳突き!」

 

「死ねッ!」

 

少女のレイピアが真っ直ぐ姉さんの拳に向かう。

だけど、その攻撃じゃ姉さんには敵わない。

と、そう思ったら姉さんの真上から10メートルほどの氷塊が落ちてきた。

流石に姉さんはそれから回避したけれど氷塊の影から現れた少女の斬撃に反応し後退する。

 

「―――面白い」

 

姉さんが深い笑みを浮かべたら手に気を集束し始める。

 

「お前達のような存在がいるんだな。

やはり世界を旅してみるのは悪くないかもしれない。あの旅人のように」

 

「旅人?貴様、旅人を知っている者か?」

 

「なに・・・・・?」

 

・・・・・・この少女、旅人さんを知っているのか?

 

「お前、旅人を知っているのか?」

 

「「・・・・・」」

 

二人の少女は顔を見合わせる。姉さんはさらに問い詰める。

 

「旅人のこと、知っているんだな?いまどこにいる?知っているならば教えろ」

 

その問いに二人の少女はこう答えた。

 

「教える気はないな」

 

「いきなり攻撃を仕掛けられてそう簡単に教えるとでも?」

 

「・・・・・そうか」

 

拒まれた姉さんの闘気がますます強まる。手に集束していた気の光が強くなる。

 

「なら、力尽くで聞きだすしかないな。川神流―――」

 

二人に向かってその気を放とうとする。その二人の背後には・・・・・あっ、

 

「待って姉さん!二人の後ろにある建物は―――!」

 

「星殺しぃっ!」

 

俺の制止が虚しく、極太のエネルギー砲が二人の少女に向かって伸びた。

所見であるにも拘わらず、あの二人は横にかわして姉さんの攻撃を避けた。

でも、後の建物に直撃して・・・・・6割ぐらい壊れた。

 

「外したか。まあ、後の建物は廃ビルみたいだから壊れても問題はないか」

 

知らないからそんな風に言ってそんな態度をしていられる。

けれど・・・・・その廃ビルは・・・・・ハーデスの家なんだよ。

 

「き、貴様・・・・・!あの家を壊したな!?」

 

「は?家?あの廃ビルが?」

 

「見た目はそうだが、中身はちゃんとした人が住めれる環境が整っていたんだぞ!」

 

「・・・・・」

 

姉さんから戸惑いが伝わってきた。

 

「あの人は大丈夫か!?」

 

「多分、大丈夫だろうが・・・・・・怒っているだろうな」

 

「・・・・・私達まで説教される可能性は?」

 

「ある・・・・・だろうなぁ・・・・・」

 

それって・・・・・俺達にも巻き込まれるのか?

 

「おい大和・・・・・?あの廃ビルは誰かの家だったのか?」

 

「・・・・・ハーデスの家だったんだよ」

 

「お、おい・・・・・どうしてそれを早く言わなかったんだ?」

 

「まさか、姉さんが大技で攻撃するとは思わなかったんだよ。

これ・・・・・どーすんの?」

 

壊れた廃ビルをただ立ち尽くしてみるだけしかできない俺達。

だが、その時。廃ビルから一瞬の閃光が生じた。

あまりにも眩い為、腕で目を覆い隠す。

光が止む頃に眼前に目を向ければ・・・・・壊れたはずの廃ビルが元に戻っていた。

 

「ど、どうなっている・・・・・?」

 

「わ、分からない・・・・・」

 

勝手に元の状態に戻るなんて・・・・・一体・・・・・誰の仕業・・・・・・?

そう思っていると廃ビルから誰かが現れた。

 

『・・・・・』

 

この家の主・・・・・ハーデスだった。赤い目の光が爛々と輝いている。

 

『・・・・・誰が家を壊した?』

 

そう書かれたスケッチブックを突きつけるハーデス。

その問いに俺達の視線は無意識に姉さんへ向けてしまった。

俺達の視線にハーデスは姉さんに顔を向ける。

 

『・・・・・川神、百代か』

 

「い、イヤ違うぞ死神?私はてっきり廃ビルだと思って・・・・・」

 

『・・・・・廃ビルなら、勝手に壊していい道理ではないはずだが?

それともお前はそこまで偉い人間か?』

 

「うっ・・・・・それは・・・・・」

 

『・・・・・お前、少しはしゃぎすぎだ』

 

刹那、音も無く姉さんの真正面に移動したハーデスが姉さんの胸倉を摑むと

コンクリートに向かって叩き付けた。

 

「―――――っ!?」

 

背中から叩きつけられた姉さん。反応すらできずにいる自分に目を丸くして

視線をハーデスに向けていた。

 

「嘘、お姉様があんなりあっさり・・・・・?」

 

「ハーデス・・・・・まさかと思うが川神先輩をも

上回る実力者だったのか・・・・・?」

 

「た、たまたまじゃねぇの?」

 

だと、いいがな。驚く俺達を余所に姉さんの胸倉を離したハーデスは周囲にいる

ヤクザとマフィアに目を向ける。

 

『・・・・・全員、重傷ってほどではなさそうだな。遼、エスデス。皆を連れて帰れ』

 

「わ、分かった・・・・・」

 

「お前はどうするのだ?」

 

『・・・・・こいつらとは約束事がある。俺はそれに付き合わないといけない』

 

「なら、後で私もあなたの家に訪れるぞ」

 

「私も、色々と訊きたいことができた」

 

『・・・・・勝手にしろ』

 

踵返したハーデスが俺達に向かって手招く。ついて来いという意味だろう。

姉さんを起こさせて壊れたはずの廃ビルの中へと俺達は入ったのだった。

 

 

 

 

「「失礼するぞ」」

 

「はやっ!?もう家に来たよこの二人!」

 

「この家の近くなんだ。家族を家の敷地にまで連れて行ったらすぐにきた」

 

「私も同じだ」

 

二人の少女は我が家のように椅子に座る。

 

「自己紹介はまだだったな。私は極道遼子だ」

 

「私はフィリーリング・エースデース」

 

名乗った二人の少女。さっきの戦いを見てこの二人は強者だということは分かった。

 

「ヤクザとマフィアの娘・・・・・?」

 

「世間ではそう認知されるだろうな。まあ、その通りだがな」

 

「えっと、どうしてハーデスのことを知っているの?」

 

「突然殴り込みされたから知ったのだ。あっさりと倒されたが、

父上が彼に惚れこんでしまい、私も一目惚れをしたのだ」

 

「私とお父さんも彼に惚れこんだわ」

 

熱い視線をハーデスに送る二人。・・・・・ハーデス、お前の話は本当だったんだな。

 

「あ、あのー旅人さんを知っているみたいだけどどういう関係で?」

 

「出会って間もない者に教えるほど私はお人好しじゃない」

 

「右に同じく」

 

・・・・・なんとまあ、ヤクザとマフィアらしい発言だ。

 

「あの、フィリーリングさん?」

 

「なんだ」

 

「見間違えかと思うけど、氷を出していなかった?」

 

「そんなことか。人体発火現象みたいな体質で私は生まれつき氷を操ることができる」

 

「氷を・・・・・?」

 

「そこにいる死神に指導を受けている最中だがな」

 

ハーデス・・・・・鍛えてどうしたいんだ。っと、こうしている場合じゃない。

 

「皆、勉強会をしよう」

 

「あっ、そうだったね」

 

促せば思い出したかのように面々は教科書とノートを開いて筆を手にする。

 

「む、勉学か」

 

「ああ、二日後にとあることをするからその為に」

 

「なにをするんだ?」

 

「神月学園って知っているだろう?」

 

「神月学園・・・・・お前らはそこの学校の生徒か?」

 

極道の質問に明久が頷いた。

 

「うん、そうだよ。僕らは二日後に行う試召戦争を勝つために勉強して

点数を上げないといけないんだ」

 

「そういうことか。神月学園、試験召喚システムの話は聞いているぞ」

 

「弱肉強食、格差社会。最近では英雄のクローンも入ったそうだな」

 

「そうだね。僕達は英雄のクローンがいるクラスと戦うんだよね」

 

「英雄のクローンと直接か?お前みたいなバカ面が勝てるとは思えないがな」

 

今日初めて会った少女にバカ面・・・・・。お前の最初の印象がそれのようだぞ。

 

「僕が肉体的な意味で戦うんじゃなくて召喚獣が戦うんだよ」

 

「・・・・・召喚獣?」

 

「説明するより見せた方が良いかな。翔一、お願い」

 

「おう!起動(アウェイクン)ッ!」

 

キャップが召喚獣召喚専用フィールドを展開する黒金の腕輪を起動させる。

二人に取ってみたこともない空間が広がって、

 

「それで、これが僕の召喚獣、試獣召喚(サモン)ッ!」

 

フィールドに幾何学的な魔方陣が発現し、明久をフォルムした召喚獣が召喚された。

 

「おお・・・・・これが召喚獣とやらか」

 

「科目は日本史、この169点という数字は点数か?」

 

「その通りだ。俺達神月学園の生徒はこの召喚獣を操作して他のクラスと戦い、

勝てば設備の向上や違うクラスを奪うこともできるんだ」

 

坂本が説明口調で言う。極道とフィリーリングは興味深そうに明久の召喚獣を見つめ、

徐に手を伸ばした。

 

「これは触れるのか」

 

「いんや、それは明久だけだ。本来の召喚獣は触れることもできないんだからな」

 

「触れれないならどうして触れるのだ?」

 

「あー、神月学園には観察処分者っていう称号みたいなもんがあるんだ。

観察処分者は平たく言えば学校一のバカ、社会に出したら恥ずかしいほどの

至高のバカという意味も含まれている」

 

つまらなさそうに坂本が説明すれば案の定、明久の奴が食って掛かった。

 

「きっさまぁっ!初対面の人に僕の印象を悪くするんじゃない!」

 

「事実だろう?」

 

不敵に申す坂本。確かにバカはバカだが・・・・・ちょっとそれは言い過ぎだ。

 

「それと、クラスごとに代表が一人いる。俺達は学力が最低なFクラス。

まあ、簡単に言うとバカしかいないクラスだ。そんなクラスの代表があそこにいる

赤い髪のゴリラだ。俺達の中で一番バカな代表でもある」

 

「おい直江。その説明は大きく間違っているぞ」

 

「どういうところだ?」

 

「俺はクラスの中で一番バカだということだ。

俺はFクラスの代表だからお前らよりは―――」

 

そこで俺は坂本の話を遮った。底意地の悪い笑みを浮かべながらだ。

 

「えぇー?ハーデスと姫路より劣っているのに俺達より頭が良いなんて

言いだすわけないよな?」

 

「ぐっ・・・・・!」

 

「それにお前、女に対して情けないじゃん」

 

「だっ、誰が情けないんだ!俺は別に女なんてなんとでもないんだ!」

 

「女なんてなんとでもないのか?」

 

「ああそうだ。俺が女に―――はっ!?」

 

ふ・・・・・今頃気づいたってもう遅いっ!

 

「ハーデス。坂本の今の発言、録音したよな?」

 

この手の話を逃すとは思えないハーデスに声を掛けると、

片手に小型録音機を持つハーデスが親指を立てていた。

 

『・・・・・バッチリ』

 

「お、お前ら・・・・・っ!」

 

俺とハーデスの連携に畏怖の念を抱いている坂本に不敵な物言いで告げる。

 

「よぉーし、坂本君。女なんてなんとでもないんなら・・・・・霧島の妹から

何もされても問題はないんだろう?今日は泊まり込みでハーデスの家に来たんだ。

霧島の妹と夜を過ごしたまえ」

 

「ばっ!何言ってやがるんだテメェはっ!?ハーデスが許す訳がないだろうが!」

 

『・・・・・?別に良いぞ。鉄の扉の部屋で二人きり過ごすといい』

 

「死神・・・・・ありがとう」

 

霧島の妹がはにかんだ。とても嬉しそうだ。

 

『・・・・・防音の部屋だからどんなに騒いでも音が漏れない。思う存分に楽しめ』

 

「うん・・・・・頑張る」

 

「待て翔花。お前は一体俺に何をする気だ!?」

 

「人前じゃ・・・・・恥ずかしくて言えない」

 

「こいつ変態だぁっ!?」

 

さっきから騒がしい奴だ。勉強ができやしない。

 

 

―――☆☆☆―――

 

 

数時間ほど勉強会をした後は夕食。その後僕達男子は休憩している間に女子の皆は

ハーデスの案内のもと大浴場へ入りに行った。入浴時間は3時間。

女子の皆が出てきたら男子である僕達も入浴ができる。

 

「ムッツリーニ、覗きに行くの?」

 

「・・・・・」

 

ハーデスから購入した透明マントを羽織ってカメラを持ってどこかへと行こうとする

ムッツリーニに声を掛けた。僕の問いにコクリと静かに肯定と頷くあいつに、

 

「よし。僕もついて行くよ」

 

「・・・・・大浴場の場所は調べた」

 

何時の間に・・・・・さすがムッツリーニだ。透明マントの中に入らさせてもらい、

ムッツリーニと一緒に大浴場へと向かう。大浴場は三階にあるらしく、

露天風呂は開閉式の屋内。これはハーデスから聞いた情報だ。

他にも三階は色んな部屋があるけど、大浴場と露天風呂からかなり離れている。

まるで強化合宿の構造みたいだ、長い廊下の先に大浴場があるんだからね。

足音を立てず、螺旋階段のような階段を上って行く女子を追う。

 

『死神君は一人でこの家に住んで寂しくはない?』

 

『改めて辺りを見渡すと死神の家って大きいわね』

 

『死神、私と一緒に入らないか?』

 

『エスデス、それは私の台詞だ』

 

くっ、なんだろう。ハーデスがモテているように聞こえる!

 

「須川君達と異端審問会をするべきかなムッツリーニ」

 

「・・・・・言い逃れできない証拠を手に入れるべきだ」

 

僕の気持と一緒のようで、目に嫉妬の炎が燃えている。ハーデス達が三階に辿り着き、

廊下の奥へと姿を消すと三階まで一気に上がり、曲がり角で留まり息を止める。

 

「・・・・・明久」

 

「分かっている。足は引っ張らないよ」

 

「・・・・・行くぞ」

 

僕の言葉に満足したようだ。ムッツリーニと共に動く。

男に生まれたなら男として果たすべきだ。この大願、今こそ・・・・・!

廊下を早足で進むと、別の廊下に隠れては進んで、家の中にある有り得ない

自動販売機の影に隠れ、ハーデスが女子達に大浴場の中で説明している間に僕達は―――。

 

ガタッ!

 

「「・・・・・」」

 

大浴場に繋がる廊下の壁が勝手に開いた。僕達は思わず足を停め、様子を見守ると。

壁から・・・・・大型犬のフォームでできた機械的なロボットが三匹出てきた。

 

「・・・・・ムッツリーニ。あれはもしかしなくてもさ。警備ロボットってやつかな?」

 

「・・・・・俺達の姿は見えていないはず」

 

そうだよね?そう思いたいよ?でもさ、あの大型犬のロボット。

口内から銃口のようなものを出してきたよ?

 

ボワッ!

 

その銃口から灼熱の火炎放射を吐きだしてきた。ムッツリーニと共に来た道に

駆け足で戻って大浴場から退散した。

 

「なにあれ!あんなシステムがあるなんて聞いてないよ!」

 

「・・・・・相手は死神だ。俺達の行動を予測した結果かもしれない・・・・・!」

 

警備ロボットが追いかけてくる気配はない。おのれハーデス!

僕達の覇道を邪魔をするというんだな!?

 

『ガウッ!』

 

「って、目の前から!?」

 

「・・・・・追いかけなかったのは先回りしていたからか・・・・・!」

 

 

―――☆☆☆―――

 

 

「・・・・・んで、覗きをしようとしたけど失敗してそんなアフロになったわけだな?」

 

「うん・・・・・」

 

「・・・・・」

 

今でのんびり寛いでいたら土屋と明久が頭がアフロの状態で戻ってきた理由が

よく分かった。昭和のコントよろしく。笑えないな。

 

「お主ら、ハーデスの家で何をしておるのじゃ・・・・・」

 

「お、男なら当然の行動じゃないか秀吉ぃ・・・・・」

 

「それはそうじゃろうと、人様の家で迷惑を掛けるようなことはしてならないとワシは思うのじゃ」

 

「うっ、そう言われると返す言葉が出ない・・・・・」

 

しかし、家に警備ロボットってどんだけ厳戒な警備システム何だよ。

火炎放射を吐くってありえねぇ・・・・・。

 

『どわぁぁぁああああああああああああっ!?』

 

どこからか悲鳴が聞こえてきた。今の悲鳴、ガクトか?そう思っていたら

俺達がいるこの部屋の扉が開いた。

 

「・・・・・」

 

視線をそこに向けるなり全身黒コゲでアフロとなった髪のガクトが現れた。

おいおい・・・・・お前まで・・・・・。

 

「・・・・・ガクト、覗きをしようとしたな?」

 

「なぜ分かった」

 

「明久と土屋を見れば分かる」

 

ガクトにそう言うと、髪がアフロな二人を見つめ・・・・・。

 

「そうか、ここにも同じ志を持つ仲間がいたんだな」

 

「キミの勇敢な行動を敬意するよ」

 

「・・・・・同士」

 

覗きの三人が固く握手をした。呆れていると真剣な面持ちで三人は、

 

「今度は三人で行こう。あのロボットを一人一殺すれば勝てる!」

 

「行こう!僕達の桃源郷へ!」

 

「・・・・・三人集えば文殊の知恵」

 

あろうことか、また覗きをしようといなくなったバカ三人。―――しばらくして、

 

『『『ハ、ハーデスゥゥゥゥウウウウウウウウウウウッ!?』』』

 

「・・・・・今度は家主に捕まれたか」

 

同情の余地はないと奴らを見捨てる。例え、丸坊主になったファミリーと友達と

ムッツリスケベを見てもだ。


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