バカと真剣とドラゴン―――完結―――   作:ダーク・シリウス

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基本的、真剣で私にD×Dに恋しなさい!S改の話とバカテストの話を混ぜた投稿作品にします。
主人公の吉井明久、直江大和を中心に投稿し、
今回も一誠は最強の位置で各原作キャラと接します。


始まりの試験召喚獣召喚
第一問だよ?


穏やかに、そして広大に広がる海原には一つの大陸が隆起し、大陸として存在していた。

二つの国に挟まれる状況でもその大陸の上に存在する数多の建物や天にまで

突き伸びる巨大な塔の先は地上から見上げても肉眼で捉えることは不可能。

驚くことにその塔は未だに建設中で完成はあと一歩というところまできているのだが、

塔の麓、正確に言えば四方に壮大な建物が四つ。塔を囲む形で作られおり、その大陸には

五人の少年と少女達、そんな五人を慕い、道を共にする者達が国を治めている。

 

「―――ご主人様。朝でございますよ?」

 

窓から日差しが差し込む、そんな部屋に艶やかな黒い髪をサイドに結んだ緑を基調とした

学生服のような服装を身に包む十代後半の少女が、未だに白い布団の中で夢の中にいる

少年を優しく声を掛ける。

慈しみが籠った琥珀の双眸に、年不相応に育って白いワイシャツを盛り上げている双丘、

すらりとした腰の括れ、黒いストッキングを肉付きがいい太股を包んでいる。

百人に訊いたら百人が美少女と答えるだろうそんな少女が少年を起こそうとしているのだった。

 

「ご主人様、そろそろ起きないと・・・・・」

 

声音が若干変わった。無理矢理起こすのは失礼であることを胸の中で謝罪し、

少年が駆けている白いシーツをはぎ取った。

 

「・・・・・」

 

途端に少女の顔が固まった。本来、いるはずのない者が幸せそうに寝顔をしていて、

しっかりと少年の寝間着を掴んでいるのだ。一人だけではない、二人もだ。

そんな二人を見て少女の身体は次第に振るえ―――、双眸に怒りの炎が籠り、口を大きく開けた。

 

「なにをしているんだお前達!」

 

 

 

 

 

「お前達!ご主人様と添い寝する日ではなかったはずだ!

なのにどうしてこの部屋で寝ている!?」

 

「この御方の人肌が恋しくなってな・・・・・」

 

「姉者共々申し訳ない」

 

水色の髪が片目を隠す程まで伸びているクールビューティーな少女とアホ毛がある背中にまで

伸びた黒髪の少女が少年を起こしに来た少女に如かれていた。

 

「まったく・・・・・どうして皆は決めたことを守らないのだ・・・・・これでは意味が

 ないではないか」

 

「あの御方を慕っているからこそではないか。お前とてそうだろう?」

 

「そ、それは・・・・・そうだが・・・・・」

 

肯定するものの不満げな表情を浮かべる。

少女も少年に慕っている一人であることはもう明白だろう。

できることならばいつまでも傍にいたいという気持ちを理性で抑えている

自分を余所に周りは好き勝手に自重の言葉、自重すら知らないのか、あるいはする気が無いのか

堂々と決め事を放棄しているのだ。

これではまるで自分だけ一人相撲している感じがしてバカらしいではないかと心中愚痴る少女。

 

「まあ、あれだけお前が叫んでもこの御方は未だに寝ておられる。

うん、今度は私達のように愛紗が添い寝すればいいでは?」

 

「ば、バカなことを言うな!これから朝食の時間だぞ!?

と言うよりもとっくに過ぎている・・・・・」

 

「おお、そうだったのか!皆も待たせているのであれば急ごうではないか」

 

黒髪の少女がそう言いつつ少年の方へ振り返る。

 

「おーい、朝だぞー。起きろー」

 

言葉を掛けるだけの起こし方。黒髪の少女の起こし方に、水色の少女は待ったをかける。

 

「いや姉者。それだけのことでこの御方が起きた例は一度もない。ここは私が・・・・・」

 

「いや、私が最初にこの御方を起こそうとしていたのだ。私がやるのが道理であろう」

 

愛紗がずいっと主張する。だが、水色の髪の少女はその主張を阻む。

 

「大丈夫だ。起こし方も熟知している。

愛紗は先に食べてくれと皆に伝えてくれないだろうか?」

 

「む・・・・・」

 

「・・・・・」

 

互いが譲らず、二人の少女の間で火花が散る。

そんな最中、黒髪の少女が少年を背負って部屋を後にした。

 

「―――あ、姉者がいなくなった」

 

「あの御方もいないだと!?」

 

―――漁夫の利をされたか!―――

 

 

 

 

「ミイラ取りがミイラとはまさしくこのことね?」

 

「・・・・・すまない」

 

愛紗は水色の髪の少女と共に急いでとある場所へと赴いた。

入るや否や、小柄で金髪のツイン縦ロール、透き通った青い瞳の少女が

皮肉気に開口一番で声を掛けてきた。気不味い気分のまま開いている席に座る。

大きな丸いテーブルに置かれている様々な料理は手つかずで愛紗達を待っていたことを窺えた。

申し訳ないと面持ちで周りを見渡す。厳密に言えば少年をだ。

黒髪の少女に連れて来られた少年は―――。

 

「寝癖を直してあげますわ」

 

「ん・・・・・ありがとう」

 

紫色の髪を腰辺りまで伸ばす蠱惑的な女性に真紅の髪を櫛で梳かされている。

まだ少し眠気から覚めていないのか、ボーとしていて女性に成すがままにされている。

それを見て愛紗は羨望の眼差しを向けると、

 

「秋蘭、春蘭。抜け駆けしたようだから罰として今月の給金半分にするわ」

 

「なっ、そんな殺生な!そんなことされたら―――」

 

「姉者、それ以上言うと給金がもらえなくなると思うから言わない方が良い」

 

「あら、気になることを言うのね秋蘭?上司として是非とも聞かせてもらおうかしら?」

 

「しゅ、しゅうらぁぁぁん・・・・・」

 

「・・・・・すまない、姉者」

 

窮地とは言わないがそれ相応な罰を罰せられようとしている姉妹がいた。

 

「―――さてと」

 

『・・・・・』

 

真紅の髪を梳かされていた少年は完全に目を覚ましたようだ。呆けていた表情も凛々しく、

瞳は強い意志を籠めている。そんな少年に愛紗達は小さい頃、救われ少年を慕い、

少年のために誠心誠意、忠誠を誓っている。

 

「悪いな、朝食を食べよう。―――いただきます」

 

『いただきます!』

 

 

 

 

春麗・・・・・。桜が満開に咲く季節が訪れ、在学の生徒たちは進級し、

初めて通う高校に青春を謳歌、または自分の能力をさらなる向上を、

心中緊張の気持ちで抱く大勢の新入生たちが川神文月学園、略して神月学園の門を潜っていく。

 

「おはよー」

 

僕は集団で登校する生徒たちに接触する。

 

「おー、明久じゃねぇか」

 

「皆のんびりしているね」

 

「テトリスのピースになっていく姉さんの挑戦者達を見ていたら、既に遅刻確定だ。

 なら、遅刻者は遅刻者らしく威風堂々と歩いて行けばいいってことだ」

 

「ははは・・・・・川神先輩は相変わらず凄いね」

 

脳裏に浮かぶ川神先輩に破れた敗者の末路。きっと骨をあらゆる方向に

曲げられて積み上げられたはずだ。

僕みたいに関節を外されて直ぐに戻せる人じゃないと入院が確定だ。

その時の費用は一体どうなるんだろうか?やはり、自腹だろうか?

 

「すっかり春だなー」

 

「そうね!・・・・・眠くなるわぁ・・・・・」

 

「ワン子、授業中寝たら先生に叱られるぞ」

 

「その時はフォローしないからよろしく」

 

「ええーっ!」

 

ワン子と呼ばれた栗毛のポニーテールの少女。名前は川神一子で、川神百代先輩の義妹だ。

活発で毎日ゲンキハツラツな性格、僕と同じ勉強が苦手だけど努力は絶対に怠らない。

それとワン子と呼ばれている理由は―――。

 

「それワン子。このビーフジャーキーを取って来い!」

 

この中で身長が高く、いつも身体を鍛えてビックガイになろうとしている筋肉隆起の島津岳人が棒状の肉を空高く思いっきり投げた途端。

 

「わおーん!」

 

嬉々と尻尾があったら絶対に激しく振っているであろう犬のようにビーフジャーキーを

追い掛けて行った。

ワン子と呼ばれる所以の一つである。他にも誰にも構わず懐いたり、犬と同等に躾けられ、

毎日元気にいるから何時しかワン子と呼ばれるようになったとか。本人は気にしていないし、

皆はそんな彼女を楽しそうに見守っている。

 

「そう言えば川神先輩は?」

 

「ああ、可愛い後輩と一緒に通学した」

 

「くそぅ・・・・・!俺にも春が欲しいぜ・・・・・!」

 

「ガクトは頑張る方向を間違えていなければモテているって」

 

「それは一体どんな方向だ!?」

 

「学力向上?」

 

「却下だ!」

 

「これからのガクトの未来が心配だぁ・・・・・」

 

遅刻確定だからって焦らずのんびりと行くなんてこの集団だけだね。

だからこそ、こんなメンバーと一緒にいたら心地よくて

僕もついつい彼らと一緒に行動してしまう。

 

「さーて、俺たちの新しい教室はどこかねー?」

 

「まー、結果は分かっているんだケド」

 

「Fだな」

 

「うん、Fだね」

 

「俺たち風間ファミリーが集えるクラスといえばそこだけだもんな!」

 

風間ファミリー。七人の幼馴染の集団。リーダーは赤いバンダナを頭に巻いている

イケメン=死ねの風間翔一だ。学校をサボってバイトだったり、違う地方まで言って

食べ物を買いに行くほどの自由すぎる男子学生だ。クラス振り分けの試験の時だって―――。

 

『せんせー。俺、バイトの時間が迫っているので行ってきます!』

 

って、抜け出す程の自由人だ。まるで風のように一ヵ所には留まらず

常にどこかへと行ってしまう。当然、途中欠席したため翔一はFだ。

 

「そういや明久。聞いたぜ、具合の悪い女の子のために自分も試験を放りだしたんだってな。

お前、男じゃねぇか」

 

「小学校からの知り合いだったし・・・・・助けてあげるのは当然だよ」

 

僕もとある理由で試験を抜け出したからFクラスになっているはずだ。

 

「くっ、俺様もそんな女の子がいたらすぐさま手を差し伸べてやるのに!」

 

「はいはい、ゴリラなガクトが介護したら逆に悲鳴が上がっちゃうかもしれない」

 

「バカに言われたくねぇっ!」

 

「なんだと!?僕だってバカなゴリラに言われたくないよ!」

 

「・・・・・どっちもどっち」

 

呆れ混じりに嘆息するのは、紫の髪に花の髪飾りをつけている女の子の椎名京。

 

「って、そろそろ本格的にヤバいんじゃね?」

 

「ん?そうか?というかワン子の奴はまだ戻ってこねぇー。これで呼ぶか」

 

ピーッ←犬笛の音である。

 

しばらくして、向こうから元気よく駆けてくるポニーテール。

 

「お前、どこまで行っていたんだよ?」

 

「学校の校門前よ!丁度そこに鉄人先生がいたわ!

 ・・・・・私のご飯をキャッチしていたし」

 

『・・・・・・』

 

鉄人・・・・・あ、あの人かぁああああああっ!?

これは本格的に拙いんじゃないかな!?鉄人といえば・・・・・!

 

「―――全力でダッシュだ!」

 

翔一の掛け声と共に、僕達は金メダルを取れるんじゃないかって

思うほど駆け足で学校の校門にむかった。

 

「お前ら、遅いぞ!」

 

玄関の前でドスのきいた声に僕達は足を停めた。

浅黒い肌をした短髪のいかにもスポーツマン然とした男が立っていた。

 

「あ、鉄人。おはようございます」

 

「鉄人、おはよーっす!」

 

「おはようございます、西村先生」

 

「鉄さん、おはようございます!」

 

「えーと、魔人カ○ザー先生おはようございます」

 

「・・・・・おはようございます」

 

軽く頭を下げて挨拶をする。何せ相手は生活指導の鬼、西村教諭だ。

目をつけられるとロクな目に遭わない。

 

「直江と椎名以外、ちゃんと西村先生と呼ばんか!このバカどもが!」

 

うわ、ハッキリ生徒の前で罵倒したよ!ちなみに鉄人と言うのは生徒の間での西村先生の渾名で、

その由来は先生の趣味であるトライアスロンだ。真冬でも半袖いる辺りも理由の一つだけど。

 

「それにしても、普通に『おはようございます』じゃないだろうが」

 

「えーっと、今日もいい筋肉ですね?」

 

「島津・・・・・お前は遅刻の謝罪よりも俺の身体の方が重要なのか?」

 

「男なら鍛え上げた体の筋肉を誇りに持たないでどうするんっすか!

今度また熱いレスリング対決をしようぜ!」

 

お、おえ・・・・・っ!ガ、ガクトォ・・・・・お前はなに言いだすんだよ!?

朝から気持ちの悪い発言をしないで!

 

「・・・・・まあ、生徒の中で俺と対等にレスリング対決できるのはお前しかいないだろうな」

 

あれ、鉄人も鉄人でまんざらじゃない!?

 

「ほら、受け取れ」

 

気を取り直した先生が懐から数枚の封筒を取り出し、僕達に差し出してくる。

宛名の欄には『吉井明久』と、大きく僕の名前に名前が書いてあった。

 

「「「「「「「あ、どーもです」」」」」」」

 

皆と揃って一応頭を下げながら受け取る。

 

「にしても、面倒なクラス編成の発表っすね」

 

「そうだな。普通に掲示板で発表したら楽じゃないっすか?」

 

うん、確かにね。こうやっていちいち全員に所属クラスを書いた紙を渡すなんて、

面倒なだけだと思うけど。ご丁寧に一枚一枚封筒に入れてあるし。

 

「普通はそうするんだけどな。まあ、ウチは世界的にも注目されている

最先端システムを導入した試験校だからな。この変わったやり方もその一環ってわけだ」

 

「その最先端システムって、蒼天から持ちかけられてこの実力主義の

学校に導入されたんですよね」

 

「ああ、あの国が開発してこの学校が試験校として選ばれ導入されたそうだな。

俺も詳しくは知らんが」

 

―――蒼天。とある海に存在する小さな国だ。それでも世界中の技術よりも技術が発展していて、

他の国じゃあ考えられない開発や、有り得ない生物も生息している周りから注目を集めている

有名な国だ。特に有名なのは宇宙にまで伸びている巨大な建造物だ。

宇宙開発も手を伸ばしている話もよくテレビで見る。

けれど、蒼天はどこの国とも同盟関係を結ばず、独立国家を数十年保っている。

それなのにどうしてだか日本のここ、神奈川県川神市のとある学校、

まあ僕たちが通っている川神文月学園=神月学園にオカルトと科学、偶然が重なった結果

完成された『試験召喚システム』というものを向こうから

『この学校で試験させてくれないか?』って風に話を持ちかけたらしい。

そして、それはもう十年前のことになる。どうしてこの学校なのか、

どうして周りの交流が閉鎖的だったあの国が日本のこの学校を選んだのか、

僕達学生はどんな結論を浮かべても分からないでいる。

気まぐれか、それともここではないといけない理由があるのか・・・・・。

 

「そんじゃ、先生。俺たちは行きますね」

 

「僕達のクラスも分かり切っていることだし」

 

「あー、やっぱりFクラスだわー」

 

僕以外の皆が封筒の中身を取り出して確認を終えていた。僕も封筒から取り出して

どこのクラスに所属されたのか確認―――っと。

 

 

―――吉井明久―――Fクラス―――

 

 

・・・・・だよね。まあ、いいや。僕は風間ファミリーと一緒に学園生活を謳歌

できれば問題ない。僕は風間ファミリーじゃないけど、皆は僕を迎え入れてくれる。

 

「ほーら、明久。私達のクラスに行くわよ!」

 

「通過中、他のクラスの中の様子を見ようぜ」

 

「でも、静かに行こうね」

 

「ガクトが騒がないように躾ける?」

 

「おい京。俺様をなんだと思っているんだよ」

 

「取り敢えず行こうぜ。今頃、先生がいるって」

 

ほら、皆は賑やかに行くんだよね。まったく、傍から見れば皆は今でも騒がしいと思うよ。

 

 

―――学園長室―――

 

 

「アンタからここに来るなんて珍しいじゃないか」

 

「なに、あれから十年・・・・・もうこの学校は周りから注目の的だ。

あなたをこの学校に配属させたのは俺自身でもあるんだからな。

久し振りに顔を出したわけだ。元気そうでなにより」

 

「ふん、まだ死にやしないさね。んで、久し振りの再会に世間話にでも

来たって・・・・・わけじゃないんだろう?」

 

「そうだな。本題に入る前に一つ訊きたいことが。報告書を読ませてもらったけど、

観察処分者が現れたんだって?」

 

「教師の私物を売った大バカがいてね。そいつに課したのさ」

 

「はは、大バカね。俺は好きだぜ?特に誰かのために必死にバカみたいに一生懸命な奴がさ。

それじゃ本題に入ろうか。俺もこの学校の生徒として入学したい。

すでに理事長には話がついているからさ」

 

「お前さんとあろう者が今さら生徒に?何か不備なことでも遭ったのかい?」

 

「ただの視察だ。それとシステムの調子を報告書だけじゃなく間近で確認したい

理由も含まれている。それに今日は一年生が二年生に進級したんだろう?

だったら、早速下位が上位クラスに戦争を仕掛ける可能性がある」

 

「仮にそれが本当だとして、アンタはどの学年のクラスに入るつもりだい?」

 

「ん・・・・・やはり、二年の下位クラスに所属しよう。―――思いっきり変装をしてな」


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