IS×GARO《牙狼》~闇を照らす者~   作:ジュンチェ

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神の牙…みれなかったよおおおおおおお!!!!!!

お久しぶりの更新。



戦~War~ 中編

………まず、だ。

 

自分はかなりまずい。楯無は爆発によって崩れた瓦礫だらけの空間にエンホウと共に閉じこめられた状況をなんとか打開しようとしていたが、エンホウによるナイフの連撃が行動の自由を許さない。幸い、部分展開した腕のISの装甲で攻撃が防げるのだが逃げ道は瓦礫で塞がれ窓はこのエリアには無いので脱出は不可能。ISを使うという手もあるが、それならエンホウをどうにかしなくてはならない。

 

「…どうした!それでも、最強の生徒会長か!?」

 

「くっ!」

 

せめて、この場に流牙か誰かいればまた状況は違っただろうが自分には魔導ホラーはおろかただのホラーになんて敵う術は無い。全く、学園最強の肩書きが泣ける。

 

(どうにか、しなくちゃ!!通信は………駄目か!!)

 

ならば、外部に助けをと思ったが既に手を打たれていたのかISのスピーカーからはノイズが響く。八方塞がりだ。持ちこたえるにしても流牙たちが気がつくまで耐えられるかどうか………

 

「お前は極力生きて捕らえるように言われている。おとなしくしろ。」

 

「エンホウ!」

 

苦し紛れに残っているかわからない良心に訴えてみる。正義を愛する人であった彼女なら、共に時を過ごした彼女なら………

 

「ふんっ!」

 

「!」

 

しかし、淡い期待は振るわれたナイフに無惨に切り裂かれて散った。平然と命を刈る刃は旧き仲だろうと牙を剥く…!装甲に火花が走り、異形の力が体を跳ねとばす!なんとか踏みとどまるも束の間の隙にエンホウの手が伸びて首を掴む。

 

「………がッ!?」

 

「フッ…他愛ない。」

 

致命的だった。いや、チェックメイト………いくら、ISのパワーで抗おうとも魔導ホラーのパワーには及ばない。 投げとばされ、ドンッ!!と壁に叩きつけられると肺から息が洩れた。

 

「かはっ………うっ…。エンホウ、何故…あなたがホラーに…?あなたには邪心なんて…」

 

ISのエネルギーもギリギリと警報が鳴り、衝撃で頭がくらくらする。絞りますだすような声しか出ないが尚も訴え続ける…が、無機質な眼差しでナイフを握りなおしゆっくりと間合いを詰めてくるエンホウ。

 

 

……その時だった

 

 

 

 

 

 

 

ドォォン!!!

 

 

 

「「!」」

 

 

突如、天井を貫いて降り立つ藍色の鎧。青み帯びた光を放つ猛禽のような兜は嘴のような上顎部分を起き上がらせると狼の顔を露にし、白い瞳を輝かせる。『幻影騎士 吼狼』……かつて、ラウラの件で姿を見せた謎の魔戒騎士。楯無を庇うように立つと、エンホウを蹴飛ばし叫ぶ!

 

「ここは俺に任せろ! 早く行け!!」

 

考える余裕も選ぶ時間もなかった。楯無は吼狼に促されるまま、彼の侵入してきた穴から脱出…『待て!』と追おうとしたエンホウだったがその前に吼狼が立ちはだかり、鎧を解除した。その顔を見るや、エンホウは目を見開く…!

 

 

「貴様は…!?」

 

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

 

苻礼法師のアジト…

 

 

 

「ついに始まってしまったか…!」

 

焦る苻礼法師。いくら予見していたとはいえ、最悪のタイミングで事を起こされた……昼かつ、生徒たち以外に一般人がいる学園で影ながら行動するなど無理な話。壺に映る映像を見る限り爆発で皆が混乱状態だし、楯無とは連絡がつかない…このままではまずい。ここでじっとはしていられない。

 

そこへ、学園の制服を着た人物が現れる。

 

「!…来たか!!俺も学園へ向かう。流牙たちを援護する……」

 

「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ズブッ

 

 

 

 

「!?」

 

 

貫かれる痛み。マントを羽織り、すれ違った直後に白刃が苻礼法師に牙を剥いた…。不意の激痛とショックで歯を食い縛りながら壁によりかかると魔戒剣を構えるその人物を睨みつける。

 

「貴様…。」

 

「悪いけど、引っ込んでてもらえます?苻礼法師?」

彼に凶刃を振るった相手。見覚えがある金髪に白い肌……中性的な顔立ちの彼女は………

 

 

 

 

 

……シャルロット・デュノアだった。

 

 

 

 

「やはり、全てお前の仕業だったのか……デュノア!!」

 

「やっぱり、勘づいてました?まあ、今更ですけどね………あなたが育てた篠ノ之束と箒…道外流牙は僕が貰いますよ。」

 

「させるか!羅号!!」

 

このままやられてなるものか。苻礼法師はマントから羅号を放ち、シャルに向かわせると傷に苦しみながらアジトを後にする………

 

このままでは、自分の育てた子たちが危ない。

 

 

 

 

 

 

 

★☆ ★☆ ★☆

 

 

 

 

 

 

「…篠ノ之!!」

 

「織斑先生!」

 

パニックの人々でごった返す校庭で千冬と箒は合流していた。どうやら、流牙や他の面々はまだ別の場所から向かっている最中なのだろう。

 

「これは、まさか…敵の仕業か?」

 

「恐らく。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「久し振りだな、箒…姉さん?」

 

 

 

 

「「!」」

 

そこへ、現れるサングラスをかけた黒づくめの青年。やはり、現れたか…と箒は息を呑み、千冬は目を細める。恐らく、事が起きれば真っ先に自分の所へ来る…自分が決着をつけないといけない相手。千冬の弟にて流牙すら退けた最強の魔導ホラー………一夏。

一方、一夏はリアクションの薄い千冬に驚いていた。

 

「あんまり驚かないんだね、姉さん?」

 

「既に流牙から聴いていたからな。まさか、本当にホラーになっているとはな………一夏!」

ま、別にそんなことだろうと思っていた…『あっそ』と笑いとばすと指を折って三叉の双剣に変形させるいち一夏。千冬は受けてたとうとするが、箒が制止する。

 

「千冬さん、ここは私が請け負います。流牙をはやく呼んで下さい。」

 

「いや、弟の不始末は姉の責任だ。私が………」

 

「千冬さん!………私は一夏のことを貴女に黙っていました。全て私の責任です。それに貴女ではホラーに渡りあう力は無い。お願いです………流牙たちを…!!」

 

「…篠ノ之………」

 

揺るがない決意…自分も流牙から弟がホラーになったことを聞いた時はかなり動揺したし、今…この瞬間に至るまで信じたくはなかった。しかし、彼女は痛みを乗り越え、自らの代わりに…そして、己の宿命に怯まず向き合っている。ならば、

 

「…死ぬなよ?直ぐに戻ってくる…!」

 

信じるのみ。背を向け、振り向かずに流牙たちを捜しに向かう。

そして、残る嗤う者と勇む者。一夏は箒を不気味に微笑むと手を拡げ語る……

 

「まさに、運命とはこのことだな。愛しあう二人が長い月日の果てに感動の再会…。箒……やはり、お前は俺の『月』だ。お前のさだめは俺と添い遂げるためにある。」

 

演劇で主役がヒロインをキザに口説くような言い回しだ。ただ、抑揚に含む興奮は本物だろう。

一方、箒は魔導筆を握りしめ間合いをとったまま…そのまま動かずにいると一夏が彼女へと手を伸ばす。

 

「さあ、来い箒。俺と共にくれば世界は思うままになる。ISも、国も、魔戒騎士も! 俺が王となり、お前が女王だ!!全てを偉大なる闇が支配する世界にッ!俺たちは……!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「もう、良いやめろ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

…されど、魔の手はとられることはない。

簡単に…あまりにもあっさりと……気取る者の勧誘は拒絶された。代わりに、憂いを帯びた哀しげな視線がかえされる。

 

「もう私の知っている一夏は死んだんだろう?その顔で何を語ったところで、耳障りだ。私には何も響かない。」

 

「なにぃィ??」

 

その時、一夏の顔が激しく歪む。ああ、まだ理解していないのか…自分がまだ姫を迎えにきた王子様などではない、醜悪な化け物だと。いくら取り繕ったところで滲みでる本質は誤魔化せないのだと……

 

そして、自分は責任を果たすためにここに来たのだと…

 

 

「全ては私が発端であり、背負うべき罪だ。刺し違えてても貴様を倒す。」

 

「何をおかしなことを言っている…?俺はお前の求めた『最強の魔戒騎士』だぞ。」

 

あの日、彼は最強の魔戒騎士になると約束を交わした。結果として彼は強くなった…光を捨て、闇を選ぶことで。私も一度は挫けたし、下手をしたら自分も闇に堕ちたかもしれないと箒自身も思う。だけど、今は違う。

 

「いいや、違う……私の知る『最強の魔戒騎士』とは……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……黄金騎士・牙狼<GARO>ッ!!! 道外流牙、ただひとり!!!!」

 

 

 

 

本当の強さはもうとっくに教えてもらったのだから。

 

 

 

すると、一夏は顔から笑みを消し去り…崩れんばかりにしかめると魔戒剣を抜く。

 

 

 

「どうやら、あの黄金騎士に毒され過ぎたらしいな?お仕置きが必要だな…」

 

 

「紅椿!!」

 

 

…切って落とされる戦いの火蓋。かつてのあの約束の記憶はすでに陰我の炎で焼け落ちていた…

 

 

 

 

 

 

 

< G A R O >

 

 

 

 

 


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