いうなれば軌跡の裏道   作:ゆーう1

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二章前半の最後


エピローグ:たとえ間違っていたとしても

身体中がいたい・・・

ベットに体を預けても痛みで眠れる気配がない。

隣のベットで気持ちよさげに寝ている僕を置いて逃げたリィンとマキアスを見ると怒りが沸々と込み上げてくる。

そう僕を置いて逃げた奴等を見ていると怒りがフルマックス。

アリサ達が幻滅するようなリィンの写真でもとってばらまいてやろうかな。

いや、やめておこう。もれなくリィンハーレムに殺される。僕が。

 

ていうかふざけんなよ。なんで僕がラウラたちにボコボコにされなきゃいけないんだ。

ラウラとフィーの戦術リンクを試したいとかいう頭がおかしい行為のせいで体がズタボロです。

あの子達本格的に僕のことサンドバックだと思い始めてるだろ。

 

 

 

横になっていても寝れる気配がない。

仕方なく体を起き上がらせるとまた緩やかな痛みが体を襲う。

後頭部を無造作にかきむしる。

 

「はぁ・・・痛くて寝れる気がしないし気晴らしに散歩でもするか。」

 

ーーー

 

「今日は色々あったなぁ。」

公園のベンチに腰を落とすと一言。

場所はマーテル公園。そうラウラ達が決闘して場所だ。

ブラブラと歩いていると自然とここにたどり着いてしまった。

ラウラたちにボコボコにされたというトラウマを思い出してしまうのが悲しいなぁ。

わざわざそんなところに行くってもしかして僕ってマゾヒスト?

まぁ、ここぐらいしか場所を覚えていなかったっていうのもあるけど。

 

夜の公園は当たり前だが静寂に包まれていた。

こう静かだと色々頭に浮かぶ。

 

ミント、ラウラ、フィー、エリオット、委員長、メガネ、クソイケメン、ツンデレ、金髪貴族、風さん、行き遅れさん、ケビン、孤児の兄弟……

 

本当に色んなことがあった。

色んなことがあったが文字通りあっただけだ。

僕は結局何もしていない。

僕は何もしなかった。

 

『このままでいいのか?』

『それは逃げているだけじゃないか?』

『臆病者』

 

そんな言葉が心に浮かび上がってきてしまった。

 

「いいに決まってる。僕にはこれしかない。」

「だってこれしか選びようがないでしょ?これが一番の最善手だよ。だったら僕はずっとこのままだ。」

「はぁ、分かってるよ。これが単なる強がりだって。だけど決めたことなんだよ。」

 

自問自答な独り言。

いつだって僕は自分に問いかけている。

そして、結局のところその問いには一切答えない。答えられない。

そんなことの繰り返しだ。

 

 

「なにを一人でぶつぶつ言っているのだ?」

 

「!?……!!???」

えっ 嘘。なんでラウラがいるの?

もしかして今の独り言聞かれていた?

何それ。すっごい恥ずかしいんだけど。

あー死にたくなってきた。

 

 

ーーー

 

とりあえず僕の独り言に問われても無言を決め込む。

夜中のテンションで喋った言葉なんて恥ずかしくて死ねる。

ていうか穴があったら入りたい。そこで1ヶ月は寝てたい。

 

ていうかなんでわざわざラウラは僕の隣に座ってるんですかね。

よく分からない独り言を聞いた後とか気まずいとか思わないの?

気まずいと思って別の場所に行ってくれるととても助かるんですけど・・・

 

隣に座ったラウラは別段なにもすることはなく、顔をあげて空を眺めているだけだ。

僕も基本的に人に話しかけるとかはしないので必然と沈黙が訪れる。

 

 

しばらく沈黙が続いたがラウラが止めた。

 

 

「私はなにも知らないな・・・いつからだろうな、世界の全部を知ったつもりなっていたのは。」

ラウラはそんなことありえないのにな 、と自嘲気味に笑う。

 

 

いきなりそんなこと言われても困るんだけどなぁ。

『うん、そうだね』って返せばいい?はい、ダメですよね。

ラウラは僕を上目使いで見上げてくる。

その瞳には怯えと何かを待ち望むような矛盾したようなものが垣間見れた。

 

 

「別にいいんじゃないかな。」

多分だが、ラウラは僕に叱られることを望んでるんだ。

罪悪感を軽減することを望み誰かに糾弾されることを期待している。

 

「人間知らないことの方が多いものだしさ。全部知ろうなんてそれこそ神様みたいなものだよ。」

 

「あぁ、ほんとに私は大馬鹿者だ。」

 

ただ、僕が誰かを責めるなんてお門違いだ。

そんなこと言ったら僕は丸一年は誰かに説教されてしまうだろう。

だから、全く正反対のことをしてやろう。

もともと僕が誰かを説教して正すなんてことは性にあわない。

 

 

「いいんだよそれで、馬鹿でいいじゃん。馬鹿なら知らないことを一個づつ知っていけばいい。一番駄目なのは多分知ろうともしないことだよ。今回だってフィーのことを知れたでしょ?」

 

 

ラウラ目を見開きあんぐりと大きく口をあけて見たことようなアホ面をつくる。

「え、いやなにその反応・・・なんか恥ずかしくなってくるんだけど・・・」

 

「いや、すまない。ムンクがこんなにもまともなことをいうとは・・・」

 

「えっ そんな認識?僕今回は割りとまともなことを言ったよね!?」

 

「クククッ・・・あははは!!!」

ラウラは大声を上げて盛大に笑う。まるで憑き物が落ちたかのように。

 

「そこで笑わないでよ!?」

このタイミングで笑われると僕は凄く恥ずかしい。

だって、こんなくさいセリフ言った後なのだから。

顔に熱がこもるのが分かる。

 

「くくくっ・・・いや、すまんそなたを笑っているわけじゃないのだ・・・それにしてもあまりにもなププッ」

 

なんて説得力のない言葉だ。何これ穴があったら入りたい。ついでに穴のなかで1年は惰眠を貪りたい。

 

「いや本当にそなたを笑っているわけじゃないのだ。あまりにも自分が滑稽でな・・・そうだ簡単なことだったんだ、知ればよかったんだ。」

 

「だね。答えはいつだって単純だよ。ただ、それ以外ことが複雑にしてくる。全く困ったもんだよ。」

 

世界は案外と言うか普通に意地悪なのだ。

神様とかは信じていないけどもしいるなら録な性格してないだろうね。

 

 

「そういえばムンク。まだソナタの問いに答えていなかったな。」

 

「あぁ・・・」

そういえば昼間になんかいったなぁ。

孤児の兄妹をみて何かいった気がするなぁ。

 

 

「ムンク。私は答えを出したよ。私は決めた、例え綺麗事だろうとそうしたいと思ったんだ。」

具体的なことは一切言っていない。

それでも、言いたいことはわかった。

この眩しいぐらい強くてで真っ直ぐで優しい少女はそういう答えを出すだろうとすぐ予想がつく。

 

「お人好しだなぁ。とても僕には出来ないよ。」

本当にこいつは凄いやつだよ。

どうしようもないことにでも立ち向かえる奴なんてそうそういないからね。

ーーーーー

 

 

「それにしても案外ムンクもお人好しだと思うがな。私にも気にかけて色々言ってくれたではないか。」

 

さっきの意趣返しなのか分からないが何故かしたり顔のラウラ。

 

「よしてよ。僕はいつだって自分のことしか考えてないよ。それに今回だって気に入らなかったから言いたいことを言っただけだよ。」

 

「ふふっ そういうことにしておいてやろう。」

なんだその顔は。

その「分かってる分かってる」みたいな雰囲気だすのやめて欲しい。

反論しても意味が無さそうなので諦めてそっぽを向くことにした。

 

ラウラとの会話が止まり再び沈黙が訪れると夜の暗闇が気になった。

真っ暗な夜だ。

 

まだ真っ暗だが時期に夜が更ける。

また、新しい一日が始まるだろう。代わり映えのない一日が。

ただ、ほんの少し誰も気がつかないような変化があったりすることもある。

 

例えばあの場所にいたはずの兄妹がいなくなっているとかね。




これにて二章前半終わりです。
次から二章後半です。少しづつムンクの過去に触れていきたいなと思います。

一応補足ですが、今回自問自答するシーンがあるのですがムンクは二重人格だったり精霊とか妖精がとりついてるわけではありません。

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