夜の神は太陽に恋焦がれた   作:黒猫ノ月

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聞いて下さい!
感想と(優しい)批評が一気に3件も!
モチベーションMAXです。

頑張っていきたいと思います!
では、投稿です


出会いと再会
第1弾 「…………マジか‥‥キンジ」


「……シッ!」

 

まだ肌寒い中、少しずつ春の優しい日差しが照らす清々しい朝、普段なら誰もいないであろう強襲科の訓練体育館に刺すような鋭い声が木霊する。

 

「……ハッ!‥…セッ!っらぁ!!」

 

防弾制服に身を包んでいる声の主は、誰もいない事をいいことに体育館の真ん中で舞い続ける。

何かの体術であろうか、右手に銃を、左手に刃渡り30㎝はある、ナイフにしては長すぎる独特なフォルムの獲物を手に、体幹をぶらすことなく右手、左手、左脚、右脚、左肘…………と延々に、絶え間なく、一寸の隙もない攻撃を次々に繰り出す。

そんな彼の右手に銃はなく、いつの間にか4本のダガーを扇のようにして構えていた。

 

「‥ッ‥‥ッ‥‥ッ‥‥‥ッ」

 

ヒュン、ヒュン、ヒュン‥‥ヒュン!

 

タッタッタン‥タン!

 

投げられたダガーは、真ん中にいる彼からそれぞれバラバラの位置、バラバラの距離にあるヒューマンターゲットの右肩、左肩、右の太もも、左の太ももに〈一寸の狂いもなく〉突き刺さっていた。

 

「シッ!」

 

投げた勢いを殺さず、その場で空中バク天を繰り出し、右脚を思い切り蹴り上げる!

ダンッ!!

 

「…………ふうぅー--……」

 

そして大きい音を鳴らして着地した後、溜めていた息を吐き出し、軽く息を整える。

 

「……ふぅ」

 

先程まで人間離れした技を繰り出していた人物、夜神蒼真はもう一度だけ軽く息を吐き、何事もなかったように投げたダガーを回収に向かう。

 

「………………」

 

ダガーを回収し、ヒューマンターゲット等の今まで使っていたトレーニング用具を黙々と片付け、掃除をしている彼の身体には汗一つ見当たらない。

 

「………………ん」

 

一通り作業を終えて一息ついた後、やり残しは無いことに一つ頷く。

携帯で時間を見て、まだ余裕があることを確認し、大きめのリュックを左肩に掛け、通学カバンを右手に正面入り口に向かう。

ガチャガチャ、ガッチャン。

正面入り口の鍵を閉めて戸締まりの確認をした後、自分のクラスがある一般棟に足を運ぶ。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

「……………………ん?」

 

一般棟に向かう途中で、俺は妙な空気の変動を感じ取った。

 

「………………んっ」

 

空気の変動をより確実に、正確に感じ取る為に自身の《普通ではない異常な氣》を一気に〈学園島全体〉に放出する。

 

「………………………………はぁ‥‥‥」

 

すると、第2グラウンド場でよく知っている〈2つの氣〉を認識した。

あと……もう一つ、一般棟の近くで少なからず漏れている〈悪意ある氣〉も確認する。

 

(…‥あっちは‥‥放っとこ)

 

俺は悪意の方をあとで対処することにした。

学園島全体に拡げた自分の氣を、第2グラウンド場に収束して、よく知る二人の方へ一気に駆け出す。

俺は足に氣を纏い、〈人としてはありえない〉速さで、一気に第2グラウンド場まで駆け抜けた。

 

 

 

(…………お、いた)

 

少しして俺は第2グラウンド場に到着した。

そして、辺りを見回すと……

 

 

 

とある倉庫でセグウェイ7台にそれぞれ取り付けられたUZIに、蜂の巣にされて襲われている二人を発見した。

 

 

 

(……………………どんな状況だよ)

 

ため息しか出ないぞ、と思いながら(実際した)俺は荷物を置いて、助ける為に愛銃、デザートイーグル50.AEを抜こうとして……

 

 瞬間

 

 

 

ズガガガガガガガーーンッッ!!!!

 

 

 

(……ん?)

 

UZIがセグウェイもろとも7台全部爆発した。

 

(…………まさか‥‥キンジ?)

 

いやいやまさか。でもしかし。あの小虎じゃ今のはムリだ。

当の本人は、アリアと何やら言い争っている。

 

(…………〈なった〉のか‥‥‥‥‥アリアで……)

 

マジか、いやマジか、と俺は頭の中で少しその場面を想像し、且つ社会的な色々を考えて…………。

 

(……まあ‥‥俺は、有りだと……思う)

 

俺だけは味方でいようと決心した。

そんなことを考えていると、

 

(…………あっちから‥‥もう6台来た)

 

そう認識したときには

 

 

 

ズガガガガガガーーンッッ!!!!

 

 

 

こっちに来ようとしていたセグウェイ6台が〈先ほどと同じ様に〉爆発した。

 

(……中々‥‥難しい)

 

俺の右手では、愛銃が撃った名残を上げている。

なにやら言い争っていた件の二人は、突然の発砲音と爆発に驚いていて、爆発した方向を向いていた。

 

(……今のうちに)

 

あの二人が爆発した方を見ているうちにトンズラしようと思い、荷物を背負い直す。

 

(…………ん?)

 

さあ逃げようと思い足に力を込めたが、視線を感じたので振り向くと、

 

 

 

にこやかに笑いながら、パチンッとウインクするキザなあんちくしょうがこっちを見ていた。

 

 

 

(……発砲音で‥‥バレたか)

 

少しイラッとしながらキンジに適当に手を振る。

知らぬ間に自分たちに近づいていたセグウェイの爆発に意識を向けているアリアと違い、キンジは〈あの〉状態。鳴り響き、木霊する発砲音を正確に聞き取り、俺の居場所を探し当てたか。

 

(……まあ、俺は‥‥小虎の方に、見つかりたくない‥だけ)

 

未だに、爆発した方を見ていたアリアがキンジの異変に気づいた様だ。

 

(……早く‥‥逃げよう)

 

次の瞬間にはその場には誰もいなかった。

 

 

 

 

 

〈大幅な寄り道〉をした俺は改めて一般棟に向かって走っていた。

 

(……相変わらず‥‥元気なようだ)

 

走りながら、先ほどの大騒ぎしていたアリアの様子を思い出す。

 

(……何も‥‥変わって‥‥なかったな)

 

身長も、胸も、性格も…………。

そして、

 

(…………素直になれない‥‥‥ところも)

 

 

 

『お、恩になんか着ないわよ。あんなオモチャぐらい、私一人でもなんとかできた!』

 

 

 

わぁわぁ騒ぎながら、アリアが先ほどキンジに向かって言った言葉を思い出す。

 

(……素直に‥‥ありがとう‥‥言えばいいのに)

 

とは思うけれども、仕方ないか、と思う自分がいる。

アリアの家庭環境や向こうの武偵校の環境では、性格が歪んでしまうのは当然だ。

だから、だから俺は……

 

 

 

「……アイツが‥‥求めるまで‥‥」

 

────会う訳にはいかない────

 

 

 

そう、呟く蒼真の顔は苦笑している。

まるで……

 

 

 

───世話のやける妹の面倒を見る、兄のように───




初めての本編はいかがでしたか?
自分は迷走中です(泣
1話どれだけの文字数がちょうどいいのか分からないのです。
今回は2350文字。
多分もっといるんだと思います。
なんで、次は少し時間が掛かるとは思いますが、変わらない応援よろしくお願いいたします!

感想と(優しい)批評、評価待ってます!

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