夜の神は太陽に恋焦がれた   作:黒猫ノ月

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どうもです。

皆さん、大変ながらくお待たせしました!!
三連休を利用し、一気に書き上げました!!
お陰で明日のテストは絶叫ものです。……今夜は、徹夜かな?
ですが後悔はありません!! 全ては皆様のために!!!
( ̄- ̄)ゞ

それでは、投稿です。


第27弾 「やっと、見つけたのね……貴女の居場所を」

「あら、あらあら。あのアリアが私に彼氏さんを紹介してくれる日が来るなんて♪」

 

「ちっ、違うわよママっ! コイツは私のっ!」

 

「…"私の"、何かしら?」

 

「うっ……う~~~!!」

 

「あらあら、ふふっ」

 

「…………」

 

(……何がどうなってこうなった?)

 

俺の目の前では、アクリル板一枚隔てて、母親と思われる美人な人にからかわれ顔を真っ赤にするチビっ娘。そして八つ当たりぎみに踏まれる俺の足。

 

(……おいアリア、母親に当たれないからって俺の足を踏みにじって言い訳じゃねーぞ)

 

俺は足先に感じる痛みを無視して、今の状況を振り替えることにした(半現実逃避)。

 

今、俺とアリアは新宿警察署の留置人面会室にいる。

バスジャックがあったあの日、俺は蒼真の見舞いの帰り道にアリアから日曜に会わせたい人がいる、ということで今日アリアに連れられて来たのがここだった。

その時のアリアの真面目な顔が引っ掛かったこともあり、大人しくここまで付いてきたが……まさか留置所に連れてこられるとは。

因みに、蒼真はここにはいない。どうやら今日人と会う約束があるようで、昼前に寮を出ていった。

病院を3日で退院した蒼真だが、体調も万全で、今日も朝から組手に付き合わされた(俺フルボッコ)。

……ともかく、俺とアリアの2人は、今日アリアの母親……神崎かなえさんの面会に来ていた。

 

「ふふふっ。……じゃあ、貴女の"大切な"人にご挨拶しましょうか。初めまして、この娘の母親の神崎かなえです」

 

「……どうも、遠山キンジです」

 

「だ、だからコイツはそんなんじゃなくて!」

 

「はいはい、分かっていますよ♪」

 

「~~~っ! もうっ!」

 

アリアはぷいっとかなえさんから真っ赤な顔を背け、そのまま黙ってしまった。

 

「あらあら、少しからかいすぎたかしら? 久しぶりに貴女の元気な姿が見れたものだから……許してちょうだい、アリア」

 

「……もう、ママったら」

 

「…………」

 

そんな親子の微笑ましいやり取りを黙って見ている俺。

……俺、ここに必要か?

 

「あっ、ごめんなさいねキンジさん。ほったらかしにしてしまって」

 

「……いえ」

 

「ねぇアリア? 今日は今まで面会に来てくれたなかで、一番元気な姿を見せてくれたわね。何かあったのかしら?」

 

「えっ? えっと…………うん。あのねママ。私、蒼真と……グレイと、会ったの」

 

かなえさんに諭されたアリアは、少し考えた後、蒼真と再会したことを話した。

 

「……ふふっ、そう。"やっと"蒼真さんと会えたのね?」

 

それを聞いたかなえさんは、安堵した表情でそう答えた。

 

(……ん? "やっと"?)

 

「…………やっぱり、蒼真はここに来てたのね、ママ」

 

それを聞いたアリアは、顔をしかめていた。

どうやら心当たりがあったらしい。てかいつの間に会ってやがったアイツ?

 

「ええ。私がここに来てから数日後には面会に来てくれたの。どうして私が捕まってしまったのかを聞きに、ね」

 

「そんなに早く…。……なら、どうして教えてくれなかったのママっ! 私が蒼真を探してたの知ってたでしょ! 3ヶ月も探して見つからなくて、会えたのも偶然だったんだから!!」

 

「……それを、蒼真さんからは?」

 

「…………なにか訳があったみたいなのは知ってるし、アイツも話そうとしてくれたけど……それを聞く前に私が我慢できなくなっちゃって…」

 

「それでケンカしちゃったの?」

 

「ケンカっていうか、その……」

 

「……はぁ。一方的に言っちゃったのね?」

 

「うん…。で、でも直ぐに仲直りしたのよ! ただ、それから訳を聞くタイミング逃しちゃって」

 

「そう…。……キンジさんは蒼真さんと面識は?」

 

「えっと……かれこれ1年の付き合いになりますかね」

 

「コイツ、こんな根暗な奴だけど蒼真の親友で元パートナーらしいの」

 

「あらそう。……彼にもやっと、頼れる人が見つかったのね」

 

(根暗は余計なお世話だ)

 

かなえさんはどこか感慨深げな顔をした後、本題に入るべく佇まいを正した。

 

「なら、話しても構わないわね。……アリア、蒼真さんはね……

 

 

 

 

 

貴女に…"人に頼ることの大切さ"を知って欲しかったのよ」

 

 

 

 

 

そうしてかなえさんは、俺も知らなかった蒼真がアリアから隠れていた理由を語り始めた。

 

「貴女は、小さい頃からずっと1人で過ごしてきた。周りは貴女に冷たく当たり、頼れるのは私だけだったわ。そのせいか、貴女は誰にも頼ることなく、自分の力だけで生きるようになってしまった」

 

かなえさんは目線を上にあげ、過去を振り替えるように話す。

 

「そうして、やっと貴女が全てを委ねらる人に出会えたときには、誰かを"頼る"ということは貴女の頭の中には無くなってしまっていたわ」

 

「…………」

 

「…………」

 

アリアはかなえさんの話に目を反らすことなく耳を傾けている。

俺も何も言うことなく、そのまま聞き続ける。

 

「私はねアリア、蒼真さんにお願いしたの。貴女の……アリアの"家族"になってほしいって」

 

「えっ?」

 

「は?」

 

そんな矢先に、俺とアリアはかなえさんの言葉につい声を出してしまった。

 

「ふふっ。驚いたかしら? でもねアリア、貴女は寝耳に水かもしれないけれど、端から見れば貴女と蒼真さんはまるで兄妹のように見えるわよ? キンジさんもそう思わないかしら?」

 

「お、俺ですか?」

 

俺は突然のカミングアウトについてこれていないのに、いきなり話を振られてしまい少し慌ててしまったが、なんとか返事を返す。

 

「ええ、まあ確かに兄妹っぽいなぁと思ったことはありますね。……ていうかほぼ毎日?」

 

「え、ええっ!?」

 

「ほらね?」

 

かなえさんはアリアに微笑みながら自信ありげに確認した。

にしても……

 

(アリアを妹に、か)

 

…………………………。

 

……ダメだ。俺なら1日と持たずストレスで胃に穴が開く。って言うかその前に文字通り身体に穴が開く。

俺がその光景に戦慄している横で、話は続く。

 

「で、でも! 私が居ないところでそんな話してても意味ないでしょ!」

 

「そうね、そこから話は最初に戻るの。家族は、ありのままの貴女をさらけだす出す場所。私は貴女にそんな場所を作って欲しかった。そして、人に頼ることを覚えて……いえ、"思い出して"欲しかった。それは今の私ではどうしても無理なこと。そこで私は蒼真さんにお願いしたのよ。貴女が家族と"思い始めていた"、蒼真さんに」

 

「……でも、私は蒼真をパートナーにしようと…」

 

「ええ、それは私も知っているわ。でもね、どうやら彼は貴女をパートナーにする気は更々なかったみたいよ」

 

「えっ、でも約束…」

 

「『俺に勝ったら』、だったわよね?」

 

「あ。……~~~っアイツっ!!」

 

アリアは一転、ここにはいない鉄仮面バカに怒りを爆発させる。

 

(……アイツ、これを予期して今日来なかったな?)

 

まあ、今夜ご機嫌とりに四苦八苦するだろうけどな。ふっ、何でもかんでも裏でこそこそするからこうなるんだ、アホめ。

 

「まあまあ、落ち着きなさいアリア。話を続けるわよ?」

 

「~~~っ……ふぅー。うん、分かった。後でアイツは風穴として、それで?」

 

「蒼真さんは貴女を家族とすることに了承してくれたわ。そして、それを貴女が自分から蒼真さんを"家族"と思うまで、この事を貴女に話さないようにしようと2人で決めたの。蒼真さんがアリアを家族と思っていれば、いずれ貴女も蒼真さんを家族と思うであろうことを願って」

 

「…………」

 

「そこで一旦話は終わって、蒼真さんは帰っていったわ。そして帰ったあと、蒼真さんは貴女と私の現状を調べて、考えたのでしょうね。家族云々はともかく、どうしたら"アリアが自分に頼ってきてくれるか"を」

 

「……あ」

 

さっきの怒りはなりを潜め、アリアは息を漏らすように声を出した。

……そうか、"そういうことか"。

 

「考えた末、出てきた答えは……"静観"。私の裁判までに余裕があることを確認した彼は、自身の姿が以前と変わっていることを利用し、貴女が東京武偵高に転校してきても貴女の前に現れず、貴女が私を助けるために、自身を頼ってきてくれるまで、隠れることにした。そのせいで、貴女が苦しい思いをしたとしても、心を鬼にして、頼ってきてくれることを願って」

 

「……っ」

 

「そうして3ヶ月、貴女は誰も頼ることなく1人で頑張っていた。だけど、蒼真さんの目からみた貴女はそろそろ限界だったみたいね。そして蒼真さん自身も。最後に会いに来てくれたときに言っていたわ。『このままだと、アリアが潰れてしまう』って、『俺はこのまま隠れていていいのか』『こんな酷いことをして、アリアに嫌われてしまわないか』って」

 

「……っ…っ」

 

「でも……」

 

かなえさんは右手をアクリル板に重ねて、とても優しい声で、優しい顔でアリアに語りかけた。

 

「3ヶ月という時間をかけようとも、その間、蒼真さんと貴女がどんなに苦しんでいたとしても、たとえ蒼真さんのやり方が間違っていたとしても、私は……これで良かったと思っているわ。だって……」

 

「…っ…ぅ」

 

 

 

 

 

「貴女がやっと……自分の居場所を見つけてくれたから。自分をさらけ出せる家族と、自分を支えてくれるパートナーを、孤独の暗闇から……探し出せたから」

 

 

 

 

 

「……ぐすっ、あのっ…バカ蒼真っ……バ、カ…ぅぅ…」

 

アリアは、様々な感情と共に溢れてくる涙を止めようと目を擦るが、涙は止まってはくれそうにもない。

俺は蒼真のお陰で柄にもなくいつも持っているハンカチをポケットから取りだし、アリアに差し出す。

 

「……ほらよ」

 

「…………ふんっ」

 

それをアリアは乱暴に奪い、涙を止めようと両目にハンカチを当てる。

ふと視線を感じてそちらを向けば、微笑ましげにこちらを見るかなえさん。

俺は途端に恥ずかしくなって目を反らした。

 

「蒼真さんがアリアから隠れなかったら、アリアとキンジさんは出会えなかったかもしれません」

 

そんな俺にかなえさんは話しかけてきた。

俺は頭の後ろを掻きながら、それに少しぶっきらぼうに返す。

 

「そうかもしれませんね。蒼真が最初から出張っていれば、俺は蒼真のおまけとしか見られなかったでしょうし。俺がパートナーとして目をつけられることもなく、平穏に日々を謳歌していたと思いますよ」

 

「……後悔、していますか? 巻き込まれてしまったことに」

 

「…………」

 

かなえさんの顔は先程の微笑みのまま、まるで答えが分かっているような顔で俺を見ている。

 

(……後悔、ねぇ)

 

俺は目の前で未だ泣いているアリアと出会ってからの日々を反芻し……

 

「巻き込まれることには慣れてるんで、今さら後悔なんてしてませんよ」

 

俺は、最近同じことを言ってそうな気がする言葉を、溜め息混じりにかなえさんに返した。

 

「そう…。なら……」

 

かなえさんは今までとは違う、少し子供っぽい顔で俺に向かって笑って言った。

 

 

 

 

 

「アリアのこと、よろしくお願いしますね? 頼れるパートナーさん♪」

 

 

 

 

 

……俺は不覚にも、その笑顔に少しの間見惚れてしまった。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 

久方ぶりに、太陽が雲の隙間から顔を除かせている。

しかし、晴れるのは今日だけで、明日からはまた曇りや雨が続くらしい。……鬱々する限りだ。

休日である日曜は、武偵高といえど静かな場所は多くなる。

強襲科は休日でも訓練所や強襲科棟から声は絶えず、装備科は地下や開発棟に籠り黙々と、または奇声をあげながら装備の開発に取り組んでいる。

しかし、俺がいる体育倉庫の裏は日曜の午後であることもあって、いつもよりもかなり人の気配がない。

俺は等間隔で並ぶ木の下にあるベンチに腰をかけながら、今日会う約束をした彼女を待っていた。

座っている俺の横には、小さく透明なビニールの口をリボンで結ばれたもの幾つか置いてある。その中には手作りのクッキーが入っていた。

今日、アリアとキンジがかなえさんのところに言っている。

おそらく、帰ってきたアリアは俺に向かって風穴を開けて来るであろう。それが予測できたため、お詫びとして、面会時間を出来るだけ多くとれるようにした。

まあ、それだけでは足りるとは思ってないので、ご機嫌とりのために昼前に寮を出て、レキの部屋でクッキーを作っていたのだった。

因みに、その出来上がったクッキーをレキがモリモリ食べるため、材料を目一杯使って作る羽目になってしまったのはここだけの話だ。

 

(……アリアは…許して、くれるだろうか?)

 

今まで説明するタイミングが流れていたが、どんな理由があろうと、俺がアリアが苦しんでいる間静観していたのは事実だ。

今日はアイツが許してくれるまで、誠心誠意謝ろう。

 

(……でもまずは…あの娘の事だな)

 

俺が彼女のことを考えていると、

 

「……はぁ、はぁ、はあぁっ。す、すみません蒼真先輩! 待たせてしまって…」

 

「……いや、大丈夫だ」

 

タイミングよく彼女……火野ライカがやって来た。

俺は申し訳なさそうにするライカに気にしてないと言って、俺の隣に座らせる。

 

「そ、それにしてもこんなところがあるなんて知りませんでした。先輩はいつもここに?」

 

「……たまに、な」

 

「そ、そうですか」

 

……ここが恋人たちの穴場スポットであることは黙っていた方がいいのだろうか?

隣を見ると、どこか落ち着かないようにソワソワしているライカ。

ときせつ俺を見てはすぐに目をそらし、また見てはそらしをループしている。

 

………………。

 

(……うん、黙っていよう)

 

俺の何かが言わない方がいいと告げていた。

さてさて、本題に入る前にこれを渡そうか。

 

「……ライカ」

 

「っひゃ、ひゃい!」

 

「……?」

 

なぜか呂律が回っておらず、慌てるライカに疑問符を浮かべる。

……ふむ。確かにあかりの言う通り、どこか調子がおかしいな。

 

「……大丈夫か?」

 

「……はい、大丈夫です。今のは忘れてください。……落ち着けよ、アタシっ」

 

何かぼそぼそと横で言っているが、本人が大丈夫と言っているので今は気にしないことにする。

俺はそんなライカに、横に置いていたクッキーの袋を1つ取って渡した。

 

「……ほら」

 

「え、え? これは?」

 

「……今日、俺が作ったものだ。……余ったから、やる」

 

「えぇっ!? 蒼真先輩ってこんなのも作れるんですか!?」

 

「……大したもの、ではないが…な」

 

「あ、ありがとうございます……」

 

そう言って受け取ったライカの感情は、嬉しさ半分、悔しさ半分と言ったところか。

経験上、女の子に俺の料理を振る舞うと少なからずそんな反応をする人がいる。……どうやら、女の子的には男の手料理は嬉しいが、自分より上手いところを見せつけられるとなんとも言えぬ敗北感があるらしい(理子談)。

 

そんなこんなで、少しばかりライカと談笑しながらライカの様子を伺う。

先程の過剰な反応のこともそうだが……どこか落ち着かず、挙動不審な点が多く見られる。それに俺のことをあまり見ないようにしているみたいだ。前のライカには見られなかったことだ。

けど、あかりはライカが上の空だって言っていたが、そんな様子は見られない。むしろ積極的に話そうという意思が見られるほどだ。

 

(……ん。……やっぱり、聞いた方が早いか)

 

考えても埒があかないため、俺はライカに直接尋ねることにした。

 

「それでですねぇ…。………? どしたんですか、蒼真先輩?」

 

「……ライカこそ、どうかしたのか?」

 

「…えっ!? な、なんの話ですかっ?」

 

「……いつもより、落ち着きがない。……それに、俺の方を…あまり見ないな」

 

「あ…え、えと……そのっ」

 

「……もしかして、嫌われた「そんなことありませんっ!!」…!」

 

「あ…」

 

冗談で言ったつもりだったのだが、ライカは予想以上に反応し、俺の言葉に被せて否定してきた。

そして言った後で気づいたのか、驚いた表情をしたあと、申し訳なさそうに謝ってきた。

 

「…す、すみませんっ! でも、先輩も先輩ですよ! 先輩を嫌うなんてこと、冗談でも言わないで下さいっ」

 

「……すまない」

 

「あっ、い、いえ……。すみません、私の方こそ先輩の方を見ることもせず、失礼なことを……」

 

「……ん、なら…おあいこ、だな」

 

「はい……」

 

2人ではにかみ、苦笑しあった後、それからしばらくお互い黙ったまま、時が過ぎていった。

 

………………。

…………。

……。

 

……どれくらいそうしてただろうか。

沈黙を破ったのはライカだった。

 

「……蒼真先輩。あ、あの…」

 

「……ん?」

 

「えと……先輩って、その……戦妹や戦弟を作らないん、ですよね」

 

「……ああ」

 

「どうしてか、聞いてもいいですか?」

 

「…………」

 

(……どうして、か)

 

……簡単な話だ。

"巻き込みたくない"。……これにつきる。

俺が戦妹、弟を作りたがらないのはそこそこ有名な話だと思う。

アリアの戦妹であるあかりを見てわかる通り、戦兄とその妹、弟となると、どうしても私生活まで関わることになる。

俺の私生活などロクなものではない。常に誰かに命を狙われ、俺の身勝手な自己犠牲に振り回されることになるんだ。……本当に、ロクなものではない。

でも、それを彼女にそのままことなど出来はしない。

 

(……さて、いつもの手を…使うか)

 

「……俺に、出来るわけ…ないだろう」

 

「え? どうしてです……あ」

 

「……後輩達は、俺に…近づこうともしない」

 

「で、でも聞きましたよ。それでも先輩に申し込んだ人がいて、そのどれをも先輩は断ったって…」

 

「……簡単だ。……誰もが俺と、組手して…1回で、諦めたからだ」

 

「…………」

 

そう、それでも申し込むやつはいた。だが俺は、そんな奴等に手加減無用で相手をし、さらに膨大な気迫をぶつけてやったらあっさりと諦めていった。

そのお陰で、最近は俺を戦兄にしたいというやつらもいなくなり、俺の所業しった後輩たちはことさら俺に関わることを避けるようになった。

俺に戦妹、弟を作らない理由として、俺がいつもみんな(片手で数えれる数、ライカで左手1本目)に言っていることだった。

 

(……あれ、そういえば…)

 

「……そういう訳なんだが…ライカ、どうして…俺にそれを聞こうと?」

 

「…………」

 

俺の問いには答えず、ライカは何かを考えているようだった。

しかし、それもすぐのことで、ライカは右手を胸に当て、深呼吸を1つし、俺の方に顔を向ける。

その表情は決意に満ちていた。

俺は突然のライカの表情に驚くが、彼女の決意を邪魔せぬよう、彼女が言葉を発するまで待つことにする。

……そしてライカは、先程までとは打って代わり、俺の目をはっきりと見ながら口を開いた。

 

 

 

 

 

「……蒼真先輩! 夾竹桃を逮捕できたら、私を先輩の戦妹にしてくれませんか!!」

 

 

 

 

 

「…………」

 

1日だけの春の陽気が、風と共に俺とライカの間を吹き抜けた気がした。




如何でしたか?

本編では雨でしたが、今回は場面状、晴れに致しました。話も暗くはありませんしね♪
ということで、とうとうライカの戦妹入りか!というところで終わりましたねぇ。
これからの展開に期待してください!

そして、やはりですが投稿が遅れそうです。
皆様、こんな私ですが、これからも末永くお付き合いくださいませ m(__)m

それでは!(^-^)/
感想、意見をどしどし募集しております!!
感想1つ届くたび、マリオ跳びをしている黒猫ノ月です(ヒャッホォウ!)
これからも応援よろしくお願い致します!!!

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