夜の神は太陽に恋焦がれた   作:黒猫ノ月

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どうもです。

ぐうたら何をするにもやる気なく過ごした夏休みもあと1週間ほど。
長かったような短かったような……(--;)

出来ればあと1話ぐらい投稿したいっ!
奮い立て俺のやる気! やらねばっ!!!
( ̄- ̄)ゞ

では、投稿です。


第26弾 「命を狙われるなんてことは慣れっこだよ」

今日1日、俺を苛なみ続けていた雨が止み、雨上がりにいつも嗅ぐよく言う黒い土の匂いが辺りに香る。

空は夜でもわかるほどの黒い雲に覆われ、いつもより辺りを暗くさせており、そんな中を、俺はアリアと横に並んで帰路についていた。

 

「……アンタ、ホントによかったの?」

 

蒼真の病室でのブリーフィングを終え、病院から出てきてからずっと黙っていたアリアが唐突に、どこか申し訳なさそうな顔で呟くように俺に声をかけてきた。

 

「…何がだよ?」

 

「"奴等"のこと。奴等の……"イ・ウー"の存在は知ってることだけでも罪なの。……アンタ、国に消されるわよ? なのに…」

 

アリアは途中から小声で話ながら、俺に諭すように話してきたが……なんだ、その事か。

ブリーフィングしてるときに、蒼真が今回の事件の犯人が何処の組織の奴なのかを教えてくれたのだが、その時確かにアリアは慌てていたな。

曰く、「蒼真っ! アンタこいつを殺すつもりっ!?」だそうだ。

そして蒼真曰く、「……キンジなら、巻き込んでも…問題ない」と返してた。…………アイツの信頼が重いぜっ!

 

(……はあ、冗談は置いといてっと)

 

「もう既にそこかしこから命狙われてるしな、俺。今更、狙われる組織が1つ2つ増えたところで一緒だ」

 

俺は溜め息と共に、俺の言葉に驚いているアリアにそう言いながら続ける。

 

「えーと、《陽》の一族に《夜》の強行派に《夜想曲》に匿われているやつらを狙う輩に…………やめだ、考えてたら鬱になる。とにかく、変なこと気にすんな。つーかいつもは誰より俺の身を案じないくせに、何今更気ぃ使ってんだよ」

 

「う、うるさいわねっ!! ふんっ! なによ、人がせっかく心配してあげたのに! あーあ、心配して損した!」

 

そう言ってアリアはプイッと前に向き直り、ズンズン先へ歩いてく。しかし、少し歩いてからすぐに立ち止まり、俺へと向き直った。

その顔には先ほどの怒りが見えず、俺は首を傾げる。

そんな俺に構わず、真面目な顔になったアリアが口を開いた。

 

「……知らなかったわ、アンタが命を狙われてたなんて。その数から狙われてよく無事ね?」

 

「俺も好きでこうなった訳じゃねーよ。蒼真とつるんでたらいつの間にかそうなってたんだよ。……まぁ、後悔はしてないが」

 

俺は頭をガシガシ掻き、立ち止まっているアリアに追い付こうと止まっていた足を動かす。

 

「去年までは確かに武偵高にまできて、俺達を殺そうとしてくる奴等もいたが、今じゃそれが不用意に出来なくなった。……《夜想曲》のお陰でな」

 

「さっき病室で聞いた、アンタと蒼真が創った『色んな理由で保護した人を匿い、守るために作られた組織』よね、《夜想曲》って。そのお陰って?」

 

俺はアリアに追い付き、アリアも俺に合わせて隣に付いて、また2人並んで歩き出した。

 

「……あれはほとんど"アイツ"と蒼真が創ったようなもんだがな」

 

「?」

 

俺は"彼女"のことを思い浮かべながら、不意にボソッと呟いた言葉を誤魔化すように続ける。

 

「あーっと、《夜想曲》には俺達が色んなヤツを匿う過程で、人間や人外問わずに実力者達も集まってきてな。それでこの辺りに本拠もあるから……」

 

「敵対者に対して目を光らせて、アンタと蒼真を守ってくれてるわけね」

 

「ああ、でもそれだけじゃない。アリア。お前、俺のこと調べたって言ったよな。 お前の性格なら、かなり調べたんじゃないか?」

 

「……ええ。それが?」

 

「でも、お前は俺が狙われていることに気付かなかった」

 

「…………」

 

「それは、《夜想曲》が俺の……俺と蒼真の情報をある程度揉み消していたからだ」

 

俺の話を黙って聞くアリアに足並みを揃え、俺は重要なことは伏せて説明する。

 

「《夜想曲》には様々な力を持った奴がいる。そのなかには"記憶を書き換える"、"記憶を消す"なんてやつもいるから、俺たちの情報が漏れないようにしてくれてるんだ。まあ、本拠をあまり離れられないから、この辺りを離れた場所でのことは揉み消しきれないけどな」

 

「……ふーん、なるほどね。だから蒼真の…《夜王》の情報があやふやだったのね。京都を縄張りにしてるとか、九州で勢力を拡大してるとか。ま、蒼真ならそんなことしないってわかってたから信用しなかったけど」

 

(……半分、嘘じゃないけどな)

 

俺はアリアが言った"情報"に、冷や汗を滴ながら平静を装った。

縄張りにはしてないし、勢力拡大も行っていない。……ただ、京都や九州で俺と蒼真、ときたまレキは命懸けで戦ったんだ。それで、その時にオマケで付いてきた奴等がいるんだが……それが今の《夜想曲》の核を担ってる奴等なんだよなぁ、これが。

だからあながち勢力を拡大してるっていうのは間違いではないかもな。《夜想曲》に対する俺の貢献度って、あっても1割ぐらいしかないから、ほぼアイツと蒼真が立ち上げたようなもんだし。《夜想曲》を蒼真の勢力として数えても問題ないだろうな。

それにしても……ああ、思い起こされる面妖な妖術や人外達の並外れた肉弾戦との奇想天外な応酬の日々よ。

 

(…………俺、よく生きてるよなぁ…)

 

「…………」

 

「……何アンタ目を虚ろにさせて気持ち悪い顔で突っ立ってんのよ?」

 

「…………何でもねーよ。ただ、生きてるって素晴らしいことなんだと改めて実感しているだけだ」

 

「はぁ??」

 

どうやら、俺はいつの間にか足を止めて俺の黒歴史(中2的な意味でなく)に飲み込まれていたらしい。

 

(危ない危ない。……落ち着け遠山キンジ、過去を振り返るな。そうだ、今は前だ、前を見るんだ遠山キンジ!)

 

俺は心の中で呪文のようにそう唱えながら精神を落ち着かせて、変態を見るような目で見てくるアリアを早足で追い越す。

 

「あ、待ちなさいよ! もうっ、なんなのよいったい」

 

今度はアリアが追い越した俺に追い付こうと駆け足で駆けてくる。

俺はそれに少し速度を緩めてアリアを待ち、ポケットに手を突っ込んだ俺の腕にベシッと叩きを加えながら、追い付いたアリアと帰路の続きを歩き出す。

 

「……」

 

「……」

 

「…………」

 

「…………」

 

それからしばらく、俺達の間に会話はなく、歩道の横を通り過ぎる車やバイクの走行音が曇りの夜の空に響く。

雨の影響か、まだ20時頃にも関わらず人の影もなく、俺の寮が近づくにつれ、やっと武偵高の生徒がチラホラ見える程度だった。

 

「……ねぇ?」

 

俺がどこまでアリアは付いてくるつもりかと頭を地味に悩ませていると、俺の寮が見えてきた辺りでアリアが俺に話し掛けてきた。

 

「なんだよ?」

 

「……今週の日曜日、時間ある?」

 

 

 

▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽

 

 

 

「…………ふぅ」

 

俺はベッドに上半身を起こして横になりながら、一人になった病室で息をつく。

先程まで賑やかに作戦会議と俺の知ってること&隠していることの白状会が行われていただけに、俺はことさら静かに、そして寂しく感じた。

 

(……大方のことは、話した)

 

《イ・ウー》に《陽》が加わっていたのをアリアが俺と再会した日に知ったこと。

 

それを教えてくれたのが《夜想曲》という組織であり、それを俺とキンジが創ったこと。("あの娘"のことはアリアといえどまだ言えない)

 

《夜の氣》について、特に俺の《夜の氣》の"性質"と〈空間の氣〉のこと。

 

さらに、それをもってしても犯人が"分からなかった"こと。

 

……そして、俺が腹をわざと撃たせたこと。

 

(……あれは、いいパンチだった。うん)

 

俺が意図的に撃たれたことを知ったアリアの反応は早かった。

これでも病人であるにも関わらず、まっすぐ撃たれたところを狙って放たれた拳。……めっさ痛かった。

まあ、当然の報いだと思うから別にいいが…………ん?

 

(……さて、どうやらレキは…お使いが、出来たみたいだな)

 

俺は思考を中断して、いきなり感じた"気配"に少し意識を集中して……苦笑した。

その件の人はいつもの目立つ服装のはずだが、こんな時間に病院の正面から入ってきて、俺の病室に向かってきている。

それから少しして、俺の部屋の引き戸がその人によって開けられた。

 

「ヤッホー。調子どうよ、青年?」

 

「……まあまあだ、玄さん」

 

その人は気の抜けた声で俺に話しかけながら、着崩した高価そうな紫の着物を揺らしてベッド近くの丸椅子に腰を下ろした。

 

「どっこいせっと。……はぁ~椿ちゃんの人使いの荒いこと。あれほどおっさんは現世に関わりたくないって言ってるのにぃ」

 

「……本音は、サボりたいだけだろ」

 

「ま、失礼しちゃうわねぇ。青年も知ってるでしょ? おっさんみたいなのは表舞台に立っちゃダメっ! ホントなら山奥でひっそり暮らしとかなきゃいけない存在なのよ、おっさんは? だけど、どーーーしてもって言うから本拠の自宅警備員として働いてるっていうのに、蓋を開けたら雑事ばっかり! おっさんじゃなくてもいいでしょうよもうっ」

 

そういって、玄さん……もとい玄丞(げんじょう)はいかにも疲れてますよアピールをしながら大きくため息をついた。

彼は、服装は桜吹雪が舞散る紫の着物という派手なものだが、放置した無精髭や髪の雑把な束ね方、目尻の垂れさ加減、それにいちいちの行動、言動はいまいち決まらない。

そのせいで、せっかくの衣装も全体を"胡散臭いおっさん"として表す手助けをしているだけだった。

俺は玄さんの愚痴に苦笑しながら、《夜想曲》に付いてきた本当の理由を口にした。

 

「……《夜想曲》の、女性の美人率に…釣られただけのくせに」

 

「(ギクギクッ) な、なんのことかなぁ青年。おっさんはただ、"あの娘"がなんだかんだで心配だったから付いてきただけで……」

 

「……美人に、尻に敷かれるのが…快感だから、《夜想曲》にいるくせに」

 

「ちょっと待って青年!? それは聞き捨てならないわよおっさん! それは完全な誤解! おっさんはどっちかッつーとSだからね! 女性をさりげなくリードして、時にいじめる紳士なSだからねおっさんはっ!」

 

「……でも、既に胃袋は…握られてる」

 

「ぐぅ! た、確かにそうだけど! 今回も椿ちゃんのメシと秘蔵酒を人質に取られたけど!」

 

「……快感?」

 

「一切感じませんっ!!」

 

俺と玄さんは久しぶりに楽しく(?)会話しながら、しばらくして……。

 

「んもう。青年は冗談で言ってるのか本気で言ってるのか分からないから困るわよホント」

 

「……? ……冗談?」

 

「いやいいっ! それ以上何も言わなくていいから!! ……まさかホントに冗談抜きで言ってたとは…。んんっ、さてさて本題ね本題」

 

俺の言葉を遮り、ボソッと何かを呟いたあとここに来た本来の目的に付いて話始めた。

 

「青年はさすがだねぇ。椿ちゃんが青年の命令を無視して、《夜想曲》の一部を動かしてたってことに直ぐに気付くなんて」

 

「……何となく、な」

 

だってあのとき明らかに不満げな顔してたからな。

それに、レキが言っていたのだ。俺の肩を撃ち抜いた方の《陽》を追跡していたときに、いきなり対象の足跡が途絶えたと。

普通なら仲間が助けたと考えるのだが、俺はふと《夜想曲》が関わってると思ったのだ。

別に間違っていても何も問題はなかったのだが、本当に当たっているとはびっくりだ。

 

「青年の伝言をレキちゃんから聞いた椿ちゃんのあたふた加減は中々だったわねぇ。明日辺りにこっちに来るだろうから、そんときに叱っときなさいな。で、またまた青年の考えは当たりだったんだけど……」

 

そう言いながら、玄さんは懐をがさごそと漁り、今回の目的のものを取り出した。

 

「お、あったあった。……青年、これよ。青年が《陽》に気づけなかった"理由"は」

 

「……これが…」

 

玄さんの手には、テニスボールくらいの白い球体があった。

 

(……やはり、嫌な予感は…当たっていたか)

 

《陽》が《イ・ウー》に接触したこと、そして今回のバスジャック時に俺の〈空間の氣〉に《陽》が反応しなかったこと。

これらより、自然に導き出せるだろう。……《イ・ウー》の数多ある技術と《陽》の秘術が合わさった"何か"により、《夜王》たる俺を倒す必策を身に付けたことに。

しかし、それがこんな玉とは……。

 

(……まあ、これは必策というには…お粗末だがな)

 

技術を身に付けた訳ではなく、モノに頼った時点で失策だ。事実、そのぶつは俺達の手に渡ってしまっている。……それに、これは"失敗作"だしな。

 

「今回青年の肩を撃ち抜いた子は陽神 朱美ちゃんって言うんだけど、中々強情だったから眠らせて、悪いけどコトちゃんに頭の中覗いてもらったのよ。「…………」……あ、青年そんなに睨まないで。コトちゃんから手伝いたいって言ってきたんだから。ホントよホント」

 

「…………ふぅ、全く」

 

まあ、玄さんの言ってることは本当なのだろうけど、全くあの娘は。そんなことしなくてもいいと言っているのに……。

 

「おっさんも椿ちゃんもやらなくていいって言ったんだけどねぇ。ま、結果的に早くこの玉のこととか青年の敵の事とか分かったんだけど……コトちゃんにはやっぱりこんなことしてほしくはないね」

 

「……ああ」

 

「まあ、それはまた今度。コトちゃんが言うには、この玉に《陽》の氣を込めると、玉を中心に半径5~10mくらいにいる人は〈空間の氣〉に反応しなくなるみたいよ」

 

「…………」

 

「それと、この玉はあと2つあって、もう1つは陽神 茜って子が持ってるらしいけど……知ってる?」

 

「……ああ、知ってるよ」

 

 

 

 

 

『ひなた様を……ひなた様をどうしたーーーーっ!!!』

 

 

 

『忘れるなっ!! 貴様はっ! この世で何よりも無垢な命を奪った大罪人だっ!! ひなた様を殺した貴様に、生きる資格などないっ!!!』

 

 

 

『貴様は必ず、必ず私がこの手で殺してやるっ!!』

 

 

 

 

 

(……早く、何とかしないとな)

 

俺はその名前を聞いて、あの時の場面と言葉を思い出す。

そして、理子からのメモに書いてあることが正しいなら、かなり急を要する。

 

(……さっさと退院して、準備するか)

 

「……ふむふむ、知った顔ってわけね。しかも因縁がある。ま、頑張んなさい。椿ちゃんの可愛い暴走も止まったし、これから先は俺達は青年の命令通り関与しないから」

 

「……ありがとう」

 

「いいってことよ。青年は"灰色の道を行く者"。背負わなくてもいいものを背負い、自身を何処までも傷付ける愚か者、偽善者。今回も背負い、傷付き、そして……"救って"あげなさいな、グレイ・S・Y・シルバリオ」

 

「……ああ」

 

玄さんは俺の武偵としての名ではなく、《夜王》としての名で呼び、俺の肩に手を置いて励ましてくれた。

 

「んじゃ、おっさんはこれで。朱美ちゃんから他にも情報を得たけど、今は言わなくてもいいでしょ。……あ、リコりんのことはいいのよね?」

 

「……ああ、変わらず放っといていい。……理子も、あとで償うと言ってるし…それに、これは理子と…あの2人の問題だ」

 

「ん、了解。じゃ、頑張れ若人~」

 

玄さんは病室を出るときに、引き戸を閉める前に顔を覗かせて手を振り、いつものだらしない顔をのまま帰っていった。……消灯時間を過ぎた病院の中を平然と歩きながら。

 

「…………」

 

俺は再び静かになった病室で、窓の外を何となく眺める。

雨は止んでいるが、雲は空一面を覆い、夜をいつもよりも暗くさせている。

俺は視線を窓から、アリアに返して貰った銀時計に目を向ける。

机の上に置いてある銀時計を手に取り、開いた。

そして、俺はそこに写るひなたに心の中で呟く。

 

(……ひなた、お前の大切な人は…必ず俺が、助けるから)

 

 

 

 

 

───だから、"最後"は頼むよ……ひなた───

 

 

 

 

 

俺はそうひなたに告げて、銀時計を閉じて机の引き戸に仕舞う。

 

…ブ~~ンッ、ブ~~ンッ

 

「……?」

 

銀時計を仕舞ったと同時に、サイレントにした携帯のバイブ音が聞こえた。

……皆さんは覚えているだろうか。ここがSSR専用病棟であることに。

SSR専用ということで、医療機器はあまり必要とされないため、この病棟には医療系の重要機器はない。

なので、携帯がここでは使えるのだが……はてさて誰だろうね。

俺は携帯を手にし、表示されている名前に若干驚きながらも電話にでた。

 

「……もしもし」

 

『あっ、えっと……蒼真先輩、ですか?』

 

その相手は、先程、命懸けの戦いを決意をした後輩、間宮 あかりだった。

 

「……ああ」

 

『す、すみません。もう寝ていましたか?』

 

「……いや、大丈夫だ」

 

『そうですか、よかったぁ』

 

俺は寝ていた云々よりも、病院で携帯は基本使えないぞ、と注意しようとも思ったが、また今度でいいかと話を進める。

 

「……それで、どうした?」

 

『えーっと……先輩にこんなこと聞くのはおかしいかもとは思うんですけど…』

 

「……? ……構わないから、言ってみろ」

 

『あ、はい。……あの、先輩。ライカに何かあったか知りませんか?』

 

「……ライカ?」

 

『はい。さっきまで作戦会議してたんですけど、どこか上の空で……聞いても何でもないって言うんですけど、心配で』

 

「……ふむ」

 

俺は今日のライカと会った時のことを思い出すが、別段おかしかったところはなかったと思う。

 

(……あ、見舞いに来てもらったとき、なんかわたわたしてたな)

 

でも、あれは理子とレキの"アレ"に当てられただけだろうし……分からんな。

 

「……すまない。……俺には、思い当たることはないな」

 

『そうですか…。すみません、こんなこと聞いちゃって』

 

「……いや、気にするな」

 

『はいっ。あ、もし何か分かったら教えてくれますか? 私ももう一度聞いてみますけど、来週には夾竹桃とのことがあるから…』

 

「……確かに、心配だな。……分かった、俺からも聞いてみよう」

 

『ありがとうございますっ。……あっ、すみません! 先輩は病み上がりなのに…』

 

「……気にするなって、言っただろう?」

 

『あ……はいっ! じゃあ、おやすみなさい、蒼真先輩』

 

「……ああ。……おやすみ、あかり」

 

俺は電話を切り、携帯を机の上に置く。

そのあと、ベッドを寝かせて、その上に俺も横になり、暗く白い天井を見上げながら、先程の会話を思い出す。

 

(……あの娘にも、何かあったのか?)

 

俺はしばらく考えるが、手がかりも何もないため、思考が全く進まない。

 

(……やっぱり、聞いてみるか)

 

これで早く退院する理由が増えたな。

こういうのは、電話じゃなくて直接聞くべきだろう。

 

(……明日、電話で…待ち合わせするか)

 

俺はそう決めて、少し早いが眠ることにした。

そう決めれば早かった。やはり疲れていたのだろう。

直ぐに俺は眠りにつき、夢を見ることもなく意識を闇の中に沈めた。

 

 

 

 

 

こうして、長かった1日は終わりを告げた。




如何でしたか?

出来れば、出来れば10月後半になるまでに原作1話分は終わらせておきたい黒猫ノ月です!

原作がそろそろ終盤に入ってきておりますねぇ。
AA小説化もあり、今緋弾のアリアは乗りにのっておりすねっ!
私もその波に乗って……やらねばっ!!
!( ̄- ̄)ゞ

ではでは(^-^)/
感想と意見、心よりお待ちしております!
これからも応援よろしくお願いいたします!!

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