夜の神は太陽に恋焦がれた   作:黒猫ノ月

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どうもです。

これから始まる戦闘!
上手く表現出来るか不安と疑問で一杯ですが、頑張っていこうと思います!!
因みに、この作品のキンジは少し強めに設定しております。

では、投稿です。


第16弾 「ククッ…………死ね」

‥‥ザアァァァァァァァッ……

 

よりいっそう強くなる雨が、ヘリから飛び降りた俺とアリアを強く打つ。

が、気にしてもいられない。すぐに強襲用パラシュートを開き、ほとんどの自由落下の状態でバスの屋上を目指す。

ここにはいない蒼真は、俺とアリアが着地したあとにヘリを飛び降りる。

バスの屋上は、3人が着地するには狭いのだ。

 

(ッと!)

 

久しぶりの空挺だったが、雨で滑るバスの屋根になんとか着地出来た。

 

(‥‥俺もまだまだ現役か……これも、蒼真のせいだな)

 

武偵を辞めると決めてから探偵科に移ったが、蒼真の"私情"に巻き込まれることがしばしばあった。……つまり、荒事がしばしばあったのだ。

3月に入りそんなことも無くなったのだが、そのせいか、この間の射撃の精度もそうだが、肉体もそこまで衰えてはいないようだ。

 

(まあ、仕方ないか)

 

アイツに巻き込まれることを自分から望んだのだ。今更言っても仕方ない。

それより目前のことに集中しよう。

 

「蒼真、降りてきていいわよっ」

 

『‥‥ああ』

 

俺よりも鮮やかに着地したアリアは、インカム越しに蒼真に指示を出す。

 

「キンジ、私達は予定通り動くわよっ。中を見てきなさい」

 

「分かったっ」

 

アリアは俺にも指示を出し、バスの屋根にフックをかけて落ちないようにし、あるかもしれない爆弾を探る。

俺はまず、犯人が車内にいないかをミラーが付いたら伸縮棒で確認する。

 

(…………どうやらいないみたいだな)

 

不安そうな顔をする武偵高の生徒達だけで、犯人はいないようだ。

俺はミラーをしまい、バスの中に入るために窓をノックして、俺に気付いた生徒に開けてもらう。

俺がそこに入ろうとすると、

 

‥‥トンッ

 

と後ろで蒼真が軽やかに着地する音が聞こえた。

そして、インカムで話しかけてきた。

 

「……アリア、キンジ‥‥目標に到着」

 

『よしっ、蒼真はそのまま待機っ。後はアンタの判断で対応しなさいっ!』

 

『……了解』

 

‥‥ジャキンッ

 

と、蒼真が愛銃を抜く音が後ろから聞こえた。

俺が振り向くと、黒いロングコートをなびかせて、右にDEを持って立つ蒼真と目が合う。

 

「…………」

 

蒼真は何も言わないが、その視線の意味は何となく伝わる。伊達に1年間共に過ごした仲じゃない。

 

(‥‥‥‥さて、やるか!)

 

俺は蒼真に1つ頷き、開けてもらった中に侵入した。

 

「‥‥おいキンジだ!!」「ホントッ!?」「キンジっ!!」「遠山くんっ!」「お前が来たなら安心だ!」

「頼むぜ、キンジ!!」

 

「分かった、分かったから! ……おい武藤!いるか!?」

 

俺はさっき友達を見捨てた悪友の名前を呼ぶ。

 

「お~~~い、キンジ~~……」

 

すると、入り口付近からなんとも気の抜ける声が聞こえた。

 

(おいおい、いつもの無駄に喧しい元気はどうした?)

 

俺は感情の起伏が激しいバカ友にため息をしながら、人混みを押し退けてそちらに向かう。

 

「武藤、2限はまだだがまた会っちまったな」

 

「あ‥‥ああ……チクショウ、なんで俺はこんなバスに乗っちまったんだ?」

 

「友達を見捨てたからバチが当たったんじゃねーの?」

 

頭を抱えて嘆くバカにさっきの鬱憤をぶつける。

 

「──ええい、しゃーない! ……それよりキンジ、あれだ。あの娘の携帯」

 

武藤は吹っ切ったのか、いつもの調子を取り戻し1年の女の子を……いや、正確にはその娘が持っている携帯を指差す。

 

「と、ととと遠山先輩っ! 助けてっ!!」

 

「どうした、何があった?」

 

その女の子の話によると、自分の携帯が突然「速度を落とすと爆発しやがります」と喋りだしたという。

携帯は彼女のじゃないようで、いつの間にかすり替わっていたそうだ。

 

(……同じだ)

 

携帯から聞こえるこの声、速度を落とすと爆発するという条件。

これは……

 

(俺のチャリジャックと同じ犯人……!)

 

『キンジどう!? ちゃんと状況を報告しなさい!』

 

そうこうしていると、インカムからアリアの大きなアニメ声が届いた。

 

「お前の言った通りだよ。このバスは遠隔操作されてる。そっちはどうなんだ?」

 

 

 

 

 

『……爆弾らしいものがあるわ! カジンスキーβ型のプラスチック爆弾、《武偵殺し》の十八番よ。見えるだけでも炸薬の容積は3500立方㎝はあるわ!!』

 

 

 

 

 

「……なっ!?」

 

アリアの言葉に絶句する。

 

(なんだそれはっ!? 過剰過ぎる炸薬量だ!)

 

ドカンといけば、バスどころか電車でも吹っ飛ぶじゃねーかっ!!

 

『潜り込んで解体を試みるわ。アンタは……』

 

俺が驚愕し、アリアがこれからの方針を話しているときに、……アイツが口を開いた。

 

 

 

 

 

『……来た』

 

 

 

 

 

次の瞬間……

 

‥‥ドオォドオォゥンッ!!

 

蒼真の愛銃の声が聞こえ、

 

‥‥ガギギギギイィィィーーーーーッ!!

 

何かが思い切りアスファルトを削る音が聞こえた。

 

『「っどうした(の)っ!?」』

 

『……車が、バスに衝突しようとしてきた』

 

俺とアリアにインカム越しにユニゾンして尋ねられた蒼真は、何事も無かったかのようにいつも通りの調子で返してきた。

 

「車だと‥‥?」

 

『……ああ。……オープンカーで‥‥UZIが、取り付けられていた』

 

「何だと!?」

 

前はセグウェイで、今度はオープンカーにUZI。

これでこの事件は完全に俺のときと同じ犯人に決定だな。

 

『その車はっ?』

 

『……UZIは破壊。……車も、タイヤをパンクさせた』

 

(いつもながら手際良すぎるだろ……)

 

銃声は2回した。ということは、UZIとタイヤ、2つを1発ずつ正確に撃ち抜いたということだ。

 

『さすがね、蒼真っ!! アンタはそのまま周りを警戒して!キンジは』

 

『……アリア、上がれ』

 

『生徒達に……何よ蒼真?』

 

『……また来た』

 

『「えっ!?」』

 

俺とアリアがまたハモったが、今は気にしてる場合じゃないっ!

 

俺が窓の開けて外を見ると、確かにオープンカーが遠くに"2台"見えた。

それらの上には漏れなくUZIが……っ!

 

‥‥ドオォドオォゥンッ!!

‥‥バンッバンッバンッ!

 

‥‥ガ、ガギギギギイィィィィーーーッ!!!

 

早速、外では2人のSランク保持者が対応しておる音が。

 

(外はこのまま2人に任せて、俺はみんなを‥‥っ)

 

「みんな! 外から銃撃されるかもしれないから、出来るだけ伏せていてくれっ!」

 

俺の言葉を聞いたみんなは、言うとおりに従ってくれた。

みんなが伏せ、また様子を見ようと俺が外を見ようと窓に手をかけた辺りで、

 

‥‥ガギ、ギギギギイィィィィーーーッ!!!

 

とまたパンクしたタイヤの金属部分がアスファルトを削る嫌な音が聞こえた。

 

「蒼真、アリア、終わったか?」

 

俺は外を見るのを止め、分かってはいるが2人に一応確認する。

 

『……おう』

 

『終わったけど、この調子だとまた来そうね‥‥。これじゃ爆弾を解体出来ないわ』

 

(確かに、このままじゃいたちごっこだっ)

 

オープンカーが来るかもしれない状況で、しかも粗い運転のなか爆弾の解体なんていう繊細な作業をいかにアリアといえど無茶だろう。

無理に行おうとすれば、バスを爆発させかねん。

 

(どうするっ、どうすりゃいいんだっ?! ……今の、"今の俺"じゃ分からないっ!)

 

 

 

……違う、そうじゃない!!

 

俺はアイツの、蒼真の"親友"だろうがっ!?

 

アイツに任せられたんじゃねーのかっ!?

 

ここでもまた足を引っ張る気かっ!?

 

 

 

───考えろ、遠山 キンジっ!!───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『私に考えがあります』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここで、"今の"アイツのパートナーが、俺達にそう声をかけた。

 

『…………"いけるか"、レキ?』

 

どうやらアイツには、パートナーの片割れがしようとすることが分かるみたいだ。

 

『はい、必ず』

 

レキはそれに、当たり前のように答えた。

 

『……頼んだ』

 

『はい、蒼真さん』

 

お互いを信じあっているからこそ成り立つ、短い、それでいて確かな意志疎通。

 

(…………本当に、コイツらは……)

 

今の……そう、"いろんな意味での今の俺"では到底辿り着けない、"あの日"から置いていかれてしまった領域に……2人は、いる。

 

『な、何勝手に決めてるのっ!? このパーティーのリーダーは私よっ!! 私を置いて勝手に……っ!!』

 

さっき自分は何も言わなかった癖に、アリアは少しイラついた声で蒼真とレキに問いただす。

 

(……今回はお前の気持ちがわかるぞ……アリア)

 

俺とお前は、多分……。

俺は心のなかでそう思い、今も喚いているアリアをたしなめる。

 

「アリア落ち着け。……レキ、俺達はどうすればいい?」

 

『キンジっ!?』

 

「蒼真がいいって言ってるんだ。お前は、蒼真が信じたレキを信じないのか?」

 

『だ、だけどっ!』

 

「お前さっき言ったろ? 武偵憲章1条 『仲間を信じ、たすけよ!』。まあ、確かにお前がリーダーだ。けど、少なくとも俺は、"ちゃんと説明してくれる"ヤツを信じるぞ」

 

『っ!』

 

俺の言葉にアリアは黙りこむ。

 

(……少し言い過ぎたか。でも、今は後だ)

 

俺はレキに作戦を聞く。

 

「それでレキ、俺達はどうすればいいんだ?」

 

『はい。そのバスはレインボーブリッジに向かっています。私がそこで……』

 

俺はレキが話す作戦を黙って聞いていく。

 

 

………………。

…………。

……。

 

 

 

爆弾と乗客を乗せた暴走バスは何事もなく(?)レインボーブリッジに到達した。

レインボーブリッジには車が1台も見当たらない。

 

(どうやら警察が封鎖したみたいだな)

 

あれからUZI搭載のオープンカーも姿を見せないが、油断は出来ない。

 

(……頼むぞ、レキ)

 

レキから聞かされた内容は常人離れしたものだったが、アイツならいけるだろう。

因みに、リーダー(チビ)はあれから俺をガン無視している。

あれのお守りは蒼真に任せよう。

 

『いきます』

 

レキからの合図だ。

 

「みんな、衝撃に備えろっ!!」

 

俺は生徒たちにそう言って、近くの棒に掴む。

俺の言葉に騒がしくなるバス内に、透き通るような声が聞こえた。

 

 

 

 

 

『───私は《夜》を駆けるもの───』

 

 

 

 

 

‥‥ガンッガンッガランッ!!

 

何かを撃ち抜いたような音と共に、レキのスナイプするときの癖……詩的な朗読が始まった。

 

『闇に紛れ、影を纏い、何処までも目標に向かって駆けていく』

 

昔のような冷たく寂しいものとは違う。

その声には強い意志が込められているようだった。

まるで、蒼真のパートナーである証を見せつけるように……。

 

 

 

 

 

『───私は《夜》を駆けるもの───』

 

 

 

 

 

‥‥ガアァンッ!!

 

まるで、それを誇りに思うかのように……。

 

最後のセリフが終わり、次の瞬間にまた何かを撃ち抜く音が聞こえ、そして…………。

 

 

 

 

 

‥‥ドオオオオォォォォオオンッッ!!!

 

 

 

 

 

下の方からものすごい爆発音がバスを揺らした。

 

「「「キャーーーーッ!!?」」」

 

その音と振動に、女生徒達が悲鳴を上げる。

そしてその名残がだんだんと消えていくと、静寂がバスの中を包んだ。

 

「………………やった、か?」

 

しばらくして、1人がそう言った。瞬間、

 

わあぁぁぁーーーーっ!!

 

「や、やった! やったぞっ!!」「助かったんだ、私たちっ!」「ふえ~~~んっ」「ふぃ~、どうなるかと思ったぜ」「っしゃあーーーーーっ!! 不肖俺、生き残りましたよ星伽さ──っ!!」(武)

 

バスの中は歓声に満たされた。……一部変なのがいるが。

それと同時に、バスも停車する。

 

「……ふぅ。今回もなんとかなったか……」

 

俺も溜めていた息を吐いて、どかっと座席に座る。

 

(これでやっとアイツから解放される)

 

俺は任務達成の余韻に浸りながら、小さな紅い台風から解放される喜びに満たされ…………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……どうやら‥‥まだ、終わらないらしい』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インカムから聞こえてきた蒼真の言葉に、俺は勢いよく立ち上がる。

 

「お? どうしたんだよキンジっ! にしてもさすがだなお前らっ……!」

 

武藤が何か言っているが、それどころでじゃないっ。

 

「蒼真、どういうことだっ!」

 

『……バス後方を見てみろ』

 

『‥‥キンジ、みんなをバスから出さないで。あのときのがうじゃうじゃ来てるわよ』

 

俺は蒼真とアリアの言葉を聞いて、みんなを押し退けて一番後ろの窓から外を見る。そして俺は、

 

「んなっ!!?」

 

愕然とした。

 

少し遠くに大型のトラックが止まっているのだが、後ろのハッチが開いていて、そこからUZI搭載のセグウェイが続々出てきているのだ。

 

(ま、まずいぞっ!!)

 

俺はすぐに振り返り、みんなに叫ぶ。

 

「お前ら全員バスから出るなっ!! 伏せてろっ!!」

 

「な、なんだよキンジ?」「どういうことよ?」「俺達助かったんだぜ? 空気読めよ……」「……え‥‥ちょっと待って、あれ……」「う、うそっ!?」「おい、あれ見ろっ!!」

 

どうやら、あれに気付いたらしい。

 

(なら話が早い!)

 

俺は再び騒がしくなる中、もう一度叫ぶ。

 

「いいか、みんな伏せてるんだっ! 安心しろ! ここには蒼真が来てるっ!!」

 

「なっ!?」「マジかっ!」「あの戦闘機人がっ!?」「夜神先輩がいるなら大丈夫やなっ!」「みんな前の方に詰めて!」「少しでも被害を抑えるのよっ!」

 

その言葉にみんな一段と騒がしくなるが、俺の言うとおり、いや、それ以上の行動をとる。

ここら辺りはさすが武偵高の生徒。助かる。

 

(さすが蒼真。アイツのネームバリューは効くな)

 

アイツは良くも悪くも有名人だからな。

利用した風で嫌だが、今はそうも言ってられない。

 

(今回も俺は"役立たず"だと、嫌でも再確認させられたから……な)

 

俺はそう思ったが、今は横に置いておく。

 

「アリア、蒼真! 生徒を前に移動させて伏せてもらった! 俺はどうするいいっ!?」

 

『アンタはバスから援護して。まあ、必要ないかもしれないけど、ねっ!!』

 

『……レキ、やるぞ』

 

『はい』

 

それを合図に、

 

‥‥ババババンッバババババンッ!

‥‥ドドドドオォォオンっ!!

‥‥ガンッガンッガンッ!

 

‥‥ズガガガアァァアンッッ!!!

‥‥ガギンッ、ガッ、ガガッ!!

‥‥ガギッ、ガギンッ、ガギンッ!!

 

‥‥ババババババババハババッッッ!!!

 

セグウェイが破壊される音と共に、Sランク3人と殺人機械による銃撃戦が始まったっ!

 

‥‥バリバリバリバリバリバリッ!!!

 

UZIの弾がバスを襲う。

窓を割り、バスの表面を削り、そして、

 

「がっ!!」

 

俺の身体を打った。

 

(‥‥ぐっ……ぶっねぇっ!!)

 

C装備着てなかったら危なかったっ!

俺はそのまましゃがみ、愛銃を構える。

 

『……大丈夫か、キンジ?』

 

インカムから上でDEをぶっ放している蒼真から通信が入った。

 

「な、なんとかなっ! そっちはどうだ!?」

 

『……すぐ終わらせる。……待ってろ』

 

『えっ!? 蒼真っ!!?』

 

何か聞き捨てならないことを言って、蒼真は通信を終えた。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

「えっ!? 蒼真っ!!?」

 

後ろでアリアの声が聞こえる。が、振り向きはしない。

俺はバスの屋上から飛び降りて、雨のせいで黒い土の匂いがするアスファルトに着地する。

俺とアリア、レキで、近づいてきたセグウェイはあらかた潰したのだが、まだ後方に十数台が残っている。

 

(……今からそれを、駆逐する)

 

「……レキ、援護頼む」

 

『はい、蒼真さん』

 

俺はレキにそう言って、一気に駆けるっ!

そして右手に装備した"あの"DEを構え、UZIが火を吹く前に……一気に──!

 

 

 

 

 

‥‥ドドドドドドドドオオォォォンっ!!!

 

 

 

 

 

 

一気に全弾放出したっ!

 

(……"今"の俺でも、これは出来る)

 

それは体育倉庫で実証済みだ。

射出された全弾……8つの弾丸は、こちらに来ようとしていたセグウェイに搭載されているUZIの銃口に吸い込まれるように向かっていき……そして、

 

 

 

 

 

‥‥ズガガガガガガガガアアァァァアンっ!!!

 

 

 

 

 

あのときと同じように8つ全てのセグウェイがガラクタと化した。

 

(……反動が‥‥パない)

 

結果全てを破壊できたが、幾つか僅かに逸れてしまった。

でも、今は構っている暇はない。

俺は痺れる手で改造DEを仕舞い、今までの相棒DEを取り出す。

 

(……残りは、7台)

 

あれの標的はおそらく俺だ。

だから巻き込まないように俺が自ら特攻して、UZIの射程に入った瞬間にぶちこんでやった。

が、今回はそうもいかない。

乗客の安全は確保されたが、今まで乱雑に向かってきていたセグウェイが、2列に並んでこちらに向かってくるのだ。

どうやらこれを操っている者もバカではないらしい。

これでは重なりあっているところがあるため、最低でも1つは撃ち損じてしまう。

 

(……"このまま"では‥‥また、撃たれてしまう)

 

が、俺は気にせずDEを痺れていない左で構え‥‥

そのまま弾を"5発"射出する──!

 

‥‥ズガガガガガアァァンっ!!!

 

弾は先程よりも正確に前4台、後ろ1台のUZIの銃口を貫き、破壊する。

そして、俺の世界がスローモーションで流れる。

俺が銃を構え直す間に、待っていたかのように2つの銃口がこちらを向く──!

 

(……ここで、チェック)

 

そして俺は無惨に蜂の巣。ゲームオーバー。

そう……、

 

 

 

 

 

(……俺が1人なら、な)

 

 

 

 

 

‥‥ガンッガンッ!!

 

遠くでエコーする発砲音と共に、

 

‥‥ズガァンっ!、ズガァァンっ!!

 

残り2つのセグウェイが破壊された。

 

「……ナイスショット、レキ」

 

『ありがとうございます』

 

俺は以心伝心、相性抜群の可愛いパートナーに賛辞を送る。

 

(……多分、これで終わりだろう)

 

だが、油断は出来ない。

俺は周囲を警戒しながら、今回の事件を振り替える。

これが理子の仕掛けたものなのは承知済み。

しかし、最後のセグウェイは確実に理子ではない。

それは断言できる。

 

(……なら、最後のは……)

 

さっきは予想で俺が標的だと思ったが、誰だって自分が操る兵器が壊されそうになったら壊そうとしている者を狙うだろう。

だから、

 

(……確実に、《陽》の者とは言えない‥‥か)

 

ヘリから飛び降りる前、最後に1度だけ〈空間の氣〉を軽く広げてみたが、やはり《陽》の者は見当たらなかった。

 

(……気にしても、仕方ないか)

 

それよりまずは、

 

 

 

 

 

「‥‥そぉ~~おぉぉぉまぁーーーーーっ!!!」

 

 

 

 

 

こちらに向かってくる紅い弾丸をどうにかせねば……。

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

「……なんとか‥‥なったか~~~」

 

俺は再度助かった喜びで沸き上がるバス内で、後部座席に腰を下ろし、一息ついていた。

 

(……今回も、"役立たず"確定だな。本当に‥‥情けねーなぁ、俺)

 

自分から巻き込んでくれと言っておきながら、武偵を辞めると決めた日から、俺は悉く蒼真の足をひっぱりっぱなしだ。

正直、ここ4ヶ月蒼真に大きな怪我が無かったのが不思議なくらいだ。

その前まではまだマシだったのだが、何故ダメダメなのかなんて分かりきっている。

 

(……でも、次こそは‥‥)

 

そう、これで迷惑極まりなかったアリアとはおさらば。

蒼真のことに集中できる。

久しぶりに蒼真とレキのタッグを見て、改めて感じた。

 

(もう、嫌なんだ)

 

だから、絶対に‥‥今度こそ……。

 

(今度こそ……アイツに言うんだ。もう一度……)

 

 

 

 

 

───もう一度、俺と……───

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

‥‥瞬間。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『……アリアっ』

 

『きゃっ!』

 

 

 

 

 

極めて珍しい蒼真の焦った声と、アリアの声。そして、

 

『ちょっと何すん……え…………そ、蒼真……蒼真っ!!?』

 

『…………ぐっ、アリア‥‥掴まってろっ』

 

『な、何で血がっ……蒼真、蒼真ぁ!!』

 

聞き捨てならない単語と、アリアの取り乱した声が耳を打ち付けた。

 

「おい、蒼真……蒼真っ!! 何があった、応答しろっ!!!」

 

俺はヤバいことが起こっていることを悟り、必死に蒼真に呼び掛ける。

 

 

 

まだ、この悪夢は終わっていなかった。




如何でしたか?

いや~~、申し訳ありません。
リアルが忙しくて中々執筆できない(泣
師走とはよくいったものです。
これからも出来るだけ早く投稿できるように致しますので、どうか見守っていてください。

ではでは(^-^)/
感想と意見、案などを切に……切に待っておりますっ!!
これからも応援よろしくお願いいたします!!

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