夜の神は太陽に恋焦がれた   作:黒猫ノ月

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さあさあとっとこ参ります。
モチベーションを上げてレッツゴー!


sideキンジ

『俺は武偵なんて……武偵なんて大嫌いだ!!』

 

あんな事があったんだ。そう思った。いや、今でもそう思っている。

 

『武偵なんて辞めてやる!!』

 

あぁ、辞めてやるさ。せいせいするね。

 

大体こんな学校おかし過ぎるだろう。

 

平和な日常生活を過ごしたいんだ俺は。

 

『なぁ……』

 

なのに……

 

『蒼真……』

 

何で

 

『お前は……』

 

こんな夢でまで出て

 

『俺を……』

 

迷ってるんだろう…………?

 

 

 

『恨まないのか……』

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

……ピン、ポーン…………

 

慎ましいドアのチャイムで目が覚める。

 

「あぁー――」

 

(…………今何時だ?)

 

ケータイの時計を見ると、7時ちょっと前。

この時間なら蒼真が行ってくれるだろう、と思い朝飯が出来るまで寝ようと二度寝に移行する。

するとまた、

 

……ピン、ポーン…………

 

と同じように慎ましいチャイムが鳴る。

 

「…………あ?」

 

(……もしかして、アイツ……いない?)

 

「はあぁーー」

 

っつうことぁあれか……〈いつもの〉……か‥‥。

 

「しゃあない」

 

仕方なく、着ていた寝間着からシャツと制服のズボンに着替える。

あの鳴らし方は……ハァ……白雪か。

 

「今でるから少し待ってろ!」

 

少し声を張り、玄関の客に起きたことを知らせる。

急ぎ洗面台に行き、軽く顔を洗ってタオルで拭いた後玄関に向かい、ドアを開ける。そこには、

 

「よぉ、待たせたな」

 

「ううん、待ってないよ‥‥えっと、おはようキンちゃん♪」

 

「あぁ……おはよう」

 

長い黒髪をなびかせながら綺麗に微笑む大和撫子がいた。

今日は朝から大変な模様だ。

 

「朝からどうしたんだよ白雪」

 

玄関で立ったままもしんどいので、白雪を部屋にあげながら聞く。

 

「え、えっと‥‥ね。キンちゃんにね、朝ごはん用意してきたの。」

 

リビングに着くと少しもじもじしながら手に持っていた重箱を持ち上げて白雪が答える。

 

「あぁ?朝御飯だと?お前も知ってるだろ、それなら蒼真がもう……」

 

そう言ってキッチンを見やると

 

「あ、あれ?」

 

そこには何も無く、シンクの上に綺麗に洗われた皿とコップが……。

 

「…………あれ?」

 

何も無いだと?おかしい、あいつ《いつものあれ》でも朝飯は用意してるはず……。

そう思って白雪と共に首を傾げていると、

 

~~~♪~~~♪

 

俺の好きな曲を鳴らしながらケータイが震えた。

 

「こんな朝から誰だ‥‥って蒼真から!?」

 

それは蒼真からのメールだった。

急ぎケータイを開き、メール開ける。白雪も俺の横から覗き込む。メールには

 

 

 

From 蒼真

Sub  起きたか?

Main お前ならそろそろ起きているだろう

     今日は先に行く

     朝飯は白雪に貰え

     今日は始業式だから愛妻弁当がある

     はずだ

     愛を噛み締めて食べろ

     PS

     あれほど寝顔は素直なのだから、い

     つもそうしていればいいのに

 

 

 

と、書いてあった。っつうか…………。

 

「お前はエスパーか!?お前強襲科だろうが!!いつからSSRになった!!何が愛妻だふざけるな!!後、余計なお世話だてめえが言うな年中ロボット野郎!!」

 

と声を荒げながら、キンジは一息に捲し立てる。

 

(心配した俺がバカだった!)

 

ハァハァ……と息を整えている横では、

 

「や、やだ‥‥蒼真君ったら……。あ、愛妻だなんて。確かに愛は込めてるけど……。あれ?これってもしかしてわ、私がキンちゃんの奥さんに見えるってことなんじゃ‥‥!?そうだよねそういう事だよね…………ぶつぶつ」

 

最初は見た目相応に恥じらっていたのに、後半になるにつれてぶつぶつと声を抑えながら黒い顔をしていた。

 

(怖っ!!)

 

めちゃくちゃ怖えぇよ、白雪!!早くなんとかせんと……!!

 

「お、おい白雪。そういう事だからその弁当くれないか?腹が減ったぞ」

 

すると、

 

「……はっ!ご、ごごごごめんなさいキンちゃん様!!そうだよね!お腹減ったよね♪…サッサッサ…さあ召し上がれ♪だ、旦那様……」

 

よ、よし!なんか知らんがいつもの白雪に戻ったぞ。何かおかしな事を言っていた気がするが……いつもの白雪に戻った証拠だからよしとする。

早業で準備された重箱の弁当にありつくために二人でリビングのテーブルに腰を下ろす。

白雪がいつの間にか持って来た箸を持ち、

 

「……いただきます」

 

「はい♪召し上がれ」

 

少し遅めの朝食にありつく。

 

 

 

………………。

…………。

……。

 

 

 

「今日から新学期だね」

 

「あぁ、そうだな……」

 

白雪の話を適当に流しながら卵焼きを摘まみ、ふと、朝の夢を思い出す。

 

(何で今さらあん時の夢を…………)

 

確かに俺はアイツに、蒼真に聞いた。

「怒らないのか」と、「恨まないのか」と。

その言葉に蒼真は……

 

 

 

『━━━━━━━━…………』

 

 

 

あの時に蒼真は言ったんだ、ハッキリと。

俺は、分かってた。蒼真がそう返すだろうと。

誰よりも優しいアイツなら、絶対に…………。

分かっていながら聞いた俺は…………

 

 

 

────卑怯者だ────

 

 

 

「キンちゃん?」

 

(はっっ!!)

 

「な、なんだ!?白雪!?」

 

「わっ!なななんでもないよ!?ただ‥返事がなかったから声を掛けただけだよ‥‥?」

 

「そ、そう‥‥か。悪い」

 

「ううん、いいよ。‥‥でもキンちゃん、大丈夫?顔色がちょっと……」

 

「いや……なんでもない。なんでもないんだ」

 

俺の言葉に「……そう」と言い、白雪はホッと胸を撫で下ろしたようだ。

それから、また二人で話ながら朝飯を食べる。

…………そう、なんでもないんだ。あれは終わった事。今のこの現状が全てだ。

俺は来年の3月にここを辞めて、平和に暮らす。

そして、蒼真は夢を叶えるためにただ走る、たった一人で、危険な道を………………。

 

 

 

───終わった事、と言っているのに……

 

 

 

『━━━━━━━━…………』

 

 

 

アイツが言った言葉が、頭から離れなかった───




書けた書けた(満足、伸び~
次回でプロローグは終了です。
サッサッサと参りますんで、応援よろしくお願いいたします♪
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