夜の神は太陽に恋焦がれた   作:黒猫ノ月

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どうもです。

しばらくアリアsideはありません。
キンジと蒼真視点で参ります。

では、投稿です。


第15弾 「いくわよっ! キンジ、蒼真!!」

‥‥バラバラバラバラバラッ!!

 

降りしきる雨の中、俺達を乗せたヘリが目標に向けて発進している。

キンジは憂鬱な顔でヘリの外を眺め、アリアは武装のチェック。

俺とレキは2人並んで壁に背を預けて座っている。

 

そんな無言の中、俺はアリアの様子を伺う。

アリアは普段通りに振る舞っているつもりらしいが、やはり嬉しいのだろう。

所々の仕草の中に、嬉しさが隠せていない。

 

(……キンジと、初めての任務)

 

【独唱歌】だったアリアが、自分の力だけで見つけたパートナー……キンジ。

 

今回の俺の役目は色々あるが、その中の1つが、2人が上手くいくようにサポートする事、‥‥なのだが……。

 

(……不安だ)

 

俺は先程のやり取りを思い出し、苦笑した。

 

 

俺とキンジはお互いに声を掛け合ったあと、アリアに向き直った。

レキは俺の横で待機している。

 

「蒼真も来たことだし……アリア、事件の詳細を教えてくれ」

 

冷たい雨が俺達を打つなか、キンジは、未だに俯いているアリアに事件のあらましを尋ねる。

 

「‥‥‥‥ふぅ、そうね。今は時間を無駄にしてる場合じゃないわね」

 

アリアはため息を1つ、顔を上げてむんっと気合いを入れ直す。

そして俺とレキをチラッと見たあと、話始める。

 

「‥‥蒼真が来たから火力は充分。この4人でバスを追跡するわよ」

 

「バスを‥‥追跡? どういう事だよ、何が起きたかの状況説明ぐらいキチンとしろ」

 

戸惑うキンジに向かってアリアがいい放つ。

 

 

 

「バスジャックよ。武偵高の通学バス。アンタ達のマンションの前にも、7時58分に停留したハズのヤツ」

 

 

 

「‥‥なっ!?」

 

その言葉に、キンジは驚愕の表情を見せる。

 

(……そういえば‥‥乗り遅れていたな)

 

先程、周辺を〈空間の氣〉で探っているときに、バスに乗り遅れて歩いているキンジを見つけた。

偶然にも、バスに乗って準備も出来ないまま居合わせるということはなかったようだ。

 

(…………ん? "偶然"?)

 

……いや、"違うな"。これはおそらく…………。

 

俺がある予想を思い浮かべているなか、アリアとキンジの話は続く。

 

「……犯人は車内にいるのか」

 

「分からないけど多分いないでしょうね。バスには爆弾が仕掛けられてるわ」

 

「……爆弾」

 

キンジは爆弾と聴いて、この間のチャリジャックを思い出しているようだった。

 

「──キンジ、

 

 

 

これはアンタの自転車をやったヤツと同一犯……《武偵殺し》の仕業だわ」

 

 

 

アリアはそう言いながら、呆然とするキンジの横を通り過ぎ、俺も見ずに話続ける。

 

「最初の武偵はバイクを乗っ取られたわ。次がカージャック、その次がアンタの自転車で‥‥今回がバス」

 

………………。

 

(……今思うと、色々ジャックしてるな‥‥理子の奴)

 

別に統一してもいいのでは?と思ってしまう。

それと、理子に爆発させる気はないのは分かっているが、それでも爆破対象にされた人には申し訳なく思う。

 

(……黙認している俺も、"共犯"‥‥だからな)

 

「───で、アンタを助けた時も、今回も、その電波をキャッチしたのよ。……蒼真、アンタもでしょ?」

 

そう言って、アリアはやっと俺を見る。

 

「……いや」

 

「‥‥ならどうして事件のことをこんなにも早く知ることが出来たのよ? あと、私たちがここにいることも」

 

俺はその問いに、隣に立つレキの頭をぽんっでして答える。

 

「……レキが、教えてくれた」

 

アリアは〈空間の氣〉の存在を知らない。いや、知る機会がなかった、の間違いだな。

アリアと出会ったあの頃の俺は、今のように上手く氣を扱うことが出来なかったのだ。

 

 

 

 

 

───内に宿る、禍々しいモノのせいで───

 

 

 

 

 

だからキチンと形になるまで、アリアに教えることが出来なかったのだ。

なので、今のアリアの問いにおかしい点はない。

……まぁ、今回は普通にレキが教えてくれたのだが。

 

会話は続く。

 

「……レキ?」

 

アリアは俺とレキ……正確にはレキの頭に置いてある俺の手を見て、不機嫌そうに鼻を鳴らす。

 

「知らなかったわ。アンタ達、仲良いのね」

 

「「聞かれませんでしたから(……聞かれなかったから)」」

 

俺とレキは同時に答えた。

それを聞いたアリアはよりいっそう不機嫌さを増して、さらに尋ねる。

 

「‥‥質問を変えるわ。蒼真……レキに"どうやって"教えてもらったの? 私、レキに事件の依頼をしてからずっと一緒にいたけど、そんな素振り見なかったわよ?」

 

アリアはじ~っと俺を見つめる。

別に話す分には構わないのだが、何分時間がない。

アリアは事件の事を忘れているのか、未だに視線を逸らさない

 

(……どうしたものか)

 

これは教えるまで逃がしてはくれないぞ。

俺が悩んでいると、

 

「アリア、時間がないから後にしろ。それより、俺はお前に聞きたいことがある」

 

キンジが俺に目配せしながら、アリアと俺の間に入った。

 

(……ナイス、キンジ)

 

俺は心の中で、ナイスアシストをしたキンジに感謝する。

……因にだが、キンジは〈空間の氣〉だけでなく、一通りの《夜》を知っている。

パートナーだったのだから当然だな。

 

アリアはまだ納得してない様子だったが、状況を思い出したようで、渋々退いてくれた。

 

「‥‥そうね、今は時間が無いんだったわ。でもっ!あとで話してもらうわよ、蒼真?」

 

「……分かった」

 

俺の了承を確認したアリアは1つ頷き、キンジに向き直る。

 

「分かったなら良し! それで? アンタの聞きたいことって何よ?」

 

「アリア、《武偵殺し》は逮捕されたハズだぞ。どういうことか説明しろ」

 

うむ。もっともな疑問だ。

世の中ではそういうことになってはいるが、真実は違う。

その逮捕は誤認逮捕であり、逮捕されたのは……アリアの母、かなえさんなのだから。

だが、それを知らない人には今の状況は訳のわからないものだろう。

 

そう……

 

「……それは真犯人じゃないわ」

 

「……何だって? ちょっと待て、お前は何の話をしているんだっ?」

 

(……今のキンジのように、な)

 

さて‥‥どう説明するんだ、アリア?

ここが、まず越えるべき壁だな。

ここで少なからずキンジに訳を話すなら良し、何も話さずに押し通そうとするのなら……アウトだ。

また、お前は1人ぼっちになってしまう。

 

(……お前はどうする、アリア?)

 

俺はアリアの回答を待つ。

……仮にも、アリアにとってパートナーと呼ぶ存在であり、俺が信頼しているキンジを信用してくれると信じて。

 

 

 

「……っ、アンタも言ったでしょ。今は時間がないの。それに、アンタは知る必要はないっ! このパーティーのリーダーは私よ!」

 

 

 

だが、俺の期待は裏切られた。

キンジの言葉を聴いたアリアは、誰も寄せ付けないように目をつり上げて、少し声を荒げて叫ぶ。

キンジも負けじと返す。

 

「待て……待てよアリア。お前──」

 

「だから時間がないの! バスは今この瞬間にも爆発するかもしれない! ミッションは車内にいる全員の救助、以上!!」

 

「ふざけんなっ!! 自分のことを棚に上げて説明を省くな! さっき蒼真を呼ばなかった時もそうだが、武偵は命を賭けて事件に臨むんだぞ! いい加減、適当するのも大概にしやがれっ!!」

 

「っ!?」

 

それから暫し睨み合いが続く。

俺はそんな2人を見て、心で呟く。

 

(……だからお前ら‥‥時間が、無いっちゅうねん)

 

俺はため息をして、この状況をどうしようかと模索してると、

 

「蒼真さん」

 

‥‥くい、くい

 

俺の袖がレキに引っ張られた。

 

「……なんだ?」

 

「あれを」

 

そう言って、レキは遠い空を指差す。

俺も指差す方へ目を向けると、そちらからヘリが。

 

(……来たか)

 

俺は本格的に時間が無いことを理解し、

 

「……ありがとう、レキ」

 

「はい」

 

レキに礼を述べ、未だに睨み合うキンジとアリアの仲裁に入るために動く。

そのためまずは……

 

 

 

‥‥ベシッ

 

「あうっ!」

 

 

 

アリアの自慢のおでこをはたき、意識をこちらに向けさせる。

 

「な、何するのよっ!?」

 

「……キンジが、正しい」

 

「っ!」

 

そう、今回はキンジが明らかに正しい。

そんな曖昧でアバウトな説明では、誰も付いてこない。

それに、そんなことしか言えない奴に誰も背中を預けようとは思わないだろう。

 

(……まったく、世話のやける)

 

今度は俺を睨み付けるアリアをとりあえず放置し、キンジにアリアが話さなかった説明を"省いて"話す。

 

「……キンジ」

 

「‥‥なんだよ」

 

「……《武偵殺し》は、捕まっていない」

 

「だが、世間では──」

 

「……誤認逮捕だ」

 

「っ! …………信憑性は?」

 

「……100%」

 

「…………」

 

「…………」

 

「…………分かった。お前を信じる」

 

短いやり取りだけで、ただ俺を信じてくれる。

これぞ信頼関係の成せる業。

 

「……ありがとう」

 

「‥‥けど、あとでちゃんと説明しろよ? 何で知ってるかとか、その他もろもろ」

 

「……おう」

 

そして、このやり取りだけで俺が他にも色々知ってること(隠してること)がバレたみたいだ。

こ、これぞ‥‥し、しし信頼関係の成せる………業。

 

(……ふぅ、さて)

 

お次は……

 

 

 

‥‥ぶっすぅ~~

 

 

 

膨れているアリアの対処だ。

 

「……アリア」

 

「…………あによ」

 

「……今回は、キンジが正しい」

 

「…………」

 

「……焦りも分かる‥‥が、"仲間"なら‥‥ちゃんと説明しろ」

 

ここではあえて、パートナーではなく仲間という単語を使う。

 

(……アリアには、まだ‥‥パートナーは早い……ようだ)

 

俺はそう結論付けた。

 

「仲間だからこそ、説明なんて要らないでしょ。武偵憲章一条、『仲間を信じ、助けよ』! 最初の任務でも、お互いを信じ合ってこその仲間だわっ!!」

 

「……なら、お前は最初‥‥"俺を信じたか"?」

 

「っ……そ、それは…………」

 

「……分かったか?」

 

「………………(こくん)」

 

俺は黙って頷くアリアに苦笑し、キンジに聞かれないようにアリアのそばに寄り、囁く。

 

「……これから、徐々に‥‥頑張っていけば、いい」

 

「‥‥でも、この一回だけって……」

 

「……それは、お前次第だ‥‥アリア」

 

「?」

 

キンジは少しづつだが変わっている。

それを大きな変化に変えることが出来たなら、キンジも…………。

 

俺は疑問符を浮かべるアリアをヘルメットの上からぽむぽむして、上を見上げる。

 

‥‥バラバラバラバラバラッ!!

 

雨を弾き返しながら、ヘリが着陸しようとしていた。

 

「……どうやら、来たみたいだ」

 

「‥‥ふぅ、そうね」

 

アリアも切り替えたようで、顔を引き締める。

 

「蒼真、さっきの約束プラス、キンジと同じく知っていることを話してもらうわよ」

 

「……おう」

 

アリアはそう言って、キンジの元に向かって行った。

 

この事件が終わったら、話さなくてはいけないことが山ほどだな。

 

(……上手く話せるか、俺?)

 

俺が人知れず不安に支配される中、アリアはキンジに向かって笑顔で語りかける。

 

「キンジ、これが約束の最初の事件になるわね」

 

その言葉にキンジは顔をしかめっ面にして、

 

「‥‥大事件だな。俺はとことんツイてないよ」

 

心底不満です、といったふうに返す。

アリアは気にせずに、笑みを不適なものに変えながら続ける。

 

「約束は守りなさい? 蒼真が認めた実力を見せてくれるのを楽しみにしてるんだから」

 

その言葉に、キンジは俺を恨みがましく見つめる。

 

(……いやいや)

 

「‥‥はぁ」

 

だけど、キンジはすぐに目を反らし、小さいため息を1つして、着陸したヘリに向かいながら、俺に声をかける。

 

「……ホント、頼むぜ‥‥"親友"」

 

「……任せろ」

 

俺は憂鬱げな"親友"に苦笑する。

 

「安心なさい。アンタに何かあったら、私と蒼真が助けてあげるから」

 

「‥‥はぁ。頼りにしてますよ、マジで」

 

キンジとアリアは軽口を言い合いながら、並んでヘリに乗り込む。

 

俺はそれを微笑ましげに見て、いつの間にか隣にいたレキに声をかけて、俺たちも2人に続く。

 

「……いこうか、レキ」

 

「はい、蒼真さん」

 

 

雨風をかき分け、俺たちを乗せたヘリは進む。

 

(……不安要素は、まだある)

 

さっき、一瞬だけ辺りを探ってみたのだが、《陽》の者達が一向に見つからない。

詳しく探る時間は無かったが、理子はともかく《陽》の者は"空間の氣"を広げただけですぐに分かる。

 

(……なのに、見つからない)

 

この間(キンジとアリアの出会い)は近くに潜んでいたのに…………。

 

(……あれから学んだか?)

 

すぐに居場所がバレることを懸念して身を隠した……いや、奴等は是が非でも俺の首が欲しいはず。ここまできて、隠れはしないだろう。

 

(……俺は、ひなたの"仇"‥‥だからな)

 

俺は奴等の気持ちを考え、少し沈む。

俺も奴等も、ひなたを想う気持ちは同じはずなのに‥‥な。

 

(……ともかく、警戒しとかないとな)

 

 

 

「蒼真さん」

 

 

 

不意に、レキが小声で声をかけてきた。

 

「……なんだ?」

 

「‥‥大丈夫、ですか?」

 

レキはそう言って、俺を心配そうに見上げる。

しかし、レキは俺のことをいつもよく見てくれているな。

 

(……心配させたか)

 

レキにはすでに、《陽》が絡んでいることを伝えてある。

そして、俺と奴等の因縁も……レキは知っている。

どうやら、レキから見て、今の俺は心配に見えるらしい。

 

(……しっかり、しないとな)

 

これから一仕事あるのだ。しゃんとしよう。

俺は今も心配してくれているレキの頭をぽむってする。

 

「ん‥‥蒼真さん?」

 

「…‥ありがとう、レキ」

 

「‥‥はい」

 

レキも俺が気持ちを入れ換えたことに気付いたようだ。

俺はレキの頭を撫でながら続ける。

 

「……久しぶりに、今日は頼む」

 

「はい‥‥‥‥ん」

 

‥‥なでなで、なでなで

 

レキへのお礼のために、しばらく頭を撫でる。

レキは頭を撫でられるのが本当に好きで、時には無言の圧力で訴えてくるときもある。

その迫力……地味にすごいのだ、これが。

まあともかく、好きなのは事実で、その証拠にいつも固いレキの頬が少し緩んでいる。

 

(……嬉しそうで、何よりだ)

 

俺は苦笑し、そのまま撫で続けようとして、

 

 

 

「……あ、ああアンタ達っ、い、いい加減にしなさいよっ!!」

 

 

 

顔を真っ赤にした妹にどやされた。

 

「さ、さっきからいいいイチャイチャとっ、事件に集中しなさいっ!!」

 

「‥‥‥‥やめとけアリア。コイツらに言っても無駄だ」

 

吃りながらも怒るアリアに、キンジが達観したような顔でアリアを諭す。

 

「この2人はこれがデフォだ。いちいち気にしてたら身が持たないぞ」

 

「……キンジ、アンタやけに慣れてるじゃない」

 

いつもと少し違うキンジを見たアリアは、怒りを収めてキンジを見やる。

 

「昔は俺とこの2人でよく組んでたんだ。慣れもするさ」

 

そう言って、キンジは表情をそのままに、顔を外に向ける。

……なんだかよく分からないが、憂鬱ではなくなったみたいだ。

 

「…………はあぁ~~」

 

アリアはそんなキンジを見たあと、しばらくして大きなため息をついた。

そしてくるっとこっちを向いて、俺とレキをビシッと指差しながら言い放つ。

因みに撫でていた手は既に退けてある。

 

「と、ともかくっ! もう任務は始まってるのっ! だから場を乱さないっ!! 分かった!?」

 

「「……はい」」

 

俺とレキの返事を聴いたアリアは、フンッと鼻息を荒くしながら準備に戻る。

 

ふと、俺の中にあったモヤモヤが無くなっているのに気付く。

どうやらレキとアリアのおかげで、柄にもない緊張が解けたみたいだった。

 

(……ふ‥‥まあ、なんとかなるだろう)

 

俺は苦笑して、もたれた背を離して立ち上がる。

そうだな。余計なことを考えずに、今はアリアとキンジのために頑張ろう。

 

「皆さん、見えました」

 

俺が改めて気合いをいれる中、レキの声が俺達を呼ぶ。

元から見ていたキンジも合わせてみんなで窓の外を見る。

が、レキ以外誰も雨に打たれるビル群しか見えない。

 

「何も見えないわよ、レキ」

 

アリアが思ったことを口にする。

 

「ホテル日航の前を右折しているバスです。窓に武偵高の生徒が見えています」

 

「よ、よく分かるわね……。アンタ視力幾つよ?」

 

「左右ともに6.0です」

 

アリアの問いに、レキはさらっと何でもないように話す。

 

(……さすがだ、レキ)

 

その視力の凄まじさにはいつも舌を巻く。

 

「……ホントにいつもスゴいな、お前」

 

「いえ」

 

レキはキンジの言葉を聴いて、チラッと俺を見た。

……どうやら誉めて欲しいみたいだ。

 

(……仕方ない奴だ)

 

‥‥ぽむっ

 

「……凄いな、レキ」

 

「…………」

 

傍目からは分かりにくいが、さっきと同じで頬を少し緩めている。

 

「ええーーーい、 またイチャついてっ!! 見つけたのなら早く役割分担決めるわよっ!!」

 

そんな俺達にアリアが怒鳴り、俺とレキの間に入る。

 

「もうっ、まったく。……じゃあ空中からバスの屋上に移るわよ。私はバスの外側をチェックする」

 

そのまま、役割を次々に決めていく。

 

「キンジは車内で状況を確認、そのあと連絡して。レキはヘリでバスを追跡しながら待機。蒼真は臨機応変に私とキンジのサポートしなさい」

 

アリアは話は終わったとばかりに、バスに乗り移る準備に取りかかる。

 

「……はぁ、ミーティング短すぎるぞ。……おい蒼真」

 

キンジはここ十数分でアリアと合わせるのを諦めたのか、俺に声をかける。

 

「今回の事件は間違いなく《武偵殺し》なんだな?」

 

「……ああ」

 

「…………大方、《夜想曲(ノクターン)》の奴等が"色々"調べたんだろうが、ホントよくやるよ」

 

「……照れるぜ」

 

「誉めてねーよ、呆れてるんだよ。……蒼真、俺に気を使わずにあとでちゃんと話せよ。もうすでに巻き込まれてるんだからな」

 

「……おう」

 

ふて腐れながらそう言うキンジに、俺は苦笑する。

キンジは俺が何か隠しているのを確信してるのだろう。

 

(……なら、今回も‥‥"巻き込ませてもらうか"。……頼むぜ、"親友")

 

俺は心の中であの"宣言"を思い出し、また苦笑する。

そんな俺を見て、キンジは気恥ずかしそうに頬を掻いて、顔を反らす。

そして顔を横に向けたまま、俺とレキに言う。

 

「‥‥‥‥リーダーがあんなんだからサポートよろしくな、蒼真。レキも」

 

「……おう」

 

「はい」

 

俺達は3人で頷き合い、それぞれの準備に取り掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

準備をする中、俺はそっと視線をアリアに向ける。

アリアは、今の俺達のやり取りを羨ましげに(本人は否定するだろうが)見ていた。

 

(……これからだ、アリア)

 

 

 

今までは、確かに【独唱歌】だったのだろう。

 

だけど、これからは俺がいる。

 

パートナー(仮)のキンジがいる。

 

友達のレキがいる。

 

お前を慕ってくれているあかりがいる。

 

……アリア、早く気付けよ。

 

少し手を伸ばせば、届くところにお前が羨ましがるものがあるんだ。

 

だって、お前は……もう、

 

 

 

「キンジ、蒼真、行くわよっ!!」

 

「っおう」「……ああ」

 

 

 

───【独唱歌】じゃないんだから───




如何でしたか?

いやあ、進まない。進みませんねぇ。
予想ではもっと進んでるはずでしたが、俺の文章力に再び膝が崩れそうになります。

皆様、次からが戦闘になります!
大変お待たせして申し訳ありませんが、お付き合いください!

ではでは(^-^)/
感想や意見待ってます! 切に!!
これからも応援よろしくお願いいたします!!

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