夜の神は太陽に恋焦がれた   作:黒猫ノ月

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どうもです。

皆さん聞いてください!
この作品、気づけばお気に入り件数が300越えていたんです!
感動でございます!!
これからもよろしくお願いいたします!!

ちなみにGの数合ってます。そこんとこよろしく。

では、投稿です。


第13弾 「さって……、【GGGG】を始めよっか♪」

日も落ちて、外は夜の帳が下りている。

いつもならそんな暗闇を明るく照らす月明かりも、今夜は朧月。

仄かな月明かりが優しく照らすだけで、十分な光量とは言い難い。

 

「蒼真さん、コーヒーをどうぞ」

 

「……ありがとう」

 

灯りが1つしかない……そんなほの暗い部屋の中で、"椅子"に座った俺にレキがコーヒーを運んでくれた。

レキはそのまま、俺の向かいにある"もう1つの椅子"に座り、ホットミルクを口に含む。

俺もレキに習ってコーヒーを飲む。

 

(……うまい)

 

カップを"テーブル"に置き、俺は部屋を見渡す。

 

俺が今いるのは、パートナーであるレキの部屋だ。

昔と比べれば少しは物が増えたが、それでもまだ、部屋の中はガランとしている。

この質素な白い椅子とテーブルも増えた物の1つだ。

 

少しずつ物が増えていく部屋を眺めながら、今度増えたものを探す。

それが、この部屋に来たときの習慣になっている。

 

(……お)

 

部屋を見渡していると、タンスの上に置いてある小さめの箱を見つけた。

 

「……あれ」

 

「あれはアリアさんからいただきました。この間の任務のお礼だそうです」

 

レキはそう言ってカップをテーブルに置き、その箱を取ってくる。

 

箱には桜の意匠が描かれていて、外側に金属の取っ手がつけられていた。

 

「……オルゴール、か?」

 

「はい。……聴きますか?」

 

「……ああ」

 

レキは取っ手を何回か回し、オルゴールをテーブルに置く。

そして、

 

~~♪ ~~~~♪

~~~♪ ~♪ ~~♪

 

しばらくの間、春をイメージしたのであろう穏やかな音色が、ゆっくりと流れていく。

俺は目を閉じて、その音色に耳を傾ける。

 

(…………いい曲だ)

 

 

 

『忘れ、ないでね』

 

頭の中に"彼女"が思い浮かぶほどに……。

 

 

 

(……"忘れる"わけ‥‥無いだろう)

 

彼女との約束の1つを思い出しながら、優しい音色に思考を委ねていた。

 

(……ひなた)

 

「……蒼真さん?」

 

レキが俺に声を掛けてきた。

現実に戻ってくると、目の前に、無表情ながらも綺麗なレキの顔が……。

どうやら、オルゴールはいつの間にか止まっていたようだった。

 

「……ん‥‥いい曲だな」

 

「はい。私もそう思います」

 

もう一度聴きますか?とレキが尋ねたが、そろそろ本題に入りたいから。と遠慮した。

俺はコーヒーを一口飲んで、今日来た目的を話す。

 

「……レキ、話がある」

 

「はい」

 

レキもオルゴールを戻し、俺の向かいに座る。

 

「……単刀直入に聞く」

 

「‥‥はい」

 

 

 

「……何故、アリアを"見張る"?」

 

 

 

「…………」

 

「……アリアが来てから‥‥お前は、アイツのそばにいた」

 

「……その時は、何も聞かなかった」

 

「……だが、今は状況が違う」

 

「……アリアが‥‥キンジに、奴隷宣言をした日」

 

「……その日から‥‥お前は、俺達の部屋を‥‥"監視"していた」

 

「……そして、アリアがいなくなり‥‥監視は無くなった」

 

「……何故だ?」

 

「…………」

 

「……アリアとキンジが、出会うことに‥‥何がある?」

 

「…………」

 

「……レキ、教えてくれ」

 

「…………」

 

俺は無言を貫くレキに再度呼び掛ける。

それでもレキは口を開かず、ただジッと俺を見つめだけだ。

 

だが、経験で分かる。

こういうとき、レキは"誰かと話しをしている"。

なら、俺はただ待つのみ。

 

暫しの間、薄暗い部屋を静寂が包む。

そして……俺のコーヒーが温くなってしまった頃、やっとレキは口を開いた。

 

 

 

「‥‥‥‥"風"は‥‥ダメだと言っています」

 

 

 

「…………」

 

レキは少し顔を俯かせて答えた。

 

(……やはり、か)

 

レキは、しばしば"風"という単語を使う。

キンジなんかは"電波"とか言っていたが、おそらくは……

 

(……テレパシーの類い)

 

誰からの言葉なのか分からないが、これだけは分かる。

 

 

 

その者は、確実にレキより上位の立場であるということ。

 

 

 

"風"が出たときは、レキは必ずそちらを優先する。

 

けれど、レキは時々、俺の言葉と"風"、どちらを選ぶべきか迷っているような時がある。

でも結局、最後には"風"を優先していたが。

 

そして、レキは俺に悪いと思っているのだろう。

その時は決まって顔を少し俯かせた。

今もそうだ。

さっきはずっと俺を見ていたのに、レキは俯いたまま、俺を見ようとしない。

 

(……仕方ない、な)

 

本当ならば、あの2人のために理由を聞かなければならないのだろう。

だが、これ以上俺のために、レキに苦しい思いをしてほしくはない。

俺にとって、アリアやキンジはもちろん大事だが、レキも同じぐらい大事なのだ。

 

「……レキ」

 

‥‥ぽむっ

 

俺は、俯いたままのレキの頭を撫でてやる。

 

「‥‥蒼真、さん?」

 

「……話さなくて、いい」

 

「…………」

 

「……何も、話せないのだろ」

 

「‥‥はい……」

 

「……なら、いい」

 

「‥‥すみません」

 

「……気にするな」

 

‥‥なでなで

 

「……っん……」

 

俺はしばらく、レキの頭を撫で続けた。

 

 

 

………………。

…………。

……。

 

 

 

「‥‥コーヒーを入れ直してきますね」

 

いつもの調子が戻ってきたレキは、そう言って席を立つ。

 

「……レキと同じのが、いい」

 

「分かりました」

 

レキは、空のカップをもってキッチンに向かった。

そんなレキの背中を見ながら、俺は頭の中を整理する。

 

(……"風"‥‥か)

 

いつもならなんでも話してくれるレキが、"風"が出てきてまで話せないこと……。

それはおそらく、

 

(……レキの、"家"のこと)

 

昔、レキが《夜》の"奴隷"となってしまった事件の時に、少しだけ触れたことがある。

家族のことを"ウルス"と呼んでいるとか、他にも色々聞いたが、その中でも……多分、レキに口止めされた件が関わっている。

それは……

 

 

 

(……確か‥‥"璃璃色金"、だったか?)

 

 

 

《夜王》となってから、度々聞くことがある色金。

超能力者……ステルスたちが口にしていた。

なんでも、璃璃色金の粒子が濃いと超能力者は弱ってしまうらしい。

他にも色々力があるようだが、ここでは関係ない。

 

(……色金絡みは、機密事項)

 

どの国でも、色金関連はトップシークレットだと聞いたことがある。

 

(……だから、話せないのか)

 

それとも他に理由があるのか……。

 

俺が、思考の海に沈もうとしていたところで、

 

‥‥コト

 

「‥‥どうぞ」

 

レキがホットミルクを持って戻ってきた。

 

「……ありがとう」

 

俺は思考の海から上がって、それを一口含んだ。

 

「……レキ」

 

「はい」

 

「……俺は俺で、好きにやる」

 

「…………」

 

「……アイツらに、何があろうとも‥‥俺は2人の味方だ」

 

「‥‥はい」

 

また顔を俯かせようとしているレキの頭をぽむってして、言う。

 

 

 

「……そして、"お前"の味方だ」

 

 

 

「‥‥っ」

 

「……だから、お前も好きにしろ」

 

「蒼真さん……」

 

「……分かったな?」

 

「‥‥はい‥‥はい……」

 

レキは1度だけ目を瞑り、そして俺を見上げ何度も答えた。

 

 

 

───例えお前が"風"の命で何をしようとも、俺はお前を責めはしない───

 

 

 

どうやら、俺の思いは伝わったようだ。

 

俺は、レキの頭を2回だけぽむぽむしたあと、手を退ける。

 

「‥あ‥‥」

 

「……?」

 

「‥‥いえ、なんでもありません」

 

レキが声をあげたので疑問に思ったが、どうやら大丈夫のようだ。

俺は1度ホットミルクで唇を湿らせて、今日の"もう1つの本題の話を切り出す。

 

「……レキ、もう1つ話がある」

 

「確か、頼みがあるんでしたね」

 

「……ああ。─────」

 

俺はレキに頼みと訳を話す。

 

「─────…………」

 

しばらくこの部屋に、俺の声だけが響いた。

 

……………………。

 

そして、

 

「分かりました」

 

俺の話を聞き終えたレキは俺の頼みを了承してくれた。

 

「……ありがとう、レキ」

 

俺は礼を言って席を立つ。

レキも俺の考えていることが分かっているのだろう。

同じように席を立ち、向かいに立って俺を見上げる。

 

「…………」

 

「‥‥蒼真さん?」

 

「……いや‥‥始めるか」

 

「はい」

 

‥‥シュル、シュルシュル

 

レキは頷いて、東京武偵校制服の防刃ネクタイをほどいていく。

 

 

 

───俺がこれから行うのは───

 

 

 

───1週間に1回、行わなければならない"儀式"───

 

 

 

───《夜》の"奴隷"となった‥‥レキの運命───

 

 

 

───いつか、絶対にこの運命から解放することを誓いながら───

 

 

 

───今日も俺は"儀式"を行う───

 

 

 

「……いくぞ、レキ」

 

「お願いします」

 

 

 

 

 

 

次の瞬間

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ゾオオオォォォォォォォォ…………!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一瞬で……"何か"が……部屋を埋め尽くした。

 

 

 

 

 

 

それは…………"黒"。

 

 

 

薄暗闇でも分かるほどの‥‥‥‥"黒"。

 

 

 

生きとし生けるものならば、必ず恐怖を抱く……そんな"黒"。

 

 

 

だが、レキはその"黒"に驚かない。恐怖しない。

 

 

 

それどころか、いつも無表情な顔に、どこか"安らいでいる"ような‥‥そんな色を残して……"何か"を放出した人物を見上げている。

 

 

 

胸元をはだけさせ、"胸の中心"を右手で押さえる彼女の見る先には……そこには………

 

 

 

 

 

 

───そこには…………《夜王》が‥‥‥‥いた───

 

 

 

 

 

 

△▼△▼△▼△▼△▼

 

 

 

数日後……

 

 

 

‥‥ザザァ、ザァ‥‥ザザァ‥‥‥‥

 

垂直に建てられたコンクリートに波が不規則にぶつかる音が、誰もいない深夜の学園島の外れ……看板裏で仲間の到来を待ちわびている者達の耳を打つ。

 

‥‥チカ、チカ、チカチカ

 

そのうちの1人は、手に持った懐中電灯を海に向けて、何度も付けては消してを繰り返している。

 

「‥‥おい"裏切り者"、まだ来ねぇのかよ?」

 

そんなとき、チカチカさせている少女に向かって、壁に背を預けていた少女──"陽神" 朱美が声をかけた。

"裏切り者"と揶揄された少女──峰 理子はチカチカさせながら返す。

 

「お前は黙って私を"監視"してればいいんだよ、"役立たず"」

 

‥‥シュッ!

 

理子が言い切った瞬間、後ろから彼女のすぐ横をナイフが通りすぎていった。

 

「‥‥言葉に気を付けろや"出来損ない"。今すぐここでミンチにしてやってもいいんだぞ……」

 

「クフフッ。そうくんが恐くてすぐに逃げた"臆病者"のくせに、ほざくな"負け犬"」

 

深夜の看板裏で、一触即発の空気が場を支配する。

ただ、そんな中でも理子がチカチカを止めないところを見ると、どうやらここで"始める"気は無いようだ。

 

「‥‥チッ!」

 

それが分かったのか、それとも"他の理由"があるのか、朱美はすぐに殺気を納め、背中を預け目を瞑る。

だが、今度は険悪な空気が場を支配した。

 

そんな空気が流れはじめて数分後‥‥

 

‥‥ゴポ‥ゴポ、ゴポゴポゴポッ

 

水面に無数の泡が沸いてきた。

それを見た理子はチカチカを止める。

 

「おっ! 来た来たぁ~~~♪」

 

さっきとは打って変わって、表の顔でそう言う理子。

 

「‥‥あぁぁ……やっとか。 こんなグズと2人でいる時間はヘドが出るぜ」

 

「それはお互い様だゴミ女」

 

性懲りもなく、戦闘体制に入る2人。

けれど、2人の目線は海の泡に向いている。

そして……

 

‥‥ザバァッ……ザバァ、ザバァ

 

海から黒い何かが3つ浮かび上がってきた。

それは、一見すればミサイルのような形をしていた。

だが、ミサイル等てはない。

これは‥‥そう、これは……

 

 

 

ガチャ‥‥

 

「まったく、お前たちはまたやっているのか」

 

 

 

これは、〈オルクス〉と呼ばれる……《イ・ウー》の者達専用の潜航艇だ。

その1つから、西洋剣を携えた美しい少女が出てきた。

彼女は先程の声の主でもある、ジャンヌ・ダルク30世だ。

世の中では、魔剣──デュランダル──の名で知られている少女である。

 

「あ、ジャンヌお疲れちゃん♪ ……だってコイツ、アカ姉の"腰巾着"のくせに、生意気なんだもんっ!」

 

「あ? マジで殺すぞ"裏切り者"」

 

ジャキッジャキンッ

 

「……よさないか、お前たち」

 

今度は双方、それぞれの得物を取り出してにらみ合う。

そんな2人に、ジャンヌはため息を1つして、間に入ろうとした。

いや、しようとした。何故なら……

 

 

 

ガチャ‥‥

 

「‥‥止めなさい朱美。みっともない……」

 

 

 

そう言って、2つ目の〈オルクス〉から、こちらは見目麗しい女性が看板裏に上がってきた。

 

誰が見ても美しいと賞賛するであろう目鼻立ち。

目に優しい橙色の髪を短めに切り揃え、顔と相まって、物腰の落ち着いた印象を醸し出している。

 

彼女の名前は……"陽神" 茜。

イ・ウー内にいる《陽》の者達でも、ナンバー3に入る実力を持っている。

 

「し、しかし茜様、コイツは"裏切り者"でっ!!」

 

そんな彼女に注意された朱美は、先程の強気な態度は姿を消し、萎縮してしまっている。

 

「黙りなさい。《教授》も、我らが《主》も‥‥、《夜王》について理子と"ジャンヌ"は好きにしてよい、と仰ったのを忘れたのかしら?」

 

「‥‥っ!? ……は、はい‥‥」

 

朱美は茜の言葉に、とうとう黙ってしまった。

 

「さっすがアカ姉、分かってる~~♪」

 

それを見て理子は調子に乗るが、

 

「お前もだ、理子。 挑発に乗った時点で同類だ」

 

「うっ!? だって‥‥だって~~……」

 

ジャンヌに叱られ、一気にシュンってなった。

大人な2人に説教される子供な2人。

 

 

 

そんな絵面を見ながら、密かに〈オルクス〉から出ていたもう1人の来訪者──夾竹桃はキセルを燻らせながら、呟く。

 

 

 

「‥‥平和ね」

 

 

 

………………。

…………。

……。

 

 

 

そんなこんなで十数分後……

 

「……ンン、ではでは! 各ターゲットの拉致及び殺害、【GGGG】作戦楽しもーーーー!!」

 

「クワトロG……なにかしら?」

 

「うんっ夾ちゃん。3人のGirlでGが3つ。んで、そうくんは"夜神"でGod of Night‥‥G1つ!」

 

「だから【GGGG】作戦、ね。‥‥理子、あまりおふざけしないようにね?」

 

「分かってるよアカ姉!ちゃんと真面目にするからっ!!」

 

「‥‥はんっ。コイツにとっちゃお遊びだろうよ。コイツは……」

 

「朱美」

 

「‥‥はい……」

 

総勢5人の麗しき乙女たち……いや、イ・ウーの精鋭達が学園島で戦いの狼煙を上げる。

 

「でも、確かにもう一度言っておいた方がいいわね……理子、ジャンヌ」

 

茜はそう言って、未だ朱美とにらみあっている理子と、先程から黙して何かを考えているジャンヌに声を掛ける。

 

「理子、ジャンヌ。これが最後よ、よく聞きなさい」

 

茜の言に2人は真面目な顔で答える。

 

「《夜王》夜神 蒼真が、2人にとって大切な人なのは百も承知。だけど、私と朱美は必ず奴を"殺す"」

 

理子とジャンヌはその言葉に眉1つ動かさない。

朱美はそんな理子を嘲笑っている。

 

「恨むなら、恨みなさい。それも覚悟の上で私はひなた様のカタキを全身全霊を持って討つ、いいわね?」

 

「「うんっ(……ああ)」」

 

理子とジャンヌはそれぞれの返事を返した。

だけど、茜は少し不服そうな顔をしている。

 

「……毎回思ってたのだけど、なんで2人はそんなに余裕なのかしら?」

 

そんな茜に変わって、夾竹桃が疑問に思ったことを素直に尋ねた。

すると2人は、

 

 

 

「だって、そうくんが死ぬわけないもん♪」

 

「グレイが死ぬはずないからな。 そこの心配はしていない」

 

 

 

2人はほぼ同じ答えを返した。

その答えを聞いた朱美は激怒する。

 

「テメェらぁ!! ふざけたことぬかしてんじゃっ!!」

 

「朱美っ!」

 

「‥‥っ!、茜様っっ!!!」

 

「いいから、黙りなさい」

 

「……っチッッ!!」

 

しかし、茜の言葉でも朱美は収まらず、今も殺気を理子とジャンヌにぶつけ続けている。

ぶつけられている2人は涼しい顔で流しているが、そんな2人に茜が、問う。

 

「‥‥それは、どういう意味かしら?」

 

その問に理子とジャンヌは、答える。

 

「アカ姉、勘違いしないでほしいんだけど、理子たちは別に裏切るとかそんなことを言ってるんじゃないよ? そもそも、"あれ"を持ってきたアカ姉がいる時点で裏切れないじゃん!」

 

「その通りだ。…………私たちはただ、"信じている"のだ、グレイを……」

 

「信じて、いる‥‥?」

 

「うんっ♪。そうくんなら、きっとやってくれる……"救ってくれる"って、そう信じてるの」

 

「だから、私たちは何も不安に思うことはないし、不満もない。そういうことだから‥‥茜、朱美……存分に殺ってくれて構わない」

 

「「…………」」

 

茜と朱美は最早何も言えなかった。

そんな2人に変わって夾竹桃が口を開く。

 

「‥‥お熱いわね、2人とも」

 

「えへへぇ、照れるよ夾ちゃん」

 

「な、何を言ってるんだ桃子っ!? わわ、私は別にそんなんじゃ……!!」

 

「‥‥素直にならなきゃダメよ、ジャンヌ」

 

「ウンウン♪‥‥あれ? そういえば夾ちゃんとそうくんって知り合いだったよね?」

 

「‥‥ええ、昔に……少し、ね」

 

‥‥ふぅーー…………

 

「おお、訳ありな雰囲気だね夾ちゃんっ!!」

 

「…………(ドキドキ‥‥)」

 

《陽》の2人を差し置いて、理子、ジャンヌ、夾竹桃の3人はかしましく話している。

 

「‥‥はぁ……」

 

「あの、よろしいんですか? あの2人をこのままにしておいて……」

 

「《教授》の命令よ。それに、何かあった時のために私たちと"これ"があるのでしょう」

 

茜はそう言って、懐からテニスボールと同じくらいの白いボールを取り出す。

 

「っ!それが……!!」

 

「ええ、《教授》と《陽》が作り上げた最高傑作。……これがあれば、"空間の氣"を広げられても《夜王》に気取られることはなくなるわ」

 

「おおっ!!」

 

「まあでも……」

 

茜は"それ"を懐に仕舞いながら、続ける。

 

「理子もジャンヌも、公私混同はしない娘たちよ。 そこは信頼できるわ」

 

「しかし! ジャンヌはともかくあの女は怪しいです! なんせ、1年間も一緒にいたんですから! あのビッチ、ベタベタとクソ野郎とイチャイチャして……っ!!」

 

「口を慎みなさい。……それでも、あの娘は私達のことを話してはいない。 私は理子を"信頼"していますから」

 

「…………」

 

「…………はぁ、ならこうしましょう。今日から"これ"を持って貴女が理子を今まで通り監視、手伝いをなさい」

 

「っよろしいのですかっ!?」

 

「構いません。 私はジャンヌと桃子の手伝いをします。これで文句はありませんね?」

 

「はいっ、お任せください!! 必ず奴を八つ裂きにして、"我が君"にお贈りします!!」

 

「焦らないでね? 私も一緒に戦うから……ね」

 

「‥‥ねね、アカ姉っ、話は纏まった?」

 

どうやらこちらが話し合いをしていたのに気付いていたようで、タイミングを見計らっていた3人が戻ってきた。

 

「ええ。 今まで通り朱美は理子の監視、手伝い。 私はジャンヌと桃子の手伝いよ」

 

「ええぇ~~~!? アカ姉じゃないのっ!?」

 

「朱美が貴女は信用できないと聞かなくてね」

 

「はっ、少しでも変な真似してみろ? 俺が挽き肉にしてやるよっ!」

 

「ふんっ、アカ姉のむがっ!!?」

 

「……理子、私たちが信用されないのは仕方ないだろう。 ここは大人しくしておけ」

 

「……むぅ~~~」

 

ジャンヌは止めたが、やはり2人は殺気をばんばんぶつけ合っている。

 

「「‥‥はあぁーーー……」」

 

そんな2人を見て、茜とジャンヌは深いため息を付いた。

 

そんな光景を見ていた夾竹桃は紫煙を吹きながら、また1人……呟く。

 

 

 

「‥‥貴方に、復讐の炎を消せるのかしら……ねぇ《夜王》?」

 

 

 

 

 

 

 

 

"彼女"が死んではや三年。

 

 

 

復讐の炎に身を焼かれている茜と朱美。

 

 

 

とうとう彼女達は動き出す。

 

 

 

《夜王》を悲しみに追い込み、絶望させ、八つ裂きにするために。

 

 

 

───もうすぐ始まる───

 

 

 

───復讐と憎しみの業火は、《夜王》の全てを巻き込んでいく───




如何でしたか?

では、用語確認。
《陽神》は"ひがみ"と読みます。
次に本題です。

まあ、色々ありますが…………はっきり言いましょう。

レキさん滅茶苦茶ムズいですわ!!!

時間かかったですよ、ええ!!
心が少し折れそうになりました。
さすが、人気者。……正直、うまく表現出来たか自信ないです。

皆さん、私はご期待に添えたでしょうか!!?
感想を切に待っております!!切に!!
こんな私ですが、これらも応援よろしくお願いいたします!!

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