まだまだ続くぞAA回!!
バスジャックまであと少し!!
さあさ、参りましょう!
投稿です!!
ピポピポーーーン………
「ありがとぉごさいましたぁ~」
まだ少し春の暖かさが残っている茜色の午後に、コンビニ特有の音と声が浸透する。
「…………」
(……ももまん、ゲッツ)
俺は今、コンビニで〈何故かある〉ももまんを買い占めたところだ。
アリアへのお土産&コンビ結成おめでとう!のお祝いのために買ったのだが……ホントになんであるんだ?
それはともかく。
(……さっさと、向かうか)
俺はアリアの部屋がある寮の方に歩き出す。
アリアとキンジにはそれぞれ。
「今からももまん持って向かう」とメールして、
「晩飯は何とかしてくれ」と強襲科で言ってある。
キンジは文句を言っていたが、
「これからは作らない」と俺が言ってやると、
「帰りを待ってるぜ♪」と返された。
(……甘い、ね)
そのときに強襲科で、
「お前はアリアに甘い」
って言われたのだが……自覚はある。
ほっとけないとか、かなえさんの約束とか、言い訳ならいくらでもできる。
だけど本当は……俺が寂しいのだ。
かなえさんは、アリアの支えになってほしいと言っていたが、俺の方がアリアに依存してる。
人を遠ざけておきながら何を。とは思うが、かなえさんに〈家族〉について教えられたあと、俺は少し考えを改めたのだ。
アリアやキンジは他とは違うのだと。
2人は《夜王》のことや、《夜》や《陽》のことなどを知っていて。
さらには、その事で巻き込まないようにと何度か遠ざけようとしたのだが、2人はそれを知ってなお、俺と一緒にいてくれた。一緒に戦ってくれた。
アイツらは……俺にとって、〈家族〉なのだ。
俺がいてもいい、〈居場所〉なのだ。
そんな2人に依存している俺が、アリアを甘やかすのは当然だ。
……まぁ、この理屈で言えば、キンジも甘やかしていることになるのだが…………。
………………。
(…………甘やかして‥‥いるな‥‥‥‥)
生活のほとんどは、俺が支えている(1週間の半分は白雪がやるのだが)。
まあ、俺が好きでやっているのだから別にいいが。
…………考えたら、とことん身内には甘いな……俺。
(……俺は、思ったよりも‥‥寂しがり屋)
なのかもしれん。
そんなときに……
「……寂しい、か」
無口な俺がふとその言葉を呟いたことに、俺自身が驚いた。
ここしばらくは、そんなことを意識したことは無かったのだが、おそらくアリアとの再会と、1年たちの〈教育〉。
そして、
(……あの娘だな)
今日、強襲科でとある後輩と話したことが理由だな。
俺に対して、あんなふうに想ってくれている娘がいるとは……。
俺は、そのときのことを思い出す。
■
□
■
「すみません夜神先輩。時間を取らせちゃって」
「……いや」
先程、この後輩……火野 ライカに呼び止められた。
どうやら俺に用があるようなので、先にキンジを帰らせることにした。
キンジも火野が〈魅力的な女の子〉ということもあり、そさくさと射撃場を出ていった。
ところで、実はこの娘……俺は見覚えがある。
1年坊を〈教育〉したあとで、闘技場を出ていくときに入口付近にいた娘が、確かこの娘だ。
綺麗な金髪と顔をしていたので覚えている。
あのときは恐がらせてしまったようで少し申し訳なく思っていた。
しかし何故か今のこの娘には、あのときあった俺への恐怖が見当たらない。
この娘の顔には、何かの決意のようなものが見てとれる。
(……上勝ち、か?)
今ここには俺と火野しかいない。
キンジが俺に気をつかい、1番奥の射撃場にしてくれたからだ。
だから、もしもの時は存分に闘れる。
(……今度、ラーメンでも奢ろう)
心の中で、キンジのファインプレーに称賛している俺の前では、火野が胸を押さえて深呼吸をしている。
「……はぁーー、……よしっ」
どうやら準備が整ったようだ。
俺も、いつでも対応できるようにしておく。
そして……
「……夜神先輩っ!」
「…………」
火野は……
「この間はすみませんでしたっ!!」
声を張り上げて、思いきり俺に向かって頭を下げた。
「……………………お?」
………………いったい‥‥‥‥‥何を………?
一気に気が抜けた俺に、火野は頭を下げたまま続ける。
「先輩はアタシたちのためにわざと恐怖を煽るようなことまでしてくれたのに、アタシはただ先輩が目の前にいたってだけでビクついて……先輩を〈傷つけてしまいました〉」
──俺はようやく状況が理解できた中──
「それだけじゃないです!アタシは、夜神先輩の見た目と噂、今までやってきたことだけで先輩がどんな人かを決めつけて‥‥怯えて、遠ざけて…………最低、ですよね」
──彼女が話す内容に──
「尊敬はっ……いや、これは言い訳ですね。……夜神先輩を〈傷つけた〉ことには変わらないです。」
──彼女の言葉に──
「許されるとは思ってません。けど、夜神先輩は許してくれるんだと思います。先輩は‥‥〈優しい〉から……。でもっ、アタシの気が済まないんです!」
──ただ‥‥ただ、驚くことしか‥‥出来なかった──
火野は頭を上げる。
「アタシは‥‥見ました。夜神先輩がアタシの横を通った時に、哀しい表情をしてたのを。それを見て……気付いたんです……」
「…………」
彼女は、呆然とする俺の瞳を見て‥‥見つめて……
「この人は、孤独で……でも、とても優しい人なんだって」
そう言った彼女の顔は、とても‥‥優しかった。
「それと同時に、アタシは今までの自分が許せなくなって……。だから、今度先輩を見かけたら絶対に謝ろうって……そう、決めてました」
「…………」
「……夜神先輩っ」
彼女はもう一度頭を思いきり下げる。
「本当にすみませんでしたっ!!」
火野の声が、誰もいない射撃場に響き渡り、次には静寂が澄み渡る。
「…………」
俺は火野が謝っている間、何も考えられなかった。
こんなふうに、真正面から向き合って謝ってきた人などいなかったから、驚くことしか出来なくて……。
俺は何も言えず、火野も頭を下げたまま。
そんな中で、俺の思考を取り戻したのは、
「…………っ」
少しだけ震える、火野の姿だった。
「……」
彼女は言った。俺は〈優しい〉から許してくれるだろうと。
だけど、その事に対する決定的な事実はない。
俺と火野は話したことがなく、これが初対面だ。
そして、俺は自分の風評をよく知っている。
火野はただ俺の苦笑を一度見ただけで、俺の内面を想像して話していただけだ。
彼女は謝ることを決めて、どれだけ悩んだのだろう?
どれだけ……不安だっただろう?
もし、自分の思っていたことが何かの間違いで。
俺が本当は容赦がない人間だったら‥‥と彼女は何度思ったことだろう。
不安と恐怖で押し潰されそうな中で、それでも彼女は覚悟を決めて……謝りに来てくれた。
俺は火野が、俺のためにそこまで考えて、悩んで、それでも謝りに来てくれたことが……。
……ぽむっ
「……ありがとう」
純粋に、嬉しかった。
「‥‥っ先輩!?////」
火野が思いきり頭を上げたせいで、俺の手がずり落ちた。
彼女はわたわたしながら……驚愕と羞恥をごちゃ混ぜにした顔をしてる。
勝ち気な娘だと思っていたけど、こんな表情も出来るんだな。
(……最初の‥‥アリアみたい)
あのときも確かこんな感じだった。わたわたはしてなかったけど……。
シリアスな空気が吹っ飛んだ中、今もわたわたして忙しなく目を泳がせている火野に、
「……ありがとう、火野」
もう一度、感謝の言葉を述べた。
「えっ!?////‥‥あっ……え…………」
彼女はまたわたわたしそうになり、流れで俺の顔を見た瞬間……羞恥が消えて、驚愕の色だけが残った。
「…………?」
(……どうした?)
そんな彼女に疑問符を浮かべていると、
「…………あっ、いやその‥‥な、何でもないです!何でも!!////」
火野は突如我に帰り、両手をバタバタしながら言った。
「……ふむ?」
(……まあ、いいか)
「あのっ、夜神先輩」
「……なんだ?」
「‥‥許して、くれるんですか?」
彼女は不安そうに俺を見上げる。
「……ふっ」
くしゃくしゃっ
「っん////」
「……ああ」
俺は彼女に笑いかけ、頭を少し強く撫でてやる。
火野は顔を赤くするが、今度は黙って受け入れる。
「‥‥先輩は、やっぱり優しいですね」
「……そうか?」
「はい。そんなんじゃ、アタシの気が済みませんよ」
「…………」
(……別に、いいんだが)
多分、彼女はこのまま食い下がるだろう。
さて、どうしたものか?
(……おお、そうだ)
「……なら、頼みがある」
俺は撫でていた手を退ける。
「あっ‥‥‥‥っ!?な、なななんですか!?」
かなり吃りながら、火野は聞くのだが……何故吃る?
そんな彼女に、頼みを聞いてもらう。
「……ラーメン、奢って」
「…………ラーメン?」
俺は1つ頷く。
「……ラーメン」
キンジに奢ることを思い出したので、そのときにでも奢ってもらおう。
そう思っていると、
「……ぷっ、くくく‥‥あは、ははははっ!」
突然、火野さん爆笑。
(……あれ?……なんか、おかしい?)
………………。
(……ま、いっか)
今も口を押さえて笑う彼女と一緒に、俺も苦笑した。
■
□
■
あのあと、火野……いや、ライカはひとしきり笑ったあと、
「美味しいラーメン屋を探しときます!」
といい笑顔で言ってくれた。
その後、お互いのメールアドレスを交換して、また後日一緒に行こうということでその場は別れた。
別れる時に、俺のことは名前でいいと言ったら、じゃあアタシもってな感じで、お互い名前で呼び合うことになった。
(……本当に‥‥分からないものだ)
ついこの前までは赤の他人だったのが、本の少しのキッカケで、今では友達一歩手前な関係なのだからな。
(……火野 ライカ、か)
まさか1年の中に、俺のことをあんなふうに思ってくれている奴がいるとは思わなかった。
しかも、あの〈教育〉を見たあとで、だ。
(……いい娘、だな)
『……先輩を傷つけてしまいました』
『この人は、孤独で……でも、とても優しい人なんだって』
『本当にすみませんでしたっ!!』
「…………」
ああいうふうに人に対して考えることの出来る奴はそういない。
そんな娘と仲良くなれたのだ。
「……寂しくなんて、ないな」
今度はわざと、声に出して言ってみたが、
「……ふっ」
言ったあとで、苦笑する。
俺の柄じゃないないし、そんなこと‥‥わざわざ言うまでもない。
(……ラーメン、楽しみだな)
色々考えている内に、ふと気付くと、いつの間にか目の前にはアリアに言われた番号の部屋が……。
「…………?」
…………俺、いつ女子寮に入った?
……………………………………………………。
ま、いっか!
今更、何を言われても気にしない。
見られたかもだけど気にしない。
気にしないったら気にしない。
さあいざ、ももまんを持ってアリアの部屋へっ!!
…………変な噂、流れないといいな‥‥。
△▼△▼△▼△▼△▼
「なんなの、あの変人っ!!」
ズン、ズン、ズン、ズンッ!
太陽は就寝の態勢に入り、一番星が起床する。
そんな夜の始まりの時間帯に、女子寮の玄関で怒声が聞こえる。
いかにも怒ってます!という感じで、女子寮の玄関をくぐる少女……間宮 あかりは言うまでもないが、怒っていた。
(何 何?なんなの!?)
今日の午後、自転車置き場でアリア先輩を見かけたので声をかけようとしたら、強襲科で話題の先輩(先輩なんて呼びたくないが)……遠山 キンジに、アリア先輩ほどの人が〈楽しそう〉に声をかけたのだ。
そのあとも、今まで見たことない顔で話しかけるアリア先輩に、まったく状況が理解できなかった私は、2人のあとをつけた。
……結果。
遠山 キンジは、アリア先輩を蔑ろにする‥‥無礼で、変人で、失礼な奴だ!
……ということが判明した。
(元Sランクだか女性恐怖症だか知らないけど、あんなの、夜神先輩に比べたら全然だ!)
というか比べるまでもない。
何で夜神先輩はあんな奴と仲が良いのか不思議だ。
そうこうしているうちに、アリア先輩の部屋にたどり着く。
(アリア先輩ともあろう人が、あんな変人を追っかけるなんておかしい!!……不釣り合いだっ!!!)
私はアリア先輩に問い詰めるために、ドアを勢いよく開ける。
「アリア先輩っ!!!」
瞬間、私に衝撃が走る。
それは……、それはっ!
「……ふにゅうぅ~~~~~」
ももまんを、顔をとろけさて、美味しそうに食べるアリア先輩の姿がそこにあった。
「…………」
「ももまん、おいしい……」
「…………ふぅ」
へにゃり‥‥
(か‥‥カワイイ……!!)
一気に……力が抜けた(文字通り)。
「あら、あかりお帰り。あんたも食べる?ももまん」
先輩はいつもより機嫌がよく、私にももまんを進める。
「アリア先輩……、その笑顔反則です。何もかもを許してしまう……」
「?」
(あぁ、アリア先輩……。あなたは、どうしてそんなに強くてカッコよくて、カワイイんですか!?)
「……はっ!?」
そうよ、思い出して私!そんな素晴らしい人が何であんな奴を追っているのか聞かないとっ!
「……どしたのよ、あかり。百面相なんかして?」
「先輩っ、話がありま……す!?」
瞬間、私に2度目の衝撃が走る。
それは……、そ、そそそれはぁ…………。
ガラカラガラッ
「……待たせた」
ベランダから、ここにいてはいけない人(私だけ)が……や、夜神先輩が入ってきた‥‥から。
「ひっ!?」
「随分長かったじゃない蒼真。もしかして〈あっち〉のこと?」
「……おう」
「そ。‥‥話したくないならいいけど、私には隠さなくてもいいからね。〈知らないわけじゃない〉んだし、別に迷惑でもないから……」
「……素直じゃ、ない」
「余計なお世話よ」
「……けど、ありがとう」
「‥‥ふんっ」
驚愕と恐怖で真っ白になる私をほっといて、2人は親しげに話してる。
アリア先輩が、また見たことない顔をしてるよ……
というか、
(ど、どゆことどゆことどゆことどゆことーーーー!!?)
た、確かに思ったよ?
アリア先輩は〈あんなの〉じゃなくて、夜神先輩となら釣り合ってるって!
夜神先輩も〈あんなの〉じゃなくて、アリア先輩みたいな人と仲がいいって!
思ってましたよ、ええ!!
だけど、だけれども……
(突然過ぎるでしょ!?)
わ、わ私の、ここ、心の準備がっ!?か、覚悟が!?
「……誰だ?」
ババッ!
「ああ、そういえば‥‥って何してんのよあかり……」
「えっ、あ、だっ、だって‥‥な何で、やや夜神、せん先輩が‥‥っ!!?」
夜神先輩が私を見た瞬間、アリア先輩の後ろに隠れた。
(こここ、こ恐いよ~~!)
私はアリア先輩の背中を必死で掴む。
そんな私に、アリア先輩はため息をついて、
「そういえばアンタ、みんなから恐怖の対象にされてたわね」
「……おう」
「私よりも敬遠されてるじゃない」
「……おう」
「‥‥蒼真、〈わざと〉?」
「…………」
「…………はああぁ~~~~」
アリア先輩はもう一度、今度は大きなため息をついた。
「まったく、どいつもこいつも世話の妬けること……。まずは‥‥、ちょっとあかりっ!!」
「は、ハイッ!」
あっ!しまった、ついいつもの癖で思いきり返事しちゃった!
〈直立不動〉でっ!!
「やっ!?‥‥って…………あれ?」
私の目の前には夜神先輩は居らず、アリア先輩しかいない。
「蒼真ならキッチンよ。‥‥それよりもあかり!アンタ初対面の人に失礼じゃないの!?」
「うぅ、で、でも‥‥」
「でもじゃないっ!!」
「ハイッ、すみませんっ!!!」
アリア先輩の声に、私は反射的に謝る。
というか、
(今日のアリア先輩、なんか‥‥少し恐い……)
そんなことも、アリア先輩の次の言葉で吹き飛んだ。
「あんな態度とって……。アイツが〈傷つかない〉とでも思ってるの!?」
「っ!?」
その言葉に、私は頭を思いきり殴られた。
「アンタも考えてみなさいよ!なにもしてないのに、会う人会う人に怖がられて、遠ざけられて、怯えられて……」
アリア先輩の言葉が、何度も私を打ちのめす。
「どうなの?ちゃんと答えなさいっ、あかり!!」
「……いや、です」
「それだけ?」
「‥‥苦しい、です。辛いです」
「……あかり、アンタは同じことをアイツに‥‥蒼真にしてるのよっ?自分で最低だと思わないの!?」
「それともなに?蒼真は《戦闘機人》だから、なにされても平気だと思ってたの?ふざけるのも大概にしなさいっ!!!」
アリア先輩は今、本当に怒ってる。
私に対して、……〈ここの生徒全員〉に対して。
「蒼真だって人間なのよ!アンタが言ったみたいに苦しいの、辛いの」
「でも、蒼真は不器用だから。顔にでないだけなのよ……」
怒ってるアリア先輩はとても苦しそうで、‥‥泣きそうで…………。
そして気付く、
あぁ、アリア先輩にとって、夜神先輩は大切な人なんだな。……って。
(……ほんとに‥‥最低だよ、私)
アリア先輩の言う通りだ。
私は夜神先輩のことをなにも知らない。いや、〈分かっていない〉。
夜神先輩の見た目や噂、してきたことならいっぱい知っているけど、内面はまったく知らない。
ライカは言ってた。
『夜神先輩はみんなが思っているほど、恐い人じゃないと思うけどな』
多分、ライカは夜神先輩の内面を見たんだと思う。
だからそう言ったんだし、アリア先輩も夜神先輩のことをよく知っているから、私を本気で怒ってる。
私も、ののかや志野ちゃんたちが悪いように言われていたら、絶対にやだ。
(‥‥どうしよう。私、夜神先輩にヒドイことを……)
私の胸のなかには、黒いモノで満たされている。
それは後悔、それは罪悪感。
(……アリア先輩に‥‥嫌われ、ちゃった)
それを自覚した瞬間に、涙が……。
「……そのくらいに、しておけ」
「大体、アンタはアイツの何を……ムグゥッ!」
「‥‥えっ?」
突然、夜神先輩が乱入してきて、アリア先輩の口にももまんを入れた。……まるごと。
「…………」
……コトッ‥‥コトッ
夜神先輩は無言でコーヒーを机に置き、そのまま〈私を見ずに〉台所に戻っていった。
「あ……」
もしかして……
(……私が、怖がるから?)
そしてテーブルの上には、エスプレッソが2つ。
(私の分まで……)
『夜神先輩はみんなが思っているほど恐い人じゃないと思うけどな』
また、ライカの言葉が蘇る。
「……」
(今しか……ないよね‥‥)
「……すぅー、はぁ~~」
深呼吸を1つして‥‥いざ!
「夜神先輩っ!!」
「……お?」
「ムグムグ…………ムグ?」
私の声に先輩たちが私の方を向く。
夜神先輩は私に顔を向けないけど、意識を向けてくれてるのが分かる。
私は、私ができる精一杯の気持ちで……
「今まで、すみませんでしたっ!!!」
頭を下げて、夜神先輩に謝った。
「…………」
「…………ゴクンっ」
「…………」
この部屋に、静かな時が訪れる。
私は目をギュッてつぶって、夜神先輩の答えを待つ。
すると、
「……っ」
どこからか、なにかを堪えているような声が聞こえた。
「……?」
「‥‥まさか」
アリア先輩は分かったみたいだけどなんなんだろう?
そしてその声は、
「……く‥ふ……く,く,く」
夜神先輩の方から聞こえてきた。
「……えっ」
…………もしかして、〈笑ってる〉?
……………………。
(えっ!?笑ってる!!?)
私は思いきり頭を上げる。
そこには……
右手の掌を顔に当てて、笑っている夜神先輩の姿が。
(…………うっそぉーーー)
「蒼真が声に出して笑うなんて…………」
隣では、アリア先輩も驚いている。
私は次のでさらに驚いた。
「……私、1回しか見たことない…………」
(そ、それほど!?)
そんなに笑わないの!?
ていうか……
(何でっ!!?)
私、必死な思いで謝ったのに、笑われるなんて……。
私は色々複雑な思いが混じってしまい、その場に膝をついた。
「……っ‥‥く,く」
夜神先輩はいまだに笑っている。
「……モグモグ、モグモグ」
アリア先輩は呆然としながらも、ももまんを無意識に口に運んでいる。
そんな中で、私は1人‥‥呟く……。
「……私の覚悟っていったい…………?」
それからしばらくして夜神先輩は落ち着き、アリア先輩と2人で訳を聞くのだが…………。
えっ!? これ続くのっ!!?
如何でしたか?
も~いくつねると~バスジャック~♪
というわけで、予定ではあと2、3話だと思います。
中々進まない。(泣
皆さん、もう少しお付き合い下さい!
あと、ヒロイン募集締め切り間近!!
待ってまりますよ~~!
ではでは。
感想と批評、意見‥‥切に待ってます!!!
これからも応援よろしくお願いいたします!!!