至らないところがあるとは思いますがこれからよろしくお願いいたします。
side蒼真
俺は夢を見る。
師匠との訓練でボロボロにされながも強くなる感覚を噛み締めていた頃の夢を。
俺は夢を見る。
両親と決別したときの、黒い感情を胸に宿していた頃の夢を。
俺は夢を見る。
そんな俺を太陽のように照らしてくれた■■■に出会った時の夢を。
俺は夢を見る。
■■■と過ごすただ、ただ幸せだった日々の夢を。
そして、俺は夢を見た。
■■■との最後の思い出を一緒に作った、桜舞い散る青色のベンチの上での出来事を。
『無愛想で無口で不器用な…………誰よりも、誰よりも優しい蒼真くん』
今はもう、夢を見た後に泣くことはないけれど……。
その後は眠れず、情けないとは思いながらも悲しみにくれて夜を明かす。
『‥‥あぁ、あぁ。約束だ。‥‥俺の何より大切な……』
『────大切な、ひなた────』
そして、俺はふと思うんだ。
───俺は、お前との約束を守れているのか───と
△▼△▼△▼△▼△▼
(……また、あの夢か)
いい加減女々し過ぎるだろう。とは思いながらも割りきれない自分に苦笑する。
携帯を開いて時間を見ると、今は夜明けの5時頃。
(……今日は、遅い方だな)
とまた苦笑する。
早いときなら夜中の2時に起きる時もあるくらいだ。
まだましだろうと思い、体を起こしてベッドの縁に腰かける。
正面を見やると、隣のベッドでは、普段はネクラな顔をしている昼行灯な同居人も穏やかな顔で寝ている。
(……いつも、そんな顔で‥‥いればいいのに)
と思いながらもコイツの体質を考えればそれも無理かと思い直す。
そして、ベッドから立ち上がり軽く体を上に伸ばす。
それに俺の言えた義理ではないか。と思い洗面台に向かい顔を洗って鏡を覗く。
ダークブラウンのクセのある髪に肩に掛かるほどの後髪、前髪は目には掛からずデコの半ばで無造作に放置している。
まあ、髪は雑多な感じぐらいであまり気にならないが……、いつもながら目付きが悪すぎるな。キンジとは比べものにならんぞ……。
(……まぁ、どうでもいいか)
鬱陶しい奴等が来ないからラクだしな。
そう思いながら、後髪を無造作に束ねて縛る。後は、少しだけ前髪をいじり寝癖がないのを確認してから洗面台を出て、キッチンに向かい寝覚ましのコーヒーを作る。
食パンを二枚トースターにセットして同居人の朝食作りに取り掛かろうと思い、冷蔵庫を開けようとしてふと、今日の予定を思い出す。
(確か……今日は始業式‥‥行事がある……)
行事みたいな特別な何かがある時は…………。
(……白雪が来る)
今までの経験からいって確実にあの……大和撫子という名の武装巫女……じゃない、白雪が来る…。
白雪が来るならば、今日キンジは飯は要らないか、と考えていると、
チーーンッ、ガシャッ
トースターが、トーストの完成を知らせる。
できたコーヒーを飲みながらトースト二枚を、バターだけを塗って食べる。
食べ終えたら寝間着からジャージに着替えて、制服といつもの装備を大きめのリュックサックに入れる。
あとは忘れないように、リビングにある防弾タンスの一番上の右の棚に置いてある懐中時計を手に持つ。
カチッ
俺はその懐中時計を開ける。
左には現在の時刻、6時15分前を表し、右には…………
とても柔らかく、優しく、まるで……そう、まるで暖かい春の日差しのように笑う一人の少女の写真が入れられていた。
「‥‥おはよう、ひなた」
蒼真は今日起きて初めての言葉は発した。
いつも無表情なその顔には、写真に写る彼女のような優しい顔が浮かんでいた。。
だけれど〈あの夢〉を見たせいだろうか。
笑顔の中に少し陰りが見える、めったには見られない顔をしていた。
しばらくそうしていたが、
パチンッ
と懐中時計を閉じて防弾カバンにしまい、そのカバンもリュックに入れて背負い玄関に向かう。
その顔には……いつもの無表情が張り付いていた。
蒼真は玄関を開け、まだ肌寒い中寮を出て部活練に向かって走り出す。
その背中は、心なしか寂しそうに映っている。すると、蒼真は少しだけペースを上げた様だ。
まるで……
────まるで何かを振り払うように────
なんとか書き終えました(泣、感謝
これからも書いていきますのでよろしくお願いいたします。
感想と(優しい)批判を待ってます。
自分を伸ばしたいのでどしどしお願いいたします♪