哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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本当は②ですが⑨。

無駄に時間がかかりました。
書いては消し、書いては消しを繰り返していたのが原因です。
※この三日ほどで思いついたトンデモ展開ワーストスリー※
1位 かゆうまの母親が聆
2位 聆死亡。現世に一時帰還
3位 猪々子も五斗米道をやる。もちろん失敗


第十章拠点フェイズ :【原作おまけ】盃の中に入る想い の前日(面会者 ⑨)

 「はぁー……。寝れん」

 

三人娘の訪問から少し経った頃。

煩わしかったはずの喧騒が恋しく感じる。……少し身勝手か。本など読みたい気分だが、今はとにかく寝て体力を取り戻さなくてはならない。

まぁ、さっき死にかけたおかげで目が冴えまくって全く寝られる気がしないが。どうしてああなった。……思えば私が迂闊だったかもしれない。確かに凪は氣のスペシャリストで、且つ、実直な性格だが、あと一歩のところで抜ける、或いは雑になるという妙な癖が有る。先に何かで試させるべきだった。真桜や沙和のプレゼントにしても、私の対応は不適切だったように思う。せっかく用意してくれたのだから、例えそれはがどんなに不必要で不真面目なモノでも笑顔で受け取るのが大人だ。

……過ぎたことを嘆いても仕方ない。体調が戻ったら三人娘……特に凪のフォローに気をつけるとして、次、誰か来たら完璧な対応をしてやろうじゃないか。「これぞ大人」って感じの。そう、まるで菩薩のような!

 

  ―――――――――――――――――――――――――――

 

 「嵬媼!無事か!?」

ドゴォォォォッッ

「レイ姉ーー!!」

「ごフっ!?」

 

かゆうまが、破壊するような勢いで戸を開いて(と言うか実際に破壊して)、猪々子が、突進するような勢いで(と言うか実際に突進して)私に抱きついてきた。どうして見舞いでこうも痛めつけられなければならないのか。

……という不満は胸に仕舞い込んで。

 

「二人共なんでそんな大騒ぎしとん?」

「そりゃレイ姉が自室待機なんて相当すんごい病気なんだろ?」

「え、普通に風邪やけど?」

「誤魔化すな。腹を穿かれようが腕をへし折られようが首を捻り折られようが平気な奴が風邪ごときで寝込むはずがあるまい」

「前二つに関しては別に平気やったワケとちゃうからな?あと、自分が辛いのんもあるけど、他人に移さんように部屋に籠もっとんや」

「……なら、本当にただの風邪なのか?」

「そうやで?」

 

……「ただの」って何だ「ただの」って。結構辛いんだぞこれ。

 

「なんだよー。心配して損したじゃんかー」

「ふん。風邪ごときで……」

「そもそも何でかかったんだ?アタイ、風邪なんか引いたことねぇぞ?」

「体力が足りんのだ、体力が」

「あー、確かにレイ姉、技と精神は凄いけど体力がなぁ……」

「ああ。きっちりと基礎鍛錬をしていれば病気になどならん」

 

何このアウェー。

確かに、もうそろそろガチ三国三つ巴ということもあって最近はちょっと手先の技術に傾倒していたが……。

つーかお前らはお前らで、鍛錬ばっかやってたおかげで頭が病気ではないか。

 

「ほら、そんなところでぐーたらしてねぇでさっさと治して鍛錬しよーぜ!」

「いや、やから、治すために寝とんやけど?」

 

横になっているだけで眠れてはいないが。

 

「寝ているだけで状況が良くなるのであれば軍師や兵など解雇して赤子でも雇えば良い」

 

何言ってんだこいつ?……もしかして戦と風邪の対処をごっちゃにしているのか?新手のジョークか?

 

「えーと……寝ることによって体力を養い、抵抗力を――」

「何か回りくどいな、それ。風邪って、結局、何が辛いんだ?」

「咳とか鼻水とか色々やけど。私は熱が酷いかな」

「熱って?」

 

……「熱って?」って?話が分からなさすぎる。こんなのといつもつるんでたのか。凄いな。普段の私。そして凄いな。風邪による能力低下。

 

「ごめん質問の意味がよぉ分からん」

「『咳』は咳が出るってことだろ?で、『鼻水』は鼻水が出るってことじゃん?じゃあ、『熱』は、熱が出るってことか?」

「そ――」

 

まて、このまま肯定したら、「熱」=放熱 と思われるんじゃないか?

 

「えーと、体温が上がりすぎて気分が悪ぅなるんや。お前も、風呂で上せたことぐらい有るやろ?あれと同じ感じ」

 

違うかもしれないが、他に思いつかなかった。

 

「あー、そう言われれば、さっき抱きついた時ちょっと熱かったかも」

「やろ?」

「ならば冷やせば良かろう」

 

そしてかゆうまは女官を呼びつけてなにやら託けた。悪い予感しかしない。

 

「かゆうま、何する気なん……?」

「風呂に水を張ってもらった」

 

裸にひん剥かれて冷水にドボン?確かにドイツの一部ではそういう民間療法も有るらしいが……。辛すぎる。それに、熱は体内の細菌を殺すのに必要な事だ。冷ますのは最低限にするべきだ。寝るのが一番だと思う。

 

 

 「よし、そろそろだろう。行くぞ、嵬媼」

「嫌や!」

「どうしたんだ今日は。やけに物分りが悪いじゃないか」

 

物分りが悪いのはお前らだこのバカが!

 

「……仕方ないな。文醜、そっち持ってくれ」

「おう!」

 

かゆうまが私の背中に腕を廻し、猪々子が足側につく。ヤバイこれ。誰か助けて。

 

「華雄!こんな所に居たか!」

 

誰か来た!これでこのバカ共を――

 

「どうした夏侯惇」

 

\(^ p ^)/

 

「訓練所に居なかったからな。探していたのだ。……何をやっているんだ?」

「嵬媼が風邪を引いたらしくてな」

「何?風邪だと?ふん、修行が足りん!」

「て、熱が酷いらしいから、水風呂で冷やそうぜってことになってたんだ」

「ふふん。バカだな貴様ら。水風呂などと」

「何だと!?」

「えー?じゃあどうすれば良いんだ?」

「『熱が出ているから熱を冷ます』ではしょせん熱にしか対応できないではないか。それは村に降りてきてきた山賊に対処して本拠を潰さないのと同じ愚行!……そして、この場合の本拠、即ち風邪の原因は何だ?」

「……!」

「な、なるほど」

「ふふ。これが分からないほど愚かではないようだな」

「見くびってもらっては困る」

「じゃあ、早速」

「「「今から鍛錬に行くぞ、聆(レイ姉/嵬媼)!!」」」

 

バカコワイ




体力と精神力がガリガリくん。

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