哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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ハイキングから戻ってきてしばらくしたら
手がめっちゃ痛くなってきました。
どうやら、途中でこけて手をついたときに
どうにかなったみたいです。

アンソロとかでも純粋に猪々子を愛でるネタが殆ど無かったのでカッとなってやった。
出てきただけで特に活躍させてやれなかった沙和と霞には悪いと思っている。


第九章拠点フェイズ : 聆(3X)の雑談Ⅱ後半

 「猪々子も戻ってきたことやし、仕切り直して――」

「聆さん、まだ首が一周したままですよ」

「おっと失礼。――ヨッと。では仕切り直して……乾杯!」

「「「乾杯!」」」

「そんな……お酒じゃないんだから乾杯はおかしいのー」

「酒やで?」

「えー、何言って……はっ!?茶器がいつの間にか杯に!?」

「すり替えておいたのじゃ!」

 

戸惑う沙和を指さし、ちゃん美羽が渾身のドヤ顔をキメる。

いちおう私がひどい目に遭うことでオチがついたとは言え、一度ガチ泣きしたからには妙な雰囲気になるのは避けられない。だから開き直ってみんな酔っ払ってしまえ、という作戦だ。

 

「酒が飲めると聞いて」

「む、文遠か」

 

どこからともなく霞が現れた。そう言えば、コイツも昼間から酒盛りをする生粋の呑兵衛だ。

 

「あー、んだら、乾杯し直すか?」

「かまへんかまへん。それより、何の話しとったん?」

「ちょっとゴタゴタが有って、さっき飲み直し始めたところなんですよー」

「へー……で、そのゴタゴタって?」

「いや、別になんでもないぜ?」

 

ごまかすのが下手くそすぎる。表情も顔色も声も全部が不自然だ。これ程まで挙動不審になる方が逆に難しいだろうに。

 

「はっはーん、猪っちーが何かやらかしたんやな?」

「そーなのー。あのねー、猪々子ちゃんがあんまりにも寒い冗dヒッ!?」

「言ったら二目と見れない顔にしてやっからな??」

「わ、わかったの……だから早く斬山刀をしまってほしいの……」

「ほぅ……流石は元馬賊だな。中々様になっているではないか」

「無粋じゃのう。酒の席に武器を持ち出すなど」

 

葡萄酒に蜂蜜を溶かしたもの……いや、正確には蜂蜜に葡萄酒を混ぜたもの(?)を飲みながら、ちゃん美羽が呆れたように呟く。……孫策以外のことに肝座り過ぎだろ。

 

「えー?で、結局、何が有ったん!?」

「まぁ、要するに猪々子かわいい。そーゆーこっちゃ」

「ああ、なるほどな。確かにかわいいなぁ」

「やめろよーー!」

「何も恥ずかしがることはない。実際かわいいのだからな」

「そういう冗談いらないってばっ」

「いえいえ。猪々子さんはお嬢様の次くらいにかわいいですよー」

「うむ。そなたの可愛らしさは妾が保証してやるぞよ」

「うんうん。猪々子ちゃんかわいいのー♪」

「やめてよぅ……」

 

顔を真っ赤にして俯いてしまう。これはかわいい。

 

「なんてこと……かつてないほどの美少女臭に釣られて執務室を飛び出してみれば………おバ会じゃないの!?」

「あ、華琳さん」

「聆!貴女この辺で、言われ慣れていない賞賛に恥じらう姿がステキな、そうね、天の言葉を借りるなら『どストライク』な美少女を見かけなかった!?」

「何言ってるんですかー。目の前に居るじゃないですか」

「……?だって、ここにはバカと飲んだくれしかいないじゃない!」

「え?その中に沙和も含まれてるの……?」

「よく見るのだ曹操よ」

「よく見るって言ったって………………っ!?」

 

華琳は一点に目を止めると、尋常じゃない速さでそこに詰め寄った。もちろん猪々子だ。

 

「…………」

「〜〜〜〜ッ!!」

 

顔をのぞき込まれて、もとから赤かった顔がさらに赤くなる。

 

「まさか袁紹の二枚バ看板の片割れがこれ程の素質を持っていようとは………。ねぇ、貴女今夜ねy」

「華琳様ーーー!!華琳様ーーーー!!!!」

 

割と近くから桂花の声が聞こえてくる。突然どこかに行った華琳を探しに来たのだろう。

 

「チッ、潮時のようね……」

 

その声を聞き、華琳は悔しそうに舌打ちして去っていった。

 

「何だったんだアレは……」

「ちょっと様子がおかしかったのー」

「華琳さん、最近仕事詰めでちょい参っとんや」

 

ちなみに禀、秋蘭、桂花もちょっとおかしくなっている。風は分からん。

 

「ああ、劉備戦は被害が大きかったからなぁ。それやのうても、強行軍のせいでウチの隊も何人か道中に置いてけぼりになったし」

「それに、何の獲得もない純粋な防衛戦だったからな。兵や臣への報奨を捻出するのに苦心しているのだろう」

 

そう言えば、防衛戦は初めてだったかもしれない。鎌倉幕府も元寇の防衛の後始末のせいで滅びたって言うし、大変な仕事だ。そんな中私たちは呑気に酒盛りをしているワケだが……。まあ、自腹切ってるから良いだろ。

 

「それに西涼のこともありますからねぇ」

「あれ?それは降伏勧告の遣いを出すってウチは聞いとるけど、他にも何かするん?」

「馬騰は硬派な武将やからなぁ。多分戦うことになるやろってことで、予算組みやりよんねん」

「それって七乃っち参加せんでも良えん?軍師やろ?」

「私はまだあんまり信用されてませんからねー。今回のように先の事を決めるときには呼ばれないんですよ。せいぜい小規模の軍の指揮と緊急の作戦立案ぐらいですねー」

「軍師にもいろいろあるのだな……。それはそうと、さっきの文醜、なかなかのものだったな」

「はっ!?なんでまたぶり返すんだよ!?」

「いや、曹操から顔を背けたお前の顔がこっち向きだったのでな。目に焼き付いたのだ」

「話しとかな落ち着かん、と?」

「まあそういうところだ」

「なんだよそれぇ……」

「あー、もう、アレやな。凪と並べて可愛がりまくったら楽しそうやな」

「それは私も思ったわ」

 

そのうち二人の間で、かわいいって言われるのを押し付けあって「いや、私なんかより猪々子殿の方が可愛いですよ!」「何言ってんだよ!凪の方がかわいいじゃんか!!」みたいなことを言い合った挙句よく分からない空気になって結局二人とも俯いてしまうのが目に見えるようだ。

 

「それ採用なの!」

「で、凪は何処かや?」

「凪さんは残念ながら討伐に向かってますよー」

「はぁ……。ってことは保留かぁ………。あ、凪戻ってったら今度はウチが出る番やん!?くっそぉぉぉ!!」

「じゃあその後はどうだ?」

「霞ェの次は私や」

「じゃあ、それはナシってことだな!」

 

助かったとばかりに、猪々子が元気になる。

 

「あー、まぁ、しゃあないなぁ……」

「良かったー!」

「その代わりに今ここで存分に可愛がるとしよう」

「…………ッ」

 

あ、逃げた!

 

「うわッ!?」

\ズボッ/




初めは、
美羽様可愛い
  ↓
聆には可愛げが足りない
  ↓
可愛い服を着させるのー!
  ↓
やめろぉ!
っていうネタを考えていました。
まぁ、猪々子が可愛かったし、十章につながる話もできたので
これはこれでいいですかね?

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