「髪切った?」と言われすぎていい加減鬱陶しいです。
最初の二回くらいで十分ですね。
ここで九章終わってもいいかな?とか思うんですがどうですかね?
あとは一刀さんと華琳さんのイチャイチャーンで、
原作から変えるところがありませんし。
蜀軍が、兵を交代で出し続けて相手を寝かさない作戦……反董卓連合で曹操が使った作戦を実行しようとした矢先。突如後方から現れた魏の援軍により戦場は大混乱に陥った。それとほぼ同時に城が開門。攻め入ろうとする前曲と、奇襲に反撃しようとする後曲に分裂してしまい、特に前曲には指示がまるで通らない。伝令は何度も出しているのだが、この混乱した戦場を無事に走り抜けられる者などそう居なかった。孔明は思わず歯噛みする。またもや個人の力に頼ることになってしまった。
「呂布さん。全軍に"今すぐ"撤退命令を伝えて廻ってください」
「な……恋殿を使い走りにしやがるつもりですかーーー!!」
「……………べつにいい」
孔明とて出来れば呂布の力など借りたくない。何か一仕事の度に大量の報酬、しかも食料の現物を要求するし、まるで予想だにしない失敗をしでかすからだ。だが、関羽と張飛が迎撃へ、そして趙雲と白馬の人が攻城へ出てしまっている現状では打てる手段は限られていた。あと、陳宮はもっと働け。
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同じ頃。後曲では関羽が奮闘していた。後方からの奇襲に、完全に瓦解することなくなんとか持ちこたえられているのもまた、関羽と張飛の二人の働きによる。押し寄せる敵を薙ぎ払い、蹴散らし、劣勢の戦場に割り込んで仲間を救う。しかし、当の関羽の疲労も限界が近い。百人斬りなど何度も経験している関羽であったが、今回ばかりは事情が違う。
「く……っ。さすがに曹操の兵は強い!」
これに尽きる。雑兵のクセにいやに練度が高い。
「関羽ぅぅぅっ!見つけたでぇっ!」
その兵達を飛び越えるかのように一騎の将が疾走してきた。やけに機嫌の良さそうな声とともに。
「貴様……っ!張遼かっ!」
「おーっ。名前覚えてくれとったとは、光栄やな。忙しいとこスマンけど、一手お相手願おうかっ!」
「済まないと思うのならやめてくれないか」
「そう釣れんこと言いなや。……セッッ!」
「くぅっ!」
突っかけるように放たれた一撃をなんとか弾く。軽い挨拶のようなものだが、今の疲労が蓄積している関羽には余裕はなかった。普段ならこんなもんカウンターでワンパン楽勝ッスよ。
「どや……っ!飛竜偃月刀の一撃……!」
ドヤ顔が関羽の神経を逆撫でする。言葉も聆とほとんど同じ訛りのハズなのに態度の違いでこうも鼻につくか。
それに……、
「これは……私の偃月刀と、同じ……!?」
違うと言ってほしい。
「いや、ちょっとばかしちゃうねんけどな……。ほら、ここのトゲトゲんとこ……」
「……………そ、そうなのか」
張遼は刃の根本の飾りを恥ずかしそうに弄る。残念ながら、これで、"似せて作った"ことが確定した。しかもなにやらただならぬ想いを乗せて。
「きもちわるい………」
「えっ」
張遼とは初対面のハズだ。反董卓で敵同士だったが、一騎討ちどころか、張遼隊とすら直接は戦っていない。
接点が無い。
なのに殆どそのまま同じ形の武器を使い、その上、さっき、一瞬だが、確かに"そういう"気を感じた。何だ!?曹魏は上から下までこんな奴ばっかりか!?
「えっ……?ちょと関羽?」
夏侯姉妹とか、何か軍師の奴らとかも曹操のカキタレらしいではないか。何たる淫婦の巣窟……!はっ!?そうか!聆はソレを拒絶したから酷い扱いを……!?
「ちょ……、どないしたん?」
「くっ……寄るな下郎!私は貴様らのような×××には負けん!絶対にだ!!」
「…………そこまで」
「恋!」
「呂布か!」
「………撤退」
「何だと!私はコイツらを……!」
「…………孔明が言ってた」
「……くっ。ならば引くぞ。全軍撤退!」
関羽は一睨みして、背を向けた。
「待ちぃや!まだウチとの決着が……」
「…………」
追おうとする張遼の前に呂布が立ちはだかる。
「恋……」
「………………元気そうでよかった」
「アンタもな……。ねねはどうや。華雄はこっちで元気にやっとるけど。あと、月と詠も劉備んとこにおるんやんな」
「…………ねねも、元気」
「月は?」
「…………お茶」
「は?」
「……………?」
「いや、まぁええわ。今日はアンタのぼーっとした顔が見れたんで、十分っちゅうことにしたる」
「……………またね」
「ああ……。今度会うときは、関羽と決着つけさせてな!」
元戦友の再会はあっさりとしたものだった。不仲とかではなく、単純に会話が続かないせいだ。
張遼が退くのを見送り、呂布は次の戦場へ駆ける。
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「にゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃにゃァッッ!!」
「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッッ!!」
常人の粋を遥かに凌駕した連撃の衝突。乱戦にも関わらず、華雄と張飛の周囲には誰も居なかった。ほんの少し前までは居たのだが、大方は巻き込まれて死んだ。
「愛紗や聆に負けた割にはなかなかやるのだ!華なんとか!」
「ふん!挑発のつもりで言っているのなら効かんぞ」
「なんでもかんでも挑発に聞こえるのは自分に自信が無いからなのだ」
口喧嘩しながら戦っている。思いの外器用な奴らだ。
「確かに自信は無い。天下一にはまだ遠いからな!」
「天下一には鈴々がなるからお前はずっと二番以下なのだ!」
「なら早く潰しておかねばな!!」
「………………笑わせてくれる」
拮抗し、周囲を満たしていた二人の氣が新たに現れた者によって消し飛ばされた。
「呂布!?」
「………撤退。孔明が」
「むー……でも、決着があるのだ……」
「………………些事」
「はぁ……。仕方ないのだ。華なんとか、勝負はお預けなのだ」
「逃げるのか?」
「にゃ……」
「…………………恋が……代わりに殺る?」
「………ッ!!ちっ……無粋なことをしてくれたものだ。……さっさと行け!」
「…………ありがと」
華雄は張飛を見逃した。そうするしかなかった。躰の震えを止めるのに精一杯だったから。
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趙雲対夏侯淵。敢えて言おう。そこまで盛り上がってないと。
お互いに汗一つかいていない。夏侯淵としては、撤退してもらえればそれでいい。趙雲はと言えば、蜀の敗戦を感じ取っていた。だから、双方共、「下手に本気を出して相手をやる気にさせても困る」と、抑え気味だ。自発的に退くのは負けたみたいになるのでしなかった。
「ふっ、なかなかやるな……!」
「貴様もな……!」
心にも無い言葉を交わす。
「…………撤退」
「なんと!」
ほっとした。いつまでこの茶番が続くのか心配になっていたから。
「……………みんな退いてる」
「やれやれ、仕方ない……。そういうわけだ、決着はまたいずれ」
全く残念そうじゃない。
「ふむ。なら早く軍をまとめて去ってもらおうか。私も早く主の顔が見たいのでな」
「ふっ、正直だな。そういうのは嫌いではないぞ」
このやりとりが、魏軍の乱れた性風紀の噂に拍車をかけることになる。趙雲は確信したのだ。「ああ、やっぱりそういう関係なんだな」と。
「秋蘭さーん」
「おお、どうした、風」
「敵の追撃をお願いしたいのです……が……」
「…………」
「……………」
「何だ、知り合いか?」
「うむ。しばらく共に旅をしていたのだ。風、禀はどうした?息災か?」
「禀ちゃんも元気ですよー。星さんのことも、幽州の公孫賛さんって人がケチョンケチョンにやられたって聞いたから、どうなったか気になってたんですけど……無事でよかったですー」
「まあ、その頃には既に桃香様の下についていたしな」
「そうですかー。じゃあ、次も戦場でお会いする事になりますねー」
「うむ。……では呂布殿、こちらも戻るぞ」
「……………」
呂布がこくりと頷くのを合図にするように趙雲隊は退がっていった。
「ふぅ。呂布が来た時はどうしようかと思ったぞ……」
「ええ。でも、猪々子ちゃんや春蘭さんが大暴れしてくれたおかげで大局は決定していましたからねー。あ、そういえば聆ちゃん見ましたかー?」
「一足先に城に戻っているぞ。『今夜は馬刺しや!白くて綺麗な馬やから多分相当美味しいで!!』と言っていた」
南無
白馬の人かわいそう。