哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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調子が悪い人の思考を描くのは簡単です。
私がだいたいいつもそんな感じですから。

今回はやたら短いです。繋ぎです。気にすんな!


第九章二節その一

 「華琳様!ご無事で!」

 

華琳と一刀が一匹の馬に二人で乗って帰ってきた。楽しそうですね。

 

「すぐに関羽の追撃が来るぞ!兵を全て収容し、城門を閉鎖しろ!」

「聆は大丈夫か!?呂布と当たったみたいだったけど……!!」

「気にすんなちゃんと生きとるわ。あと、もぅ収容は完了しとる。城門閉鎖も……今ちょうど終わったみたいやな」

 

戻って来た兵は大体四千弱。鑑惺隊の被害は七十三人で、小隊長の死亡は無し。呂布効果でバッサリ逝ってるかと思ったが、私のところに直進するときに撥ね飛ばした何人かしかやられてなかったらしい。いや、予想はしていたがなかなかの成績だ。一〜四課は私の初陣からずっと戦ってきたベテラン小隊長だらけだ。五課は敵方から寝返った奴ら。六課は盗賊団からの引き抜き。鑑惺隊の中でも戦況を読む力が強い奴らだったのだ(対して、残念ながら七課以降は質がガクッと落ちる)。

 

「良かった!無事だった……ん…………」

「…………」

 

なのに一刀と華琳ときたら、そんな超優秀組織のリーダーをヤバイものを見るような目つきで凝視してくる。

 

「……なんや」

「いいえ……。貴女、"また" なのね……」

「聆?安静にしておいた方がいいんじゃないか?」

 

二人が担架の上の私から目を逸らした。

 城に戻ると、気が抜けたのか何なのか、一気に血反吐が溢れ出た。ついでに古傷も開いた。一発だけ受けた呂布の攻撃は、分かっていたことだが相当のものだったようだ。あと、いつも軽いから忘れていたのだが、生理二日目だった。

呂布とサシで対峙して生還したという、英雄であるところの私は、軍師ーズへの報告中に上下前後から血を噴射して倒れたのである。でも今回は用意が良かった。ギリギリの戦いを予見して、真桜が、半分ネタで、良質な担架を作っておいてくれていた。

 

「んー……でも今、人手が足りんやん?指示くらいはできるやろ」

「何が貴女をそんなにも突き動かすのか……」

「でもあれやで?なんか逆に気持ち良くなってくるで?」

「鑑惺様流石です!!」

「あ、あぁ、そうなの……」

 

普段から部下に足舐めさせてるド変態が何いっちょまえにドン引いてんだよ。

 

「え……えっと、あ、そうだ。真桜は?」

 

視線を泳がせっぱなしの一刀が思い出したように言う。

 

「大丈夫よ。別の作戦が有るから、そちらを任せているだけ」

「そ、そっか。なら良かった……」

 

地下古水道の封鎖罠設置に、無限丸太落とし装置の設計、砦の臨時補強工事など、いぶし銀の大活躍だ。恋姫には、管理者とか言う奴……ホモと筋肉達磨とツンデレが居るが、ぶっちゃけ設定ミスだな。真桜一人でどんどん世界観が崩れていくもの。

 

「でもネタ二次では何出しても『真桜がやりました』で解決できるからすてきです」

「大丈夫か?やっぱり休んだ方が……」

 

一刀が心配そうに顔を覗き込む。うん。確かにちょっとアクセル吹かしすぎ気味の発言しているな私。

 

「大丈夫や。問題ない。あ、華琳さんそろそろ全体に指示出して」

「え!?わ、分かったわ。総員城壁の上に待機!籠城戦で敵を迎え撃つわ!何としても、春蘭たちが帰ってくるまで耐えきって見せるわよ!……って、何私に指図してるのよ!」

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

 間もなく絡繰が組み上がり、城壁に登ろうとする敵や、城門を破ろうとする敵に丸太が降り注ぎ始める。クソぶっとい丸太を、クソぶっとい綱で繋いで、梃子とか歯車とかで引き上げたり落としたりする原始的に見せかけて高度な技術が必要な兵器だ。

 私は、華琳の補助として城壁の上で指示を出していた。しかし、丸太にしがみついて昇ってこようとしている敵に血反吐を吐きつける遊びをしているのを見つかり、少し離れた所で休まされている。私的には、敵を迎撃できるし、士気も下げられるので別に良いと思っていたのだが、「お願いだからもう休んで!こんな貴女、もう見てられないわ!」と半泣きで懇願されたので仕方なく聞き入れた。

 『古水路封鎖に敵部隊を巻き込んで被害を与えることに成功した』とか、『呂布にいくつかの絡繰が破壊された』とか、『常用水路が敵に止められたが気にするな』とか言う報告が次々と入ってくるが、私は別のことを考えていた。「出血系一発ギャグで禀に勝っちゃったな……」と。

 敵の攻撃が一旦緩まった(と言っても、兵の体力の温存を狙ってのことだろうが)頃、地平の向こうに大群が現れた。恐らく魏の援軍だろう。今から激アツの反撃戦が始まるのだ。……まあ、私は参加できないが。




ちょっと血を流しすぎてハイ↑になったしまった聆さん戦力外通告。

次回、激アツのガチバトル!!
※聆は出ません

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