関係ないですが、腰が痛いです。
「はーいっ!みんな、元気ーーーっ!?みんなの歌姫、地和ちゃんだよーーーーーーーーっ!」
「「ほわあああああああああああああああ(中略)ああああああああああああああっ!」」
真っ先にステージに躍り出た地和の声に、向かって右のエリアが激しく咆哮する。
「ぜんぜん、きこえないよーーっ!元気ーっ!?」
「「ほわあああああああああああああああ(中略)ああああああああああああああっ!」」
天和に応えるのは、華琳一行を除く中央の客たち。
「こっちは元気かなーーーっ!?」
「「ほわあああああああああああああああ(中略)ああああああああああああああっ!」」
最後に現れた人和の声には、向かって左側の男たちが叫び返す。
「みんなーっ!今日は、『ぎゃらくてぃか☆大☆歌謡天国』に集まってくれて、ありがとーーーーっ!!」
「みんながもーっと元気になれるように、わたしたちも精一杯歌うからねーーっ!!」
「みんなーーっ!盛り上がっていってねーーーっ!!」
「「「ほわぁぁぁああぁぁぁぁAaaaaaほぉぉぉぉおおおぉおぉ(中略)おぉぉぉFOOOOOOああああああああああっっっっ!!!」」」
大地を揺るがすような大音量が響き渡る。あ、桂花が倒れた。
「じゃあ一曲目、いっくよーーーー!」
「「ほわぁぁぁぁぁぁあっ!ほぉぉぉぉ、ほわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!ほわぁぁぁぉあぁぁぁぁぁっっ!」」
「うひゃー!こりゃ兵が強いわけだ!」
猪々子が観客席を見て目を丸くする。
「この、士気の高い野朗共をきっちり訓練して、華琳さんの威厳で完璧に操るって寸法や」
「でも、これだけ客が叫んでるのに、よく声が聞こえるなぁ」
「声に氣ぃ乗せとるっぽいな。お、華琳さんが隊長の手ぇ握った!」
華琳の顔は、周りのファンの熱気にアテられたらしく、少し青褪めている。そりゃ初見じゃ引くだろう。増してあの少女愛好の華琳だ。
「うわー、カズ兄と大将、良い雰囲気じゃんか」
「歌聴けや、って感じやけどな。ってか、その呼び方に落ち着いたん?」
「アニキだとチャーハン兄貴のアニキと被っちまうからな」
チャーハン兄貴洛陽店に連れて行ったところ、案の定猪々子も気に入った。それまでは一刀のことを「アニキ」と呼んでいた。ちなみに、私は「レイ姉」で、霞が「アネキ」である。これも、初めは私を「アネキ」と呼んでいたのだが、真桜と沙和が霞のことを姉としているのとこんがらがったからだ。
「お、なんか言い合ってる」
「掛け声やるかやらんかで揉めとるんとちゃう?」
「やったらいいのになー。あたいも次の曲からやろっと!」
「舞台袖なんやから加減せぇよ?」
「わかってるって!」
バカはいつもそう言う。
「みんなーっ!それじゃ、次の曲、聞きたいー?」
「ききたーーーーーーーーーーーーーーい!」
「じゃ、歌っちゃうよーーーー!」
「「ほわぁぁぁあぁあっっ!ほわ、ほわぁぁぁあぁあぁぁぁぁぁぁっっ!」」
「ほわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!!ほぉぉぉぉぉぉぉっ!ほわぁぁぁぁぁあぁぁぁぁぁあああああああっ!!」
隣から爆音。
「ちょ、加減せぇ言うたやろバカタレ!」
「えー、地和も良いって言ってるしいいじゃんかー」
「地和?」
見るとステージの上の地和が一瞬軽くウィンクした。
「な?」
「地和も偶に無茶するから参考にならんけどな……」
「レイ姉もやったらいいじゃんかー」
「警護の自分らが騒いどったら何か有った時に気づけんかもしれんやろ」
「ちぇー。カズ兄もやってんのに」
「はぁ。あっちは観客やろ……」
そちらを見遣ると、会長もかくや、という迫真の雄叫びを上げる一刀の横で華琳が唖然としていた。……あれ?たしか原作にこんなイベント有ったな。……あ、しっちゃかめっちゃかになるやつだこれ。
「おー、大将もやりはじめた!」
一刀に促され、顔を真っ赤にして恥ずかしそうに何か言っている。こういうところを見ると、カリスマチートの華琳も年頃の少女だな、と微笑ましい気分になる。まあ、残念ながら応援としては失格だが。
それに今は、これから起こるであろう乱闘をどう収めるかが気がかりだ。原作ではある程度騒ぎが大きくなったところで場面が跳んでいる。うーん、とりあえず三姉妹に危険が及ばないように気を付けつつ他人任せにするか……。
「ほらーっ。そこ、盛り上がってないねー!もっと気合入れていこうよーっ!」
騒動の火種。地和が華琳たちを指差して発破をかけた。
「いっくよーーー!ちゃんと答えてねー!そこのみんな、地和たちの歌、楽しんでるーーーーーっ?」
「「ほわぁあぁぁぁぁぁぁっ、ほっ、ほぉぉぉぉぉぉぉっ、ほわぁぁあああぁあああぁぁあぁぁぁあぁぁっ!」」
聞かれてもいない奴らが元気良く返事をするなか、当の華琳達はといえば、一刀、季衣、流琉の三人しか叫ばない。もちろんそれで地和が満足するワケがない。
「ほらほらちっちゃーい!もっと盛り上がらないと、次の曲が歌えないよぅっ!」
「ほわぁぁあぁぁあっっ!ほわ、ほぉおぉぉぉぉぉぉっ、ほわぁぁぁぁぁぁあっ!」
未だもじもじとしている夏侯姉妹を他所に、一刀渾身の咆哮。
「一人じゃ全然たりないよーっ!」
そして撃沈。
季衣流琉も援護シャウトするが、ぶっちゃけ子供二人の声じゃあ足しにならない。
「んー、なんか妙な雰囲気になってきたなー」
猪々子の言う通り、周りの席の男達から殺気と怨念がない混ぜになったような空気が発せられる。そりゃあファンが血涙流して求める特等席に、大して盛り上がってない奴が居たらたまったもんじゃないだろう。
「でもまだ斬山刀構えるには早いで?」
「えー」
「ホンマ戦闘狂なんやから……」
負の念が殺到し、華琳のカリスマがブレイクしかけたその時。
「貴様らぁぁぁぁぁあぁぁあぁぁぁぁっっ!!」
春蘭が暴発した。初めからその声出してればいいのに。
「烏合の集まりだと思って堪えていればいい気になりおって!下がれ下がれ下郎ども!」
……ファンのみんなは悪くないよなこれ。
「このお方をどなたと心得る!」
「畏れ多くも先の副将軍………」
「……副将軍って誰よ」
「…………空気読めよ、北郷」
「お前は少し黙っていろ」
「………うう、すまん」
調子良くお約束ネタに乗っかった一刀が封殺された。ところどころ電波受信して、変なトコで素に戻るのは本当に質が悪いな。
「このお方をどなたと心得る!畏れ多くも魏国国主、曹孟徳様にあらせられるぞ!」
「頭が高い!控えおろう!」
……先に決め台詞をやってしまうから後で収集つかなくなるんだ。後で占める台詞は……「成敗!」とか?いや、それだと三姉妹が死んでしまうな。
「ええい、皆の者、出合えっ、出合えーーーい!」
「「ほわああああああああ(中略)あああああああっ!」」
「地和のバカーーーーーーーーっ!」
一刀の叫びも虚しく、元観客(現暴徒)たちが押し寄せる。
「ふん。この曹孟徳に楯突こうなど、何という身の程知らず。春蘭、秋蘭。構わないから、やーーっておしまいっ!」
「はっ!」
「はっ!」
「アラホラ……」
「……何をふざけているの?一刀」
「大丈夫か?北郷」
「叫びすぎて頭がおかしくなったか?」
「……何でもない」
またも撃沈。
「……レイ姉、さっきのは『アラホラサッサー!』って言うとこだよなー?」
「うん?そうちゃう?」
……そういえば猪々子はアラホラ受信してたっけ。顔良とそれ絡みの会話が有ったような……。
「「ほわぁぉぁぁぁぁあっっ!ほぉぉぉぉぉぉぉっ、ほわぁぁぁぁぁっ!」」
……と、そろそろ余計なこと考えてる場合でもなくなってきたな。
「レイ姉」
「おー。武器用意していつでも飛び出せるトコに移動するか」
四方向に分かれてそれぞれに元観客(現暴徒)を叩きのめす将軍たちを尻目に、袖を出てセットの後ろにしゃがみ込む。
「お前ら何やってんねーーーーーーーん!興行なら興行らしゅう、野太い声援でほわほわ言うだけにしとかんかーーーーい!」
客席後方から新たな一団。よっしゃ霞姉キタ!これで勝つる!!
続いて凪、真桜、沙和。うーん、これだけ居れば、意外と造作無く鎮圧できるか……?やってきた四人に一刀が指示を出しているらしい。
「とりあえず、華琳と桂花を頼む。後はまあ……」
どこか遠い目で辺りを見回す一刀。
「……みんなが何とかしてくれるだろ」
あ、投げた。
斗詩ネタを使えない猪々子に妹属性追加。
「レイ姉」より「聆ねぇ」の方がいいですかね?
それとも「れい姉」? 「れぃねぇ」??
キブンイレブン(激寒)で変えるかもしれません。