哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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東方二次を書くに当たって、色々な資料を読んだり、スレを覗いたりするやないですか。
ほんだら本編やりたくなるやないですか。
何が言いたいかというと、
寝不足です。


第八章一節その四

 つまらない内輪もめをやっている内に他の仲間が上手く袁紹を追い返し、しばらく平和な時が流れた。今は華琳半ギレ騒ぎのほとぼりも冷めて、両袁家とどう戦うかの計画が本格的に進められている。相手の手勢は袁術、袁紹それぞれ片方ずつでも曹操の総戦力に十二分に匹敵する。と言うか、圧倒的だ。それに加え、袁紹は北、袁術は南東に本拠を構えており、常識的に考えてまず間違いなく二面作戦になるだろう。……常識的に考えて。

 

「……敵軍が集結している?」

 

常識は投げ捨てるもの。特に馬鹿を相手にするときには。

 

「はい。どうも袁紹と袁術の両軍が、官渡に兵を集中させているようなのです」

「たまげたなぁ……」

「白々しい……どうせまた知っていたんでしょう?」

「そうやで?」

「…………」

「でもほんの四半刻前やから」

「……もう気にしないことにするわ……」

 

私の色々な縁について、「賄賂も脅迫も無いんだから」と開き直っているのが功を奏したのか、最近、華琳は考えるのをやめ始めた。いい傾向だ。

 

「……それって意味があるのか?袁紹と袁術が別々に攻めてくるって予定だったろ?」

「あの二人に限っては策でもないやろしな……」

 

勢力を集中させていると見せかけて本当は二方向から……とか、仮に誰かが思いついたとしても、面倒くさいからと却下されていそうだ。

 

「麗羽のことだから、人数が多い方が派手だから、と思い付きでやったんでしょうよ」

 

○○はこういう性格だから――という思考はあまり好きではないのだが、確定的にバカだからな……。アイデンティティと言っても過言ではないほどの。

 

「兵力は単純に倍になりますけど、指揮系統が整っていないと、ただ人が増えるだけになりますねー」

「うまく連携が取れなかった場合、互いの足を引っ張り合って、むしろ味方に不利になる事の方が多いわ。黄巾や反董卓連合の時のことを覚えているでしょう?」

「ああ。確かに連合はクズだった」

「かゆうまェ……董卓側の連携を崩しとったんはお前やからな?」

「何を言う!私は武人の誇りにかけてだな……」

「……よく分かった。あの二人に連携は無理だろうな」

 

一刀は、なんだかんだと言い訳を続けるかゆうまを見て、ため息混じりに呟いた。まこと、馬鹿は度し難いものである。

 

「けれど、二面作戦を取らなくて良い分、楽になったわね。そこは素直に喜びましょう」

「……んーと」

「あはは、分かってない顔だね。季衣」

「うん。……うー……どういう意味ですか、春蘭様ぁ」

「……春蘭さんに聞いても……」

「おい聆、何か言ったか?」

「何も言うとりませーーん」

「春蘭様!どういう意味なんですか?」

「う、うむ。二面作戦を取らなくて良くなった分、こちらにとっては楽になったということだ」

 

どうしようもないな。

 

「……華琳、これ、こっちの連携も……」

「…………問題無いわ」

「春蘭様〜どう楽になったんですかぁ……」

「そ、それは……おい北郷!その辺りについてちょっと説明してやれ!」

「俺がかよ」

「いいや、私や」

「いや、それやったらウチが」

「え、……じゃあ俺が」

「そんな、説明したいん?」

「んだら隊長の面白い解説、期待しとくわ」

「え、何?聆も真桜もハードル上げる為だけに会話に乱入したのか?」

「せやで」

「ハードルが何かは知らんけどな」

「…………はぁ……最初の作戦だと、季衣と流琉は別々に行動するよていだったろ?けど、今回は敵が一つにまとまってるから、季衣と流琉は一緒に戦えるようになったって事だよ」

「あー。そういうことなんだー」

「おもんないんじゃいーー」

「もっとふざけろーー」

「ちょっと待ち自分ら。きっと一刀はオチでドッカーンと笑かす気ぃなんや。やからこれは前フリ……」

「そうやったんか……! さっすが姐さん。視野が違う!」

「wktk」

「……その反対に、敵は仲の悪い奴が共同で戦うことになるから、連携が取れない分やっつけやすくなるかも〜ってことだ」

「なるほどー!兄ちゃんの説明、すっごくわかりやすかったー!」

「すっごくつまらなかったー!」

「ふざけんなもっとふざけろや」

「絶望した!山も落ちもないただの説明に絶望した!!」

「いや、お前らが難易度上げすぎなんだって……」

「気合が足らん!!やり直し!!!」

「もうこの際めちゃくちゃなこと言うてええからどないかしてぇや」

「やんややんやー」

「…………

 ヘイ!ボブ

 なんだいジョーg

「面白かった 息出来んくらい笑った」

「面白かった 面白すぎてちょっと引いた」

「面白かった やからもう何も言うな」

「はぁ……貴女達、賑やかなのは良いけど、軍議の最中だということを忘れてないでしょうね……?」

「忘れてないですバッチリです」

「五秒に一回復唱してるで」

「実のところちょい忘れとった」

「……ともかく。……兵を集結させて戦えるというなら、こちらに負ける要素は何もないわ。ただ、警戒すべきは……」

「……袁術の客将の孫策の一党かと」

「そういうことね。だから袁術の主力には春蘭、貴女に当たってもらうわ。第二陣の全件を任せるから、孫策が出てきたら貴女の判断で行動なさい。季衣、流琉、華雄は春蘭の補佐に回って」

「御意!」

「はいっ!」

「わかりました!」

「了解した」

「袁紹に相対する第一陣は霞が務めなさい。補佐で欲しい娘はいる?」

「それなら、凪たち四人がええなぁ。一刀、貸してくれへん?」

「そりゃ、四人が良いって言うなら良いけど……いいのか?華琳」

「三人は良いけど、聆にはいつも通り防御遊撃に回ってもらうわ。初期配置は本陣手前でね。一刀は秋蘭と一緒に本陣に詰めなさい」

「了解」

「……そうだ。霞たちはこちらの秘密兵器の講義を受けてもらうわよ。真桜が一緒だから、ちょうど良いわ」

「……なんや桂花、どんな兵器なん?」

「秘密兵器は秘密兵器よ。それ以上はまだ教えられないわ」

「うーん……あんまり面倒なんは、勘弁して欲しいんやけどなぁ……」

「頭使うこと避けとったら馬鹿んなんで」

「よっしゃ良えやん秘密兵器!完璧に使いこなすでェ!」

「……その秘密兵器の運用と護衛を第一陣に任せましょう。敵部隊には第二陣の華雄を中心に当たりなさい」

「分かった」

「ええーっ!なんでやねんっ!」

「『なんでやねん』頂きましたっ!!」

「さっすが姐さん!キレッキレ!!」

「うわー、これ、やられる側キッツぅ……」

「袁術は作戦立案には顔を出さないはずだから、相手の指揮はおそらく袁紹が中心になるでしょう。桂花は袁紹の考え方を予測して、基本戦略を立てなさい」

「御意!」

「禀と風は桂花を補佐し、予測が外れたときの対処が即座に出来るように戦術を詰めること」

「分かったのですー」

「了解です」

「他の皆も戦の準備を整えなさい。相手はどうしようもない馬鹿だけれど、河北四州を治め、孫策を飼い殺す袁一族よ。負ける相手ではないけれど、油断して勝てる相手でもないわ。

これより我らは、大陸の全てを手に入れる!皆、その初めの一歩を勝利で飾りなさい。いいわね!」

 

かくして、外史は新たな局面へ。

でも、袁家=バカなせいで、官渡もイマイチ盛り上がりに欠けるよな。




軍議シーンって、気づいたらセリフばかりになっていますね。
美羽様登場は次の次でしょうか。
うっひょーいっ!!

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