哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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おぱんちゅ
おぱんちゅ
おぱんちゅっていう言葉にハマりました。
発音すると何か口の中が気持ちいいです。
あと、美羽様が穿いているのは多分おそらく絶対に、
パンツじゃなくて
おぱんちゅ


第六章二節その二〜戦闘パート

 洛陽へ到着してから各諸侯は連日攻めてはいるのだが、なかなか墜とせない。流石にかゆうまも自重しているようだ。じわじわと士気の低下が見られるようになり、ただでさえ悪い連携も更に悪くなる一方だ。夜中に真桜を走らせて城壁ボロボロにしちまえばいいんじゃね?と一瞬考えたりしたが、「さあ、掘るでー!」と言ってたら「上から呂布が!!」というビジョンを幻視したのでなにも言わなかった。そのうち華琳さんがいい案出すから別にいいはず。

 

「連合軍議にて曹操様が提案なさった案が採用されました。内容は、『一日を六等分し、諸侯が交代当番で攻め続ける』です」

 

ほらな。

 

「分かった。別命有るまで待機しとけ」

 

 

 そして、当番制が実行されてから何度目かの夜。

 

「……今夜は敵の反撃が大人しいな」

「そろそろ疲れてきたか……反撃のための準備しとんか……」

「降参してくれないのー?」

「はーあ。夜は寝るもんやでぇ」

「真桜、戦場だぞ。しゃきっとしろ」

「はいはい。……ふわぁぁ」

 

真桜は不満げだが、夜間当番というのはありがたい。鑑惺隊のスタンスとして、特殊戦闘特化を考えているのだが、それにはもちろん夜間行軍及び戦闘、工作が含まれる。比較的安全な夜間戦闘の実践ということだ。それとは別に、今回で分かった事が有る。我が隊は弓がクソみたいに下手だ。帰ったら風呂る次に弓の訓練をしよう。

 結局、それだけが収穫だった。桂花に敵の様子を伝え、昼まで酒飲んで寝る。夜更かしした金曜みたいだな。

 

   ――――――――――――――――――――――――――

 

 そして目覚めてからしばらくしたとき、桂花が私の天幕にやって来た。

 

「貴女にはしばらく劉備の下で戦ってもらうわ」

「あー、うん了解」

「……驚かないのね」

 

ちょっと前に情報回ってきたからな。

 

「春蘭さんが孫子暗唱したとかやったら驚くで。で、細かい内容は?」

「相手の反撃を正面から受けるのを嫌がった袁紹が当番を拒否。代わりに無理やり劉備を据えたのだけれど、劉備にはそれを担うだけの兵力は無いわ。そこで、華琳様は兵を貸すことにしたの。諸葛亮や関羽の力量を測るための間諜と仕込んでね。そしてその首領として貴女。華琳様は、『聆ならば関羽や諸葛亮の思考や指揮を学び取り、万が一無茶な命令が出されたときは兵を守って離脱することが出来るでしょう』と仰ていたわ。引き受けてくれるわね」

「はぁ、選択肢なんか無いくせに」

「悪いわね」

「構わん」

 

 

 指定された兵を連れ、劉備陣営へと向かう。意外と皆素直に言う事を聞いてくれる。元々の練度が高いのも有るだろうが、やはり先日のインチキ腕相撲が効いているんだろう。流琉には悪いことをした。試合中に相手の手首が外れたらそら力抜けるわ。でもあの場で期待を裏切るわけには行かなかったのだ。真の英雄に非ざる私は、風評、つまりは苔脅しに頼らなければならない事が多々あるのだ。

と、そうこうしているうちに到着してしまったな。

 

「我が名は鑑惺嵬媼。曹操軍より支援兵を連れて参った!劉備殿は何処か!」

 

私の声に、桃色の髪の少女が奥の天幕から姿を現した。

 

「はいはーい!援助有難うございます!初めまして。私が劉備です」

 

挨拶バカっぽいなー。そして、それに続いて二人。

 

「関雲長だ。桃香様の下で将として武を振るっている」

「しょ、諸葛孔明でしゅっ!軍師です!」

「ああ。よろしく。援軍は、さすがにそちらの直接の支配下として分解することはできないが、劉備軍の一部隊として扱ってもらって構わない。共にこの戦を終わらせるため尽力しようではないか」

「はひっ!で、では、兵数を確認した後、軍議にて配置を決定しますので、それまではあちらの天幕でお休みになっていて下しゃい」

「誰か有る!鑑惺殿をご案内しろ!」

「はっ!」

 

兵士の後について天幕へと向かう。孔明ェ、盛大に噛みまくりながらも私をしっかりと値踏みしてやがった。やっぱりはわわって演技なのではないのか?

天幕も質が悪いものだ。別に嫌がらせとかではないだろう。全体的に粗悪品で溢れている。やはりそういうところでも曹操軍は質が高い。

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

 「大きかったねぇー!鑑惺さん」

「武器にしても、鈴々の丈八蛇矛に迫る大きさでしたね」

「にゃにゃ!?鈴々の武器が一番なのだ!」

「だから、『迫る』と言っている!……それにしても朱里、いつもより噛んでいなかったか?」

「そんなに緊張したの?」

「……愛紗さんは、鑑惺さんをどう見ましたか?」

「どうした藪から棒に。……そうだな、鎧と身長からくる威圧感はなかなかのものだが、身のこなしから感じられる武人としての力量は……正直、驚くほど高いものではないだろう。すくなくとも、華雄よりは劣r」

「いーや!!聆殿は、かなりのっ!フィッ……器を持つ御仁でしたぞーーー!!?」

「星!!何処に行って……っ!?酔っているのか!?」

「ベロンベロンなのだー」

「聆殿が……酒を嗜むのがーー趣味と風の噂に聞いとぅえ!少しばかりウェヘヒ語らってまいったのがーーっ!少々の食い違いは有れどッそれもまた新しいはっくんのー!」

「もういい!星!!黙れ!!貴様、戦場で酒に溺れるなど!」

「わらひはーー悪くありませんぞっ!!蜜柑の……フィッ爽やかな甘みと酸味がーーキリッと辛口の橙色の神酒でッッ!聆殿がーー、さも事も無げにスイスイスイっとウッフウーー!!曹操のモットに天の使いが降りたツォいうのはッハアーー!?あながち間違いでもないかも知らませんな!あれは正しく天の味!!!!」

「貴様っ!!黙れと言っているだろう!!戦が始まってもまだ酔っているようなら真っ先にお前を叩き切ってやるからな!!」

「うっひゃぁあーー!聆殿ーー!堅物に斬られてしまいますぅーー!?」

「呼んだ?」

「鑑惺さん!?」

「鑑惺殿!どうしてここに!?と言うより、星に何をしたのですか!?」

「なんや騒がしいから…、おっと、何やら騒がしいので何事かと思い按じ、参った。星については……趙雲殿に関しては少々短慮であったと反省している。せっかく声をかけて頂いたのだから親睦を深めようとしてのことだ。あと、メンマもいただいた礼としても。趙雲殿が自分は酒に強いと何度も言ったのだか……大丈夫ではなかったようであるな」

「いや……星はかなりのザルのはずだが……。そういえば、真名の交換までしているのですか!?」

「そうだぞーー??愛紗ぁ!聆殿と私はなぁ!こう……すごいんだ!!!酔に任せたものではあるがッ接p」

「はいもう迷惑なっとるみたいやから黙ろか」

「ななー!?聆殿まで堅物の味方をするのですガッ!??」

「!?」

「!?」

「ちょっとその辺の天幕で寝かせとくおっと、寝かせて来申す。失礼した」

「……鑑惺殿」

「そう不安げな顔をしなさるな。星は、ここを相当面白く思っているようじゃ。劉備殿の理想が腐らぬ限り、ここに残るだろうぜ」

「………」

「んだら、作戦決まったら呼んでくれや」

 

 

 「……口調、ブレブレでしたね」

「…………あのことは忘れよう。して、朱里は鑑惺殿をどう見たのだ?」

「……水鏡先生と同じ目をしていました」

「にゃ?」

「水鏡先生って、確か朱里ちゃんの先生だよね?」

「……どういうことだ?」

「戦でも、政でも、夢でも、目前のものでもなく、世界を、まるで私達が盤上の駒を見るかのように眺めている。そんな目です」

「そうか?もっと俗っぽいように見えたが」

「神や仙人のようであるとは言っていません。何というか……その……」

「とにかく胡散臭い奴ってことなのだ!」

「全く、曹操も厄介なものを寄越してくれたものだ」

「孫策、張勲と並んで、警戒すべき人物の一人だと思います」

「神がかった勘、行動原理不明、言葉では言い表せない怪異か……。前途多難だな……」

 

     ―――――――――――――――――――――――

 

 ……悪目立ちし過ぎた。星ほどではないが私も多少酔っていた。でも仕方なかったのだ。相手が秘蔵の酒とメンマを持ってきて、酒とか恋話とか政治論とかで盛り上がったら、そりゃあこっちも出すもの出さねばならんだろう。今回瓢箪に入れていたのが、スクリュードライバーを模したカクテルだったのも不幸の一つだ。さすがレディキラー。気付いたときにはもう遅い。その酔っ払いまくった星だが、一刻ほど眠って現在はすでにいつも通りの様子で軍の指揮をとっている。私も、余計なことをしたからヤバい任務に当てられるかと思ったが、なんてことはない。またしても後方での援護だ。まあ、私に無茶をさせることは即ち曹操に喧嘩を売ることと同義だからな。

 

 現在最前線で董卓軍にちょっかいをかけているのは、馬超を大将とする西涼連合だ。と、洛陽の正面の門が開く。ついに決戦の始まりということか。劉備陣営内に、関羽の声が響く。

 

「聞け!劉玄徳が義の下に集いし勇士たちよ!決戦の刻は来た!今こそ、暴政を尽くし民から奪った富を貪る逆賊を討ち倒すのだ!都の民の苦しみを、今日!ここで!!終わらせる!!総員戦闘準備!」

 

「突撃!!!」

 

 

 戦闘開始後次々に、予め各所に放っていた斥候が情報を持ち帰った。敵本陣呂布、右翼張遼、左翼かゆうま。つまり、呂布は諸侯それぞれから呂布を潰すためにに現れる将を次々と相手取ることになり、張遼は曹操と真正面からぶつかり、かゆうまは再び関羽と対面することになるのである。言っちゃ悪いが、これ、またヌルゲーなんではな……?ん?前方の様子が変だ。

 

「鑑惺様!劉備陣営、華雄隊に押し切られます!!」

 

孔明の罠である。まんま孔明の罠である。「はわわwww前線突破されちゃいましたwwww」である。前方の友軍がバッカァと割れて、華雄さんを先頭に董卓軍が突っ込んでくる。だが、まだ慌てるような時間じゃない。慌ててもどうしようもないからだ。鑑惺隊ではないので、味方陣中に雲散霧消することはできない。スペースも機動力も足りないので逃げることもできない。受け止めようにもこの勢いで突っ込んでくる華雄将軍を止められる奴なんて居ない。近くの別の軍はこちらの危機などどこ吹く風で無視を決め込んでいる。劣勢の戦には参加したくないらしい。なにか、曹操が気づいて兵を廻してくれるまで時間を稼ぐ方法はないのか?

 

「……下がれ」

「……鑑惺様?」

「早よ下がれ」

 

ザザと味方が後ろに下がり、華雄隊の前に立つのは私と、私の乗る馬だけとなった。私はどうせ別世界の人間だ。なんだかんだ言って、オマケ的な二度目の人生より、今後ろにいる奴らの命の方が重い。

 

「……ほぅ?このような後衛にもこの私と一騎討ちを望むような剛の者が居たとは……と、思ったら随分嫌そうな顔をしているな」

「そら嫌やわ。明らかにそっちが格上やもん。……でもな、ここをタダで抜けられるんはもっと嫌なんや」

「負けを知りつつ尚立ちはだかるか!その意気や良し!!この華雄!責任を持って貴様を叩き潰してやる!!名乗れ!!」

「我が名は鑑嵬媼ッ!!曹操のもとに降りし天の御使いと共に駆ける四将が一人!!」

「「いざ!」」

「「勝負ッ!!」」

 

    ―――――――――――――――――――――――――

 

 二頭の馬が平行して駆ける。そして、私とかゆうま……いや、華雄の打ち合いが続いていた。正確には華雄の一方的な連撃だが。それもかなり手加減した様子の。

 

「ホラホラどうした!そんなものではすぐに飽きてしまうぞ!」

「もうちょい我慢してくれ!!正確にはこっちの援軍が来るまで」

 

そもそも私は馬には一応乗れるが、騎馬戦は殆どやったことが無い。それに、学んだ技術も馬上ではあまり使えない。勝ち目が全く無い、と言うより、逃げ目も生き残り目もない。ならば……。

 

「ッシィッッ!!」

「むっ!!?」

 

何とか距離を取り、左腕で牽制を受け、もう片方の腕で相手の馬の尻に数本の投具を放った。胴体狙いでは防がれる気がしたからだ。それでも一本を残して防がれたが。その一本は突き刺さり、馬は苦痛に転げる。当然華雄も地に投げ出されたのだが……難なく着地。そして私の馬の首を撥ねた。さよなら黒王号(偽)。上手く着地なんて出来るはずもない。数度地面を転がって、何とか立ち上がった。

 

「グッッ」

 

一瞬の暇も無く斬撃が迫る。何とか受け、流そうとするも流しきれない。よろめいたままに更に一撃。二撃。三撃。四撃。

 

「貧弱!貧弱ゥ!」

 

この距離では破滅しかない。

 

「ゥラッッ」

「またソレかっ」

 

比 較 的温く入った一撃を左腕と脚で何とか受け止め、投具。全て弾かれるが、構わない。その間に一歩でも距離を取るのが目的だ。更に退がりながら、腕を撓らせて斬撃を二発。大体四メートルか……。

 

「おいおい、逃げたって変わらないぞ?」

「分かっとっても逃げ出したくなることもあるやん」

 

そう返しながら、にじりと後退る。……この距離。

 

「っ!!!」

ズバンッッ

「な!?」

 

身体全てを撓らせて放つ。射程は十四尺。切っ先は……音速っ!!

 

「嬉しいぞ!!なかなか良いものを持っているではないかッ!」

 

それでも防がれる。だが、今更驚かない。強いのには慣れた。力の限り撃つのみ。

 

「なるほどッそちらもなかなかやる!ならばこちらも行かせてもらうぞ!」

 

引き動作に合わせて華雄が間を詰める。

この時を待っていた!!

 

「かかったなアホが!」

 

こちらからもシンクロして詰め、ゼロ距離となる。前々から考えていたコンボだ。腕を掴み、一気に捻り落と……せない!?

 

「無駄無駄無駄無駄ァッ!!」

 

人体構造的に決してこらえることの出来ない投げを、華雄は人体構造を逸脱した剛力で押し留めていた。

 

「お前があと一割でも多く修行するか、一割でも大きい力をつけていればあるいは勝てたかもしれないな」

 

そして、腹に激痛。見れば、華雄の斧が腹から生えているではないか。いや、刺さってるんだよ常考。ズブリとソレが引き抜かれ、代わりに顎に衝撃が走った。蹴り上げられたのか?視界と思考が真っ白に染まる。意地で華雄に掴みかかった。

 

「 フ・・・は・・・ 返し 付きの 篭手 の爪は い、痛か・・・ろう・・・」

 

倒…れる……とき…は…前……のめ…り……。

 

 

 

「―――くくく……見ろ!!お前らが頼りないせいで今ここに有能な将が一人倒れた!……黄蓋!!すぐ助けに動ける位置に居ながら傍観しているのに私は気づいているぞ!……関羽!!本当の武人とはコイツのように倒れても尚相手に喰らいつく者のことだ!!貴様がくだらん邪心で故意に退いたこと、私は知っているぞ!!!何が連合軍か!何が『董卓の暴政から民を救う』か!!腹の中で獣を肥やし、争いの種を撒き続けるのはお前らだろうが!!!私はもはや退きはせん!欺瞞の権化たる貴様らを一人でも多くこの大地から消し去ってやる!!」




メインヒロインかゆうまワンチャンあるでぇ。
すっごい茶番です。
かゆうまにカッコイイ風のセリフ言わせたかっただけです。
そして壮大なネタ振りです。

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