最近本格的に熱くなって来ましたね。いや〜、熱は夏い(激寒)。
さて、内容は久しぶりのαルート。書いてるときの感覚がβと結構違っていて難儀しました。
ここから数回は拠点フェイズと戦前のなんやかんやの併用みたいなことになりそう。
魏軍最前線、蜀国東側の国境を臨む城に私は居た。
現代の自宅マンションのから飛んでどれほど経っただろうか。恋姫三国志も佳境。呉が墜ち、残るは蜀のみ。有象無象の勢力もやがて魏と蜀に帰結し、最後の大戦の気勢が高まる。
「――って言っても、当の国主さまが本国に帰ってますからまだまだって感じですよね〜」
「おい、その言い方ではまるで華琳様が遊びで帰っているようではないか。訂正しろ」
「そんな風に聞こえる箇所あったか?」
「なんにでも噛み付いて忠犬根性丸出しじゃのう」
「でもまぁ、びっくりするくらい平和だし、準備か整うまで時間も有るし別に良いじゃん?」
「遊びに行った体のまま話を進めるな!」
「はいはい。えーと、本国の視察と警備状況確認に華琳さんと隊長、んで高火力炉を使いたいったことで真桜やな。……沙和はホンマに遊びらしいけど」
ついでに華琳たちも本当は墓参りが主な目的だったか。
「まったく、あの服狂いは。私には何故そうも服に拘るのかよく分からんな。動きやすいものならまだしも、特にアイツの選ぶものは」
「やっぱ機能性だよなー」
「その通りだ」
「……関係ないけど、変わった服……『コスプレ』したら隊長と閨を共にする確率が十五割になるらしいな。お出かけ[デート]中に五割、自室に帰ってからが十割」
「なっ……」
「本当に関係ないな」
「でも改めてカズ兄ってアレだよなぁ」
「アレじゃな」
口々に、ため息混じりに『アレ』と評す。
手が早い……いや、そこまでがっついてないから不適当か。言葉巧み……うーむ、本人は作為的に『オトしてやろう』とは思っていなさそうだしこれも合わない。
アレとしか言いようが無いな。
「あ、あぁ。アレだな」
一人、春蘭は『アレ』とは思っていないようだったが。そうか、もうこの時期になれば春蘭も一刀にお熱なのか。
まぁ、それ抜きにしても一刀の女性方面のアレコレは大したものだ。独特というか、何というか。無能の雰囲気を醸し出しつつ有能だし、鈍くさい鈍感男に見えて見るところはしっかり見てるし。
「でもそのアレさのおかげって部分も有りますけどね〜」
「何がだ?」
「あー、たしかにカズ兄がいなかったら魏ってもっとピリピリしてたかもな」
「もしくはもっとジメジメネトネトと」
「華琳様とならネトネトも望むところだ!」
「私も鑑惺様とのネトネトなら望むところです!!」
「さがって良し」
「はい」
三課長は奇妙な奴だが『退がれ』と言えば素直に従うだけまだマシかな。
「『はい』じゃないが。どこから湧いてきたんだアイツは」
「知らん」
「鑑惺隊だししかたないじゃん?」
「変なんはアイツだけやぞ」
「聆さんがそれを言いますか……」
それなら七乃さんも他人に呆れられる人間じゃないと思うんだがなぁ。
「それにしても、聆もすっかり大物になったものだ」
「えー、春蘭さんに比べたら小物やし」
「……よく言いますね」
よく言うもなにも……まず氣の力が違うし。私も気が付けば反応速度とかが人外じみてきているが、それでも基礎的なスペックに絶望的な隔たりが有ると思う。春蘭に『よし、軽く手合わせするか』なんて言われる度に私は軽く死ぬ覚悟をしているのだ。
「しかし、初めて会ったときは本当にな。確か義勇軍だったか……戦の恐れを酒で誤魔化していただろう」
「初めて会ぅたんは行商のときやで。工芸品やら熊肉やら売っとったときの」
「そうだったか……?」
「そーや」
「大体いつ頃だ?」
「言うて春蘭さんが言いよった義勇軍云々の数日前程度や。どっちも黄巾が暴れよるとき」
「なるほどねー。黄巾賊退治のうちに実力を付けたってことか」
「ありがちですねぇ」
「うーむ、はっきり言ってしまうと、四人のなかでは凪だけが頭二つも三つも飛び抜けた印象だったのだが」
「それは氣で測れば今でもそうなるな」
「いつの間にこうなったのか……」
なんか良い意味には全く聞こえない言い方だ。
それに仲間内での『鑑惺論議』はあまり良くない。これが敵だったなら勝手に好きなだけ訝しんで勝手に怯えてくれていれば良いんだが。
それに、特に初めの頃は……早く魏の中で発言権を得ようと色々おかしなことをした覚えがあるし、ボロが出そうで。
「やはり私とやり合って泊がついたのだろう」
「それで負けたのになんで自慢気なんだよ」
華雄の少しズレた発言で締め、
と思いきや春蘭はまだ首を傾げている。
「どうもそれより前から我が物顔で城内を闊歩していたような……」
「そんな過去のことはもーええやん。氣はあんまやったけど気は強かったってことで、上手くオチつけて終わりで」
「そんなに上手くないじゃろ」
「ともかくこれからの話 しようや。戦も控えとるし、その先には平和な世も控えとる」
「大きな戦の前に先の話をするのを天の国では『死亡ふらぐ』と言うんじゃありませんでしたっけ」
「ああ、確か死の呪いだったか」
「それやったら過去を懐かしむんも死亡フラグやぞ」
「じゃあ何だよ、戦の前は口を閉じて準備に励めって?……正論じゃん!」
「諺には昔の人の知恵が詰まってるって言いますからねぇ」
多分その『昔の人』って未来人だと思う。
「では、始めるか」
「いっちょやってやるぜ」
「言うて準備がヒマやから集まっとったんちゃうのん」
「なに、よく考えれば、いくら準備しても終わりのないものがあるだろう」
あ、これしんどいやつや。
と思った時にはもう遅い。
どこからか『七星餓狼』を抜き放ち春蘭が立ち上がる。
「さぁ、相手には呂布も関羽も孫策も居るのだ!」
「ホントに過去も未来もウダウダ言ってる場合じゃねぇな!」
と、楽しそうに『斬山刀』が。次いで『金剛爆斧』も。
「やるぞ嵬媼!お互い手加減無しだ!」
手加減はこの際もう言うまい。
せめて刃引きした武器を使ってくれ。
刃引きしてても殴られたら死ぬけど。