哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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執筆意欲は凄いのに右肩と手首と親指が痛くて辛い。
ずっと下痢で食欲が無いけど執筆意欲は凄いから辛い。

あれ?サブタイトル名の由来のシーンが成り行きでカットされてしまったんですが……どうしてこうなった


第四章拠点フェイズ :【許緒・典韋伝】蕾のご飯粒 後半

「この辺り……?」

 

村人に案内されてやってきたのは、見事なまでの荒野だった。それはそれは見事な荒野だった。所々に突き出す巨岩がまた何とも言えない味をだしている。ふざけんな。コイツら腐海でも「開墾できそう」って言うんじゃねーの?

 

「なるほど。開拓し甲斐がありそうね……」

「これなら、いい畑になりそうですねー」

 

何を言っているんだこのクルクルと春巻は。

 

「そんなもんなのか?聆」

「土壌は良ぇんとちゃう?」

 

私のいた村は立地が良かったようで、こんな荒野を開墾しようとしたという記憶は無い。

 

「更地にするのに、"全力で"働かせて、丈夫五百人で三日。まともに働かせて千行かんやろなぁ。畑にするとか家建てるとかになったら三倍ほどかな?」

 

大体二百間四方足す百五十間四方くらいで、雑草とか低木とかの根がしっかりしてそうだからな。女手を入れようと思ったら、もっとかかるかもしれないな。……岩は無視して。

 

「えー、もうちょっとかかるよー。水路とかけっこう長く作らなきゃなんないし」

「あ、水路か!そーやなぁ……近ぉに川無いしなぁ。山からか?水源探さんなんやな」

「秋までにギリギリかな」

「…………」

 

あれ?何か、華琳さん不機嫌……?あ、ここ華琳が一刀に天の国の農業について質問するところか。自然な流れで天の知識を聞ける良い機会だしな。つい、村の纏め役の娘且つ御局OLの性が……。

 

「隊長はどー思う?」

「……え?もうほぼ答え出てなかった?」

「兄ちゃん、天の国じゃあどんな風にするの?」

「何か新しい方法が試せるかもしれないわね……。一刀、天の国の知識は、こういう時こそ役立てるものでしょう。どうなの?」

 

嬉しそうに尋ねる華琳さん可愛い。

 

「俺達の国は、牛や馬の何十倍もの働きをする仕掛けを使うから……こういう土地を開墾するのも、そんなに人手がいらないんだよ」

「へぇぇぇ……すごいんだねぇ、天の国って」

 

実際、どのくらいかかるんだろうか。あんまりにも石や木の根や低木が多いとトラクターって上手く動かないんじゃないか?となると、電動カッターで草と木を掃除した後、根っこと石をどかして……あまり楽じゃ無いな。本当はもっと何かあるのだろうか。向こうの農業には詳しくないというのも変な話だな。それよりも、電動カッターとかって、既に実用化されてそうなんだが。真桜のドリル的に。

 

「……で、その仕掛けを使って、どのくらいかかるの?」

 

一刀がんばれ。

 

「……………」

「……………」

「一刀」

「……すまん」

「情な〜。今度からは"すまぬ隊長"って呼ぶわ」

「学校とやらで教わらなかったの?」

「うん」

「全然?何もないんか?」

 

何かあるはずだ。一応小中のカリキュラムには入っていると思う。現代人の意地を見せてくれ一刀さん。

 

「うーん、作物の流通とかが中心だったし、詳しい内容は農業専門の学校で教わるから、一般の学校じゃそこまでは……」

「農業は国の基礎でしょう。それを一部の人間しか知らないなんて、ずいぶん浮ついた教育なのね」

「……耳が痛いよ」

 

ここで折れてしまうのが一刀の短所であり長所でもある。

 

「むしろ季衣や聆が軽く分かるのに驚いたよ」

「そりゃわかるよー」

「普通、村の田畑には住民全員が関わるし」

 

まあ、季衣の年齢で分かってるのは珍しい希ガス。

 

「聆と季衣は猟師とかだと思ってたなぁ。聆なんて初めて会ったとき熊の死体売ってたし」

「熊肉やで」

「たしかに猟もしてたけど、田んぼとかもやらないと食べていけないよ」

「そうなんだ……」

「……なら、予定の人数に、水路工事のための人手を集めれば間に合いそうね。だいたいは分かったから、あとは城で詰めましょう」

「はーい」

 

 

 いや、これからが見せ場だな。

 

「なあ、華琳」

「どうしたの、一刀」

「こういうのはどうするんだ?」

 

一刀が指差したのは、私の背丈程もある巨岩。更に大きなものもちらほらと有った。

 

「そうね……一刀、何かいい案はある?」

 

今日はやけに一刀を試すな……。一刀さんは求められると出てこないタイプなんだよ!そっとしとけよ!

 

「この大きさだと、動かすのも一苦労だし……、爆破?……は火薬とかあるのか?」

「こんな岩の為に使えるほど安いものではなくてよ」

 

基本的に、現代の土木工事はデカく強い作業機械と物量と高度な計算を必要とする。一般学生がこの世界で再現できることなど殆どない。

 

「逆に考えるんや……岩が有ってもいいさ、と考えるんや……」

「あら聆、おもしろいことを言うのね。……貴女の考えも聞かせてちょうだい」

 

うわ……自己満で呟いたネタを拾われた。私の言葉を重要視していることの表れで、良い傾向なのだが、その分冗談でしたなんて言えない。何か搾り出せ……古典の授業に扱われるような名説法を……。

 

「華琳さん、牙門旗を立てるんはなんでや?」

「……あぁ、なるほどね。やっぱりなかなか面白いことを考えているじゃないの」

 

物分りが良すぎて話にならないのも珍しいことだ。

 

「??兄ちゃん、何か分かった?」

「安心しろ。俺にもちんぷんかんぷんだ。ちょっと、どういうことなんだ?」

 

季衣と一刀は何が何だか分からないといった様子だ。安心しろ。私にも予想外だ。まだ頭の中で纏まってなかったんだが。

 

「聆はこの岩々を新しい村の旗印にしようと言うのよ」

「あー、なんとなくはわかった。つまり象徴とか名所にしようってことか」

「こんな邪魔な岩、名所になるの?」

「よくよく考えたら、牙門旗だって邪魔なんやで?どこにどの将がおるか、陣形、作戦は何かを敵に悟らせてまうからな。でもそれ以上に、将とその部下は牙門旗を誇りの象徴として大切にする。布に文字が書かれただけのモンがそうなるんやから、こんな立派な岩やったらそれこそ信仰の対象にもなれるやろなぁ。……どうしても邪魔なんはどないかせなしゃあないけど」

 

邪魔ならば、それを超えるほどの意味を見出せば良い。ここに暮らし始めたらそのうち馴染んでしまうだろう。……それにしても、なんとか切り抜けたか……。緊張した。もう、しばらく黙っていても良いよな?

 

「で、そのどうにかしなけらばならない岩だけど……一刀?」

 

まだ続いていたのか。その流れ。

 

「まだ続いてたのか。その流れ」

 

あ、シンクロした。

 

「出来れば、開墾の作業を始めるまでには邪魔な岩を無くしておきたいのよね」

「……帰るまでに何とかしろってことか?」

「そうよ。 今 日 中 に何とかなさい。部下が画期的な妙案を出したのだから、隊長である一刀も何か役に立ちなさい」

「『何か役に立ちなさい』って……。それは分かってるけど……」

 

すっごい役立たず扱いだな。

 

「で、何かいい案は思いついた?」

「勘弁してくれよ。季衣が力任せに壊してくれるとかでもないと、今日中には無理だろ」

「いいよ」

「……………へ?」

 

季衣さんの怪力無双の始まりだ。

まず手始めに目の前にあった岩。

 

「えいっ」

 

ドゴン

 

それよりも一回り大きいもの。

 

「とおっ」

 

ばゴン

 

ちょっとした家くらいのもの。

 

「ていっ」

 

ガガン

 

陳留の城門ぐらいあるもの。

 

「はいっ」

 

ドッゴーラ

 

その後いくつかを全て一撃で粉砕し、岩はもともとの半分くらいになった。そして今目の前に有るのは……なんと言うか、小山?

 

「たまげたなぁ……」

「まぁ……ご立派な……」

「凄く……大きいです……」

「それにとても黒いわ……」

「でも水路作りには邪魔だね」

「山から引くとなるとな」

「やけどこの岩無くすんは惜しない?」

「……そうね。なら穴を開けてしまいましょう。できるかしら?季衣」

「うーん、難しいですけどできますよ」

「じゃあおねがい」

「はーい」

 

この二人は少し頭がアレしてるんじゃないだろうか。

季衣は少し気合いを入れた。

 

「そぉい!」

 

スコーン

 

これで、張飛には弱すぎて相手にならないと言われるのだから泣けてくる。

 

「さすが季衣ね」

「穴が予定よりちょっと大きくなっちゃいましたけど……」

「上出来よ。よくやったわ。季衣」

「えへへー」

 

華琳が季衣の頭を撫でながら褒め、季衣も普通の子供のように目を細めている。

 

「すげぇなぁ……どうしようもないなぁ……」

 

とりあえず私も撫でておく。

 

「隊長も何か言うこと無いん?」

「……そうだな。さすが季衣、たいしたもんだ」

 

一刀も季衣の頭を撫でた。

 

「へへ……っそんなに褒められたら、なんか恥ずかしいなぁ……」

 

照れて頬を掻く仕草が可愛らしい。こんな子があんなコトをする世界なのだ。ヤバすぎる。

 

「よく働いてくれた季衣と聆にはご褒美をあげないとね……」

「え、私もなん?」

「そうよ。なかなか革新的な意見だったもの。そうね……。今日は泊まりだから、夜に私の部屋に来るといいわ」

「ちょっと、華琳……」

 

一刀は華琳が何か卑猥なことを季衣にしないか心配しているようだが、華琳は変態淑女だから大丈夫だろう。YESロリータNOタッチを心得ていて、季衣にはそんなことしないはずだ。……季衣にはな。

 

「ついでだから、一刀も来ていいわよ」

「………マジすか」

「私ちょっと体調悪い感じするから私の分の褒美はまた今度にして自室で寝とくわ」

 

一刀と季衣が退室する中私だけが「聆はここに残りなさい」つって呼び止められる未来を幻視した。華琳の夜伽は体験してみたい気もするが、もうちょっと色々成し遂げてからにしたい。変な房中術とか使われたら嫌だ。

 

「……そう。残念だわ。後でお見舞いに行くわね」

「そんな気ぃつかわんで…」

 

北郷隊内での警護の都合とか言って一刀と同室にして明日までガチ寝して耐えるか……。




説明臭くないようにしようとしたらなんかよく分からなくなった気がする。
ウトウトしながら書いたトコもありますので、ミスの指摘よろしくお願いします。

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