哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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暇があると、ダラダラと時間を浪費して逆に何も出来なかったりしますよね。

最近更新が遅くて申し訳ございません。


そして関係ないですが、東方淫ピ録の体験版の配布が始まりましたね。ちょっと混雑してるみたいなので作者が入手できるのはもう少し先になりそうですが。

布都ちゃんかわいい。美羽様の次にかわいい。


第十二章拠点フェイズ :【北郷隊伝】特訓のご褒美は…… その二

 やっと水練が始まった。しかし、開始早々の自由時間。だから最初は『何やら裏があるのでは?』と思っていたらしかったけど、俺が何も言わず木陰に座ってしまうと安心して(?)水遊びに興じ始めた。

 

「きゃはっ!冷た〜〜〜〜い!やったな〜〜〜〜!」

 

皆が水に入るか入らないかのうちから、真桜が沙和に水をぶっかけた。

 

「よそ見してる沙和が悪いんや」

「なるほどな。…………」

「…………」

「…………」

 

そして、真桜以外の三人は謎の沈黙。

 

「な、なんや……?」

「よそ見したらあかんらしいからガン見してみた」

「うん、ゴメン。適度によそ見してな」

「うん。じゃあお手本見せて欲しいの〜」

「そうだな。適度に、と言われても私たちにはどれくらいが適度なのか分からないからな」

「なんでこんな流れになっとんねん……」

「だいたい聆のせいだな」

「くっそ〜、聆、覚えとれよ」

「まぁそう怒んなって。……で、覚えとれって何の話?」

「早速忘れてるの……」

「あー、せやせや、凪と隊長の逢瀬の詳細についてやったんちゃう?」

「な、何を言ってるんだ!沙和に真桜が水をかけた後その揚げ足を取ったんだろう!……って、何で川の中で雑談をしているんだ!」

「だいたい聆ちゃんと真桜ちゃんのせいなの〜」

「まぁそう怒んなって」

「……で、何の話やったっけ?」

 

……何であいつらゴールド・e・レクイエムやってんだ?

 

「おーい、おまえら、漫才は城でも出来るだろーー」

「おう変態長がお怒りやぞ」

「早く女の子がキャッキャウフフしとるのが見たぁてしゃーないんやな」

「不潔です……」

「でも〜、沙和的には隊長ならいいかな〜って」

 

四人揃うと本当に話が進まないなこいつら………。

 

「ふーん。つまり沙和はこの場で色々と晒しても良えんやな?」

「おっと聆ちゃんお得意の超理解なの」

「まぁでもこの場合は仕方なかったんちゃう?ウチにもそう聞こえたもん」

「真桜ちゃんそう言いながらにじり寄って来ないでほしいの」

「………」

「凪ちゃん無言はやめて!」

 

沙和の包囲がジリジリと狭まっていく。

 

「ひん剥けぇぇぇい!」

「きゃあああ!引っ張っちゃダメなの〜〜〜!生地が伸びちゃう〜〜〜」

 

生地が第一なのは沙和らしいっちゃらしいけど……。それよりも水着脱がすの早すぎないか?普通はもっと水のかけあいが激しさを増してきてからだな……。いい感じに盛り上がってきてからだろう。

 

「ううう……もう怒ったの!皆の水着も剥いであげちゃうから覚悟するの〜〜!!」

「おぉ、こわいこわい」

「戦略的撤退や!」

「うがーーーー!」

 

逃げる三人を追う沙和の胸かバルルンバルルンと……。前言撤回。早めに水着剥いでくれて良かったです。

 

「ま〜〜つ〜〜〜の〜〜〜〜〜!!!」

「うははー!遅い遅い!」

 

頑張って追いかけてるんだけど、いかんせん沙和はこの中で一番泳ぎが下手だ。いつまで経っても追いつけないわけで……。

 

「あーーー!もういいの!!やってらんないの!」

 

ついには川岸に座り込んでしまった。

 

「あーんもぅ!ごめんって!」

「す、すまん。少しふざけすぎた」

「………隙あり〜!」

「わわっ!?」

 

沙和が突然立ち上がり、慰めに来た来た真桜の水着の紐を素早く解き取った。おぉう、眼福眼福!

 

「くっそー!騙したな〜!?」

「へへ〜ん!元はと言えば真桜ちゃんが悪いの!」

「ふん!すぐ取り返せるから良えもーん」

「そいつはどうだか、なの!……聆ちゃん!!」

「うぇ〜い」

「あ!?」

 

沙和が放り投げた水着は、緩やかな弾道を描き聆の手に。

 

「聆、その水着をこっちによこすんや……!」

「………?」

「『は?何で?』みたいな顔やめい!」

「自らも水着を取られる覚悟のない者は他人の水着を取るなっちゅぅこっちゃな」

「なら捕まえたら聆も剥いだるから覚悟しぃや……!」

「捕まえたら、な」

 

言うが早いか、聆は上流に向かって泳ぎ始めた。……何だアレ。魚雷?

 

「まーーてーーーーーーー!!」

 

真桜も結構綺麗な泳ぎで追いかけてるんだけど、その差はどんどん広がっていく。流石ドヤ顔してただけ有るなぁとは思う。でも、アレ、どうやって泳いでるんだ?他の三人は(沙和は泳げてないけど)平泳ぎの腕にバタ足を組み合わせたような泳ぎ方だった。でも聆は何と言っていいのか……。とりあえず、腕は全く動いていない。ドルフィンキックに似てるんだけどキックって感じがしないんだよな。どちらかと言うとウナギとかアナゴとかガノトトスとか、ああいう細長い魚が全身をくねらせて泳ぐのに似てる気がする。つまり、不気味。スラリと長い手足とか、柔らかな黒髪とか、普段はプラスの印象を与える部分が見事に反転しておどろおどろしさを醸し出している。

 

「ぜぇ……ゼェ…………ちょ、速すぎやろ………」

「あっはっはっはっは!どないしたんけ?もう終わりか?口程にも無いのぉ」

 

テンションもちょっとおかしなことになってるしな。……って、ん!?

 

「れ、聆!水着の下はどないしてん!?」

「ん?おわ!?チッ、流されたか!?いつの間に……」

 

聆の短いパレオタイプの水着はどうやら激しい泳ぎに耐えきれなかったらしく、脱げてしまったようだ。ありがとう神様。

 

「どこ行ったんや……?下流か?」

「それやったらそう流れ速よないし、その辺にあるはずなんやけど……」

「……無いな。凪ー、私の水着見んかった?」

「いや、見てない……って何だその格好は!?早く下を履け!!」

「いや、それが無ぉなったから訊いとんやろ……」

「沙和はー?」

「うーん、沙和も見てないのー」

「うん、んだらその腰巻きの隙間からのぞいとる黒い布は何や?」

「げ、ばれるの早すぎだよ〜〜」

 

確かに、よく見てみると沙和はロングパレオ下に聆の水着を隠しているようだ。……というかロングパレオとか、水泳の練習だって言ったのに泳ぐ気なさすぎだろ。

 

「よし、これはもうアレやな。何回か沈める」

「ヴェッ!?」

「その前にウチの水着返して」

 

――――

―――

――

 

 ……そろそろかな。

四人を好き勝手に遊ばせて一時間弱は経ったと思う。

 

「よし、自由時間終了〜〜〜〜〜〜」

「え?どういうことや?」

「お休みじゃなかったの?」

 

本当にこいつらは真顔で冗談を言うから困る。……冗談だよな?

 

「……何度も訓練だと言ったろ?みんなが遊んでるのを見て、どれだけ泳げるのか見せてもらったわけ」

「なんや、そういうことやったんか。ぬか喜びして損したわ」

「まんまと嵌められたの……」

「ハメられたなぁ」

「ハメられた」

「隊長に、ハメられた」

「おい、微妙に意味を変えるのはやめるんだ。それで、お前たちの泳ぎの印象だけど……」

 

俺は少しもったいづけて咳払いをした。

 

「はっきり言って全然ダメだ。沙和は完全にカナヅチだし、凪は動きが硬すぎる。聆は、あの泳ぎ姿は部下に見せられん。真桜はいい線行ってるんだけど……ちょっと問題が、な」

「泳げるんやから良えやん」

「戦では鎧を着込んで武器を持つんだから、なるだけ効率的な泳ぎ方を覚えるべきなんだよ。ここからはそれぞれの技量に合わせて指導していくから、四人とも、特に沙和と真桜は覚悟するように。ということで、早速だけど沙和」

「は、はいっ!」

「まずは最低限泳げるようにならなきゃね」

「あわわわ……隊長、顔はニッコリ笑ってるけど目が笑ってないよ〜〜」

 

ということでまず、カナヅチの沙和への指導をすることになった。




水着は脱ぎ捨てるもの。

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