哂・恋姫✝凡夫   作:なんなんな

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新しく買った掃除機がめっちゃ強そうです。
前にも言いましたっけ?

次から
拠点フェイズ何か一つ
十三章一節の一部
拠点フェイズ
十三章一節続き
……
という流れになります。たぶん。


第十二章二節

 「皆、良くやってくれたわね。特に、春蘭、霞、華雄、猪々子。貴女達の奮戦のおかげで、孫呉侵攻作戦の初戦という重要な戦において我が曹魏は大勝を納めることができたわ。ご苦労様」

「「はっ」」

 

華琳による賞賛の言葉に、四人は深々と頭を下げる。……いや、かゆうまはそうでもないか。だが、とりあえずのところ、急造で魏様式に作り変えた玉座の上の覇王様は満足げだ。やはり侵略戦のすぐ後だ。過去最高に覇王っぽいな。

 

「さて……皆も疲れているでしょうけど、今から次の動きを決めることにするわ。ここに留まるにしろ何か動くにしろ、早く決めておくに越したことはないでしょうからね。私は、まずここに暫く留まることを考えているのだけれど……」

「風もそれが良いと思うのですよ〜。先程入った情報ですが、相手側も何かと激しく動いているようですし。相手の出方を見て合わせていかなければなりませんからね〜」

「え、このまま建業に一直線じゃダメなの?」

「孫策が居ない建業を攻めても意味が無いからな。まず孫策を倒して、建業はそれからだ」

「そして、その孫策が動いているようですから」

「そっか。空き巣しても皆に笑われちゃうだけだもんね」

「うーん、暫くどこかの拠点に留まるのは、俺もその方が良いと思うんだけど……。戦闘の前に何人かで話してたんだけどさ、この城を取らせるのが相手の策だったりしないかな……?」

「えーっと、つまり、拠点置くにしても他の城探した方が良えんちゃうか、ってこと?」

「そんなとこだ」

「んー、お兄さんの言うことももっともなのですが〜、先程も言った通り、隠された賽の目を当てるような話なのですよ〜」

「それに次の城は少し遠いですからね。今回の戦闘、圧勝したとは言え被害や疲労が無いわけではないですから、今夜はここで休む他ないですし。そうなると、移動速度の問題で先回りされてしまうでしょうから厳しい戦闘になる可能性もあります。当るか当たらないか分からない心理戦に乗るより、この城に腰を据えて補給基地として安定させるべきです」

「なるほどな」

「策如何の話やったら黄蓋の話はどないなん?敵兵の士気見たら、ウチ的にはどうもそんな将軍と軍師が喧嘩しとる軍にゃ見えんかってんけど。相手方の動きから何か分からんか?」

「虚言かもしれない、と」

「一般兵には伏せとるんちゃうのん?少なくとも、黄蓋は建業でお留守番させられとるらしいから」

「黄蓋と言えば孫呉の筆頭将軍。それが前線から外されたとなれば、何もなかったということはないでしょう」

「良しにつけ悪しきにつけ、この戦の要は黄蓋さんでしょうねー」

「ええ。そちらも十分気をつけておいてね。……ともかく、この城にしばらくとどまるということで異存無いかしら?」

「はい」

「おう」

「異存有りません」

「よろしい。それじゃあ、さらに細かい統治計画は今夜軍師会で詰めましょう。暫く留まると言ってももたもたする気はないから、皆、気を引き締めるように」

「「「御意」」」

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

 同じ頃、建業へと続く街道。

東へと進む一団は先程惨敗した孫尚香率いる呉軍である。

 

「皆、無事か?怪我はないか?」

「はい、私は大丈夫ですよー。……けど、予想より被害が大きいですねー……」

「もぅ〜。もうちょっと戦えてれば、曹操なんかケチョンケチョンに出来たのに……!」

「小蓮様ぁ……初撃からズタボロでしたよぅ」

「申し訳ありません……敵将の殲滅力が予想以上に高く………」

「はぁ〜……鑑惺さんの戦いを観察するようにとも言われてましたのに、姿すら見えませんでしたもんねぇ」

「うぅ……、でも、曹操はあの城に留まるみたいじゃない!作戦自体は成功してるでしょ!だからシャオの勝ちなの!」

「はぁ、はいはい」

「小蓮様、ただ今戻りました!」

「あ、明命!どうだった?」

「はい。呂蒙隊、無事に合流が完了しました!脱落者はいないそうです!」

「ほら!やっぱり作戦はほとんど完璧じゃない」

「そうですけどぉ〜……」

「そんな辛気臭い顔してても良いことなんかないでしょ!……じゃあ、このまま建業まで帰るわよ!次の作戦に備えないと……」

「はっ」

「あ、ちょっと待ってくださーい」

「どうしたの?穏」

「そのことなんてすけど、他の隊の作業が予定より早く進んだらしいので、建業には戻らずに雪蓮様と合流せよ、と伝令が来てましたー。蓮華様もそちらへ向かうそうですー」

「そっか。なら総員、移動を開始するわよっ!」

 

  ――――――――――――――――――――――――――――

 

 「(――しっかし、将の留守とは言え兵が少なすぎないか?もう目当ての部屋の前まで来たぞ)」

「(今回の件が周瑜さんの策であることの証明ですね……)」

「(うーん、こういう策をするには遅すぎるんじゃないか?もっとこう、勢力が固まるまえから仕込んでさ……)」

「(……仕掛けた結果皆帰らぬ人となりました)」

「(あ、そうなんだ……)」

「(それに、今回は潜り込むのが黄蓋さんということも重要です。名のある将の申し出とあらば、風評を気にする曹操さんのこと……無下に断ることもできないでしょうから……)」

「(なるほどなぁ……お、見張りが一人中に入った)」

「(行きましょう)」

「(おう)……っ!!」

「!お、おい、貴様、何やつッ――」

「ハァッッ!」

「ぐはっ!?」

 

「どうした。何かあった――ぐっ!」

 

「……中の奴も片付いたらしいな」

「やはり黄蓋さんの方も脱出する気だったんですね」

 

「――開いているぞ」

 

「……行くか」

「はい。――失礼いたします。黄蓋殿とお見受けいたしますが、よろしいですか?」

「いかにも。儂が黄蓋だが……貴公らは?冥琳……周瑜の手の物か?」

「い、いえ……」

「ならば何者か。名を名乗れ!」

「ひ………っ!」

「おい、しっかりしろって」

「あ……は、はい。……私は鳳雛。貴女の意思を貫くための、お手伝いをしに参った者です」

「誰の差し金だ?周瑜か?それとも、策殿か」

「それは……申し訳ありません。口にするな、と」

「この儂を前にして名乗れんと言うか。……面白い。儂もちょうど人手が欲しかったところじゃ。貴様らに付き合ってやろう」

「はい。では、参りましょう。黄蓋様!」




つまり、呂蒙隊のために時間稼ぎしつつ、予定通りの場書で決戦できるように魏軍を城に留めておくという作戦でした。(出来れば相手の観察も)
魏は読み合いを投げ出した結果、読み合いに負けた形になりますね。
だからってどうってことないんですけどね。

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