新訳 そして伝説へ・・・   作:久慈川 京

127 / 277
※登場人物一覧(サブ)

 

 

※登場人物一覧(サブ)

 

 

【名前】ポポタ

 

【素性】ムオルの村の少年

 

数年前に村の外で大怪我をして倒れているオルテガを見つけ、村にて保護する事になる。死んだ筈のオルテガという『英雄』と出会っていたという事自体が信じられない事であった。実際、ポポタ自身は幼かった事もあり、オルテガの発する名前を正確に聞き取る事は出来ず、「ポカパマズ」という名前が村の中では浸透していたのだが、教養を身につけていた村の教育者には、その出生地と名前を告げていた為、カミュ達の耳に入る事となる。世界を救う為に旅立った『英雄』の背中を見たポポタは、その力強さと絶対的な安心感に憧れを抱く事となる。オルテガの姿に理想の父を重ね、血の繋がった息子であるカミュに対して敵愾心を抱くのだが、外へ飛び出した際に自分を護るように立ちはだかるカミュの背中を見て、その大きさと力強さを目の当たりにする事となった。旅立つカミュへ、自身の決意と共に大事に保管していた『オルテガの兜』を預ける事となる。

 

 

 

【名前】教皇

 

【素性】ルビス教の最高位に立つダーマ神殿教皇

 

ルビス教の総本山である『ダーマ神殿』を護りし者。全てのルビス教信者の頂点に立ち、その存在自体が神秘となっている者でもある。全ての信者が『ダーマ神殿』を目指し、『賢者』となる事を夢見る中、数十年に一度、地上に蔓延する捻じ曲がったルビス教に疑念を抱いた者だけが辿り着けると云われ、その者は『ダーマ』が護りし、人が内包する資質をも変化させる力を有すると云われていた。ただ、地上の教えに疑念を抱きはしても、それを変化させようと行動する事はなく、また魔物やエルフ等に手を伸ばす事も無い。全ては傍観。滅び行く定めであれば、それを神や『精霊ルビス』の考えとして受け入れようと考えている。だが、数十年ぶりに降り立った、新たな『賢者』の想いを理解し、この世界を変化させる為に自身が動く事を決意した。

 

 

 

【名前】船頭

 

【素性】ポルトガ生まれの船乗り

 

十数年ぶりに建造された大がかりな船は、ポルトガ国王の命であった。そのポルトガ国王の勅命を受け、その船の船頭を仰せつかる。その際に、『船の進路、行動の有無を決めるのは、勇者一行である』という厳命も受けていた。その命を忠実に守るつもりは当初はなかったのだが、初めて出会ったカミュ達一行の空気を感じ取り、その在り方を見ていく。常に船員達を気遣うカミュ達の心に触れ、その若さには大き過ぎる程の大望を抱く彼等に徐々に惹かれて行く。今では、彼自身が彼等四人に対しての一番の信者となりつつあり、そんな彼を慕う船員達も、カミュ達四人を『希望の光』とまで考え始めている。

 

 

 

【名前】新人船乗り達

 

【素性】元カンダタ一味の幹部

 

カミュ達がポルトガ国王から下賜された船は、カミュ達が動かせるような小さな船ではなく、乗組員と、それに指示を出す人間が必要となる物だった。ポルトガ国王は、それに伴いポルトガ国民の中で魔物の脅威によって海に出る事が出来なくなった者達の中で、一人者や家族を亡くした者達を集めた。だが、それだけでは人数は足りず、船頭に人選を任せた訳だが、その際の募集で集まった者達がこの七人の男であった。カンダタが一味を立ち上げる切欠となった初めての子分達。カンダタと言う兄貴分を慕い、その罪をカンダタと共に背負う事を決意した者達。罪を償う機会を失った彼等は、その場所をカミュ達『勇者一行』の許と定めたのだ。腕っ節だけの者達と言うイメージがあるが、この幹部七人にはそれぞれの役割が存在しており、その中に財務担当等もある。それでも、全員が荒れ狂う時代を乗り越えてきただけあり、それ相応の実力を有し、ある程度の魔物であれば、自力で対処する事も可能である。カミュ達の船が未だに魔物の被害も無く無事であるのは、彼等の存在が大きい事は否定できない。

 

 

 

【名前】ディアン

 

【素性】スーの村出身の老人

 

スーの村にて作物を育て、狩りをする事で生活を営んで来た者。妻と共に長年自給自足の生活をして来たが、エジンベアからの来訪者によって、その人生は大きく変化して行く事になる。通貨と言う概念を知り、貨幣と作物や肉を交換するという文化を学ぶ事によって、自身の蓄えと共に、スーの村の外へ興味を持ち始める。募る想いは日を追う毎に強くなり、エジンベアから来た元貴族を匿った後、出生地であるスーの村を出て世界を見て回る旅へと妻と共に旅立った。しかし、その時代は魔物の凶暴性が増し始めた頃。ディアンと妻の乗った船は、ポルトガ港を出港した直後、大型の魔物達の襲撃を受け、多くの人々の夢や希望諸共に海の藻屑と消えて行く。沈没前に何とか妻と共に海へ飛び込んだディアンであったが、荒れる海に流され、辿り着いた場所は、故郷のスーの村から南へ下った場所にある未開の地であった。妻は、その際に足を失い、それが元でこの世を去ってしまう。『もし、近くに町があれば』、『もし、人々が集う場所に医療施設や教会があれば』という想いが彼の半生を変えて行く。長年願い続けた町の作成は、カミュと言う『勇者』が奇しくも彼と同じような漂流の末に辿り着いた事によって、急速に実現へと向かって行った。

 

 

 

【名前】ヒミコ

 

【素性】ジパングの国の先代国主

 

ジパングというこの世界では珍しい程に、世間との隔たりがある国の先代国主。世界が崇拝する『精霊ルビス』という存在を知らず、自国独自の信仰を持つ異端の国を治めていた。その治世は善政であり、多くの国民から全幅の信頼と、愛情を受けていたが、それは、太古からジパングの地に住む龍種の復活によって幕を閉じる。自身が愛するジパングの国と、そこで暮らす民達を護る為に、古から伝わる国主の血を持って『鬼』となり、復活した<ヤマタノオロチ>に立ち向かうが、彼女の先祖が<ヤマタノオロチ>を封印した際に使用した『天叢雲剣』を持たぬ為に、最後の一手が打てず、満身創痍の<ヤマタノオロチ>に喰われ、その生涯に幕を下ろした。

 

 

 

【名前】イヨ

 

【素性】元ジパング国皇女、現ジパング国国主

 

ジパングと言う国と、そこで生きる民達を心から愛す少女。ジパングでは、既に国主の家系のみに伝わると言っても過言ではない『鬼』となり<ヤマタノオロチ>を封印したと云われる女性国主に良く似た性質を持つ。その笑みはジパングと言う小さな島国を照らす太陽のように、その言葉は、木々や動物達をも震わせる言霊のように。天候を読む力も、先を読む力も無いが、『人望』という何にも代え難い力を有する才を持つ若き国主。母であるヒミコがある日を境に人が変わったように民達を見る事に心を痛めながらも、『何時しか陽が昇る日が来る』と信じ、<ヤマタノオロチ>への生贄として消えゆく命を見送って来たが、遂にその心も折れる日が来た。奇しくも、それは『魔王バラモス』というジパングには届いていない悪の元凶を討つ為に旅立った『勇者』が彼女の愛する国へ来訪した時。諦めと長年の疲労によって絶望していた彼女の心を引き戻したのは、その勇者が連れていた一人の『賢者』の声。産土神として触れる事も叶わないと云われている<ヤマタノオロチ>を敵と見做し、自国の民を護る為にその討伐を決意する。<ヤマタノオロチ>の最大の敗因は、ヒミコと戦った事でも、勇者一行と戦った事でもなく、この若き後継者の命を奪っていなかった事かもしれない。

 

 

 

【名前】メアリ

 

【素性】世界最大であり、世界唯一の海賊『リード海賊団』の船長であり棟梁

 

この世界に残る唯一の海賊を束ねる女海賊。女でありながら、その腕力は男を遙かに凌ぎ、その求心力は先代の父をも超える。屈強な海の男達からも恐れられる程の威圧感持ち、海賊団棟梁として絶対の地位を確立していた。自身と同じように女でありながら海賊として生きていた『ボニー海賊団』船長であるアンと最後の決戦の末、全ての海賊を纏める事となるが、肥大して行く一味の行く末を案じるなど、腕力だけではなく、その知性も統べる者として充分な資質を要している。魔物の脅威が増す中、海賊として襲う客船や貿易船の減少を深刻に考え、別の道を模索している最中に、貿易を再開している開拓地の存在に目を付ける。護衛を行う報酬として金銭を要求しようとするが、その額は常識の範疇ではなく、その開拓者を斡旋した者達との遭遇によって、計画は霧散する事となった。彼女の前に登場した三人の女性は、それこそ常識の範疇の人間達ではなく、腕力では誰にも負けないと自負していたメアリを軽く捻じ伏せる程の実力を有す『戦士』に、その者達を連れて来た海賊達から恐れられる程の呪文を行使する幼い『魔法使い』、そして、最後まで彼女の前に立ち塞がった『賢者』と自称する女性といった強者ばかりであった。真意を確かめる為に提案した飲み比べの席での『賢者』の想いを知り、メアリは自身の思慮の浅はかさと、器の違いを思い知る事となる。

 

 

 




読んで頂き、ありがとうございました。

これで、本当に十章は終了となります。
十一章は今週末か来週には更新できるように描いて行きます。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。