もっと早くするつもりだったんだけど…最近買ったゲームに思いのほかハマってしまった。
ChuSinGuraいいね。知らないメーカーだったからノーマークだったけど。
こいつぁ当たりだった。早くもFDを期待していたりする。
まぁ、とりあえずクリアしたから投稿できました。
《お前様…》
「……何も言うなローズ」
目の前に広がるカオス…いや、ちゃんと組み分けはされているんだけど…
まずは…
「クローン…私がアリシアの……クローン」
「ふぇ、フェイト…」
「だ、大丈夫だよ。そんなの珍しくないって。私だってクローンだし。それに私の方が多分ろくでもない扱いをされてきたと思うよ?狭い部屋に缶詰にされてさ…実験、実験って…注射も一杯されたし、変な薬飲まされたし……くっ、言っててムカムカしてきた……。とにかく、そんな事で悩んでるんじゃない。万倍マシでしょ!!」
フェイト、アルフ、クロたちの三人組。
プレシアさんから衝撃の事実…自身がクローンであることを告げられて、ショックを受け…落ち込んでいるフェイトを必死に慰めるアルフと、慰めたのち逆ギレ気味のクロ。
そして…
【どうしてそんな事言ったの!?お母さん!!】
「あ、アリシア…で、でもね。私の娘は…」
説教をするシアとしどろもどろになりながらも弁解するプレシアさん。
恒例となりつつある台詞を言おう…
どうしてこうなった?
事の起こりは…
シアを連れて帰宅、クロと眠りから覚め、強制的に眠らされたフェイトからの睨みを華麗にスルーしつつ、アルフが超頑張ったであろう、綺麗に掃除が行き届いたプレシアさんの家に到着した。
「で、どういう事?アリシアは何処に居るのかしら…」
中に入り、リビングに通されると…剣呑な雰囲気を見せるプレシアさん。アリシアの姿が見えていないようだ…。
フェイトも同様。唯一…「え…?ふぇ…フェイトが二人!?」
アルフには見えているらしい。混乱している。
フェイトはそんな見えない何かを見ているアルフを心配そうに見ている。
アリシアと言えば…プレシアさんを一目見るなり…
【お母さん!!】
と抱き着いた。
俺とクロはそんな愉快なテスタロッサ家を眺めていたのだが、何時までもこうしているわけにもいかない。
「プレシアさん…俺の手を。そうすれば見えるようになりますから」
差し出した手を胡散臭そうに握るプレシアさん。
嫉妬からか俺をかなり睨んでくるフェイト。
すると…
「え!?なんなの!?」
困惑するプレシアさん。あ~…。
「シア。近いって…もうちょっと離れろ」
俺の言葉にハッとなり恥ずかしそうに距離を取るシア。
そして、プレシアさんとシアの視線が交差する。
「あ、アリシア…アリシアなのね…」
【お母さん…幽霊なのに私の事ちゃんと分かるの?】
「分かるわよ。私はあなたの母親なのよ」
ふらふらとアリシアに近寄ろうとプレシアさん。
繋がれた手が離れそうなので…空気を読んで俺もそっと距離を詰める。
そして…
「アリシア…」
【お母さん…】
母娘の感動の対面。感極まり互いに抱擁しようと手を伸ばし…
空を切った。
「あ、アリシア!?アリシアどこ!?」
いや……だからさ…
「手がね。」
ぷらぷらと抱擁の為に放された手を見せる。
その手をガッと掴み、睨んでくるプレシアさん。いやいや、手を放したのアンタだからね。
対面を済ませ、事情を説明する為に各自席に座る。
ソファーには俺を真ん中に両脇にプレシアさんとフェイトが座り、手を握っている。じゃないとシアが見えないからね。
対面にはシアを真ん中にクロとアルフが挟むような感じで座っている。
プレシアさんの目はシアに釘づけ。シアもにこにことプレシアさんを見ている。
アルフとフェイトと言えば、混乱気味。シアに対しても若干警戒しているみたいだ。
クロはと言えば…
「はぐ、もぐ…このお菓子美味しいね~」
出された茶菓子を喰らっている。
そんなクロを置いて、話は進む。まずは俺達から…とはいっても…
「俺は幽霊になったシア……アリシアを見つけて友達になって……んで、母親に会いたいって言うから探して、此処まで連れて来たってだけ。幽霊が見えたりするのは生まれつき…霊力っていう力を持っているから」
「霊力…興味深いわね。それでアリシアは?どうしてたのかしら?」
【えっとねぇ~わかんない。ずっと眠ってたの。それで目が覚めてから割と直ぐに耕二君と会って、アスターズを結成して…あ、アスターズっていうのはね…】
どもりながらも一生懸命説明するシア。それを見た事もないほどの穏やかな笑顔で見ているプレシアさん。あんた誰?
この辺りまでは和やかに話が進んでいたのだ。そして…
【それで…その女の子は?もしかして私の妹?】
シアが俺の隣に座るフェイトを見て当然の疑問を発する。それに対する…プレシアさんの答えは…
「ち、違うの!この子はアリシアのクローンよ!だから娘なんかじゃないわ!私の娘はあなた一人だけよ!!」
そう爆弾発言をし、冒頭のカオス状態になってしまった。
プレシアさんの言葉に烈火の如く怒るシア。あんな怒ったシア見た事ない。
そして、クローンとか娘じゃないとか言われてショックを受けるフェイトと慰める二人という構図が出来上がった。
《あの方は、なぜあのような軽率な発言を?》
「なんか焦ってたみたいだし。大方あれじゃない?此処でフェイトちゃんを娘だと認めたらシアがショックを受けるとか思ったとか?ほら、自分の代わりの娘を~みたいなことをシアが思って悲しむとか…」
というか…
《お前様も災難ですね…》
「あぁ、どうにかしてくれ」
俺はと言えば、プレシアさんとフェイト。両者と手が繋がっている為に間に挟まれているわけで……。
はぁ…と一つ溜息を吐いた。
「ごめんなさいフェイト。あなたも私の娘よ。ちょっと気が動転してて…その思わず」
「……母さん」
……しらじらしい。そう思うのは俺の心が荒んでいるからだろうか?
あの後、シアの説教でフェイトに謝れと言う事になり、プレシアさんが謝っている。
本心からそう思っているかどうかは分からない。が、シアはうんうん。と頷いている。
【フェイト、これからはお姉ちゃんが護ってあげるからね♪】
どんっと無い胸……どころか実態すらない身体を叩くしぐさをするシア。
すっかりお姉ちゃんぶっている。が、フェイトは複雑そうだ。
突如現れた、自身が求めている母親の愛情を一身に受けている姉。
……複雑な家庭環境だな。
まぁ、此処からは家族の問題だ。身内で頑張ってくれ。ただ、その前に幾つか問題があるけどな。
「これからは良いけど…どうするんだ?プレシアさん。俺が居ないとシアの姿が見えないし…って、プレシアさん。痛いんですけど」
ギリギリと握られた手に力が加わる。
「あなたは、これからずっと私の手に触れて居なさい」
「いやいや、それは無理ですよ。それにそんな事をしても根本的な解決にはならない。」
どういう事かとジト目で見るプレシアさん。丁度いい。
「シア。このままの状態が続けば遅かれ早かれ…お前は消える」
そう確信を持って告げた。
「それはどういう事なの!?」
「シアには肉体がない。どんな聖人でもそんな状態が続けばどうしても思ってしまう。身体が欲しいと。親しい人が食事をすれば、自分も食べたくなる。人と触れ合えば自分もその温もりが欲しくなる。そうやって、どんどん負の感情が溜まって行き……その結果、待っているのは……自分が自分ではなくなる。ただ、生きている者を妬み、恨むようになる。そうなった状態の幽霊を悪霊と呼びます。もうこうなったらシアとしての人格はありません。」
「か…身体ならあるわよ。アリシアの身体なら!」
プレシアさんが説明を聞いて、慌ててそう言ってくる。
「本当ですか!保存状態とかその辺りは…」
「大丈夫よ!アリシアの身体だもの。私が万全の管理をしているわ」
アリシアの身体がある。原作知識からその事は俺も知っているが、それは不自然だし、プレシアさんが不信に思うだろう。
だからこそ知らないふりをした。
そして…肉体あれば…
「なら、シア。お前は生き返れるかもしれないぞ」
俺の発した言葉に静まり返る。みな言ったことが理解できていないみたいだ。
一番初めに再起動したのは…
「そ、それはどういうことなの!!」
プレシアさんだ。もう掴みかかるような勢い…って、実際に肩をグァシっと掴まれ、ぐわんぐわん揺らされているのだが…
「せ、説明するから放してくれ」
その腕を払いのけ、コホンと咳払いひとつ。皆、聞く体制になった所で…
「その前に、これから言う事は他言無用。これを約束してくれない事には…シアには悪いが生き返らせることは出来ない」
俺の言葉に皆が頷く。いや、フェイトとアルフがワンテンポ遅れて、プレシアさんが頷くのを見て、フェイトがつられ、アルフという感じだ。
「信用して大丈夫だと思うよお兄ちゃん」
クロのお墨付きなら大丈夫だろう。
そして説明をする。
ザオリク……蘇生魔法。
この魔法で生き返らせるのに必要なのは肉体と霊体。
どちらかが欠けても蘇生は成功しない。
ゆえに肉体があっても幽霊となっておらず成仏してしまった人物は蘇生できない。
また老衰による死も蘇生は出来ない。いや、正確には蘇生は出来るが直ぐにまた死んでしまうのだ。
ザオリクは肉体の損傷は蘇生と同時に回復する。ゆえに外傷により死亡し、霊体があれば蘇生が出来る。
しかし病死は無理。ザオリクでは病気まで治せないからだ。
さて、何故俺が一度も使った事のない呪文の詳細が分かるかというと、
特典の転生後、自身の能力を自由自在にコントロールできること。(アフターリスクなし)
のおかげなのか使おうとした呪文で出来る事がなんとなく分かるのだ。
この状態で蘇生可能とか、この状態では不可能とか。
んで、色々考え、調べたところ上記のような考察がなった。実際に使ったわけじゃないけど十中八九間違いないだろう。
こんな感じの内容を端折って説明する。
「し、死者蘇生能力ですって!?」
驚くプレシアさん。この反応は予想してた。
だからこそ迷ったんだ。
こんな能力…レアスキル中のレアスキル。
あまり安易に使っていい能力ではない。
しかし…
アスターズを結成してからのたわいもない日々。
だんちょ~がやっているゲームを覗き込みながら難しい顔をし一緒に考え込み…
クロとお菓子を仲良く、時にはどっちが美味しいかと喧嘩して…
本を読んでいるアリサに強請って文字を楽しそうに教わって…
そんなシアを見て来て…そして何より…。
「こんな場所で何してるんだ?」
それはかくれんぼをやっていた時だったか…
シアを探しまわり、たどり着いたのは廃ビルの屋上。
そこでシアは隠れる事無く…沈みゆく夕日を見ていた。
俺が来たことに気が付いて振り向き…
【えへへ…見つかっちゃった】
ぺろっと舌を出して笑うシア。だが、その笑みにはどこか無理が見えて…
何よりも…
「泣いてたのか?」
【う、ううん。そんな訳ないよ。だ…だって私は幸せだもん。優しくて…楽しいお友達と一緒に遊べて】
ゴシゴシと目元を拭って笑うシア。
「無理するな。笑えてないぞ」
【えへへ、そうかな…】
そのまま黙ってまた夕日を見るシア。俺もその隣に並ぶ。
【……嫌な子だよね。私って…】
「…そうか?どっちかというとクロとかの方が性質が悪い気がするけどな」
【ううん。私の方が嫌な子だよ。だって、こんなに楽しいのに……みんなを妬んでる私が居るんだ…】
【私も学校でお勉強して、お喋りして……洋服や本を買ったりしたいって。今のままで十分楽しいのにそんな事を思ったりしちゃう…】
「……シア」
【あはは、ごめんね。あ、ほら。鬼がこんなところでサボってたらみんなに怒られるよ。私はもうちょっとしたら、行くから。先に戻ってて】
言いながら顔を伏せてしまうシア。その表情は伺えない。
俺は言われるがまま屋上を後にする。
その時、俺はもう迷うのは止めた。
うじうじと細かい事を気にしていた。ザオリクを使った後、もしこの能力がバレたらどうなるかだとか。だけど…
「上等だ…」
泣いている女の子がいる。
日は浅くても…それでも大切な友達。そんな友達が泣いている。
友を救うのに何を躊躇う事がある。
例え、能力目当てで有象無象が来ようとも薙ぎ払ってやればいい。
シアが…友が望むなら喜んでこの能力を使おう…そう決意したんだ。
アリシア復活までのカウントダウン。
そりゃね。
金髪美少女の幽霊が泣いている~♪
金髪美少女の肉体がある~♪
そして~♪ザオリクが使えるぅ~♪
が揃ったら救うでしょ!
とりあえず幽霊や霊力、ザオリクなどの設定は実際の原作とかとは違うかも、話の流れでそうなった。
この作品ではこんな設定という事でどうかひとつ。スルーしていただけるとありがたい。
使おうとした呪文で出来る事がなんとなく分かるっていうのも都合よすぎるかもと思ったけど、まぁ、自分の能力がコントロールできるなら、それが分かってないとメラの威力が強すぎて火事とか起きるみたいな事故とかありそうだし、まぁいいかなって。
それではまた次回。今週末はマジ恋のA-2が出るから、クリアした頃にたぶん更新できると思います。
ではでは~