「あのさティア、たまには妬いてみせるのも駆け引きの一つだよ 」
by アニス・タトリン(テイルズ・オブ・ジ・アビス)
―――それは、シャロンの体調が快復して少しした後の事。
「ご存知かとは思いますが」
ツバキはクスリと微笑んでそう言う。
「今や僕と兄上しか使い手がいなくなった《天道流》呪術。元は元は儀式術式でしかなかったそれを編纂し、組み換え、簡易化したのが兄上の御母堂……サクヤ様でした」
長いアマギ一族の歴史の中でも有数の術式構築の天才。その才は終ぞ表に出る事は無かったものの、その技術の粋と才覚は―――本人としては望まない形で息子に受け継がれてしまった。
「簡易化された術式は、流石に大元である儀式術式よりかは出力で劣ります。しかし、戦闘中に使用するのであればそれで事足りるのです」
そう言うとツバキは、服の袖から滑り落とした呪符を一枚、虚空へと放る。
すると、それは空中で折りたたまれ、一羽の鳥となり、更に手品のように分裂してあっという間に群れとなる。
「更に呪術にはアーツよりも明確に”適性”があります。僕は【苻操式】、そして敵を欺き、惑わす術を
逆に、とツバキは僅かに緩やかな笑顔になって説明を続ける。
「兄上の適性はとても稀有なものでした。【苻操式】や防護妨害術式は無論、アマギ一族が悲願としていた神性封印術式への適性―――皮肉なものだとは思いませんか? 彼らが無能と蔑んで価値無き存在と断じた方の御子が、千年の妄執を叶え得る方であったというのは」
ツバキはそれを知っている。
レイ自身、母の生家に対しての恨みが何よりも勝るかと言えば、そうではない。確かに愛した母をぞんざいに扱い、そしてヒトが手を伸ばしてはならない禁忌に手を染める為に数多の犠牲を強要したアマギ一族、その上層部を彼は赦しはしなかった。
―――赦さなかったからこそ、彼は自身の手で、その一族に引導を渡したのだから。
「そして此処からが本題です。シャロン様への呪力の定着はこの僕が確かに確認いたしました。……正直な話、ここまで早く、そして拒絶反応もなく馴染まれるとは思いませんでしたが」
外部から血と術式で以て作り変えた”呪術師”というものは、本来であれば使い捨てに過ぎない。
呪力は身体に定着せず、常に体内魔力との拒絶反応により激痛と苦しみが走り続ける。”呪い”という根本的な蝕みが肉体を崩壊させていき、そして近いうちに死に至る。―――それがアマギ一族が”卑隷”と呼んでいた者たちの末路であった。
しかしシャロンは同じ”処置”で以て呪術師へと体を作り変えられたというのに、そういった破滅の予兆は無かった。
寧ろ、生来
「……まぁその辺りの理由はシャロン様ご自身でもご理解できているようなので僕はとやかく申し上げません。
そして肝心のシャロン様の呪術の”適性”でございますが―――ふふふ、これがまた兄上に似て稀有なものをお持ちのようで」
そう言うと、彼女は袖の中から一本の小瓶を取り出した。中に入っている液体は、光を通さずとも淡く発光している。
「【霊操式】という式術がございます。霊水を媒介にして自然精霊と契約する事で使役する術なのですが……これがまた人を選ぶ術でして」
ヒトとは違う行動原理、心境心理を持つ自然精霊と契約を結び、使役するというのはある種の才能が必要となる。
これは、後天的なものではなく、先天的なものだ。動物に好かれるか否かの延長線上であると言えば分かりやすいかもしれない。
だが、シャロンはこの術に対する適性があった。自然精霊と”調和”できるだけの才能をレイもツバキも有していなかった為、それが発覚してからのツバキの動きは速かった。
媒介にする霊水というものはどこにでも湧き出ているという訳ではない。霊脈が幾つか重なり合い、原自然豊富な場所にしか存在せず、更にその中でも純度の高いものが採取できる場所となれば広大な西ゼムリア大陸の中でも片手で数えられる程度しかない。
その為ツバキは、発覚したその直後に《マーナガルム》の《兵站班》に連絡。ルーレから戻ったばかりの主任であるカリサに
仮にも経済には通じているシャロンである。最高純度の霊水、というものを目の当たりにした事こそなかったが、それがどれだけの価値を持つものなのかは理解できた。
だからこそ、その対価は自身が払うと伝えたシャロンであったが、ツバキは鷹揚に、ゆっくりと首を横に振った。
「兄上からの頼みとはいえ、僕は一時であれどシャロン様、貴女の師となったのです。師が弟子の戦支度を整える事に、何の遠慮がありましょう」
それは決して、上辺だけの言葉ではなかった。
ツバキは、レイより唯一《天道流》の呪術を受け継いだ存在。この血塗れた術を易々と外部に漏らしてはならないと厳命されていた為に、彼女は兄より賜ったその呪法を身に留めたまま朽ちるつもりであった。
それを無念に思った事は無い。元よりあの蠱毒のような場所で朽ちて果てる命運であった自分が拾われただけでも僥倖であったのだ。その上諜報部隊の長にまで推挙してして貰った。これ以上を望むのは無粋だと理解していたし、満足もしていた。
しかし、技を伝授するという事に興味がなかったとも言い難かった。
自身に師としての才があるかどうかは分からなかったし、元よりそんな機会が訪れるとも思わなかった。
まぁ有体に言うと、彼女は―――ツバキははしゃいでいた。
「5日です。これより5日間を以て貴女様に呪術師としての基礎と応用を叩き込ませていただきます。本来であればじっくりと慣らすように教え込むのですが……悠長に使える時間が少ないものでして」
そう。使える時間は少ない。
混迷に呑み込まれるのはもはや時間の問題。ならば一刻も早くシャロンが呪術師としても使い物になるように仕立て上げるのが、ツバキの使命であった。……だが。
「お覚悟を。……ですが、まぁ、リンデンバウム様の御指南よりは軽くはなりましょう」
彼女はつまり―――興が乗って
―――*―――*―――
「誰 が こ こ ま で や れ と 言 っ た」
若干恨み節も効いた口調でレイが呟くようにそう言った。
確かにツバキには「シャロンを呪術師としてモノにしてくれ」とは頼んだ。
彼女に才能があるというのは以前から理解していたし、こうするしか方法は無かったとはいえ、その人生を歪めてしまった責任を取る意味合いでも。
―――シャロン・クルーガーに【霊操式】の適性があったのは予想外だった。
斯く言うレイにも適性は無く、もはや母より授かった知識の中で廃れていくだけの術であると思い込んでいた。
自然精霊というものは奔放だ。基本的にヒトの思い通りになどならない。
【霊操式】の契約にしたって、「面白そうだから」というひどく曖昧な理由で力を貸してくれているだけに過ぎないのだ。
実際シャロンにしたって、まだ精霊たちを思う通りに操れてはいない。
【霊操式】の最大の利点は、ヒトが各々持つ”耐性”を無視して状態異常を押し付けるというもの。しかしその”力”を使ってくれるか否かは彼らの気分次第だ。
いつ、どの状況で発動するか分からない効果。運が悪ければ何もしないまま姿を消してしまう事も―――本当にごく僅かな可能性であるが―――有り得る。
付け焼刃の鍛錬で扱えるものでは到底ない。
更には耐久度の問題もある。霊水を媒介にして半ば無理矢理現世に繋ぎ止めている状態の精霊は総じて脆い。それこそ、マトモに食らってしまえば素人の振るった剣の一撃でも現世に留まれなくなってしまう程に。
その為、展開中は術者かまたは術者の仲間による庇護は最重要。それを考えると、一対一での戦闘、そしてその中での精霊の複数展開は守り手の不足などから、本来なら愚策と見られるのも仕方ない。
だが、シャロンなら可能だ。
手足の如く鋼糸という武器を操り、広範囲に渡って防御を展開できる。
扱いにくさという点でならばあらゆる武器の中でも最上位にあるであろうそれを自由自在に操るその技量は”達人級”にも匹敵する。
更に防御一辺倒ではなく、すぐさま攻撃へと転じられるのも利点。精霊が効果を発動させれば、そのまま攻勢へと転じられる。
「怖ろしい方に、怖ろしい
すると、ふわりとした感触と共に布地の感触が頬に触れる。
「今はまだ粗くありますが、これが洗練され、研磨されれば……
金色の長髪を棚引かせ、まるで水中の
「魔法抵抗力を貫通して齎される数多の状態異常……良き策と手練れの仲間、そして天命に恵まれれば―――”達人級”の首にも届きましょう」
その物騒な言葉に一同が息を吞む中、しかしフィーは冷静に思考した。
「どうだろ。例えば団長とか、レイとかだったら、戦場でそういう”厄介な存在”を見つける嗅覚がすごいから……何かされる前に真っ先に仕留めると思うな」
フィーの言葉は、あながち間違っているとも言い難く、ともすれば正しくもあった。
”達人級”の武人は皆、死線を見極めるのに長けた者達ばかり。こと戦場に於いて、彼らの直感は時に未来予知にすら及ぶほどの精度を誇る。
一対一の死合であればともかく、多対一である場合彼らが”倒すべき相手”の優先順位を間違う事はあり得ない。
厄介な存在はまず潰す。それが情け手加減無用の殺し合いならば尚の事。術の効果が発動するよりも前に、術者の首を刎ね飛ばす方が早い。
「でも、アレが使われる側から見れば厄介な術である事は確かだ。
「『耐性貫通』―――確かに
エマが、そう呟く。
そもそも『状態異常耐性』というものは、無論生来の才覚如何によって変わってくるものであるが、『対魔力』『対呪力』とは異なり、後天的な要素で鍛えられる。
例えるなら、ショック療法と同じ要領である。歴戦の存在になればなるほど、積み重ね、刻み込まれたその経験値がそのまま抵抗力となって状態異常を阻むのだ。
故にこそ、”準達人級”ともなれば大抵の状態異常に高い抵抗力を有し、”達人級”であればほぼ確実に無効化する。
とはいえ、何事にも例外は存在するもので、”達人級”のほぼ絶対的とも言える抵抗力を無理矢理抉じ開ける猛者も居るが、それは本当に極少数である。
そんな耐性を無視し、状態異常を撒くこの術がどれ程の力になるか―――それが分からない一行ではなかった。
実際、【霊操式】が本領を発揮した辺りから、サラは防戦一方になっている。
”準達人級”であっても、彼女らのような最高位に至ればゼロコンマ数秒の隙ですら致命的になる。
現在展開されている【霊操式】は”封技”の【
【苻操式】と同じく、展開に詠唱を必要としないのも利点の一つではあるが、流石に今のシャロンが同時展開できる精霊の数は三体までである。
精霊体を現世に留めておくために細い
恐らく他のⅦ組の面々の眼にはシャロンの方が優勢であると映っているだろうし、実際今はそうだ。
しかしレイの後ろで浮遊しているシオンは指を顎に当てて暫く状況を見まわしてから徐に口を開いた。
「……まぁ、この辺りが頃合いでしょうな」
その言葉に、レイも黙して頷き、そして言葉を返す。
「お前から見てどうだ? シャロンの仕上がり具合は」
「
「おいやめろ、お前今ちょっとだけ
口調が変わっていないだけまだマシではあったが、どうあっても神性が高い生物はヒトを値踏みするような視線で見てしまう。
とは言え、何だかんだシオンとは長い付き合いではあるし、彼女にそういった視線を向けられても特に不快な気持ちにはなりはしないのだが、それでも律儀に「これは失礼を」と軽く頭を下げた。
「しかしながら、この上達ぶりは才能やら努力やらの言葉で尽くすには少々意地悪なところがありましょう。……ま、何があの方をそこまで駆り立てたのか、それを
ニヤニヤと、先程の反省が嘘であるかのような含みある目を向けてくるシオンの額に一先ず軽いデコピンをかましてから、レイはタイミングを見計らう。
戦いは激化している。本来この間に割り込む事など自殺行為に他ならないが、レイはまるで走り込みを行う前であるかのように数回屈伸をした。
「? レ―――」
リィンがその行動を見て何か言葉を発する前に、【瞬刻】が発動して旋風が巻き起こる。
―――一瞬であった。
鞘に入ったままの《天津凬》が今まさに攻勢に転じようとしていたサラのブレードの斬撃の勢いを完全に殺し、それを迎え撃とうと伸びた鋼糸の凶先をグローブに包まれた左手が掴む。
「そこまでだ」
その一言で”圧”が掛かったサラとシャロンは本能的に攻撃の手を緩めたが、その好奇心ゆえか、シャロンが召喚した精霊は不用意にレイに近づいていく。―――しかし。
「去ね」
覇気を纏った強者の言葉。それが精霊の好奇心を完膚なきまでに砕く。
今のシャロンでは、戦意を消失した精霊を尚も駆り立てるだけの強制力を放つことは出来ない。三体の精霊がそれぞれ霊水へと戻り、再び小瓶の中へと戻って行くのを見送ってから、戦意を解いた。
「上々だよ、シャロン。この期に及んで俺はまだお前を見縊っていたようだ」
「いえ、いえ。お褒め頂き光栄ですわ。
恭しく頭を垂れるシャロンの声色には、いつも以上に陶酔しているかのような感じが含まれていた。
そしてレイの視線の先には、肩や足の感覚を再確認しながらジト目で此方を見てくるサラの姿。
「ったく、面倒臭い目に遭ったわ」
「お疲れさん。どうだったよ」
「……正直やりにくい事この上ないわ。味方であった事を喜ぶべきね」
サラ・バレスタインは戦闘のプロだ。少女であった時から猟兵として戦場を駆け、敬愛する養父の背を見て戦闘の何たるかを知った人物だ。
真っ当な戦場での戦闘という点で見れば、レイよりも経験値は高い。そんな彼女が憚る事もなく「やりにくい」と称したのはある種の敬意でもある。
それを理解していたからこそ、シャロンもそれを称賛と受け取って返礼をした。
不意に、レイは気付かれないように横目でクロウを見る。
彼は表面上、他の面々と同じように驚きながら呆けているように見えたが、実際は違う。
あれは脅威が如何ほどのものかを見定めている目だと、レイは経験則から理解する。
《帝国解放戦線》の脅威度の大半は、底知れない《鉄血宰相》への憎悪で埋められている。
目的を達成するためならば、己の命を差し出す事を厭わない。死兵というのは厄介で、それを懐に入れた時点で面倒臭い事はこの上ない。
だが、総合戦闘力という点を鑑みればそれほど高くはない。
クロウ・アームブラストという存在がどれ程高い戦闘能力と兵器を持っていようとも、対策は講じられる。例えば《マーナガルム》と喧嘩をさせれば、持って一週間の命と言ったところだろう。
暗殺、毒殺、情報操作からの社会的封殺―――単一の強者を沈める方法など、幾らでもあるのだから。
しかし、その背後にいる存在は無視できない。
《結社》―――国を亡ぼす戦力程度ならば如何様にも調達できるあれらに対策を練られるというのは本意ではない。
それは、シャロン自身も分かっている事だろう。であるのに、態々クロウや《情報局》所属のミリアムの眼もある中で自身の能力を見せた。
恐らくは、今はレイに集中している警戒を、少しでも分散させるためだろう。そうすれば、レイが自由に行動できる可能性も僅かに上がる。
気を遣わせてしまった事に対して思うところはあるが、しかし彼女としても謝ってほしいわけではないだろう。
一先ず今は、
―――*―――*―――
「精霊の価値観や考え方は俺ら人間とは根本的に違うからな。意思疎通なんて普通は不可能だ」
その夜、レイはシャロンが普段寝泊まりしている第三学生寮の管理人室の来客用椅子に腰かけ、シャロンが淹れてくれた紅茶を啜りながらアドバイスを送る。
「まぁとは言っても、俺も精霊の扱い方なんてあんま知らねぇからなぁ。シオンはアレ、精霊の完全上位互換だし」
「そんな事はありませんよ。現にレイさん、私たちの戦いを止めた際に私の【霊操式】を完全に手玉に取っていたではありませんか」
「いや、あれはただ単に”威圧”しただけだ。下がらせるならアレで問題ない。……尤も、術者が式と完全に通じ合っているなら使えない技なんだが」
今現在、契約した精霊との信頼関係がまだ薄い状態であるからこそ使えた荒業だ。
精霊は地に根付いて生きているが故に、契約に関してはそこそこ従順だ。しかし今のシャロンの【霊操式】は、言ってしまえば拾って来たばかりの仔猫のようなもの。主人の声を聞くよりも、好奇心が勝っている。
それを指示だけで完璧に動かせるようになれば術者としては一人前と言える。
とは言え、それは遠くない未来だろうとレイは思っていた。
確かに【霊操式】は契約さえ済んでしまえば最低限の仕事はしてくれるが、その”契約”を結ぶまでが大変なのだ。”適性”と、そして精霊を使うだけの”人格”が無ければならない。
選ばれるのは精霊の方ではなく、人間の方なのだ。それで見るならば、威圧で黙らせるのが一番手っ取り早いという思考があの時に真っ先に思い付いたレイは、確かに不適正であるのだろう。
「改めて、お礼を言わせてください」
そう言うと、シャロンはスッと頭を下げる。
「私に、新しい
「……お前にとってあの敗北がそこまで重かったのなら、俺は何も言えねぇわな」
「それに……今私の体の中には、レイさんの血が流れているのです。ふふ、貴方を愛している者にとって、これ程誇らしい事もありませんもの」
すると、シャロンはいつの間にやら隣の椅子に腰かけてレイの肩に甘えるように頭を乗せる。
メイドではない、「シャロン」の行動だ。紅茶を飲む手を止め、レイも首を傾けて文字通りシャロンと寄り添う。―――と。
「ん……お前少し熱い……風邪、じゃねぇな。もしかして呪力の過剰励起か?」
呪力を扱い始めた頃にはよくある光景であり、余程深刻ではない限り体調に影響はない。
だが、体調を崩した際に気分が落ち込むのと同じように、この状態に陥ると普段毅然としている人物ほど……心を許している存在に大胆になる事がある。
かく言うレイも、《結社》で呪術の修行を本格的に始めた頃にソフィーヤに対して過剰に甘えた時もあり、それは今でも《鉄機隊》の中では有名な語り草となっている。
「まぁ問題ねぇだろうが、今日は早めに寝ちまえ。寮の最後の確認は俺とサラでやっておくからよ」
気を利かせて軽く頭を撫でながらそう言ったが、シャロンはレイの首にか細い腕を絡ませ、そのまま自分を案じる言葉を漏らしたその唇を奪った。
「っ―――」
「ん……んっ……ふぅ。―――行ってしまうのですか? 酷い人」
耽美な声色。艶めかしい息遣いに、レイの顔も無条件で熱を帯びる。
「火照ってしまって仕方がないのです。……私の愛しき方、今宵はどうか、この熱を鎮めていただけませんか?」
「……っは。鎮めるどころか燃え上がっても文句言うんじゃねぇぞ」
「それこそ望むところです。今度こそ、今宵こそ、私の全てを貴方に捧げてみせましょう」
その声は、これまでにない程に―――
それ以上の言葉の交わし合いは無粋であると言わんばかりに、二人の距離は再び、零になった。
はいどうも。本日「うたわれるもの 二人の白皇」をクリアした十三です。
初めてですよ。ゲームでマジ泣きしたの。映画ノゲノラで泣いた時以来ですね。神ゲーでしかない。
はい、というわけでシャロンさんの幕間は以上です。うん? 引きがR-18に繋がりそうだって? そうですね、多分いつか書きますよ。多分。ここでは「昨夜はお楽しみでしたね」って事で。
というかシオンを出したのも相当久し振りな気がする……ガレリア要塞編以来ずっと各国を飛び回っていたからなぁ。
そして次は何だか人気が高いリディアちゃん中心の幕間ですね。奔放な上司しかいねぇ彼女の胃は果たして持つのだろうか……。
PS:FGO二部クッソ楽しみなんですけど。