俺は一方通行と行動開始。なんか行動開始ってかっこいいな。まるで暗部の人間みたいだ。なんならいっそ、ミッション開始?いやミッションスタート?あっ、リンクスタートだ!ナーヴギアかよ。もしくはアミュスフィア。
「で、どこ行きゃイインだ?」
「あー…」
本来なら御坂も一緒に行動して、レベル5二人が協力してくれた方がいいんだが、こいつら妹達のことで色々あったからなぁ…無理矢理一緒にさせて気まずい思いしたくないし、させたくもない。でもあいつがいないとなにすればいいか分からんしな…と、思ってると御坂から電話が来た。
「もしもし?」
『あぁ、比企谷?』
呼び捨てかよ…。
『あなたに頼みたいことがあるんだけど…』
「なんだよ」
『詳しいことは黒子達と一緒に捜査してくれる?』
おい、なんだそのテキトーな指令は。上司の才能なさ過ぎだろ。
「待て、あいつらどこに…」
『一七七支部よ。じゃ、よろしくね』
そのまま切られてしまった。テキトーなやつ目…。
「まぁとりあえず風紀委員に顔出すしか…」
「比企谷!」
いきなり呼ばれて振り返ると絹旗。そういや忘れてたわ。
「どうして私を置いて行こうと…って第一位!?」
「はァ?誰だてめェ」
「ひ、比企谷をどうするつもりですか?」
「あー待った。まず絹旗、一方通行は俺の…友達じゃねぇし、共闘したってわけでもない…なんだろうな…知り合い?」
「説明くらいキチンと出来ねェのか。協力者だ」
流石、第一位の頭脳。国語学年三位の俺なんかよりも全然頭がいいんですね。
「で、こっちが絹旗。まぁ、知り合い?」
その紹介に若干、不機嫌になりつつもペコっと軽く会釈する絹旗。
「………」
「………」
え、なんで睨み合ってるんですか。てかなんで仲悪いの?とりあえず、急がないといけねぇのによ…まぁなんでもいいや、俺は風紀委員に向かおう。黙って歩き出すと二人は黙ってついて来る。で、頭の中で歴代ガンダムシリーズの主人公のフルネームを考えながら歩くこと数十分、一七七支部に到着。心なしか久々な気がするんですが…。
「あっ、比企谷さん!」
「こんにちは〜」
佐天と初春が声を上げる。それと白井もこっちを見るが、軽く会釈して仕事に戻ってしまった。なに、そんなに嫌われてんの俺。
「ども」
「あっ!神裂さんも久しぶり!」
「「はぁ?」」
俺と絹旗の声がかぶる。なぜか怪訝な顔をする佐天だが、すぐにその顔の意味が分かった。そういえば前に会った時、神裂の妹って言ったっけ…。それを絹旗も思い出したのか、若干焦ったように言う。
「あ、あぁ…えーっと」
「佐天さん(小声)」
「佐天さんも超お久しぶりです」
「むっ、今私のこと忘れてましたね?」
「そ、そんなことないですよ!」
なんてじゃれ合う二人となんか気まずそうな顔をしてる一方通行を捨て置いて白井に聞いた。
「で、御坂から電話があったんだが、なにすりゃいいの?」
「そんなことより、あの方は誰なんですの?」
「あぁ、うさぎのことか?」
「おいコラテメェ後で覚えてろ」
その「後で」に心底ビビりつつも答えた。
「まぁ知り合いだ。で、なにすりゃいいの?」
「この警策看取という人物のことなんですが、液体金属を使った能力者のようで、潰れた液体金属の工場を調べてもらえます?」
「えぇ…外出んの?」
「嫌なら黄泉川先生に…」
「行ってくればいいのか?」
てなわけで、俺は絹旗と一方通行となぜか佐天まで連れて出発した。なんだこの最強チーム。
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向かってる最中、絹旗や佐天にたこ焼きや焼きそば奢らされたりしながら歩く。二人によれば財布を忘れたらしい。お前ら絶対あとで金払わせるかんな…。
「ケッ、お優しィこって」
一方通行に言われた。
「俺だって奢りたくねぇよ。ただこいつら拗ねられたら面倒だぞ」
「そォいうのが甘ェンだよてめェは。コーヒーまで甘くしやがって」
「ばっかお前MAXコーヒーより最高のコーヒーが存在すると思ってんのかよ」
「糖分入りは却下だ」
「人生は苦いからコーヒーくらいは甘くていい…」
「そのフレーズ、全ッ然カッコ良くねェからな」
本当に腹立つなこいつ…さっきまで借りてきた猫みたいになってた癖によ。
「比企谷、そのフレーズは私も超どうかと思いますけど」
「ごめん比企谷さん、私も…」
俺に味方はいなかったらしい。本当にひでぇな。だが、いつだって少数派の俺だが、MAXコーヒーだけは譲るつもりはない。
「いいかお前ら、MAXコーヒーってのは…」
「すみませーん」
おい誰だよ俺の台詞を邪魔したバカは。ちょっとぶん殴ってやろうかと思いながら声のする方を振り返ると、
「どなたかお守り持ってる人いませんかー。借り物競争なんですー」
上条かよ…。