目の腐った能力者   作:ウルトラマンイザーク

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大覇星祭

 

とうとう…とうとうこの日が来てしまったか…。大覇星祭と呼ばれる学園都市のデカイ体育祭みたいなものだ。余りにも働きたくないので、給水所の端っこでMAXコーヒーを飲んでると、後ろから襟を掴まれた。

 

「ほら比企谷八幡!お前はこっちだろ!」

 

我がクラスの学級委員であり、大覇星祭実行委員の吹寄制理様である。

 

「そんな嫌そうな顔をするな。貴様も実行委員である以上、きちんと働いてもらうからな!」

 

そうなんですよね…俺は実行委員なんですよね…なぜこんなことになったか、それは俺にも分からない。どうやら記憶を失う前に月詠先生が俺を実行委員にしたてあげたらしい。

働きたくない…働いたら負けだ…そう自分に言い聞かせた所で働かなきゃいけない現実は変わらない。嫌だなーこんな現実。

 

「なぁ、選手宣誓について聞きたいことがあるんだが!」

 

不意に声をかけられた。最初は自分に掛けられたものではないと思っていたが、吹寄に「お前に言ってるの!」と、脇腹をドスッとやられたため、仕方なく応対する。振り返ると、頭の悪そうなハチマキを巻いた奴と、未来に希望が満ち溢れた少年のような目をした金髪の女の子がいた。

 

「あ、俺会議とかまったくアウェイでなんも聞いてなかったんで、こっちの人に聞いた方がいいっすよ」

 

「貴様…まさか聞いてなかったのか?じゃあ自分の役割も把握してないと…?」

 

「や、自分の役割くらいは把握してるぞ。確か救護班だったな」

 

「なんだ?自分の役割を把握してないとは根性が足りないな」

 

そこで、ハチマキの人が入ってくる。え、根性ってなに?

 

「そんなお前に今から根性を…」

 

「やめなときなさぁい。あなたが暴れたら大覇星祭は一発で中止になるわよぉ」

 

「その程度で中止になるほど根性のない祭りではない!いっくぞぉぉぉっっ!!!」

 

拳を引くハチマキの方。うーわ…面倒臭ぇ…。

 

「あの、そろそろ開会式始まるんで準備してもらえますか?」

 

あぁ、別の係りの人か。助かった。俺はこの後、吹寄と外でなんかやらなきゃいけないらしいから、開会式は不参加だ。外に出てしばらく掃除やらなにやらしてると、開会式で「根性っ!」と大きな爆発が起こった。

 

 

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自分の最初の競技まではしばらく見回り。俺はとりあえず

ぶらぶらする。まぁ第一種目だからそんなに時間ないんだけどね。とりあえずクラスが待機してる所に行くと、クラス全員がどんよりしていた。

まぁ、そりゃそうだわな。相手がどこの高校だか知らないが、うちの学校は最大でレベル3である(麦野、滝壺を除く)。勝てっこないのだ。だが、少し遠い所で緑色の閃光がバシューンと打ち上がる。あぁ…絶対知り合いだわ…。

 

「オラァっ!てめぇら、負けて帰ってきたらどうなるか分かってんだろぉな!?」

 

その瞬間、もろやっつけとも思える歓声が上がる。うーわ…恐怖政治とかヨーロッパかよ。だが、イマイチテンションの上がらない奴もいる。はぁ…どうしたもんかね…そう思ってると、上条がまるでなにかを見て火が着いたようにゆらりと立ち上がった。

 

「おい、お前ら…ほんとに勝つ気がないのか…?」

 

それに合わせて全員が立ち上がる。え?なにを見たの?そう思って影からこっそり上条が見ていたと思われる所を覗いてみると、月詠先生が泣かされていた。うーわ…なるほどなとしか言いようがねぇ…。まぁ今更ごねても仕方ない。俺は上条に耳打ちをした。

 

「上条」

 

「なんだ?」

 

「俺に秘策がある」

 

その作戦を伝えると、さらにある人に電話をした。

 

 

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開戦、向こうは火やらなにやらを出して来るがこちらは動かない。否、上条だけが動き、敵の攻撃を掻き消した。それに怯んで向こうの攻撃が止む。その瞬間だった。

 

「行けぇーっ!」

 

全員が上条と同じように右手を構えて突っ込む。そう、全員が上条の右手を持ってると相手に先入観を持たせたのだ。これで完全にただの棒倒しとなった。その間、俺は敵側の体操着に着替える。救護室なは万が一の体操着のスペアがあるのだ。それは、どの学校の体操着でも例外ではない。さらに、敵の誰もが俺が実は敵チームであることに気付かない。これぞ、俺の長年のぼっち生活で会得したスキル…、

 

ステルスヒッキー‼︎

 

そして、棒倒しは圧倒的な差で幕を閉じた。

 

 

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「バカ!アホ!間抜け!」

 

俺は正座させられてる。周りにはアイテムの皆様に吹寄になんとか神って女の子に土御門に青髪……etc。

 

「まさか、反則負けとはね…誰かさんのせいで」

 

「そもそも貴様は!実行委員としての自覚が足りん!」

 

「そうだにゃー比企谷。さすがに体操着のスペアを拝借するのはないぜよ…」

 

「比企谷のせいで小萌先生ももっと泣いてもうた」

 

「さぁて比企谷、お仕置きの準備はOKかにゃーん?」

 

「実行委員の立場を利用して不正をするひきがやは応援出来ないかな」

 

「超許しません。正義の鉄槌です」

 

「や、マジホント最低ってわけよ…」

 

みんなひどいです…いや悪いのは俺なんだけど…。結局説教は30分ほど続き、ようやく解放されたと思ったら絹旗に「負けたので奢れ」ってことで出店を連れ回されてる。

 

「比企谷!あれ!あれ食べたいです!」

 

「タコ焼きか、そういえばたこ焼きにかかってるソースってあれな。ラテン語の語源から『塩の支給』って意味から来てるらしいぞ。そう見るとなんだか俺達が貧しい国でありがたくお給料を買ってるみたいだよな」

 

「……やっぱ超いらないです」

 

あからさまにゲンナリする絹旗。

 

「比企谷の無駄な知識のおかげでソースを見るたびになんだか超切ない気分になるようになりましたよ…」

 

そんなこと俺に言われても困る。たこ焼きをたこ焼きを名付けた奴に言え。

 

「…悪かったよ」

 

一応、謝っておいた。このままじゃなに言われるか分からん。

 

「じゃ、どこ行く?帰る?」

 

「なんでそんな風に超ナチュラルに帰宅を薦められるんですか!?せっかく二人きりになれたんだからもっと一緒にいましょうよ!」

 

「分かった分かっ…え?俺と二人になりたかったの?」

 

「は、はぁ!?べ、べべ別に比企谷なんかと超一緒にいたくなんかないですよ!そんなこと言ってるから超比企谷なんです!」

 

「超比企谷ってなんだよ…超ベジータ的な?」

 

「い、いいから!あそこのたい焼きでいいです!」

 

「じゃあ200円渡すから買ってきな」

 

「なんですかそのお小遣い渡すみたいな言い方!超腹立ちます!」

 

プンスカと怒りながらも絹旗は200円受け取り、たい焼きの列に並ぶ。待っている間は暇なのでキョロキョロしてると、どっかで見たことある黒い巨人がいた。赤い髪の毛、ピアス、目の下のバーコード、煙草。その近くには土御門と上条が話してる。

 

「仕方ない…」

 

絹旗にばれないように三人の元へ駆け寄った。

 

「どうかしたのか?」

 

「比企谷。あ、いや…これはだな…」

 

上条が口ごもるが、普通に土御門は言う。

 

「この学園都市に魔術師が入り込んだんだにゃー」

 

「え、そこにいる黒いのは?」

 

「僕じゃない。別にもう一人いるんだよね」

 

「で、その目的は?」

 

「それはこれから話すにゃー。でも、話したら協力してもらうけど、それでも聴くか?」

 

そこだけ真面目な口調になる土御門。俺は黙り込んでしまったが、もしその魔術師の目的がこの大覇星祭をメチャクチャにする的な内容なら、俺はどうでもいいが一生懸命用意した実行委員が報われない。特に吹寄とか多分泣く。

 

「分かった。聞くよ」

 

俺はそう決めた。

 

 


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