目の腐った能力者   作:ウルトラマンイザーク

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プレゼント

 

 

俺は悩んでいた。神裂へのプレゼント、結局渡せなかったからだ。なんてグダグダ考えてたらすでに一週間くらい経過している。

 

「はぁ……」

 

思わずため息が出た。ため息の数だけ幸せが逃げると言うが、それなら俺の幸せはカンストしているだろう。マイナスに。

そんな俺に声が掛かった。

 

「どうしたの?ひきがや」

 

「あぁ…滝壺か…」

 

ちなみに、こいつ一つ上の学年のくせに毎回このクラスにくる。麦野は今年受験生。

 

「や、夏休みの間にずっとお世話になってた奴がいるからそいつになにか渡したいんだが…そいつイギリスにいる上になにを渡せばいいかわかんねぇんだよな…」

 

「そうなんだ…頑張ってね」

 

え?いや手伝ってくれるとかそういう流れじゃ…まぁ俺ごときに協力してくれる奴なんていないか…ぶっちゃけボッチだし俺。

 

「で、あんたはなにを渡したいわけ?」

 

いつの間にか麦野までいるし。

 

「なんでお前ら毎回このクラス来るわけ?」

 

「レベル5ともなると色々人から避けられたりするのよ。だから暇潰しにあんたん所来てんの」

 

「だったら滝壺の所に行けばいいだろ」

 

「滝壺はあんたの所にいるでしょうが」

 

そうなんですよね…知ってました。でも本当に毎回毎回このクラスに来るのはやめてほしい。目立つ。最初の内は髪の毛の青い奴が二人にナンパしていたが、麦野が壁を焼き払って大人しくなった。

 

「ま、そういうことなら私達が手伝ってやるわよ」

 

「や、いいよ別に。迷惑掛けると思うし」

 

「そんなことないよ。私達はひきがやに助けられたんだもん。それくらいさせて?」

 

二人にそう言われてしまえばこちらも頷くしかない。

 

「じゃ、放課後ね」

 

はぁ…また疲れそうだわ…。

 

 

______________________________

 

 

 

放課後、麦野滝壺に加えて絹旗フレンダも参加してプレゼント選びを開始。ジャポニカ学習帳を手にとったら片腕吹っ飛ばされそうになったり色々とあったが、まぁなんとか、これから寒くなるのでマフラーを購入した。

 

「で、これどうやって届けようか…」

 

「そこなんだよなぁ…あんた学校でしょ?」

 

「サボりですか?超サボりですか?」

 

「いやそうは言ってねぇよ。それ以前に金がない。財布に400円しかねぇぞ」

 

「あんた、これからどうする気?ってわけよ…」

 

困ったな…と、思ってると辺りにまったく人がいなくなってることに気付いた。これは…人祓いのルーンか?

 

「誰だ?いるなら出て来いよ」

 

俺が言うと、アイテムの皆様はなにいってんの?こいつみたいな顔をするが、辺りから数人姿を表すと、臨戦態勢に入る。右から、ポニテ、ガキ、クワガタ、か…。三人できたのか…。

 

「麦野、下手に手を出すなよ。全員学園都市の人間じゃない」

 

「はぁ?あんたなにいって…いやそういえばこの前も学園都市に侵入者とか…」

 

「比企谷八幡だよな?悪いけど、ご同行願うのよな」

 

クワガタがそう言う。なんだよこいつ…。

 

「お前ら魔術師だよな?俺らに手を出さない方がいいぞ。俺のバックに誰がいるか知ってるよな?」

 

「そんなことは関係ないのよ。いいからさっさと…」

 

「超窒素パンチ!」

 

きーぬはーたさーん。話聞いてた?だが、それを普通にかわすクワガタ。その隣にいたガキがワイヤーで絹旗を縛るが、それをブチっとぶち切る絹旗。さすが、窒素さんです…。

 

「やるっすね」

 

「ガキが私に勝てると思ってンですか?」

 

いやお前も大差ないだろ…年齢的に。

 

「比企谷あとで超殴ります」

 

ゲゲッ!絹旗さんエスパー!?ヤバイ後が怖い!なんて思ってたら後ろからポニテの奴に腕を掴まれた。

 

「しまっ…!」

 

「捉えたわよ!比企谷さん!」

 

比企谷さん?知り合いなの?そのままクワガタが変な魔術で俺を連れて四人でその場から消した。

 

 

_______________________________

 

 

 

目が覚めるとどっかの協会みたいなとこ。

 

「おぉ!目が覚めたのよ比企谷!」

 

なんで馴れ馴れしいんだよこのクワガタ。

 

「おい、お前ら誰だ?どういうつもりだ?」

 

「なに言ってるんですか?天草式ですよ!」

 

「いやしらねぇよそんなこと言われても。誰なの?」

 

『え』

 

その瞬間、固まる天草式とやら。あーなるほどね。記憶無くす前の知り合いって奴か。

 

「お前ら、イギリス正教か?それなら教えてやってもいいんだが…」

 

「いや、違うのよな。俺達は神裂火織の日本の十字教徒よ」

 

「神裂を知ってるのか?」

 

つまり、あいつの仲間か…。ならいいかな。

 

「言っとくけど、今の俺は記憶飛んでてお前らのことなんてまったく知らないぞ」

 

『は?』

 

シーン…と静まり返る。

 

「じ、冗談キツイっすよ…だってさっきイギリス正教って…」

 

さっきのガキがヒクッと引きつったように言う。

 

「いや大体のことは神裂とかステイルに聞いたんだよ。だから必要悪の教会とかその辺のことはだいたい分かるんだが…」

 

「そ、そうなんすか…」

 

ガッカリしたように全員がため息をつく。すいませんねぇ、記憶なくて。

 

「ま、まぁアレだ。困ってるから俺をわざわざ誘拐したんだろ?だったら力になるぞ。……報酬次第で」

 

「えーっと、とりあえず自己紹介させてもらうのよな」

 

と、順に名前を名乗る。その後に俺との関係を教えてもらった。どうやら俺は隠密行動に長けていたらしく、よくこいつらをレクチャーしていたらしい。それって多分、単純に存在感が無かっただけなんだと思うんだが…。

 

「で、お前らはなにをしたいわけ?」

 

「我々は…」

 

と、長々と説明。要約すると、法の書とかいうよく分からん本を読める人を攫ったから、それを守って欲しい的な感じか。

 

「…それお前らが悪くね?てか勝てない喧嘩を売るんじゃねぇよ」

 

「それは分かるけど…向こうがステイルマグヌスを雇いやがったのよ」

 

「え?ステイル?」

 

今なんつったこの子?

 

「だからこちらに勝ち目がないかもしれないのよな。だからこっちはこっちであんたを…」

 

「いやいやいや待て待て待て。それはおかしいでしょ。もし俺がまだ必要悪の教会所属だったらどうするつもりだったわけ?」

 

「その時はその時なのよな」

 

いやそれじゃ済まされないでしょ…天草式ってこんな自己中な連中なのか?

 

「とにかく、よろしく頼むぞ!」

 

「え、いや…」

 

『よろしくお願いしまぁす!』

 

えー…そんなぁ…ステイルとかち合うとかマジで勘弁してくれよ…。でもこんなに頼まれちまったら断れねぇし…。

で、色々と迎撃の準備をする天草式。なんか俺もしたほうがいいのかなぁ…でもさっぱりなにしてるか分からんし…。

 

「あの…比企谷さん」

 

「んあ?い、五和、だっけ?」

 

「はい!」

 

「悪いな、全部忘れちまってて」

 

「いえいえ。それよりなにがあったんですか?比企谷さんがやられるなんて…」

 

「え、なに俺ってそんなに強かったの?」

 

「それはもう!女教皇よりも強かったんですから!」

 

「……それ人間か?」

 

「それは自分のことを否定してるのと同じですけど…」

 

「あ!五和なにサボってんの!?」

 

「げっ!バレた!」

 

「私も比企谷さんとお話したいのに!」

 

「えっと…浦上、だっけ?」

 

「はい!覚えててくれたんですね!」

 

「いや忘れてたけど…」

 

そんな感じで周りに女の子が集まってくる。なにこれモテモテ王国!?キャバクラかよ。どんだけ人気者だったんだ前世の俺。

ようやく仕事が終わったようで全員が待機の位置に戻る。俺は浦上と行動することになった。最初は建宮と同じだったのだが、こいつといると十中八九ステイルとかち合う気がしたので土下座して回避してもらった。その後、爆音。どうやら来たようだ。

 

「行きますよ比企谷さん!」

 

「ねぇお前ら日本の十字教徒だよね?なんで武器持ってるの?それ銃刀法違反じゃ…ねぇ、聞いてる?」

 

「行きますよ!」

 

言われるがまま付いていく。だが、そこで絶対にかち合っちゃいけないやつがいた。どっかで見たツンツン頭、頭の悪そうな顔、俺とまったく同じ服装の奴。

 

「はぁぁっ!」

 

斬りかかる浦上の襟を掴む。

 

「ちょっ!比企谷さん!?なにを…」

 

「…なにしてんの上条」

 

「お前!ひ、比企谷…!?」

 

なんでお前がいんだよ……。

 

 

 


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