目の腐った能力者   作:ウルトラマンイザーク

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絹旗

 

 

どっかのホテル。ラブホじゃない。そこで俺は御坂と絹旗の尋問をしていた。さて、何故こんなことになったのか。それは、ほんの数時間前だ。

フレンダの仕掛けたテープに火をつけて橋っぽいとこを爆破させて、俺にコードみたいな奴を投げて助けようとしてくれた。俺はそのコードもどきを掴んで、ついでにたまたま近くにいた絹旗を鹵獲し、今現在に至るわけである。

そこで、その辺のホテルを借りて、肩に包帯を巻いてもらって御坂と絹旗の尋問。

 

「で、お前らはなんなんだ?てかなんの目的であそこにいたんだ?」

 

「……超黙秘します」

 

「じゃあ、量産能力者計画って知ってる?」

 

「……知りません。てかお腹空きました、比企谷、買ってこい」

 

「さっきポテチ食ったばっかじゃねぇか…ていうか、小学生のうちから朝ご飯をポテチにしてると、将来ちゃんと育たないぞ」

 

「私は小学生じゃありません!超中学生です!」

 

「超級覇王電影弾?」

 

「どう聞き間違えたらそうなるんですか!?」

 

俺は御坂と顔を見合わせる。

 

「てか御坂、お前もなんであんな所にいたんだよ」

 

「………」

 

なんでこんなにだんまりなんですかね……。すると、絹旗が口を開く。

 

「そんなことより、早く私を超解放した方が身の為ですよ」

 

「超解放ってなんだよ。内なる力でもあんの?」

 

「麦野に殺されますよ」

 

「………」

 

確かにそうだな。多分、こいつらは暗部なのだろう。あんまり御坂が暴れるもんだから、上からの指示で抹殺しに来たとかそんなとこか。

 

「いや、じゃあお前がどこに所属してるとかはこの際置いておこう。目的はなんだった?御坂を狙ってなにするつもりだった?」

 

「それも言えません」

 

「なら帰さない」

 

「な、なんですかそれ!?」

 

すると、御坂が髪をかきあげて言った。

 

「あぁもう、面倒臭いわね。尋問なんてこうすればいいのよ」

 

すると、右手をバチバチ言わせながら絹旗の顔の前に右手を持っていく。

 

「あんた、消し炭にされたくなければ…」

 

「おいおいおい待て。そんなやり方はないだろ。もうちょっと穏やかにいこうぜ…」

 

「なにが穏やかよ。私、これでも相当頭に来てるんだから」

 

「てか、お前はどうしたんだよ。なに怒ってんの?なんかあったの?」

 

これを聞くとすぐに黙り込む御坂。なんだよお前のが面倒じゃねぇか。

 

「…私の目的はもう達成してるわ。だから、もうみんなに心配掛けることなんてないんだから」

 

「あっそう…」

 

なんかホント面倒臭ぇ…。てか今何時?時間確認のために携帯を見ると自宅から着信が約67通、うーわ…また神裂に怒られる。とにかく、早く帰りたい。俺は絹旗に向かって言った。

 

「じゃあ、あれだ。とりあえず警備員に報告するから。で、奴らの尋問をたっぷり受けなさい」

 

「ま、待ってください!警備員は本当に超ダメです!お願いします!」

 

「は?や、そんなこと言ってもあんなことしちゃったんだからさ…」

 

「ほ、ホントに勘弁してください!超消されてしまいます!」

 

「や、警備員ってそんな組織じゃないよ?問題起こしたら即切腹とかいつの時代だよ」

 

「違います!む、麦野に消されるんです!」

 

……口封じのためって奴か。そしたらこいつと関わった警備員の人も危ないかもな。涙目上目遣いで俺をまじまじ見つめる絹旗。どうしたもんかな…あ、そだ。

 

「分かった。その代わり俺の言うことを聞いてもらう」

 

「うーわ……」

 

「あんた、そこまで下衆だったのね…」

 

「違ぇーよ。誰が性的暴行と言った。てかむしろお願いだ絹旗」

 

俺が頭を下げると、絹旗は少し意外な目をする。

 

「神さ…同居人に、俺と一緒に謝って下さい」

 

「「……は?」」

 

 

____________________________

 

 

 

「いいな絹旗。お前は俺に助けられた前提だ。いいな?」

 

「はぁ…超分かりましたから早くして下さい」

 

御坂と別れたて、俺は絹旗と我が家へ向かう。俺が絹旗にお願いした内容ってのは…まぁ流れで読んでください。俺は自分の部屋の前で空気を吸う。

 

「…なぁ絹旗」

 

「なんですか」

 

「殺されそうになったら助けて」

 

「分かりましたからさっさとしてください」

 

で、俺は玄関に手を掛ける。そして、がチャッとドアを開けた。

 

「ただいm…」

 

「ひ、き、が、や……?」

 

うわあ、ご立腹だよ。これは土下座しかないか…と、思ったら俺の腕に絹旗がしがみ付いてくる。は?どういうこと?

 

「お兄ちゃん!助けてくれてありがとね!ホントに!」

 

「え?アッハイ…」

 

「えっと比企谷、その子は?」

 

「私、昨日殺し屋に襲われてたんですけど…このお兄ちゃんが超助けてくれたんです!」

 

おい、殺し屋はお前だろ。襲われてたのは俺だ。

 

「だから、お兄ちゃんを責めないで下さい!」

 

「あ、あぁはい。そ、そういうことなら仕方ありませんね…では、夕食にしますので早く上がって下さい」

 

マジか。すげぇな最愛ちゃんマジ天使。

 

「お前、すげぇな」

 

「私ならこの程度当たり前です」

 

「マジで天使かと思ったわうん」

 

「は、はぁ……!?な、なにを……!ま、まぁ私はこれで用済みですね。帰ります」

 

「おう。助かったわ。じゃあな」

 

「あ、待ってください」

 

帰ろうとした絹旗を止める神裂。

 

「なんですか?」

 

「あなた、殺し屋に襲われてるんですよね?なら、ここにしばらくいませんか?」

 

「「は?」」

 

え、かーんざーきさーん?どうしてそうなるのかなー?

 

「え、でも私これでも大能力者…」

 

「でも襲われるということはあなたより強いということでしょう。大丈夫です、私はこれでもそこの男も護衛してる身なんですよ」

 

「え?比企谷って風紀委員なんじゃ…」

 

「まぁいいからいいから!どうぞ上がってください!」

 

あぁ、どうしてこうなるんだ…。

 

 

____________________________

 

 

「「「いただきます」」」

 

神裂の作った朝飯を食う。相変わらず美味い。働かないで…働いて来たばっかでした。でも美味い。結局、働こうが働かなかろうが美味いもんは美味いのだ。つまり、どうせなら働かないで食うのがベストである。

 

「なにこれ!神裂さんこれ超美味しいです!」

 

「ふふ、お口に合ってよかったです」

 

微笑む神裂。なんか姉妹みたいだな…。そのまま料理のコツだのなんだのを話す二人。三人いるのにボッチってどういうことなの…。すると、唐突に絹旗が聞いてきた。

 

「そういえば、比企谷と神裂は付き合ってるんですよね?」

 

「「ぶっふぉ!」」

 

二人して吹き出す。なに言ってるのかなこの子。

 

「ば、バババカ言わないで下さい!わ、わた私がこんな男とつ、つつつ付き合ってなど…」

 

「バカかお前は。恋人どころか友達すらいねぇっつの」

 

「じゃあ、なんで超同棲なんてしてるんですか?」

 

「ど、どど同棲なんて……」

 

「だから、うん…まぁ、その、ね…あれだ。実は姉弟だったり…」

 

「超ありませんよね?」

 

「アッハイ」

 

なんだよこいつ付き合ってて欲しいのかよ。

 

「まぁ、アレだ。付き合ってはない。ホントに成り行きだったとしか言いようがない」

 

「ふーん…まぁいいですけど」

 

そこで箸を置く絹旗。おいお前食うの早すぎだろ。

 

「超ごちそうさまです」

 

「お粗末様です。片付けとかは私がやっておきますので、絹旗さんは寛いでて下さい」

 

「じゃあ比企谷の部屋はどこですか!?」

 

「おい待てやめろ」

 

「そこを出た扉の辺りですよ」

 

「超突撃ぃ〜」

 

「まてやめろ絹はt…」

 

止めようとした俺の肩を掴む神裂。

 

「あなたはご飯食べ終わってないでしょ?」

 

「……ウィッス」

 

だ、大丈夫だよね?あれはアレしといたし、あれはあれだから…大丈夫なハズ……。もしアレだったらもうアレルヤ。むしろハレルヤ。楽しいよなアレルヤッ!

 

 

___________________________

 

 

 

その後、俺は絹旗と出掛けた。ホントは外を歩きたくなかったのだが、神裂の命令で「しばらくは一緒にいて上げてください」とかよくわからんこと言われた。

 

「比企谷、どこに行くんですか?」

 

「仕事。風紀委員」

 

「なっ…!なんのつもりですか!?」

 

「大丈夫だって、お前のことはなんも言わないから。神裂の妹ってことにしとこうか」

 

「本当ですね?取り調べとかないんですね?」

 

「てか正体バラさなきゃ平気だろ。あそこ、大分部外者多いし」

 

思い当たる人間が四人程いる…。風紀委員の人間と五分五分ってどういうことなの?てか今思えば男って俺しかいないんだな…。

 

「ダメです。超信用できません」

 

「ならこれ持ってろよ」

 

ほいっと絹旗に缶を投げる。

 

「緊急時用MAXコーヒーだ。そいつがなかったら俺は死ぬから」

 

「そ、それはなにかの能力ですか…?」

 

「あーそうだな。強いて言うなら中毒能力かな?」

 

「ただ超甘党なだけじゃないですか!……はぁ、なんかどうでもよくなってきました…」

 

なんかヤケにゲンナリした様子で付いて来る絹旗。

で、支部に到着。

 

「あ、おはようございます比企谷さん!」

 

「おはよーございまーす!」

 

で、その後に続く挨拶。あれ?御坂は?

 

「おい、御坂は?」

 

言うと、横に首を振る白井。おいおいマジか。なにしてんのあの子。

 

「あの!比企谷さん!」

 

元気良く声を上げる枝先。

 

「後ろの子は誰ですか!?」

 

「あーえっと…俺の同居人の妹」

 

『ど、同居人!?』

 

え、なに…固法さんと春上以外が大声を出す。え、なにその目暮警部みたいな反応。

 

「で、こいつを街案内しろって頼ま…」

 

「ひ、ひひ比企谷さん!?同居人てあの神裂さんのことですの!?」

 

「え?あーそうだけど?」

 

「も、もももしかして!そ、そういう関係なんですの!?」

 

「そういう関係ってなんだよ。主語述語目的語使って話せっつーの」

 

「比企谷さん!」

 

今度は佐天か。

 

「その人とはどういう関係なんですか!?」

 

「だから、別に疚しい関係じゃ…」

 

「ひどいです比企谷さん…私の気持ちを知ってる癖に…」

 

「枝先、マジで違うから。大体、あいつとは苗字でお互いを呼ぶような関係…ちょっと待って初春泣くのやめててかなんで泣いてるのマジでマジでマジで」

 

その場を収束するのに30分掛かりました。

 

「つまり、そのカンザキさんの妹さんだと?」

 

「だからそう言ったじゃねぇか…」

 

「そのカンザキさんとはなんの関係もないんですね?」

 

「それもさっき言ったよー?」

 

気が付けば絹旗は置いてけぼりになっていた。

 

「あぁ、悪いなきぬ…」

 

あれ?これ本名言ったら苗字違うからバレるよね?

 

「えぇっと、で、その神裂の妹の神裂最愛だ」

 

俺が言うと、ペコっと頭を下げる絹旗。どうやら、神裂呼びの意図は通じたようだ。

 

「白井黒子ですの」

 

「初春飾利です」

 

「佐天涙子です」

 

「(以下省略)」

 

そこまで行くと、佐天が立ち上がる。

 

「よーし!じゃあみんなで最愛さんを案内しよう!」

 

「え?」

 

だからなんでそうなる……。

 

「それはいいですわね」

 

「私も賛成です!」

 

しかも賛同するし…。

 

「てか白井と初春は風紀委員だろ」

 

「行っておいで。みんなで」

 

固法さん正気ですかー?で、結局外にゾロゾロと出て行くハメになった。

 

 

 

 


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