俺、ポニーテールになります。   作:明智ワクナリ

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皆さまお久しぶりですm(_ _)m

大分遅れてしまいましたが今回はアルティメギルサイドのお話しです!


『次元を渡り歩く戦士たち』

―――――エレメリアン。

 

それは属性力(エレメーラ)と呼ばれる強大な力が生み出した負の産物である。かつて属性力によって凄まじい発展を遂げたある世界がその存在を生み出してしまったのだ。

 

精神という目に見えぬ概念が結晶化し、自我と肉体を得たソレは、ありとあらゆる生物から存在そのものが逸脱した未知の生物である。

 

そして属性力を核とする彼らの食料は人間の持つ精神――――他の生物が持ち得ない強大な属性力だった。

 

エレメリアンは人間から属性力を奪う過程で人間の文化を取り込み、集団という一つの生物として機能する頃には人類の文明など歯牙にもかけぬ技術力を有していた。

 

そうしてエレメリアンは人智を超えた技術と組織力を武器に、次元を渡って属性力を奪い始めたのだ。

 

そして意のままに属性力を搾取する彼らはいつしかこう呼ばれるようになっていた。

 

 

 

 

次元を渡り歩く異形の軍勢―――――アルティメギルと。

 

 

 

 

◇◆◇

 

「先行した部隊が姿を消したというのは本当なのか!?」

 

「ハッ。つい先ほど地上への斥候(せっこう)を向かわせたのですが部隊の姿は見当たらず。何者かと交戦した跡が見受けられ、さらにリザドギルティ様が愛用していたぬいぐるみが発見されております」

 

声を荒げながら立ち上がったのはバクのような姿をした異形の存在だった。そして動揺を隠せずにいるその者に対して冷静に答える者もまた異形の存在。

 

「状況から察するに全滅………もしくは壊滅的なダメージを受けて一時的に姿を隠したか」

 

「よもや己の欲望に憑りつかれて任務を放棄したのでは?」

 

「馬鹿な!それこそあり得ぬ話であろう!確かに己の欲望に忠実な男ではあったが、それ以上に我らの本懐を叶えようと獅子奮迅していたではないか!!」

 

「ではこの状況を卿はどう説明するつもりだ!?この星の者に敗れたとでも言うつもりか!?」

 

円形の重厚なテーブルを挟んで異形の者たちは怒声を上げる。

 

一面鈍色で覆われた異質な空間、言うなれば企業の会議室とでも表すべき場所には姿形がとても印象深い個性的な面々が集まっていた。

 

ある者は神妙な表情で押し黙り、ある者はやり切れぬ複雑な感情を滲ませ、ある者は携帯ゲーム機に熱中している。三者三様の反応を見せるその空間はまさに人智を遥かに超えた異界と言っても差し支えないだろう。

 

それもその筈、この場所はツインテールを求めて進軍し続ける異形の戦士――――アルティメギルの拠点なのだから。

 

とはいえこの場所がアルティメギルの総本山というわけではなく、各部隊に手配された移動型の大型母艦である。

 

現在その艦内では、先行部隊として出撃したリザドギルティ率いる特攻部隊の行方が掴めず、慌ただしい雰囲気に包まれていた。

 

撤退したのか、逃げ出したのか、もしくは壊滅したのか。様々な憶測が飛んではその度にその数だけ怒号が返ってくる、現状を把握しきれていない彼らはそれを繰り返す他なかった。

 

しかし。

 

「皆の者、静まれいッ!!!!!」

 

広大な艦内全てに響くのではないかと思うほどの一喝が部屋に響き渡り、たったその一言で喧騒に満ちた艦内は静けさを取り戻した。

 

全員の視線の先に立つのは竜騎士のような厳かな姿をしたエレメリアン。周囲の者たちとは明らかに一線を凌駕する威圧感を身に纏い、牙の並んだ獰猛な顔は自信と誇りで満ち溢れている。

 

「……ドラグギルティ隊長、戻られていたのですか」

 

「これほど事態が大きくなれば嫌でも戻ってくる羽目になる」

 

想定外の状況に狼狽する部下たちを見回しながら、金属板の床を打ち鳴らしてただ一つ空けられた席の前に立つ。

 

「皆に報告しなければならないことがある。リザドギルティの件についてだ」

 

その名を口にした瞬間、集まる面々の表情が険しくなり室内はさらに静けさを増す。ドラグギルティはそんな部下たちを見渡した後、意を決したように言葉を紡いだ。

 

「特攻部隊は全滅、部隊長であるリザドギルティは――――――名誉の死を遂げた」

 

『―――――――――――ッ!!?』

 

静かに語った言葉は部隊全体に大きな衝撃を与えた。同時に周囲がざわつき始め、幹部の一人が信じられないという表情のまま椅子から立ち上がる

 

「そ、そんなことがあり得るのですかドラグギルティ隊長!?リザドギルティ殿はあなたの―――――」

 

「言わずともわかっている。リザドギルティは我の一番弟子、その強さは誰でもなく我が一番よく知っている。つまりは、我が弟子を打ち破るほどの戦士があの星には存在したというわけだ」

 

「戦士………もしや観測にあった強大なツインテールなのでは?」

 

幹部の一人が立てた予測に多くの者がその可能性を示唆し始める。しかしドラグギルティはあくまで首を横に振った。

 

「いや、リザドギルティを打ち破るほどの属性力があることは確認できたが、それだけで判断するのは流石に早計だろう。いずれ手にするとはいえ、この件に関してはもう少し慎重に動かねばならん」

 

そう言いつつドラグギルティは控えさせていた部下に指示を出し、部屋前方に備え付けられた大型スクリーンにある画像を映し出させる。

 

「これは先の戦闘で戦闘員が消滅寸前に残した記録映像だ。そしてこの二人がリザドギルティを倒したと見て間違いないだろう」

 

そこに映し出されていたのは変身後の良人と総二、テイルホワイトとテイルレッドの二人だった。

 

瞬間、周囲の騒めきが一層濃くなる。主に感嘆の声で。

 

「これがリザドギルティ殿を打ちとった者か………なんという気高きツインテールなのだ………!!」

 

「まさかこれほどのものだったとは。これほどのツインテールが二人も並んだならば全滅も頷ける」

 

誰もが二人のツインテールを見て大きく頷く。この画像を見てなにをどう納得できるかなど人には到底理解できないだろう。

 

「我々の目が曇っていたということですな、ドラグギルティ隊長」

 

「ふっ、耳の痛い話ではあるがな。所詮事前の情報など表層だけを写し取った仮初に過ぎん。文明のレベルに見合わぬ進化を遂げた戦士は今まで何度も見てきたつまりだったが、情報にかまけて胡坐をかいてしまった我もまだ修行が足りんと言うわけだな」

 

自嘲気味に笑うドラグギルティは再び二人の姿を両の瞳に映す。

 

(しかしこの幼女と少女、どこかで会い見えたような気がするが………)

 

だがその思考はすぐに終了した。稀に見る本物の強者だけが持ち得るこのツインテールを一度でも見たならば忘れるはずがない。

 

しかし記憶の奥底で何かがチリチリと燻っているような感覚は残ったままだった。

 

(なんなんだこの違和感は。何かを見過ごしているとでも言うのか………?)

 

モニターに映る赤と白のツインテールを凝視しても答えは浮かばない。それどころか謎は深まる一方で、考えれば考えるほど深みにはまっていくような気させしてくる。

 

一方でその他のエレメリアンといえば、

 

「よし、画像の全方位コピーが取れたぞ!これを今すぐ企画部のメインサーバーに転送するんだ!」

 

「同人誌監修はこちらの部隊が引き受ける!フィギュアの制作はそちらの部隊に任せても大丈夫か?」

 

「ああ任せろ友よ。よしお前ら、今の聞いたな!データが各PCにアップロードされ次第作業に取り掛かってくれ!」

 

胸中の違和感に疑念を浮かべるドラグギルティを他所に、周囲は同人誌とフィギュア制作に取り組み始め、先ほどとは違う意味で慌ただしい空気になっていた。

 

「なぁ!?貴様ら、我を置いて勝手に話を進めるとは何事か!!我の仕事もきちんと空けてあるんだろうな!」

 

先の威厳はどこへ行ったのやら、流れに乗り遅れまいとドラグギルティもその輪に参加する。

 

武骨な姿をした怪人たちが同人誌やフィギュアの制作に勤しむ姿はまさにシュールである。

 

しかし、そのシュールさとは裏腹に部隊の結束はより強固なものへと変化しているのは確かだった。霞んでいた各々の闘志が炎の如く輝きを取り戻しつつある。

 

「我らはアルティメギル先遣部隊、不可能など我々の前には存在などせん!!この作品を完成させた後、この世界のツインテールは我らの手中に収まるだろう!皆の者、心して作業しろ!!!」

 

『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオッッッッ………………!!!!!』

 

そこには一切の迷いも見えない、高潔な戦士たちの雄叫びが響いた。

 

 

 

 

次元を渡り歩く異形の軍勢―――――アルティメギル。

 

それは属性力が生み出した負の遺産であり、いずれ人類を破滅に誘うであろう最悪の存在――――――と語られている。




短い上に文章の構成がかなり原作寄りになってしまいました…………。

それとお気に入り件数が100件を超えました!登録してくださった方々、ありがとうございますm(_ _)m

不定期ではありますが今後とも更新頑張らせて頂きます!!

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