俺、ポニーテールになります。   作:明智ワクナリ

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『戦士爆誕、ツインテイルズ!』①

一際輝く閃光が晴れた時、二人の戦士は待ちきれないとばかりに前方へと空を蹴って飛び出した。二人の凄まじい脚力によって空気が振動し、その余波が荒れ狂う突風となって赤と銀の粒子を空へと弾き飛ばす。周囲の物体をかき乱すように巻き上げる光景はまるで嵐のようだ。

 

そんな中、トゥアールが認識攪乱と同時発動させていた衝撃吸収フィールドによって事なきを得ている愛香たちが目を開いた時、目の前で変身した二人の姿はなかった。あるのは遥か遠くで燦然と輝く二色の閃光とそれをなぞるように繋がる光の軌跡だけ。

 

激しい閃光のせいで途中からは何も見えなかったが、変身という非現実的事象を目にした二人の少女は唖然としていた。正面に立つトゥアールは対照的に冷静なまま端末のようなもので総二たちに何かを説明している。

 

一瞬という認識の外に存在する時間の中で変身を遂げ、嵐を巻き起こしながら風を切って飛び立った二人の少年。よもやツインテールを奪う怪人と戦うために馬鹿二人が変身して戦うなど、喫茶店で談笑していた愛香たちにそんな斜め上のぶっ飛んだ予想が出来るはずもない。

 

夢といっても過言ではない非現実的な光景。故に彼女たちが最初に口にしたのは二人に対しての皮肉だった。

 

「…………考えなしに行動するの、二人の悪い癖」

 

「全くその通りよ!どうしていつも髪型のことしか考えてないのよあの馬鹿は!!」

 

純はともかく愛香は明らかに総二への不平不満を垂れ流している。おそらくは総二が言ったセリフに対してだろうが、別段ツッコむべきことではないと思った純はキョロキョロと周囲を見渡した。そうして三六〇度見回したところで不思議そうに呟く。

 

「…………居ない」

 

「え?居ないって誰がよ?」

 

クールダウンしたらしい愛香が聞き返した。

 

「女の子。さっきここに居た、ような気がする」

 

「女の子って…………ここにはあたしたち以外居なかったけど」

 

愛香が周囲の人間の気配を感じ取りやすいのは他でもない純が知っている。その愛香が気付かないということは自分の見間違いだったのだろうか?もしかしたら逃げ遅れた市民の姿を偶然見ただけかもしれない。

 

「…………じゃあ、あれは誰?」

 

どうにも煮え切らない純は眉を顰めるのだった。

 

 

◇◆◇

 

 

「「うわあああああああああああああ―――――――――――――ッ!!!!???」」

 

一方、変身完了と共に気持ちが昂ぶってつい飛び出してしまった俺と総二は絶叫していた。軽く片足でジャンプしようとしただけだというのに、強化された脚力によってあり得ないほどの高さで飛んでいる。体感では正確な数字はわからないけど時速五〇キロ以上は出てるかもしれない。

 

景色は凄まじいスピードで後ろへと流れていくというのに風圧は大して感じられなかった。例えるならパワーを強にした扇風機の前に座っている程度の風だ。

 

(こ、これがあの子の言ってたスーツの力ってやつなの………!?)

 

確か変身する前にトゥアールは『そのブレスレットは対エレメリアン戦闘用に開発したデバイスです。そのデバイスの力を解放し、スーツを身に纏えば身体能力を飛躍的に向上・強化させることが出来ます!やつらに対抗できる唯一の武器だと思ってください!』と言っていた。

 

つまりスーツを身に纏えば超人的な力が出るということらしい。にわかには信じがたい話だが、この現状を現在進行形で体感している以上信じる他ない。

 

そう、確かに信じるしかないんだけど――――――

 

「このあとどうするのさ――――――ッ!!」

 

さっきより高度が落ちたとはいえ滑空はまだ続きそうだ。周りに衝突しそうな遮蔽物が無いだけマシな方だと考えたいところだけど、このままだと不時着で木端微塵になるのも時間の問題だよ。

 

隣で同じ状況に陥っている総二もギャアギャアと騒いでいる。声からしてこっちも相当焦っているようだ。

 

とその時。

 

『お二人とも意識を集中させてください!そのテイルギアはお二人の精神力によって構築された専用スーツです!つまりはお二人の想いと意志が具現化したもの!あなた方の意志がそのテイルギアを動かすんです!!」

 

「想い………」

 

「意志………」

 

俺は体全体に意識を張り巡らせ、空気抵抗で重くなった四肢を『意志』で動かす。その瞬間、頭のてっぺんから足のつま先までの感覚が今までになく鋭くなるのを感じた。スーツという武装を通して風の動きが手に取るようにわかる。まるで風と一体化したかのような圧倒的な感覚。

 

――――――行ける!

 

そう直感した時、俺は無意識の内に全身を制御しながら重心を安定させていた。それに気付いた俺は、自分でやっておきながらつい驚いてしまう。

 

(これがトゥアールの言ってた想いと意志なんだね)

 

出発地点から離れるにつれて髪の解けた女の子たちが倒れているのが確認できる。ただ静かに横たわる女の子を見るたびに総二から悲しみの声が響いていた。どうやら視力だけではなく聴力も飛躍的に向上しているらしい。そのおかげで総二の怒りと悲しみが痛いほど伝わってくる。

 

そんな地獄のように残酷な道を抜けてついに怪人の姿が視界の中心に入った。俺は強化された視力でその場所を睨む。するとそれに応えるかのように視界が変化し怪人の姿がズームアップされた。

 

「やめなさい!わたくしたちのツインテールを奪ってあなた方は本当に何がしたいんですの!?髪は女の子の命なんですのよ!?」

 

そこにいたのは会長。どうやらまだツインテールは奪われていないようだが、例のリングの前に立たされている以上、状況は切迫していると認識すべきだ。

 

「確かに主の言う通りだ。我らとてこの美しきツインテールを壊したくなどない。これほどまでに完成された美などどこにも存在せぬのだからな」

 

「なら何故!?」

 

「大義のためだ!これは我らが悲願、延いては我らが主の野望のために必要な犠牲なのだ!そのためならば心を鬼にしてでもその務めを果たす!許せ、小さき勇者よ!主のツインテール貰い受けるぞッ!!」

 

ついに会長が空中へと浮かび上がりリングの前へと差し出された。両手を広げた会長はまるで十字架に張り付けられた聖女のようで、みるみるうちに会長の表情が悲しみで染まっていく。

 

会長がリングに吸い込まれる直前、ついに総二が吠えた。

 

「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!!」

 

怒りに満ちた怒号。その迫力は凄まじく幼馴染の俺ですら久々に聞く本気の怒りだ。

 

「ちょ、総二!?」

 

視界の隅で急降下した総二を確認した俺は、総二の動きに合わせて地面へと進路を変更させた。腰や足のブースターのような装備が忙しなく動き続け、速度を維持したまま着陸、地面を蹴る足に意識を集中させて総二と並走する。

 

その時俺は総二の声に妙な違和感を抱いた。総二の声がいつもよりもワンオクターブ高い――――いわゆる女の子の声に似ている、ような気がする。気がするだけでおそらくは風の音が邪魔してるだけだろう。

 

「ぬっ!この気配は!?」

 

一拍遅れて気が付いたらしい怪人が大仰な声を上げる。だが怪人が気付いた時にはすべてが遅い。怪人の前に躍り出た俺は、今まさにツインテールを奪われそうになっている会長の手を掴み、強引に引き込むとそのまま抱えて跳躍した。一方怪人を牽制した総二もそのまま走り抜けて俺を追走している。

 

会長を抱えている以上、さっきみたいな無茶な着陸はできない。俺は再度全身のアーマー部分を使って重心を安定させ、降下速度をできるだけ落としながら地面へと降り立つ。俺は衝撃を殺すよう着地と同時に膝を曲げ、会長への衝撃を最小限に抑えた。

 

「……………あ、あの」

 

一息ついた俺の眼下で声をかけられ、視線を下にずらしていくと会長が顔を赤らめながら見上げていた。潤んだ瞳、上気した頬、そしてツインテール。その全てが俺の目の前に広がっている。

 

はて、どうして会長がこんなにも近くに―――――と思ったところで俺が今彼女を抱きかかえていることを思い出した。背中に手を回し、膝裏に手を差し込んだ状態。いわゆるお姫様抱っこというやつだ。

 

「え、え~と大丈夫?会ちょ―――――じゃなくてお嬢さん」

 

会長と言いそうになった俺は慌てて言い直す。トゥアールにはイマジンなんちゃらで俺の正体は誰にもばれない、とは言ってたけど会話でボロを出したら意味がないからね。

 

すると会長はなにやら恥ずかしそうにもじもじしながら小さく頷いた。怪我もなさそうだし、ツインテールも間一髪で奪われてないみたいだ。いやー、一時はどうなるかと思ったけどこれで不安要素は一つ消えたよ。

 

とはいえ安心はしてられない。目の前で呆気にとられているあの怪人を倒さないことにはなにも解決はしないだろう。なによりあの怪人が行っていた行為は決して見逃せないし、当然見逃すつもりだって毛頭ない。

 

「おい…………聞こえてんだろ怪人野郎」

 

隣に立っていた総二が声を震わせながら言う。その声は小さく静かだが、強い怒りがこもっているように感じた。

 

……………ってあれ?やっぱり総二の声が女の子っぽく聞こえるんだけど、変身しておかしくなったのかな?

 

「な、なんとッ……………!!?」

 

一方怪人といえば俺たちを見て驚愕の表情を浮かべている…………と思う。正直顔がもはや人間じゃなくてトカゲだから表情がわかりづらい。驚いてるのか怒っているのか全然わからないんだけど。

 

総二の言葉で場の空気が張り詰め、一触即発という雰囲気に近づきつつある。怪人はフリーズしたみたいに止まってるし、周囲でモケモケ言ってる戦闘員たちも警戒の色を濃くしているようだ。ここで大乱闘を引き起こしかねないと示唆した俺は、一先ず腕に抱えた会長を避難させることにした。

 

総二と怪人の睨み合いが続く中、俺は抜き足差し足で少し離れた場所へと向かい、抱えていた会長を降ろす。

 

「会ちょ―――――オホンッ!お嬢さん、ここは危ないから早く逃げるんだ」

 

「え?あなた方は避難しませんの?」

 

「ああ、俺たちはあのトカゲもどきを止めなくちゃいけない。ツインテールを守るために、ね」

 

「ツインテールを、守るため……………?」

 

会長は驚いたように目を見開いて俺を見た。けどそれは仕方ないことだ。いきなり筋肉隆々のトカゲ人間に捕まってツインテールを奪われそうになった挙句、颯爽と現れて自分を助けた人が『ツインテールを守るため』などと言えば驚くのも無理はない。

 

きっと奇異な眼差しで俺のことを見ているのだろうと思い、早々に立ち去ろうと立ち上がった時だった。

 

「そ、それは正義の味方ってことですわよね!?」

 

「………………………は?」

 

唐突過ぎてたまらず間抜けな声を出した俺。一方瞳を輝かせながら食い気味で俺に詰め寄る会長。俺はたまらず一歩後ろへ下がってしまう。すると会長が空いた一歩分の距離を埋め直すようにまた一歩近づいてくる。

 

「正義の味方でいいんですの!?どうなんですの!?」

 

何故か『正義の味方』というフレーズを口にするたびにヒートアップしていき、そしてこれまた何故か俺に羨望の眼差しっぽい熱い視線を叩きつけてくる。それはまるでヒーローに憧れる子供のような純粋な瞳だった。しかも彼女から発せられる声には並々ならぬ情熱を感じる。

 

だからこそ俺はこう答えることにした。

 

「俺は―――――いや、俺たちは通りすがりの正義の味方だ」

 

言ってみて我ながら低レベルな回答だと思った。今どき幼稚園生でも”通りすがりの正義の味方”なんてフレーズに信用性がないことくらいわかっている。そもそも正義の味方自体を信じてなさそうだけど。

 

しかし会長の瞳は俺の予想とは裏腹に一層輝きを強めていた。

 

「……………本当に、本当にいたんですのね。正義の味方は……………」

 

「え?」

 

「わかりましたわ。わたくしのツインテールはあなた方に託しますの。ですから絶対に負けないでくださいな”正義の味方”さん」

 

何故かすっきりした表情で会長は頭を下げた。

 

「え?あ、うん。ありがとう」

 

思わず素で返してしまった俺。会長はその返答に満足そうに頷くとそのまま走り去ろうとして――――立ち止まった。

 

「いつかわたくしもあなた方のような()()()()()()()()()になって、あなた方と肩を並べて戦えるよう頑張りますの」

 

それじゃあ、と元気に手を振って去っていった会長。姿が見えなくなるまで見送った俺は総二と怪人の件を思い出して駆け出そうとした時、会長の妙な言葉が脳内でリピートされた。

 

「あなた方のような立派なツインテールになって―――――――」

 

この場合ここにいるのは俺だからあなたは俺を指してるから、あなたは俺だとしてもう一人は誰だろう。とりあえず彼女が言いたかったのは「俺たちのような立派なツインテールになりたい」ってことかな。うん。

 

 

 

…………………………立派なツインテールってなに?

 

 

 

俺にそんな立派なツインテールなんてないし、そもそも俺はツインテールを結べるほど長い髪じゃない。というより自分の髪型をツインテールにしたことすらない。まあ、こう言うのもなんだけどツインテールはそもそも男用ではないしね。総二ですらその一線だけは超えてないわけだし。

 

だとしたら会長の言葉はなにを意味するんだろうか?俺の熱意を感じてそう言ったのかな?それにしては会長の目線は俺の頭の方をずっと見てた気がするけど……………。妙に嫌な寒気が背中を走り抜ける。

 

とその時。

 

「グワアアアアアアアアアッッッ!?」

 

軽い炸裂音と共に怪人の野太い悲鳴が響き渡る。何事かと急いで後ろを振り返ると何故かトカゲの怪人が中を舞っていた。巨体から伸びる強靭な四肢をジタバタさせるも空を切るだけ。やがて地球の重力によって地面へと引き戻され、怪人は顔面からアスファルトにダイビングする。音からして相当痛そうだ。

 

というより俺が目を離した隙に一体何が起こったのだろうか?状況を把握するべく俺は急いで総二と立っていた場所に戻るも、そこに総二の姿はなかった。

 

「あ、あれ?総二?」

 

さっきまでここに居た、ような気がする。正直会長を避難させることで頭が一杯だった俺は、変身してから総二の姿を確認していない。とりあえず声が届く範囲に居るという認識しかしていなかった。

 

辺りを見回してみるものの、目に映るのは炎上し続けている車とそこから吐き出される黒煙ばかりだ。いや、正確にはその景色に混じって首から上が地面に突き刺さっている怪人と、それを引き抜こうと奮闘している戦闘員たちも見えた。でも総二の姿はどこにも見当たらない。

 

「おーい総二!?どこにいるのー!?」

 

「なにやってんだよ良人。俺ならここにいるぞ」

 

と、ちょうど総二の名前を呼んだ時、背中から声をかけられた。どうやら全くの別方向を見て勝手に混乱していたらしい。

 

「まったく、いるならいるで返事くらい―――――って、あれ?」

 

声の方向へと振り返った俺は、本日何度目になるか分からない疑問符がまた語尾についてしまった。というのも振り返った先に総二の姿が無いからだ。

 

(お、おかしいな。今声をかけてきたのって間違いなく総二だったよね?)

 

次から次へとわけのわからない事象が飛び込んできて、正直俺の頭はパンク寸前だ。怪人は謎の攻撃らしき何かで埋まってるし、それに加えて声だけで姿の見えない総二と来た。一人駐車場のど真ん中で頭を抱えたくなったその時、視界の下から声が発せられる。

 

「だから俺はここだって。下だよ下、お前の下」

 

と声が聞こえ、自己主張するように視界の下からニュッと小さな手が伸びる。その声の通り視線を下に移していくと――――――確かにいた。

 

「お、やっと気づいたみたいだな。つーかお前デカくないか?俺の身長の倍はあるだろ。それに体も細いし――――ってなんでお前そんな立派なツインテールを持ってるんだッ!?」

 

ちっちゃなツインテールの幼女が。

 

スクール水着のような赤と白のスーツ、各部に装備されているアーマーも同色。起伏のないツルペタの体にごてごてした装備、如何にもオタクが喜びそうな姿だ。そしてまだ一〇歳程度だろうに顔のレベルは相当に高い。いわば美少女ならぬ美幼女といったところかな。

 

しかし何よりも驚くべきはそのツインテールだろう。燃えるように赤いそのツインテールは目を見張る美しさだ。身長とほぼ同じ長さもある二対の髪は滑らかな曲線を描き、地面スレスレで不可思議に浮いている髪先。艶やかな髪は輝く度に赤い閃光が迸る。

 

なによりこのツインテールからは凄まじいほどの熱意と愛情を感じるのだ。一朝一夕では辿り着くことなどできるはずのない本物のツインテール。こんなにも美しく勇ましいツインテールを今までに見たことがない。まるで総二の心を体現させたかのようなツインテールに俺は周囲の状況すら忘れて―――――――。

 

「ウソおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!!????」

 

驚愕のあまり絶叫してしまった。続いてツインテ幼女も驚いたように困惑する。

 

「ど、どうしたんだよ良人!何で俺を見てそんなに驚いてんだ!?そんなに俺の姿が滑稽なのかよ!?それよりお前のそのツインテールはどうしたんだ!?」

 

「ツイン、テール……………?」

 

「そうだ!その王冠のような輝きに満ちた立派なツインテールはどうしたんだよッ!?」

 

ツインテ幼女の指摘で我に返った俺は、恐る恐る視界の隅でユラユラと揺れる物体に目を移した。――――――髪だ。しかもかなり手の行き届いた綺麗な銀色の髪。俺は震える手で俺の髪ではない髪に触れてみる。

 

(なに、これ。ものすごくサラサラで、今までにないすべすべした肌触りだ……………!)

 

恐ろしいくらい指通りの良い髪だ。俺は確かめるようにもう片方の空いている手で反対側を握りしめる。すると手に伝わるのはやはり同じ感触。そして俺は更なる発見をしてしまった。

 

視界の下側に妙な膨らみがあるのだ。それは二つ存在し、呼吸するたびに上下している。何かのパーツかと最初は思っていたものの、妙に柔らかそうなソレを見ている内に俺の想像は確信へと変わっていった。

 

俺はその確信が間違っていてほしいと願いつつ、近くにあった車のフロントガラスに自分の姿を映す。その先に映っていたのは――――――。

 

 

 

見紛う事なき可愛らしいツインテール美少女だった。

 

 

 

銀色の髪、ツインテ幼女と同じスクール水着のようなスーツ。色は髪と同色の銀色だ。勝気な瞳が活発さをアピールしている。そして出るとこは出て締まるとこは締まる、という完璧ボディを持ち合わせた美少女。

 

俺は試しにフロントガラスの向こうで困惑している美少女さんに手を振ってみることにした。俺が手を振ると美少女も手を振ってくれている。同調するように左右非対称で。

 

「あは、あはははははは……………」

 

もはや笑うしかない。俺はどうやら変身という事象を経て性転換されてしまったらしい。信じたくない、信じたくはないんだけど……………ここまで証拠を突き付けられると、ねえ?

 

そしてここにきてやっと会長の言葉の意味が理解できた。

 

『いつかわたくしもあなた方のような立派なツインテールになって、あなた方と肩を並べて戦えるよう頑張りますの』

 

会長が言った言葉は文字通りそのままの意味だったということだ。俺たちのようになりたいと。悪を倒す正義の味方になってみたいと。

 

そんな彼女に一つだけ言いたいことがある。

 

「のおわああああああああああなんじゃこりゃあああああああッ!?俺がツインテールの幼女になってるうううううううッ!!?」

 

正義の味方ってかなり辛いみたいです、精神的に。

 




しまった!?予想以上に前座が長引いてしまったぞ!?……………というわけで次回がバトルパートです!

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