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Prologue 告白
「シエル! あなたのことを真剣に愛してます、付き合ってください!」
「うん、とりあえず落ち着けです」
「マジだよ? ガチなんだよ! 苦難があろうと挑戦するこの恋心――まさしく、Eランク冒険者、S級クエストに挑戦する、みたいな!」
「ギルドが許さないですし、そもそも無謀です。確かにさっきの告白も無謀ですけど」
「なんで!? だって、これまでずっと一緒にいたんだよ!?」
「その通りです。問題はそこじゃないです」
「ええ? お互いに知り尽くす以外の問題なんて分からないよぉ」
「簡単ですよ」
「つまり、乗り越えるのも簡単なんだね!」
「…………」
「な、なんで黙っちゃうのかな……し、シエル? 怒ってる?」
「呆れているんです。いいですか、阿呆みたいですけど、言うですよ?」
「うんっ」
「なんで緊張してるんですか。告白の返事以前の問題を言及するだけですからね?」
「分かってるよ、つまりはその問題を解決すれば、シエルは付き合ってくれるって意味だよね?」
「……まあ間違ってはいないと思うですけど」
「それでそれで、一体シエルとの愛を阻むその実態とはいかに!?」
「はぁ……。そもそも、私もあなたも――」
「――女です。同性です」
これはつまり、そんな恋物語。
息抜きのためのまったり小説。
気楽に読んで頂ければ幸いです。