鎮守府に変態が着任しました。   作:「旗戦士」

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ビスマルク「瑞鳳、排卵日教えてちょうだい」
瑞鳳「私の拳、食べりゅ? 」


第28話

<旅館・廊下>

 

 あきつ丸君に身体を真っ二つにされた後、私は明石君を呼んで身体をくっつけて貰った。

ついでに男女間の交わりを提案したら即座にスパナと蹴りを叩き込まれたので、現在私は廊下で一人風景を眺めている。

鎮守府のみんなは既に大広間で食事を採ってるそうで、私も早速向かう事にした。

そこで、私の背後から若い男の声が掛かる。

 

「先輩! お久しぶりっすね! 」

「え? 君誰? こんな爽やかイケメン知り合いにいたっけ? 」

「覚えてないんですか? 士官学校の後輩のタカシですよ」

 

思わず私は目を疑う。

後輩のタカシ君……もといタカシ提督は私の二個下の後輩であるのだが、士官学校時代は坊主頭に眼鏡という典型的な日本男児だった。

しかし彼も時代の波に逆らえなかったのか、短い黒髪をほどよく整えた彼はひどく私にとって眩しい。

 

「嘘でしょ……タカシ君と言えば坊主頭だったじゃん……」

「坊主頭で覚えられてたのは少し傷付きますって……。でも、先輩はどうしてここに? 」

「遊佐少将が粋な計らいをしてくれてね。鎮守府のみんなでここに宿泊してるんだ。タカシ君の方こそ、何故ここに? 」

「俺は元帥殿から辞令を受け取り、慰安旅行として来ました。もちろんこっちの鎮守府の艦娘たちもいますよ」

 

彼の言葉に私は思わず顔を歪める。

タカシ鎮守府の艦娘たちと言えば歩くスケベボディこと摩耶ちゃんがいる筈だ。

どんなセクハラするか後で考えておこう。

 

「それは本当か!? 摩耶ちゃんとか榛名ちゃんいるんだな!? 」

「先輩キモいっすよ。まあいますけど」

「うるせぇ! 歩くスケベボディと大天使ハルナエルに会えるなんて幸運逃してたまるか! 」

「誰が歩くスケベボディだコラ」

「えっと……大天使はちょっと恥ずかしい、です……」

 

噂をすればなんとやら。

早速摩耶ちゃんが私の胸倉を掴み、キスできそうな勢いで顔を近づける。

言動は男勝りだが彼女からシャンプーとコンディショナーの匂いが香り、思わず息子が勃起した。

対する榛名ちゃんは礼儀正しく私に敬礼を見せ、挨拶と共に微笑む。

更に息子が勃起した。

 

「ごめん摩耶ちゃん、あと5分くらいこの状態を続けさせてほしい。提督のブレインメモリーに君の匂いを記憶したいんだ」

「何に使うんだよ」

「シコる」

「は? 」

「謝るから艤装の角でケツを刺そうとするのはやめてくれ」

 

だが私は知っている。

これが彼女の照れ隠しであると。

いつか下ネタに乗って笑い合い、そのまま私の上に乗ってくれるに違いない。

 

「ったくよぉ……お前もとんでもねぇ先輩持ったもんだな」

「いい人で結構顔も整ってるんだけど……言動がなぁ」

「ま、摩耶さん! タカシ提督! 失礼ですよ! 」

「私は何とも思ってないよ、だから大丈夫さ榛名ちゃん。けど私の股間は大丈夫じゃないから榛名ちゃんが大丈夫にしてくれ」

「ごめんなさい、榛名は大丈夫じゃなくて生理的に無理です」

 

満面の笑みでそんな事言われたら誰だってヘコむものである。

榛名ちゃんの毒舌がクリティカルにヒットし、私と息子は同時に萎びた。

 

「まあ、ヘコんでる先輩は置いといて……。榛名と摩耶も姉妹たちに会って来たらどうだ? 確か先輩のところには霧島と愛宕がいた筈だし」

「あたしは遠慮しとく。姉貴もう酔ってそうだしな」

「私は行かせて貰いますね。ご厚意に感謝します、提督」

「おう! 今回の旅行で存分に英気を養ってくれ」

 

そう別れを告げつつ、榛名ちゃんは去って行く。

後ろ姿もクッソかわいいし性格も良いしまさに天使だ。

 

「……な、なぁ提督? この後どっか二人で……」

「ん? どうした? 」

「や、やっぱ何でもない……って凄い形相だな先輩提督……」

 

鬼みたいな形相になるのも無理はない。

まさかタカシ君がここまでの鈍感クソ唐変木になっているとは……。

変態紳士の天敵はハーレムを自然に作り出す朴念仁主人公キャラ。

故に、私は阿修羅と化す。

 

「おい難聴朴念仁! 貴様摩耶ちゃんからのデートの誘いを断るつもりか!? 今すぐ行くんだタカシ! 」

「う、うわあああああ!! デートとか言うなよ! 恥ずかしいじゃんか! 」

「で、デート? 摩耶、そうだったのか? 」

「もう知らないっ! 二人のばかっ! 」

 

ついには彼女も立ち去ってしまう。

あぁ摩耶ちゃん、スカートで地団太踏むから思いっ切りパンツ見えてるんだ。

でも今日はエメラルドグリーンなんて可愛らしい色を穿いている。

 

「あーあ。タカシ君はちゃんと女の子の気持ち理解してあげないと今みたいに嫌われちゃうよ? 」

「先輩よりは好かれてる自信あります」

「辛辣」

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<大広間>

 

タカシ提督と別れ、現在私は自分の鎮守府の艦娘たちと共に夕食を楽しむはずだったのだが、何故か亀甲縛りを隼鷹にされてしまった。

これはこれで興奮するので結果オーライとして、だいぶ酒の入った子たちも多いようで既に何人か安らかな寝顔を浮かべている。

 

「とりあえず私も酒飲みたいし寝てる子部屋に運んであげたいからこれ外してくれ隼鷹」

「面白いからやだ」

「じゃあこのまま出歩いて女将さんにこの紐解いてもらう」

「やめろ粗チン野郎」

「誰が粗チンだコラ」

 

変態紳士たるもの、ロープによる拘束など一瞬にして解かなければならない。

憲兵さんによる拘束も無論、私は自身を縛りつけていたロープを無理やり引き裂いた。

 

「よし、手伝ってくれ隼鷹。そこでブッ潰れてる鈴谷君から部屋へ運ぼう」

「あいよ、っと。いやぁ最近の女の子は軽いねぇ。ちゃんと飯食ってんのか? 」

「すみません、鈴谷がご迷惑をお掛けして。わたくしも手伝いたい所なのですけど、生憎手が空いてなくて」

「じゃあくまのんのニーソ一年分くれ」

 

空いた食器やコップを片付ける熊野君は笑顔のまま私に中指を立てる。

さすがに一年分は多かったか、一週間分に抑えておくべきだったのかもしれない。

隼鷹の他にも同じ場に居合わせていた足柄君や木曾も手伝ってくれる事になり、一気に介抱が進んだ。

 

「まさか霧島君がお酒弱いとは……あっ隼鷹今良い事思いついたんだけど聞いてくれない? 」

「なんだ? 霧島が酒弱いから襲えるみたいなやつか? 」

「…………」

「図星かよ」

 

大きく胸元が開いたブラウスを纏う隼鷹は流石にエロ過ぎる。

しかも結構酒が入っているのか、彼女の表情はほのかに赤い。

 

「はれぇ~? ていとく~? いらしてたんですかぁ~? 」

「んん? 鳳翔さん? なんか雰囲気が……って酒くさっ!? こんなに飲ませたの誰!? 」

「…………げっ」

「隼鷹、こっち向きなさい」

 

私はふらふらと近寄ってきた鳳翔さんを腕で抱き止めながら、片手で隼鷹の肩を軽く掴む。

 

「なんで私も呼ばなかったんだ! 今の鳳翔さん超エロいじゃん!! 」

その後何故か私は隼鷹に殴られた。

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<鳳翔さんの部屋>

 

 大広間から鳳翔さんをおぶって彼女の部屋まで介抱してきた私は敷いてあった布団に彼女を寝かせる。

今鳳翔さんはすやすやと寝息を立てており、具合が悪い様子も見られない。

だが私の脳内の中で天使と悪魔がしきりに囁いていた。

 

『提督さん、未だかつてない童貞卒業チャンスです。さあ、一思いにヤっておしまいなさい』

『馬鹿野郎! 鳳翔さんとするならイチャイチャしてからだろうが! さぁ、起こして同意を得るんだ! 』

 

どっちも寝込みを襲うという最低の選択肢を提案してきている。

ぶっちゃけ意味はないし、私は襲うつもりもない。

何故ならば私は紳士であり、女性を悲しませるなど以ての外であるからだ。

でもセクハラは止めないつもりである。

 

「でも無防備に寝てる鳳翔さんがクッソ可愛い。どうしよう襲いたい」

「んぅ……」

 

自然と彼女の頭に手を置き、私は彼女を撫でた。

直後鳳翔さんは寝返りを打ち、私の手を握る。

 

「!!!!???? 」

 

だが私はまだ童貞、女性からのアプローチにかなり弱い。

無意識なんだろうけど普通に照れてしまった。

その直後、鳳翔さんの口からこんな言葉が漏れる。

 

「もう……誰も、どこにも行かないで……」

 

寝言にしてはやけにはっきりしていたその言葉は、立ち去ろうとしていた私を引き止めるのは簡単だった。

本来艦娘は現存していた旧日本軍の戦艦の名を受け継いで、現在の海軍(対深海棲艦のみ)に所属している。

彼女たちの纏う艤装は過去の戦争の記憶を引き継いでおり、適応にはそれ相応の精神力と体力が必要だ。

 

そして"鳳翔"は終戦まで全ての戦艦を単機で見送った艦。

彼女の寝言も納得がいく。

 

「大丈夫さ。ここにいるよ、鳳翔。私は何処にも行かない。君はもう一人じゃない」

 

私は彼女の手を握る。

安心したように鳳翔さんは再び眠りに落ち、寝息を立てはじめる。

私の手を握って。

 

「……今日はここで寝かせて貰おうかな」

 

そう言いつつ私は鳳翔さんの手を握りながら、畳の上で横になる。

睡魔が私を襲い、数分後には彼女と同じようにして寝ていた。




尻アス回になってしまいました。
後タカシ提督は結構重要なキャラなので今後とも出演すると思います。

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